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  3. ナミさんのレビュー一覧

ナミさんのレビュー一覧

投稿者:ナミ

658 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

首都感染

紙の本首都感染

2016/11/26 10:20

良き意味での“サムライ”の話でした。

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

良き意味での“サムライ”の話でした。素晴らしいの一言。ただ、少々気になる点を挙げるなら、中国が悪者過ぎる(まあ、実際にそういう国なんだから仕方ないが)ことと、日本が格好良すぎるというか、現実にこんな“サムライ”がいないだろうというのが悲しい。
 確かに、新型インフルエンザのパンデミックを扱ったものではあるが、それに対する態度が正に毅然としており、理想的な“サムライ”の姿勢のように私には見えたのである。現実に、このような致死率が異常に高く、変異速度の早い(耐ワクチン型のウイルスが速やかに出現してくる)ウイルスがパンデミック(感染)を引き起こしたなら、このような既然とした政策を実行できる人物が複数いなければ日本は全滅してしまうだろうな。いやはや、怖い作品でしたが、毅然としたヒーローの格好よさと、それを取り巻く人間物語に感動させられました。
 高嶋哲夫の作品は、『ミッドナイトイーグル』(2003)で注目し、その後『M8』(2004)、『命の遺伝子』(2007)などかなり読んでいるが、ハズレのない秀作揃いでした。

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紙の本

パラダイス・ロスト

紙の本パラダイス・ロスト

2016/12/07 10:34

期待を裏切らない面白さでした。注目したいのは、3話「追跡」である。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

期待を裏切らない面白さでした。短編であるので要点が明確だし、読んでいても集中力の続く内に完結するのも良い。さて、シリーズ3として注目したいのは、3話「追跡」である。イギリスの新聞記者であるスパイが、D機関の“魔王”こと結城中佐の実体に迫るのだが、逆に結城中佐の罠に嵌ってスパイとしての自分の身分を暴かれてしまい、もっとというより最悪の事態として、これまで日本国内で作り上げてきたスパイ網(アセット=資産)情報まで奪われてしまう。多分、結城中佐の側では、彼が周囲を嗅ぎまわり始めた瞬間から彼を無力化すると同時にアセットの“乗っ取り”を画策したという筋書きと推測した。彼は、限り無く結城中佐の実体に肉迫したと思うのだが、それに目を奪われてもっと大きなゲームに敗れたと言ったところか。あのジョン・ル・カレが膨大な紙面を使って描き出す世界を短編で楽しませてくれるのだから堪らない。
 更にもう1作は4・5話「暗号名ケルベロス 前・後編」である。まず、珍しく120ページだから中編と言うべきことと、その内容である。要は、アメリカから日本へ向かう客船の中で、ドイツのエニグマ暗号の秘密を解き明かすため日本へ向かう英国情報部員とD機関の戦いが主題なのだが、そこへエニグマを盗むために忙殺された船員の妻が敵である英国情報部員を殺害するという横槍が入ると筋書きである。結局、D機関員の鋭い推理で犯人は捕まるのだが、その際、自決を覚悟した妻から“幼女”と“愛犬”を託されてしまう。存在しない存在であることを旨とするD機関員にとって、現実の存在である“幼女”と“愛犬”を託されるということは大変なことである。今後の展開が気になる。なお、本編では、欧州での第二次世界大戦が熾烈さを増しつつも、日米開戦はまだでアメリカも参戦していないという微妙な状況下で、大西洋航路と参戦国間の交流が途絶えている中で唯一残った交流路である太平洋航路の微妙な状況が描かれている点が興味深い。
 さて、この『ジョーカー・ゲーム』(2011)でスタートした短編集は、『ダブル・ジョーカー』(2014)で終わったと思っていたのだが、どうも好評につき [ジョーカーゲームシリーズ]として継続されるようである。既に4作目である『ラスト・ワルツ』(2015年1月、角川書店)が発刊されている。なお、ウィキペディアでは、本シリーズを「D機関シリーズ」と称しているので私もそれに倣うことにする。

