電子書籍
すごく良かった!
2022/03/25 22:44
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投稿者:まめうに - この投稿者のレビュー一覧を見る
凪良ゆう先生の本で2番目に好きな本になりました!!
もっと評価が高くても良いのでは?と思います。好みの問題もあるかもしれませんが、買って本当に良かったです。読んだ後、しばらく戻ってこれませんでした。
雨降りvegaがとても好きでダントツの私の中の1位なのですが、これは私の中の2位です。
紙の本
問題がすべて解決する人生なんてありえない。自分で抱えて歩くしかない
2020/12/20 05:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり
表紙とあらすじ読んだ時は選択からはじいたのですが
ちょっと逡巡した末にやっぱり読んでみることに。
いや読んでよかったです。
すごい良かったです。
凪良ゆうさんのこういう話本当に良作ですね。
ちょっとためらっても読んでおくべきかなと。
あらすじ読んだ時の印象とまったく違う話なので
あらすじって難しいなぁって思ったしだいです。
遠召と高知の交互視点で描かれる作品
両者とも秘密を持っているのですが、
その開示は少しずつである。
どちらの抱えているものも重い。
(どちらかだけでなくて、どちらもなのがこの話のみそだと思います)
境界ぎりぎりというより若干超えている。
そしてそんな秘密を開示しつつ前半はむしろ淡々とした風に話は進んでいる。
(秘密は秘密のままでなく、どんどんとこぼれ出てくるのだ。)
熱は内包されているのでしょうが、青白い炎のようなものだ。
それゆえに、二人の炎にじりじりとこちらも包まれいく。
そう、電車で高知が遠召に食べさせてくれるミントの味ですらある。
だからこそ作者さんが好きだと言った逃避行のシーンの風圧を強く感じるのだと思う。
逃避行直前の高知の「交われない」というセリフが痛い。
結局最後に遠召がたどりつく
「問題がすべて解決する人生なんてありえない。自分で抱えて歩くしかない」
も。
そう二人の抱えたものはどちらかひとつでも重すぎるのだが。
それぞれの憎しみや怒り、たくさんのたられば、自分への後悔は自分が抱えていかねばならないのだと。
そう、安易なハッピーはそこにはない。
背負ったことは重く、行為も重く、ぱっと解放などされないのだ。
二人でいるからなくなることはないのだ。
(また、他の関係者からも・・・とはいえ、
二人以上にしっかり向かい合っている人間がいない気はするけど。
まあ、逃げるのもその人の人生だからね)
だからこそ
「愛情はこんなに綺麗なものなんだ」
の綺麗さの皮肉に涙がでる。
そして、遠召が高知の落とした光るコインを拾って歩くという表現に
胸がつぶれるように痛い。
暗い道筋、泥沼のような足元にきらきらと光るものが落ちているのだ。
そしてそれを拾って歩くのだ。
最後のコインを落として、拾って。
自分のものは自分で抱えるしかないのだけれども
でも、先に歩いてはいけるのだなとは思わせてくれる。
そう、二人で一緒に。
そうそう、私が胸を掴まれたのは
「遠召さんがいつか飼う犬の名前はエリ」
のフレーズ。
これはとても大事で大切な約束だった。
とてもずっしりとくる話ではありましたが、
最後のシーンで安心して本を閉じることができました。
紙の本
マイナスから始まる関係
2012/07/02 12:19
12人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はにーとーすと - この投稿者のレビュー一覧を見る
旅の青年、高知(攻め)をなりゆきで家に住まわせることになった遠召(受け)。
戻らない恋人を待ち続ける遠召と、人懐こい笑顔と裏腹になぜか素性を語らない高知。
互いの秘密には触れない、共犯めいた奇妙な共同生活。
この平穏で心地良い日々はいつまで続くんだろう・・・と続きます。
二人とも重たいものを背負ってます。
特に遠召。いや、結局二人とも同じようなものですね、きっと。
傷のなめあい、というような簡単に言い表せる内容ではない深い深い作品になっていると感じました。
後半、二人が少しの間離れてしまうことになりますがその期間の描写にホロリとなりました。
重たくて暗いお話ですが読後感はそこまで落ちることはないと思います。
マイナスから始まる二人ですからあとはプラスになるだけなのでこれからきっと幸せに暮らせることでしょう。
電子書籍
ミステリアスな話
2016/03/19 11:56
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投稿者:Sota - この投稿者のレビュー一覧を見る
二人の謎が知りたくて、一気読みしました。
凪良さんの本は、それだけ、引き込まれますね。
ただ、遠召の過去を考えると、3年半待てるか?ってのが、少し疑問に思って、ラストは、心中の方が、逆に納得したかも?と、思ったりもしました。
紙の本
再生の物語
2016/06/29 18:11
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投稿者:沢田 - この投稿者のレビュー一覧を見る
それぞれ重たい事情を背負ってる受けと攻めが、偶然出会い、なりゆきで一緒に暮らすうちにかけがえのない存在になっていく話。
こういう互いが補完しあうような関係も、まるで世界に二人だけみたいな逃避行も個人的に嫌いではないです。
が、とにかくシリアスでしんどい場面も多いので読み通すにはそれなりに気力が要るというか…!
