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料理人季蔵捕物控
著者 和田はつ子
日本橋にある料理屋「塩梅屋」の使用人・季蔵が、手に持つ刀を包丁に替えてから五年が過ぎた。料理人としての腕も上がってきたそんなある日、主人の長次郎が大川端に浮かんだ。奉行所は自殺ですまそうとするが、それに納得しない季蔵と長次郎の娘・おき玖は、下手人を上げる決意をするが……(「雛の鮨」)。主人の秘密が明らかにされる表題作他、江戸の四季を舞台に季蔵がさまざまな事件に立ち向かう全四篇。粋でいなせな捕物帖シリーズ、遂に登場!
雛の鮨 料理人季蔵捕物控
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紙の本南蛮菓子
2020/09/27 13:52
今回は、因縁深い黒幕の登場というどんでん返しに驚き。
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今回は、因縁深い黒幕の登場というどんでん返しに驚き。中盤で違和感のある形で登場した女が黒幕ではと察しはつくがその動機や関わり方が不明のまま事件は決着。アレよと思ってると途轍もないどんでん返しの結末が。季蔵・瑠璃の人生を狂わせた「鷲尾家」との関係に終止符を打つ結末に、もしや瑠璃の病状に変化が現れシリーズも完結に向かうのかと危ぶんだが、既に39巻まで刊行されておりまだまだ続くので一安心。しかし、良くもまあネタが尽きない物だと感心するばかり。
紙の本阿蘭陀おせち
2018/05/18 07:41
私好みの適度に複雑な絡繰りとちょっと人情話を絡めた結末に思わず拍手でした。
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私好みの適度に複雑な絡繰りとちょっと人情話を絡めた結末に思わず拍手でした。全体を通じて一つの大きな事件に収斂する構成。肉料理や洋菓子などを主体とした料理本かと思うような展開に少し不安を感じたけど、第四話で一挙に挽回。私好みの適度に複雑な人間関係、一話でちらりと出た切り消えてしまった“桃江”という娘を軸としたちょっと人情話を絡めた結末に満足でした。季蔵の料理の幅を大きく広げる強力な助っ人と期待された“お光”が姿を消してしまう結末はちょっと残念。さらりと読み流す感じの本シーリズとしては珍しく5点評価でした。
紙の本あんず花菓子
2016/12/13 11:10
一大転換期の作品ですね。ラストで、おき玖が結婚してしまうのだから。
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一大転換期の作品ですね。ラストで、おき玖が結婚してしまうのだから。相手は、南町常町廻り同心・伊沢蔵之進ということで、これはマンネリ化した構図を一新する目論見と見ました。
第一話「高輪御膳」では、徘会の出張料理のために出向いた高輪・加嶋屋で、天誅浪士組を名乗る5人組に襲われ、徘会参加者・おき玖とともに囚われてしまう。この5人組、白昼堂々と覆面もせずに押し入っており、人質を生かしておく気持ちなどないことは明白。季蔵・おき玖ともに絶体絶命の危機である。この5人組は明らかに黒幕に大金で雇われた寄せ集め集団であり、20年程前の連続殺人事件の下手人を引き渡せなどと不思議な要求を出してくる。北町奉行・烏谷椋十郎は南町常町廻り同心・伊沢蔵之進の協力を得て事件解決に成功するが、黒幕はまだ不明である。
第二話「名残り魚」は、クロダイの料理の話のみで事件は無し。昔はクロダイが取れ過ぎて、しかも鮮度落ちが早く、臭みも強いということで下魚扱いされていたとは驚き。
第三話「あんず花菓子」では、青田庵女将・おはると「杏」取り引きとの関連が明らかとなり、一気に青田庵女将・おはるへの疑惑が深まるが・・・・・・・・・。
第四話は、全ての謎解きであるが、疑惑の青田庵女将・おはるはあっさりと殺されてしまう。途中、淡々と進んだ一話だけに、複雑に入り組んだ種明かしは良く考えたなと感心しました。謎解きものとしては、実に良く出来た作品でした。なお、青田庵女将・おはるは善玉でした。