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紙の本

すべてがFになる The perfect insider

またも一気読みに近い面白さでした。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

またも一気読みに近い面白さでした。真賀田四季博士と西之園萌絵との不思議な緊張した面会場面の後、犀川博士と萌絵との奇妙なコンビのやりとりを経て、一気に不穏な殺人事件へ導入。あとは密室殺人事件を中心に謎解きだが、謎解き過程を科学的・哲学的議論でオブラートに包んで読者の推理する楽しみを最後まで残している。確かに、謎解きのヒントは各所にちりばめられてはいるのだが、決定的なヒントが見つからない。萌絵がかなり良い線までの謎解きを細目に出していくのに対して、主役の犀川博士は最後まで殆ど自分の推理を明かさないやり方はちょっと狡い気もするが、読者の推理する楽しみを最後まで残すという意味では仕方ないのかな。そして、最後で一気に謎が解き明かされるのだが、674:『笑わない数学者[3]』同様、真犯人がどうやら消えてしまうという謎めいた終わり方である。
<以下、蛇足>本作品の初出は1996年というから私がWin95を導入して、インターネットを始めた時期である。よって、PCに対してWS(ワークステーション)という言葉?機械?(笑)が出て来りして時代を感じさせる。その当時、VR(バーチャルリアリティ)は20年位先の技術として考えられていたが、天才科学者にとっては既に基本構想は描かれていたのであろう。本作品では、極めてリアルにVR装置が登場し、活用されているのである。先見の明に感服。

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紙の本

フォックス・ストーン

紙の本フォックス・ストーン

2017/05/24 09:04

空間的広がりの大きさ、複雑に構成された壮大な謎に満ちた物語に魅了されました。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

空間的広がりの大きさ、複雑に構成された壮大な謎に満ちた物語に魅了されました。日本からアメリカへ、そして主要な舞台であるアフリカへと収斂していく物語は驚くべき謎に満ちている。我々が知る機会の少ないアフリカの紛争事情は実に興味深い。アフリカという地域事情を背景とする壮大な陰謀は緻密に計算された構成で、その謎解きも魅力である。初めの内は過去の人として語られるボブ・ショーニングが、物語が進むにつれて重要なピースとなりはじめ、最後にボブ・ショーニング=“ケープフォックス”=オコネル刑事という複数の存在としてパズルの最終ピースになる結末は見事である。ただ、「アフリカ人のためのアフリカ人による理想国家を作る」というボブ・ショーニングの一見正しい理想と、その実現のための方法論との齟齬が何時、何処から狂い始めたのかが気になりました。山岳関係を得意とすると誤解していた笹本稜平の初期の探偵?スパイ?陰謀活劇?として期待した作品でしたが、期待以上の面白さでした。

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紙の本

絶叫

紙の本絶叫

2017/05/24 08:52

壮絶の一言。

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

壮絶の一言。保険金連続殺人事件だが、そこに至る家庭の不幸、一度捕えられたら抜け出せない闇の社会の描写に圧倒される。主人公:鈴木陽子は憎むべき存在の筈なのに、何故か憎めない。陽子は、結局、完全犯罪を達成して別人として生まれ変わる。逃れられない宿命に囚われた一人の人間が社会の闇から抜け出して再生する、成功物語として読める為だろうか。犯罪は悪いことだと思いつつ、つい陽子に拍手したくなる結末でした。

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紙の本

壬生義士伝 上

紙の本壬生義士伝 上

2016/11/22 11:02

感動でした。吉村貫一郎の一代記であると同時に新選組・戊辰戦争の歴史的記録でもある。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

感動でした。吉村貫一郎の一代記であると同時に新選組・戊辰戦争の歴史的記録でもある。
 物語は、南部藩を脱藩し新選組隊士として死んだ吉村貫一郎の過去を掘り起こすための取材形式で語られていく。取材対象者は当然新選組の生き残りを始めとする人々であり、大物では齋藤一(映画では佐藤浩一)が取材対象として登場する。登場人物は実在の人物ばかりであり、それが生存者の聞き書きという形で語られるため、歴史的事実であるかのように思えてくる。あまりに生々しいので、因みに後に東京府知事になる紀州藩士・三浦 安(1829年9月15日(文政12年8月18日)~1910(明治43)年12月11日)なる人物を検索してみたら、何と実在の人物であった。こうなるとその他の人物像に関しても非常に緻密な取材・資料確認をおこなってまとめ上げた作品のようである。武士の時代(徳川幕府体制)が終わったことを最も強く感じていたにも拘わらず、その体制の中でしか生きられなかったがために新選組に身を投じざるを得なかった吉村貫一郎の義と忠を貫き通した生き方に圧倒される。吉村貫一郎が鳥羽伏見の戦いで傷だらけになって京都の南部藩蔵屋敷に辿り着いたところから始まり、そこから時間をさかのぼって彼の生い立ち、脱藩、そして新選組での生き方が物語の大半を占めるが、吉村貫一郎が切腹して果てたあとは親友であった家老・大野次郎右衛門がどのような気持ちで彼に切腹を強いたかという謎解きと、吉村の家族と大野の息子との話が続く。

