- 販売開始日: 2021/08/15
- 出版社: 角川春樹事務所
- レーベル: 時代小説文庫(角川春樹事務所)
- ISBN:978-4-7584-3849-0
かぼちゃ小町 料理人季蔵捕物控
著者 和田はつ子
江戸の秋。日本橋は木原店にある塩梅屋では、例年通り熟柿作りを始めていた。熟柿は、菴摩羅果(マンゴー)にも似て、市中の甘党の垂涎の的であった。そんな中、塩梅屋に盗っ人が入り...
かぼちゃ小町 料理人季蔵捕物控
商品説明
江戸の秋。日本橋は木原店にある塩梅屋では、例年通り熟柿作りを始めていた。熟柿は、菴摩羅果(マンゴー)にも似て、市中の甘党の垂涎の的であった。そんな中、塩梅屋に盗っ人が入り、熟柿が盗まれた。実は主の季蔵は北町奉行・烏谷に仕える隠れ者なのだ……。季蔵を待ち受けている悪党とは!? 牡蠣と里芋の餡かけ・もみじ大根添え、南瓜の金鍔……など、季節の美味しい料理を作りながらも、悪に敢然と立ち向かう季蔵の活躍を描く大ベストセラーシリーズ、切望の第二十五弾。
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主人公・季蔵が徐々に第三者的立場から、直接当事者的立場に変わってきているのが大きな変化かな。
2016/12/12 10:40
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公・季蔵が徐々に第三者的立場から、直接当事者的立場に変わってきているのが大きな変化かな。これまでも季蔵にかなり近い人間が事件に巻き込まれ、それに絡んだ形の事件が結構あったが、今回は季蔵や瑠璃までもがその標的となり始める。事件(殺人)自体はそれ程多くはないが、事件の舞台が季蔵身辺に迫ったことで緊迫感がある。
一話「あま干し柿」では何と、塩梅屋特性の「熟柿」盗難事件が発生。
二話「秋すっぽん」では、一話で盗まれた「熟柿」の替わりに「あま干し柿」作りに挑戦する。ここで、南町奉行所同心伊沢蔵之進が登場。彼の義父の亡妻が残した「あま干し柿」の作り方記録を手本に作り始める。 <あま干し柿の作り方(P-60~65)>
こんな感じで、柿を巡る話が続く中、突然、京料理屋・四季屋の主・徳次郎が殺害される。初め、主をも凌ぐ腕前の板前・柳三に嫌疑がかけられるが、元十手持ちだった身元保証人のお陰であっさりと放免される。こんな中、盗まれた「熟柿」が箱に入ったまま、瑠璃が匿われているお涼の元に送り付けられ、季蔵の身辺にも危険が及んでいることが示唆される。
三話「かぼちゃ小町」では、二話で殺された徳次郎の下手人が、姉であり四季屋の女主であるお理彩らしいと季蔵が疑っている間に、番所に拘留され、そこで徳次郎殺害を自白する遺書を残して自害してしまう。これで一件落着と見えたが、間をおかず伊沢蔵之進から呼び出しがあり、10年前の「かぼちゃ小町殺し」事件(P-151~)について聞かされる。しかも、その事件は下手人の目星がついていたにも拘らず詮議不要とうやむやにされてしまったという。何かがおかしいと疑う伊沢蔵之進は、その後の幾つかの事件と関連付けて巨悪の存在を疑っている。
四話「もみじ大根」では、伊沢蔵之進の懸念を裏付けるように、北町奉行・烏谷椋十郎が10年前の「かぼちゃ小町殺し」に関連すると思しき殺人事件8件のリストを提示する。(P-178)季蔵は意を決して、一連の事件の出発点と思しき10年前の「かぼちゃ小町殺し」事件の容疑者・金銀箔屋白金屋の竹右衛門に揺さぶりをかけるため岡っ引きに扮して乗り込むが、帰り道で忍びの者に襲われ危機に陥るが、季蔵に興味を持ち尾行していた伊沢蔵之進に助けられる。様々な状況把握が進む中、北町奉行・烏谷椋十郎からの情報が決め手となり、黒幕が昔は南町奉行職候補にもなった有力旗本で、隠居後は広大な屋敷に多くの忍びの者を抱えて「忍び屋敷」とも呼ばれる旗本・土屋兵衛が、忍びの者を使って悪事を働いていたことが判明する。手口は、大商人たちが競争相手を蹴落としたいと願っていることに目をつけ、何時までに競争相手が死ぬという賭けを仕掛け、そのとおりになった場合土屋兵衛が大金をせしめるというものである。当然、抱えている忍びの者を使って競争相手を消してしまうのだから賭けは必ず勝ち、大金が舞い込む訳である。しかし、このカラクリが判明した途端に、季蔵が旗本・土屋兵衛を成敗してあっけなく一件落着。余りのあっけなさにアレッて感じでした。