さて、それよりも一大事は、これまで季蔵の生き甲斐だった「おき玖」が突然発情して南町常町廻り同心・伊沢蔵之進と結婚してしまうのです。そろそろ、潮時と見たか、季蔵の相方に新登場人物を予定しての事か。やはり次作も気になりだした。
紙の本涼み菓子
2016/12/07 09:59
今回は料理の話が物語の中にしっくりと嵌り込んでいてワクワクさせられる
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珍しく5点評価でした。4話を通じて美女連続殺人事件を解決する構成であるが、主題は、瑠璃←季蔵←おき玖←豪助という少々困った恋愛感情の連鎖の末端に居た“豪助”の恋の行方である。甘酒屋「みよし」の美女・れいと相思相愛の中になった“豪助”は、美女・れいの父親から出された「“みよし”の甘酒に次ぐ涼み菓子を作って来た者に娘をやる」という難題に、季蔵の力を借りて挑み、ついに美女・れいとの結婚の許しを得る。でめでたしめでたしと思いきや、何と美女・れい父子が惨殺されてしまう。そこへ突如現れたれいの妹・おしんと豪助は敵討を決意する。容疑者として甘酒屋「みよし」の直ぐ近くに住みつき、事件直後服に血のシミがついていた元天麩羅屋・安兵衛が登場するが、何故か過去の記憶を無くしている。安兵衛の「え・び、な・つ」という言葉を頼りに「なつえび」→「芝えび」→「シャクナゲ(シャコ)」と推測しながら、何とか記憶を呼び覚まそうと様々な料理を試みる季蔵たち。と言うことで、今回は料理の話が物語の中にしっくりと嵌り込んでいてワクワクさせられるのである。何とか辿り着いた犯人は、幕府の財政難に付け込んで暴虐無人に振舞う商家の番頭・源次であったが、ある事情から誰も手をつけることが出来ない。かの北町奉行・烏谷椋十郎ですら手を出しがたいのである。絶対に動かぬ物的証拠を得るために季蔵は苦労するが、意外にあっさりと決着してしまう。とは言え、実は美女連続殺人事件の犯人は一人ではなく二人であったというどんでん返しの結末は予測できなかった。
てなことで、殺人事件が絡むためこれまで通り陰惨な話ではあるのだが、今回は料理の話がなかなかに面白く引き込まれたのと、“豪助”の恋の行方という楽しみがあったためか楽しく読めました。なお、“豪助”に関しては、美女・れいの妹・おしんとの仲が宜しいようで、2・3作のうちに夫婦になる予感です。瑠璃←季蔵←おき玖←豪助の連鎖の末端が一つ消えるとなると、残るは瑠璃←季蔵←おき玖となり・・・・・・・・・・・。
紙の本へっつい飯
2016/11/29 09:09
結末が何とも憎めないというか、ちょっとほろりとさせられるところが良い。
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久々に高評価でした。一話ごとに人が死ぬ小さな事件が続くが、それらの小さな事件が一つの大きな事件となってラストで結末を迎えるのだが、結末が何とも憎めないというか、ちょっとほろりとさせられるところが良い。今回は、怪談噺に合わせた料理の構成が一つの魅力であるが、この怪談噺自体も様々な話を思い出させてくれて楽しい。やはり、性善説的な結末の事件物語の方が私には合っている。
それと、瑠璃←季蔵←おき玖←豪助という恋愛感情の行方もお楽しみ。
紙の本旅うなぎ
2016/11/28 10:01
益々快調で、これまでの6冊の内で一番面白かった気がする。
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益々快調で、これまでの6冊の内で一番面白かった気がする。1話ごとにそれなりの決着をつけつつ、更に大きな根源悪を巡る大捕物を4話を通じる一つの話にまとめる流れは変わらないが、本作の仕組みはなかなかに手が込んでいたし、主役の一人である“塩梅屋”の看板娘である“おき玖”の恋の行方が絡んでくるとあっては、読者としては目が離せなくなるのは当然である。前作辺りから、季蔵が北町奉行・烏谷とタッグを組んで本格的に裏稼業に入ったことから、日本人好みの「勧善懲悪」スタイルが明確になったのも安心して読めるようになった所以かもしれない。
紙の本夏まぐろ
2012/07/03 21:05
幽霊と鮪づくし