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紙の本

氷雪の殺人 新装版

紙の本氷雪の殺人 新装版

2019/08/26 22:20

本シリーズの特色である旅情ミステリーの枠を超えた重厚・骨太な作品でした。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本シリーズの特色である旅情ミステリーの枠を超えた重厚・骨太な作品でした。一見、自殺か事故死にしか思えない一民間人の死亡事故が、ひょんなことから徐々に大きな事件との関わりを伺わせる事態に発展していくのは常套手段としても、それを国際的な陰謀などと無制限に拡大せず、適度な範囲で巧みに処理してるのは好感が持てる。とは言え、自衛隊や国防のあり方に深く関わる終盤の展開は、単なるミステリー小説の枠を超えた重みを持っている。旅情ミステリーの場合、大概は人情話、怨恨関係などに収斂するのが多いが、本作の場合はそんな小さな枠を完全に超えた問題意識に立っていると言えよう。作者なりの現在の日本の置かれた立場、戦後日本の内部に蓄積された矛盾に対する懸念が作品に反映されたと思える。

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紙の本

闇に香る噓

紙の本闇に香る噓

2019/03/23 22:51

緻密な構成に裏打ちされた謎が謎を呼ぶ展開に脱帽です。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

緻密な構成に裏打ちされた謎が謎を呼ぶ展開に脱帽です。人格自体を特定することが困難な満州残留孤児(引き揚げ者も含む)を対象とし、更に謎を解明すべき主人公を視覚障害者とすることで、謎を更に根深いものとして描くことに成功している。周囲で起きている事象を的確に認識・判断することの困難さから、主人公がどんどん疑心暗鬼に陥っていく心理描写も凄い。そして全編を通じて貫かれる国を超え、家族愛すら超越した人間愛に感動でした。中国側からみたら何を日本を美化してるんだと言われそうですがね。こんな人達がもう少し沢山いれば戦争なんて亡くなるだろうになあ。いや、そんなことより単なる推理小説としても実に素晴らしい出来でした。流石、第60回(2014年)江戸川乱歩賞受賞です。

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紙の本

あきない世傳金と銀 5 転流篇

紙の本あきない世傳金と銀 5 転流篇

2018/06/21 09:31

冒頭から、実に息の合った幸(人形遣い)と智蔵(操り人形)の活躍で実に気持ちよく読み進めれた。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

冒頭から、実に息の合った幸(人形遣い)と智蔵(操り人形)の活躍で実に気持ちよく読み進めれた。文句無しの5点でした。とかく非情になりがちな商いの世界に、しっかりと人情を据え、それによって更に商いの幅を広げていく成功物語が実に心地良い。そこには当然、逆の立場で立ちはだかって来る強欲人間が登場するが、それに対してすら同じレベルで対応するのではなく、一段上のレベルでの対応も小気味よい。さて、本店・支店ともに盤石となりいよいよ江戸進出が本題かと思いきや、何と智蔵(操り人形)が倒れる。今、倒れられると、「女名前禁止」の大阪では先行きが危うくなる。多分、智蔵が死に至ることは無いとは思うのだが、何とも次巻が気になるラストでした。

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紙の本

詩的私的ジャック

紙の本詩的私的ジャック

2017/12/15 12:04

これまでの重厚な感じに比べると、かなり軽い感じの流れである。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

今回は、早い段階で密室殺人が連続するが、密室絡繰りのかなりの部分は萌絵によって解明され、むしろ何故密室にする見せ掛ける必要があったという問いを中心に展開される。これまでの重厚な感じに比べると、かなり軽い感じの流れである。更に、萌絵が具体的に犀川への好意を意識し始め、それが別のミステリーに見えて来る。そして、第3の殺人で一気に結末に流れ込んでいく、これまでとはちょっと違う流れに感じた。とは言え、この後半以降は、何が出てくるのかという期待感で一気読みでした。作風の変化というより、犀川と萌絵との関係変化に視点を当てた展開だったのかな。フフフ。