でもラストではちゃんと希望が見える、再生の物語でした。
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キャラ設定自体にはかなりビックリでしたね。まさかの殺人未遂の逃亡者との恋とは思わなかったです。でも重いんだけれど、あらすじ通り再生の物語なんでしょうね。逃げている二人の生活はゆっくりとしっとりとしていて丁寧に書かれいていつもの凪良さんなんだけれど、あまりにも二人の持つバックが重すぎて繊細な心情の奥深くを読み取るのが難しかったですね。 切ないというよりもただ、痛い。 相手側になんに制裁も無いのも救われないんだけれど、これからの二人はきっとそんな彼らが羨ましく思うほど幸せになるんでしょうね
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「天涯」とは遠い所とか、空の果て地の果てのことです。天涯孤独な二人の男が主人公。黒くて暗いテーマを扱っていますが、なんだろう、絶望的って感じはしないストーリーです。9割どんよりしてますが、あとの1割は罪悪感が希薄で痛くなく読めるかんじ。センセが楽しんで書かれたというのがわかるような、エンターテイメント性を秘めています。なので、重いかな…?と思いつつも途中で止められなくなって、最後までいっきに読ませてしまう面白さがありました。
自分のせいではないのに理不尽な理由から「罪」を背負うことになった遠召。そして高知も不本意な事件を起こし「罪」を背負っています。そんな二人が出会い、心の安寧を得るためだけに互いの体を繋げる日々を過ごすようになります。
体の関係だけなのにどんどん二人で居ることが心地よくなっていく経緯が説得力あります。
自分のせいではないのに、自分が悪いと思い込み、理不尽に孤独な状態に追いやられてしまった二つの魂が出会った時、今までとは違う何かが生まれ変化していきます。遠召も高知も、それぞれに囚われていたものと再び対決し、互いの存在という力を味方に、そこから開放されるのです。
「罪」を背負ってはいるけれど、高知も遠召も魂は汚れていない。糾弾している人たちの方がよほど汚いのです。許されざる奴らですね。身勝手で、のうのうと生きていて、腹立たしい。
そんな奴らに置き去りにされ、不本意に一人ぼっちにされた高知と遠召は、むしろ被害者なのではないかと思わせます。
魂が囚われていたとしか言いようがありませんが、自力でそこから脱出するのはこちらが考えるほど容易ではないのでしょうか?殺したいほど憎む気持ちや残酷な身内をばっさり捨て去る勇気というのは、なかなか困難には違いないと思いますが。
救いは、やはり二人が巡り逢ったことによって起きた魂の再生ですね。体の関係だけじゃなく、気持ちがちゃんとつながったことによって、いい方向が見えているラストがすごく感動的です。最初は同じ場所で他人だったのにね。「俺のつれだ」の一言にじーんとしました。
エロ的には、高久センセのイラストがHシーンにぴったりで、鼻血が出そうに…いやらしい、いえエロティックでした。清楚なのにそこはかとなくエロい。
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天涯行き。いいタイトルですね。朱里エイコ「北国行きで」かと思ったら道行きもかけてるんでしょうか。天涯孤独な(親戚がいないわけじゃないがそいつらが最悪な人しかいない)二人の再生の物語。恋愛小説としてすばらしいです。暗くて重い設定だからこそ体だけから心が繋がっていく過程が説得力あります。エロス&タナトス。
二人を苦しめた「加害者」(というか「罪」を糾弾する側)は全く裁かれない代わりに心の安寧もない。
ユーミンに「幸せはあなたへの復讐」って曲ありましたよね。二人には残りの人生を安らかに幸せに暮らして欲しいと心の底から思いました。猫のエピソードは犬のエピソードより泣けますね。
遠召の出自は実は「彼」の出まかせの嘘だったというオチでサプライズがあるのかと思いましたが。いや、そういう書き方じゃないかな。
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天涯・・・空のはて。また、非常に遠い所。
タイトルを見ただけでせつない内容が伝わってきました。
なにかを待ち続けている遠召結生の生活に入り込んだ旅人、高知英利。
互いに自分のことは語らずただ抱き合うふたり。
遠召の過去と高知の今。
肉親に奪われた遠召と肉親を奪われた高知。
すべてが互いの心の中で解決?したとき二人は本当の意味でひとつになり別れを迎えます。
遠召が預かった「愛情の形」それはきっと・・・キャラバースデーフェアの小冊子に「天涯行き」の後日談が掲載されています。
ぜひ、読んでください。
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わたしにとって、凪良さんの作品は、ドツボとそうでもないのがわりとはっきりわかれてくるようです。