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投稿者:破魔ちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
幽霊話に絡む殺人事件が最後まで絡み、季蔵の幽霊料理とマグロ料理の展開。今回は塩梅屋のおき玖も料理で活躍する。
紙の本牡丹ずし
2022/12/26 09:23
七変化の義賊盗賊登場で新展開か。
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七変化の義賊盗賊登場で新展開か。極悪人を白日の下に晒すべく盗みを働く義賊登場。何しろ見知った人間にも見破られないほどの七変化。しかも、日本全国に配下を持ち、大名ほどの規模だという疾風小僧翔太。しかも、料理人季蔵に瓜二つという設定。今回は、烏谷すら翻弄されっぱなし。しかし、何故か疾風小僧翔太は季蔵に瑠璃回復の手掛かりを与えて去る。次回以降の新展開の予告か。あ、おき玖の妊娠が付録についてたな。
紙の本うに勝負
2019/01/29 09:34
複雑な事件構成はなかなかだが、話を大きくし過ぎた結果、詰めが甘くなった感じ。
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複雑な事件構成はなかなかだが、話を大きくし過ぎた結果、詰めが甘くなった感じ。些細な事件の下手人が二転三転したり、判明した下手人が不審死したりするうちに、事件はどんどん深みに嵌っていき犯人が見えてこない以上に、事件の広がりや繋がりさえ見えてこない展開に引き込まれてしまった。しかし、話を大きくし過ぎた結果か、最後は解説風の種明かしでお仕舞。少々無理が祟ったという感じでした。魅力的な人物の新登場が無かったのも残念。
紙の本江戸あわび
2017/12/11 10:54
今回も、四話を通じて一つの巨悪を暴く構成でした。
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今回も、四話を通じて一つの巨悪を暴く構成でした。一話から三話までにも事件は起こるが、全体像が全く見えない。四話で一挙に謎解きがなされるが、今回の謎解きは単純だが巧く構成されていた。また、下手人が9名という大人数だったのは珍しい。何時も通り、料理に関しては微に入り細に入りで、一度は食べてみたいと思う華やかさでした。
第一話 骨董飯; アワビ料理を売り出したいと習いに来た、富助が殺される。調べが進み、どうも大奥との関連がありそうだという所で二話へ。 3点
第二話 萩豆腐; 敵が大奥絡みとあっては迂闊に手を出せないので、富助の女房が犯人を見たという情報を瓦版を使って流す。田畑、松次、季蔵の3人は富助宅に張り込む。誘い出された下手人は、富助が恩人と敬っていた両替屋:井本敏五衛門だった。しかし、その犯行動機がどうにも不自然過ぎることに皆釈然としない。そんな折、渡り中間の要三が殺される。残された子猫の関連を辿り、猫屋・にゃん屋のお亜希に辿り着く。その猫屋で、要三が瑠璃に一目惚れして追い回していたことを知る。また、おき玖もその店の贔屓だった。 5点
第三話 おき玖飴; 一連の事件は「鮑玉(アワビの真珠)」の密取引に関連してるらしい。富助の女房・お笛が俄かに浮上。お笛は偽名で、実名はお紀美であり、乳飲み子は他人の子を金で借りてたと判明。何故そんな面倒なことをするのか謎だらけ。 4点
第四話 江戸あわび; 猫屋・にゃん屋のお亜希が「あわび宴」を企画し季蔵に依頼してくる。招待客は玉木藩江戸家老:根本剛右衛門ほか9名(180)。そして、宴の最中に根本が9カ所も刺された死体で発見される。ここで宴に頼んで列席していた南町奉行所同心・伊沢蔵之進の情報とを総合して遂に事の真相に辿り着く(236~239)。玉木藩江戸家老:根本と両替屋:井本敏五衛門は結託して「鮑玉」の抜け荷を行っており、そのことを告発しようとした家老・大矢一派を冤罪に陥れて皆殺しにしていた。今回の一連の事件は、その被害者たちと、お笛が考え出した敵討ちであり、「あわび宴」に顔を揃えた、猫屋・にゃん屋のお亜希、招待客7名、お笛の計9名全員の共謀であった。全てを知った南町奉行所同心・伊沢蔵之進は、北町奉行・烏谷椋十郎に直接報告し、直ぐにやって来た烏谷は盗賊の仕業と断定して、敢えて真犯人を究明せず不問に付す。見事な種明かしと、人情味溢れる裁きに拍手。 5点
