紙の本
誰もが持っている能力とは、
2008/06/01 15:20
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サムシングブルー - この投稿者のレビュー一覧を見る
選択する能力だそうです。
読みたい本を選ぶことは、その能力の最たるものだと思いませんか。私は今まで理不尽なもの、たとえば殺人が書かれているであるだろう本は避けてきました。今回「女という病」(中村うさぎ著)という本に出会い、強烈に「女」と「病」という文字が目に入りました。帯には彼女たちは、醜く哀しい、あなたの分身。殺人、詐欺、謎の失踪……。「女の事件」の闇に迫るドキュメント! と書いてありました。自分の苦手な内容の本を選んでしまったことにまず驚きです。
まえがきに、この本に収められている文章は、『新潮45』という月刊誌に連載していたものである。被害者・加害者を問わず、「女」が主役と思われる事件を取り上げて、そこに渦巻いている「女の自意識の問題」すなわち「女という病」を解説していこう、という趣旨の連載であったこと。
純粋な意味でのノンフィクションではない。これは「彼女たちの物語」という体裁を取りながら、じつは「私の物語」であること。
これを読もうとしてくださっているあなたは、もしも女性なら自分の中にも「女という病」が潜んでいることに、想いを馳せてみてくださいと、書かれている。
すでにまえがきだけで作者中村うさぎさんの熱い思いに、私は焼け焦げてしまった。
そして十三人の女たちの【事件概要】と物語「病の実態」と「病の正体」が始まる。
あとがきは、私にとって良くも悪しくも「分身」感のある十三人の女たちなのだが、あなたはどの女にもっとも惹かれ、どの女にもっとも嫌悪を抱いただろうかと、書かれている。
読み終わってみて、どの女がもっとも嫌だったのか、などという比較はできない。
またあとがきには、彼女たちは大きな欠落を抱えている。その「欠落」とは、「自分」なのである。彼女たちは「自分」を探しにいったまま、道に迷ってしまった女たちなのだ。と書かれている。
ここでの「自分探し」という表現は哀し過ぎる。自分探しは、自分を好きになるためにするのではないだろうか。自分を好きになれないと、人に優しくできないのではないだろうか。
第十三章 バービー・ナルシシズムが生んだ狂気 ―赤い自転車連続通り魔事件―
是非読んでいただきたい。
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いつもは軽めのおバカなエッセイを書いている中村うさぎ女王様ですが、今回は13人の女性犯罪者・被害者に焦点を当て独自の見解というか、まるでイタコのように彼女たちの恨みつらみ心の闇を突き詰めて語って行く。
「女」はそれ程日頃から「女」を意識していない様にも思えるのであるが、この様な本を手に取ってしまうあたりやはり私も「女」を意識している女の一人であるという事か?個人的に中村うさぎにはこの固めというか、噎せ返るようなねっとりとした文章で永田洋子か福田和子の一人称長篇小説を書いて欲しい。需要は全く無さそうだけど。きっと後味の悪い濃い読みごたえのある本が出来ると思う。
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病院の待合室でサクッと読んでしまった。
ここ数年の世の中の事件で、女性の感情などが大きく報じられたものについて、中村うさぎが解説しながら持論を展開するというノンフィクション。
ニセ皇族の結婚披露宴詐欺事件・・エリート医師妻誘拐殺人事件・・「ああ、そんな事件があったな」と思い出させるものばかり。
事件の背景には、様々な人間模様があるとされる。そこには男もいれば女もいる。
オレは男だからだが、この本を読んで「女の憎悪」のようなものは本当に恐ろしく感じた・・
この13のケースは特殊なのだろうが、何かネジが1本外れてしまうだけで、狂気や破滅が待ち受けている。
思わず背筋が寒くなる思い。
正直・・買って後悔した・・^_^;
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イキナリ同人誌作家の殺人事件から始まるので、妙にドキドキしました…;;
自分の嫌なところとかを突きつけられた感じで、納得いかないんだけど納得するしかないなーみたいな気分になる。もっと大人になりたいなーと思います。
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女性犯罪者13人の実録犯罪集。とはいえ著者本人も言ってたけど、やはりどうも著者の中で一度取り込まれ練り直された段階でだいぶ主観が入ったというか、ここまで断定するのはどうか、と思われる内容になっている。思い入れが強すぎて、センチメンタル&どろどろ&センセーショナルに脚色し過ぎじゃないか。犯罪はドラマじゃないし、犯罪者サイドの理由を他人が後付けする必要もない。個人的にはもうちょっと後に引いた立場から書かれたものが読みたい。
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様々な事件の中心になった女達。ああ、何て私に似た女がいるのだろうか?たまたま私は最後の一線を越えなかっただけで・・・
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だらだら読み続けてしまう、中村うさぎ。
今回は、女が所以の事件を追っていくというスタイルの本。
有名どころの話から、そーいやあったなぁという事件を
取り扱っているんだが、みんなぎりぎりのところで生きて
そっち側にいかないよういかないようにしているのに
なにかの拍子に、きれいに並べつくされたドミノが
綺麗な絵を描くんだろうなぁなんてぼんやり思ってしまった。
引き金は、ひけません。
たぶん。
うん、絶対。
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犯罪の描写がやや気分が悪くなる。
女という病に比べると、(他社を通しての)自己分析に
少し感情や他の要因が絡みすぎいて、
頂に達していない印象。
中村うさぎ自身に響く題材があまりなかったのかも?
