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紙の本
基準値のからくり 安全はこうして数字になった (ブルーバックス)
著者 村上 道夫 (著),永井 孝志 (著),小野 恭子 (著),岸本 充生 (著)
お酒はなぜ20歳から? 基準値は守れば安全・超えれば危険? 賞味期限、放射線量、食品の化学物質、電車内での携帯電話…。基準値の不思議な決まり方のからくりと、複雑怪奇な数値...
基準値のからくり 安全はこうして数字になった (ブルーバックス)
基準値のからくり 安全はこうして数字になった
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商品説明
お酒はなぜ20歳から? 基準値は守れば安全・超えれば危険? 賞味期限、放射線量、食品の化学物質、電車内での携帯電話…。基準値の不思議な決まり方のからくりと、複雑怪奇な数値の根拠を解き明かす。【「TRC MARC」の商品解説】
賞味期限、放射線量、食品中の化学物質から電車内での携帯電話まで、私たちはさまざまな基準値に囲まれて、超えた/超えないと一喜一憂している。だが、それらの数字の根拠を探ってみると、じつに不思議な決まり方をしているものが多い。その「からくり」を知らなければ、基準値は無用の不安や油断を生む数字になってしまうのだ。「基準値オタク」を自称する俊英研究者4人が追った基準値誕生に潜むミステリー!
基準値を見れば「日本」が見える!
賞味期限、食品の化学物質、放射線量、PM2.5、水質、血圧から電車内の携帯電話まで、
私たちはさまざまな基準値に囲まれて、超えた/超えないと一喜一憂して暮らしています。
しかし、それらの数字の根拠を探ってみると、じつに不思議な決まり方をしているものが多いのです。
たとえば、お酒はなぜ「20歳から」なのか、知っていますか?
基準値とは、その「からくり」を知らなければ、無用の不安や油断を生むだけの数字になってしまうのです。
本書では「基準値オタク」を自称する俊英研究者4人が、基準値誕生に潜む数々のミステリーに斬り込みます!
「基準値の謎」の例
●各メーカーで違うはずの食品の賞味期限、なぜどれも「横並び」になるのか?
●ひじきやコメにも多量に含まれる発がん性物質のヒ素にはなぜ基準値がないのか?
●第一原発事故後のヨウ素131の暫定規制値は、半減期による「濃度の減少」を前提としていた!
●決まるまで10年がかり! PM2・5基準値設定会議の意外な結末とは?
●同じ農薬、同じ残留量なのに、なぜ「リンゴは安全」で「キクラゲは危険」なのか?
●「避難と除染」の安全すぎる基準値と運用、これでは「福島に帰るな」と言っているようなもの!
●「優先席付近では携帯電話の電源をお切りください」という電車内アナウンスの奇妙さ!
●高速バスの夜間走行距離、基準値に「自信がある」ドライバーはわずか4割未満!
これらの謎の答えを知れば、「そんな決め方でいいの?」と何度も驚き、絶句することでしょう。一喜一憂する前に、ぜひご一読ください。【商品解説】
目次
- 第1章 消費期限と賞味期限――「おいしさ」の基準値の「おかしさ」
- 第2章 食文化と基準値――基準値やめますか? 日本人やめますか?
- 第3章 水道水の基準値――断水すべきか? それが問題だ
- 第4章 放射性物質の基準値―― 「暫定規制値」とは何だったのか
- 第5章 古典的な決め方の基準値―― 「リスクとは無関係」な基準値がある
著者紹介
村上 道夫
- 略歴
- 〈村上道夫〉1978年東京都生まれ。東京大学生産技術研究所特任講師。博士(工学)。
〈永井孝志〉1976年北海道生まれ。独立行政法人農業環境技術研究所主任研究員。博士(理学)。
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紙の本
身の周りに溢れる「基準値」と危機管理を再考するに最適の本
2015/02/02 18:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
私たちの身の回りにはいろいろな基準値があります。食品の消費期限や、大気汚染の基準、そして放射性物質による被爆基準など。でもこれらの基準が守られていても「本当に安全なの?」と疑問に思うことはよくありますよね。福島第一原発事故の後、枝野官房長官(当時)が「ただちに健康に影響はありません」とよく言ってましたが、「じゃあ長期的にはどうやねん」と疑問に思った方も多いのでは。
本書は様々な基準値がどのような根拠で決定され(非科学的な決め方が多くて驚きます)、それを私たちがいかに受け止めるべきかの指針を与えてくれます。「基準というのは 考えるという行為を遠ざけてしまう道具である」という本書にある言葉どおり、単に基準以下かどうかという極論に陥らず、「○○基準の何倍!」というような新聞等の見出しに必要以上に煽られることのないように心がけたいですね。
「必要以上に危険を煽るつもりもないし、安全を強調するつもりもない。基準値のありのままの姿を知ることで身の回りのリスクの大きさを知ってほしい。リスクを知らないまま不安になるよりは、知っている方が安心だ」という著者の姿勢には強く共感できます。
紙の本
僕たちはこんな基準に囲まれている。