紙の本えんがわ尽くし
2017/04/27 10:41
事件としては良く練られており、なかなか事の真相が見えてこない面白さはあったが、様々な布石が活かしきられてない感じが惜しい。
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事件としては良く練られており、なかなか事の真相が見えてこない面白さはあったが、様々な布石が活かしきられてない感じが惜しい。現在の事件から昔の事件へと遡り、真の悪人に翻弄される共犯者たちという構図。結局、最初に殺された百合根売りの美女:清美はとばっちりを受けた感じなのが可愛そう。料理に関する記述は相変わらず興味深い。
紙の本雛の鮨
2016/12/13 14:02
必殺仕事人の雰囲気です。料理の話と同時に楽しめるので、何しろ”一粒で二度美味しい“感じでお得感ありです。
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本シリーズは、387:『時そば 料理人季蔵捕物控 [6]』(時代小説文庫、2009年12月8日、角川春樹事務所)を読んで知った。気になって、第1作に戻って読み始めた次第。
2冊目にしてこのシリーズの構成が見え始めた気がする。1冊が4つの小話に分かれており、その一つ一つに料理(食べ物)を推理する楽しみと、事件を解決する楽しみの2つが用意されていることである。その点では、387:『時そば 料理人季蔵捕物控 [6]』は、料理(食べ物)を推理する楽しみは4つあったが、事件は1冊を通して一つというある意味では異例な構成だったようである。 さて、“捕物”の方は余り謎めいた展開にはせず、一般庶民に近い“小悪“ではなく、奉行所でも手を付けにくい”巨悪“を料理人季蔵が始末していくという定型パターンであり、それを奉行である烏谷椋十郎が影から支えるという形で、必殺仕事人の雰囲気です。料理の話と同時に楽しめるので、何しろ”一粒で二度美味しい“感じでお得感ありです。
紙の本夏おにぎり
2016/12/13 11:19
今回の事件は、さらりと流された感じでした。
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今回の事件は、さらりと流された感じでした。4人(武家の三・四男と町人2に)の悪と、岡野玄良という優秀な医師が事件の中心。息子を亡くして狂気に憑りつかれた富豪の妻が利用される。但し、医師・岡野玄良も実は悪4人組の中心人物に止むを得ない事情で操られていたのであり、悪事が露見するに及び、自分の非を恥じて悪4人組と対決して全員相打ちで果てるという都合の良い幕引きでした。さて、前作[27]で南町常町廻り同心・伊沢蔵之進と結婚してしまったおき玖は通いで手伝いに入っている。よって、替わりの新登場人物はまだ無し。
一方、瑠璃の病状に変化有り。
ところで、鰻の生き血が猛毒だったとは。
紙の本恋しるこ
2016/12/12 11:19
なかなかの構成で、人情話もしっかりと加味した良い出来上がりでした。
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相変わらず料理の話も捕物の話も快調です。一話でアレって感じで肩透かしを食わされ、その後も本題に入らない、ちょっと手の混んだ捕物話。ムーーと思っていたら、四話で、巧みに冒頭の黒幕と関連付けて見せてくれました。なかなかの構成で、人情話もしっかりと加味した良い出来上がりでした。冒頭の一話でのアレって感じも一遍に吹き飛びました。
一話目はあまりにもあっさりと犯人が分かってしまいアレ?って感じでした。
二話では、一話の犯人の裏に黒幕がいるのでそれを探し出せと北町奉行・烏谷椋十郎から密命が下される。しかしその探索は殆ど進まないまま、15年前の女殺しとその時に残された赤子の話になる。季蔵の推理で女殺しの犯人は公儀介錯人であり、残された赤子は誘拐された老舗海苔店浅草屋の次男で、今は荒くれ者・五助となっていたが周りの尽力で松次親分預かりとなる。
黒幕の探索が相変わらず進まないまま三話も単独の事件であるが、何と季蔵が料理を提供している場での事件であり、あわや季蔵が下手人にされそうな珍しい展開で、事件としても意外と手の混んだ話である。