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『女の自意識は、それ自体、病である』
実際に起きた13件の女の事件を、
作者が自分を投影しながらドキュメントタッチで綴っている。
事実は小説より奇なり。
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情景や加害者の心理の描写が巧み。
本当にこうだったんじゃないか?と感じてしまう。
とくに加害者の心理について。
これを元に、小説にしたら面白いだろうなー
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女の自意識はそれ自体病かもしれないけれど、
持っていて悪いことばかりじゃない。
うさぎさんの描く物語として読めば面白い。
現実の事件としては、やっぱり痛ましい。
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女性が主役を演じた実在の13の事件。
その闇に迫るドキュメント。
描かれる事件と当事者の心理はもちろん
それを描き出す著者もまた、良くも悪くも
女性特有の形で表現されていて
大変面白い一冊でした。
奥底にあるテーマは、以前に読んで感想を記した
「グロテスク」や「ヘルタースケルター」と、ほぼ同じかも。
今回も、前出の二冊も、関西弁で言うところの
いわゆる「えげつない」話なんだけど、目を背けることができない。
そこに生きている彼女達は、可哀想という言葉をかけるには
あまりにも力強くてたくましくて、まぶしすぎる。
「女の自意識は、それ自体、病である。」
というコピーに、首をふれない女性は多いんではないかしら。
少なくとも、私は首をふること、できません。
毒気に当てられて、くらくらと眩暈を感じながらも
滑稽だとは、笑えない、もう一人の私がいます。
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ここ最近の女性が起こした事件を取材して、作者が事件の原因について深く考察するという趣向だ。今回ノンフィクションのカテゴリだが作者の個人的な思い入れが大きい分、合致しているのやらいささか不安がある。13件の事件を取り上げ、それぞれになにがしかの原因を特定している、全ての事件に共通しているのは、過剰なまでに自己へと向かう心理状態の異常さだ、普通の男はそこまで自分には酔えない。
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その中心に女性がいる事件を紹介した本。
殺したり殺されたり嘘をついたり、傷つけたり。いろいろ。
他人事とは思えません。やっぱり。
きれいじゃなくなることへの漠然とした不安。
他人から自己確認をされたい弱さ。
どこかにある自分が殺したり殺されたり嘘をついたり、、、してました。罪は絶対に罪としてあるけど、地続きの共感が染み込んでくる本です。
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女の自意識は、それ自体が病である。
ほんとにそうだなぁ、と思った。
私もすごく自意識過剰な人間です。
自分が一番、自分に執着せずにはいられない。
ナルシストというとなんか「自分大好き」な印象だけだけれど、
憎しみもこめて「愛」というのなら、わたしはナルシストです。
だから、彼氏さんがいても、彼が一番にくることはない。
わたしはいつもそれを後ろめたく思っていて、
この本を読んだ後、彼氏さんと話しをしてみた。
彼は、それでもいいといってくれた。
「愚者の道」で、自分は間違いなく愚者だと思ったのですが、
愚者には救済の相手、自分を赦してくれる相手が必要だと書いてあった。
彼は私を赦してくれる。
世間的に見たら、
結婚とかするには結構リスキーな相手だと思うのだけど、
私はきっと、彼なしでは生きられないのだと思った。