設定やストーリー展開が非常によく考えられていると思う。けど、そこが重要なら、えっちシーンなくして、普通のレーベルから普通の小説として出した方がかえって好感度が高くなるんじゃなかろうかと思うのがこのジャンル。魅力的なキャラと、どんな恋愛劇、心情のうつりかわり、など、そして、どうして同性じゃなければだめだったのか、なによりBLの場合はそこなような気がするんだけど、この話はそこが薄いかな。
もちろん、気持ちの移り変わりとか、丁寧に書かれていますよ。
もしかしたら、それ以前にキャラの経歴に少々引きがあったかもしれません。特に主人公の方。
しかし、一定以上おもしろかったので、☆4つ。
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BLとしてではなく、物語としてとても完成されています。
キャラの設定、情景、背景、とても細かく丁寧で引き込まれました
きっと性別とか関係なく、高知だからぴったりはまったんだろうなぁと
受け攻めの感じがとても好みだったので良かったです
明るくて優しい太陽みたいな高知と、満たされない穴を埋めるように誰とでも寝る遠召
不器用だけど、痛みを知っている彼らだからこそ、ここまでぴったりなんだと思います
遠召の過去がとても暗いですが、兄は嫌いではありません
きっと彼も、ただ愛されたかっただけ
後半の遠召が高知を待つシーン、飛ばさず1年1年を丁寧に描いたのが良かったと思います
より遠召にとって高知は必要な存在だとわかったし、遠召が少しづつ未来へ向かって行くのがとても良かった
別にBLじゃなくても、と言う人もいるかと思いますが、私はここまでしっかり設定が作られているBLが好きです
逆にただヤってるだけのBLが苦手なので…
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暗くてシリアスなのに、最後は晴れ晴れとした気持ちで読み終えられた。2人のこれからが幸せであればいい。
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暗い過去に引きずられ追い詰められた二人の切ない逃避行。義兄の呪縛から逃れられない結生と人懐こい笑顔の裏に秘密を抱えている高知。二人の距離が近づくにつれ過去も明らかになっていきます。こういう展開は大好きなのですが、二人の過去が善悪はっきりし過ぎているので理不尽な点がなきにしもあらず…とにかく暗いです。ちょっと中盤かなりの鬱展開で萎えそうになります。
そこに光を与えているのは、世界に二人しかいないと思わせる刹那を切り取ったような愛情のひと時。この男は自分にとっての愛の形をしている…なんて素敵な言葉!凪良さんの繊細な描写や高久さんのイラストも本当に柔らかくて美しいです。
そして又あの同じ場所で始まる二人…これからの幸せを予感させる静かで心地よいラストでした。
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いい作品だった。導入部はあれ〜、自虐ネタの暗いのか?と心配したが、本編に入ったらそういう危惧も忘れるくらいいい話だった。二人の視点を交代させながら話は進むが、その章はなぜその人の視点でなければならないのか、納得しながら読みました。背景になる田舎町の暮らし、特に夏の午後から夕暮れにかけての風景や関わる人々の描写はこちらの想像力をかきたてて、リアルに温度や湿度を感じるようでした。二人の夫々が抱える非日常的な秘密と苦悩は、日々重ねていく日常とあやふやな関係の変化で、徐々に向かい合うべき現実となった。その先で二人が夫々に受け入れたものは何か、また乗り越えられるのか。読んで欲しい。ほろ苦い、けれど清々しく甘いお話です。
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ロマン、だなあ。
壊れた自転車を二人乗りして、逃げる。暗い道を逃げていく。ロマン、 というのがこのシーンを読んで浮かんだ言葉でした。からっぽにならなければ生きていけなかった人と、ひびが入ってしまって元通りの幸せを取り戻せない人。二人が終点を決め、刻限を決めて逃げるのはロマンとしか言いようのないシーンだと思います。ここが、この小説で一番印象に残っています。
へんなたとえですが、この二人はすり鉢になった同じ道を歩いてたんだと思います。それでどん底まできて出会って最終的に斜めになった壁を登る方法を相談し合う。まだ上には帰れないけど、とにかくなんとかして戻ろう、二人で戻ろう、そんな話だったと思います。
全体的に静かな森の中を歩いているみたいな話で、文体で、境遇はつらいけど安らかな気持ちで読めました。ずっと夜で静まり返った森ではなくて、だんだん明るくなり、朝になり昼になり鳥がさえずっているような。いろんな思惑があって、どうにもならない不器用さを癒してくれる気がしました。
最後、受けさんは待つことになるけど、これはとても大事で必要な時間だと思います。三年なら、短いでしょう。帰るかもわからない待ち人に怯える日々より、何倍も幸せだったでしょう。待つ、ということの穏やかさをこの人が知れたのはとてもよかった。前向きな約束を守りながら待って、出会いと同じシーンを、まったく違う心境で迎える。やっぱりロマン、です。
このあと、二人が喧嘩とかができる関係になったらいいです。ぶつかって話し合って幸せになってほしいです。