四話は、石川島の人足寄場で見つかった骸を巡る話。身元を明らかにして親族の元に返してやりたいという五助の依頼で身元を調べると、何と推測した人間は実は生きており、骸は別人のものであったことが判明。結局、別人を仕立てて逃げ出し、愛する女と隠遁生活を送っていたが、探し出されたため再び雲隠れしてしまう。しかし、これは一話の黒幕に辿り着く話の切っ掛けらしい。石川島の人足寄場の寄場頭・蛇の龍太郎の暴虐・悪徳ぶりに触れられる。やはりでした。P-240で、蛇の龍太郎がその後、卯吉と名を改めて口入屋・青葉屋の主に収まり、悪事を働いているという。そこへ、シロが久々に登場して、新たな骸を見つける。その骸を追っていくことで、蛇の龍太郎=卯吉が開業資金を奪った相手も判明。やっと、冒頭の黒幕が明かされるという結末でした。
紙の本かぼちゃ小町
2016/12/12 10:40
主人公・季蔵が徐々に第三者的立場から、直接当事者的立場に変わってきているのが大きな変化かな。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
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主人公・季蔵が徐々に第三者的立場から、直接当事者的立場に変わってきているのが大きな変化かな。これまでも季蔵にかなり近い人間が事件に巻き込まれ、それに絡んだ形の事件が結構あったが、今回は季蔵や瑠璃までもがその標的となり始める。事件(殺人)自体はそれ程多くはないが、事件の舞台が季蔵身辺に迫ったことで緊迫感がある。
一話「あま干し柿」では何と、塩梅屋特性の「熟柿」盗難事件が発生。
二話「秋すっぽん」では、一話で盗まれた「熟柿」の替わりに「あま干し柿」作りに挑戦する。ここで、南町奉行所同心伊沢蔵之進が登場。彼の義父の亡妻が残した「あま干し柿」の作り方記録を手本に作り始める。 <あま干し柿の作り方(P-60~65)>
こんな感じで、柿を巡る話が続く中、突然、京料理屋・四季屋の主・徳次郎が殺害される。初め、主をも凌ぐ腕前の板前・柳三に嫌疑がかけられるが、元十手持ちだった身元保証人のお陰であっさりと放免される。こんな中、盗まれた「熟柿」が箱に入ったまま、瑠璃が匿われているお涼の元に送り付けられ、季蔵の身辺にも危険が及んでいることが示唆される。
三話「かぼちゃ小町」では、二話で殺された徳次郎の下手人が、姉であり四季屋の女主であるお理彩らしいと季蔵が疑っている間に、番所に拘留され、そこで徳次郎殺害を自白する遺書を残して自害してしまう。これで一件落着と見えたが、間をおかず伊沢蔵之進から呼び出しがあり、10年前の「かぼちゃ小町殺し」事件(P-151~)について聞かされる。しかも、その事件は下手人の目星がついていたにも拘らず詮議不要とうやむやにされてしまったという。何かがおかしいと疑う伊沢蔵之進は、その後の幾つかの事件と関連付けて巨悪の存在を疑っている。
四話「もみじ大根」では、伊沢蔵之進の懸念を裏付けるように、北町奉行・烏谷椋十郎が10年前の「かぼちゃ小町殺し」に関連すると思しき殺人事件8件のリストを提示する。(P-178)季蔵は意を決して、一連の事件の出発点と思しき10年前の「かぼちゃ小町殺し」事件の容疑者・金銀箔屋白金屋の竹右衛門に揺さぶりをかけるため岡っ引きに扮して乗り込むが、帰り道で忍びの者に襲われ危機に陥るが、季蔵に興味を持ち尾行していた伊沢蔵之進に助けられる。様々な状況把握が進む中、北町奉行・烏谷椋十郎からの情報が決め手となり、黒幕が昔は南町奉行職候補にもなった有力旗本で、隠居後は広大な屋敷に多くの忍びの者を抱えて「忍び屋敷」とも呼ばれる旗本・土屋兵衛が、忍びの者を使って悪事を働いていたことが判明する。手口は、大商人たちが競争相手を蹴落としたいと願っていることに目をつけ、何時までに競争相手が死ぬという賭けを仕掛け、そのとおりになった場合土屋兵衛が大金をせしめるというものである。当然、抱えている忍びの者を使って競争相手を消してしまうのだから賭けは必ず勝ち、大金が舞い込む訳である。しかし、このカラクリが判明した途端に、季蔵が旗本・土屋兵衛を成敗してあっけなく一件落着。余りのあっけなさにアレッて感じでした。