2016/04/09 19:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯に書いているのが「想定・評価・判断の科学」初めての一般向け入門書 そんな決め方でいいの?、とあります。
安全は個人の主観的なものと喝破し、国際的な安全規格では安全を「受け入れられないリスクのないこと」なんだそうです。これはリスクゼロとイコールではなく、受け入れられないリスクがどれくらいか、という社会的な合意から基準値ができます。これが守られ、社会は安全を確保できます。
で、その基準値がどうやって生まれたのさ?ってところで文系でも読みやすい卑近な事例が多数挙げられています。
「基準値なんてもんは、お上が決めりゃいいんだよ」ってな冷笑的な私だったんですが、読み物として読んでみても、すごく面白いんです。偉い人が会議を開いて数値の値の範囲で「どれくらい安全か?」っていう議論が活発なのかと思いきや、現場の状況を踏まえて妥協していたりかなり「人間臭い」物語が垣間見られます。
水銀におけるキンメダイがマグロのスケープゴートっていうからくりを知った時には「そうなのかー」って思いました。中には他の世界が決めたからなんとなく決まったとか、基準値の根拠とかその誕生を知れば知るほど、その問題に対する考え方とか、背景がうかがい知れます。
慧眼だったのは、高速ツアーバスの過労運転についての基準でした。事故があれば大きく報道されますが、そういう基準だったのか!ってびっくりするのですが、基準を厳しくすれば、その利便性を代償にしなければならないし、基準値は私たちにとっての「可視化されたセーフティネット」ですが、社会の変化に応じて人の行動パターンも変化します。
ペースメーカーの人の前では絶対携帯禁止っていうのが携帯持つ人が多くなったから「この距離からは禁止」ってな感じですかね?悲しい事に事件や事故が起きてから、こうした見直しがされます。あとがきでは「基準値をどのお湯に設定すべきかについての科学は確立しているとはいえない」と述べ、社会的合意が必要なレギュラトリ―サイエンスであると指摘します。
行動経済学みたいに、科学と人間の恣意性を統合し、いかに社会が「まぁそれなら納得するわ」って基準値が生み出される物語。「これまでの安全神話崩壊」って恐れおののくのではなく、「安全神話」がどれくらい制度疲労をおこしているのか?もともと基準値はどうして成り立ったのか?という読み進めていくうちに「裏が取れるまで、鵜呑みにして行動しない」っていう知的好奇心がムクムク湧き出るおもしろい本です。
ホントに文系が読んでも、スイスイ読める本ですので、ぜひ。
紙の本
身の回りにある様々な基準値の「からくり」を暴いた画期的で興味深い一冊です!
2020/02/05 12:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、科学に関する知識を分かり易く教示してくれることで好評の「ブルーバックス」シリーズの一冊で、同巻は、私たちの身の回りにある様々な基準値のからくりについて教えてくれる興味深い書です。毎日の生活の中で、私たちは、例えば、食品の賞味期限や健康診断における各項目の基準値などの数字に取り巻かれています。そして、こうした数値を「超えた!」、「超えなかった!」と一喜一憂している状況です。しかし、こうした基準値はどのようにしてはじき出されているのでしょうか。こうした基準値をよく検討してみると、実に不思議な決め方をされているものが少なくないことがわかってきたと著者は言います。同書は、こうした身に周りの基準値の「からくり」を暴いてくれる画期的な一冊です!
電子書籍
人騒がせな報道番組の価値を判断できます。
2016/10/18 08:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:せいけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
基準値を超えたという報道に意味があるのかどうか、よくわかります。例として長寿国日本で主食であるコメを欧米では、発ガン性のある危険な食品と見る向きがあるバカバカしさや、水道水の基準値が非常に厳しいこと、ヒ素が基準値を超えたと言っても法的な問題であって、状況によっては全くどうでもよい量であることなど丁寧に解説してあります。
紙の本
知識を備えれば悩み少なし
2016/04/30 19:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
基準値をめぐる議論はともすれば専門家の間でも不毛になりがちで、一般の人にはなかなか理解がむずかしいこともある。健康や環境、災害等に関わる事柄であれば一般の人々に直接影響するものであり、次の行動のための判断材料になるうるものだ。
この本は4人の専門家が基準値についての考え方や適応範囲などを解説しており、福一原発事故に関係する放射線汚染の問題にも多くのページを割いている。飲食物、環境、交通事故関係分野の基準値について記されているが、どこから読んでもよく、参考文献も豊富に示されているのでさらに理解を深めることができる。
地震、気象などによる災害、工事や火災などによる事故に関する基準値、規制値等について同種の本が手元にあると助かるだろう。