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紙の本

首都崩壊

紙の本首都崩壊

2017/12/11 11:04

東京大地震による首都崩壊と単純に考えていたが、主題は一歩進んで「首都移転問題」に道州制まで絡めた日本再構築の話でした。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

東京大地震による首都崩壊と単純に考えていたが、主題は一歩進んで「首都移転問題」に道州制まで絡めた日本再構築の話でした。その後押し材料として、東京直下型大地震を用いたのはちょっと気に入らないけど、必要性は認識しつつも、各人各様の思惑で遅々として進まない物事を一歩進めてみる為の引き金としては仕方ないでしょうね。更に、世界支配の野望を秘めて暗躍を続ける中国の動きを適切に絡め、今や車の両輪となっているアメリカと日本の関係を描いて見せた、ある意味で日本再生小説とでも言えようか。

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紙の本

約束の海

紙の本約束の海

2017/12/11 10:52

現実を冷徹に見据えた社会派作家として気になっていた著者の未完遺作。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

現実を冷徹に見据えた社会派作家として気になっていた著者の未完遺作。1988(昭63)年7月23日の“なだしお事件”が題材ということで、自衛隊の存在を問う話かなと思ったが、著者が残した全3部からなる「構想メモ」を見て、もっと深い内容だと知った。それは、著者の執筆にあたって」(2013年7月)に明確に記載されている、「戦争をしないための軍隊」(378)という思想である。89歳という高齢と、疼痛症(筋筋膜性疼痛症候群)という難病を抱えながら、実に難しい問題に正面から立ち向かった著者の熱意に頭が下がります。是非、完結した作品を見たかった反面、この問題は日本国民全てが考えるべき問題であり、巻末に収録された<『約束の海』、その後;P-383~P-411>という、山崎プロジェクト編集室&秘書:野上孝子氏などがまとめた、今後の構想予定から自分なりに考えてみる方が良いのかも。

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紙の本

天空への回廊

紙の本天空への回廊

2017/12/11 10:43

宇宙に最も近いエベレストの頂上付近を舞台に、宇宙を飛ぶ衛星発射型核兵器によるテロとの戦いという途轍もないスケールにまず脱帽。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

宇宙に最も近いエベレストの頂上付近を舞台に、宇宙を飛ぶ衛星発射型核兵器によるテロとの戦いという途轍もないスケールにまず脱帽。世界の屋根・エベレストを舞台にした手に汗握る登山場面の迫力。冒頭からエベレストの8000m付近にミサイルのような火の玉が落下するという、直球勝負の早い展開。怪しい人間は沢山いるが、なかなか姿を現さない黒幕を巡る謎解き。どれをとっても一級品の力作でした。

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紙の本

ロボット・イン・ザ・ガーデン

紙の本ロボット・イン・ザ・ガーデン

2017/09/25 08:12

ポンコツロボット“タング”と無気力駄目男“ベン”の珍道中から思わぬ結末に発展していく面白さ。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ポンコツロボット“タング”と無気力駄目男“ベン”の珍道中から思わぬ結末に発展していく面白さ。前半は少々冗長でイライラしたが、後半は一気読みでした。構成は大きく3つに分けられる。ポンコツロボット“タング”の登場で既にきしんでた家庭が崩壊、離婚して珍道中に出た導入部。徐々に、タングの謎が明かされて家族として生きることを決意する中間部。そして、旅を通じて成長したベンが、人生再生の手掛かりを得ていく結末部である。子供の成長と、それに伴う親の成長の物語とも重なって見えて来る。前半部は4点かなと思ったが、読み通して5点とした。

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紙の本

ほっかいどう山楽紀行

紙の本ほっかいどう山楽紀行

2017/04/25 23:37

見るだけでも楽しめる山岳エッセー集の傑作。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

見るだけでも楽しめる山岳エッセー集の傑作。北海道新聞連載エッセーに加筆、新聞未掲載の4編を追加して計139山を紹介。写真も追加しおまけ情報やコラムもある充実の1冊となった。登山愛好家は勿論、登山しない人でも写真を見てエッセーを読むことで、登山の楽しみを味わえる満足間違いなしの本である。特に、見開きの山岳写真は新聞連載の時には味わえなかった迫力である。結果として、新聞連載時の制約が外れたことで、趣を異にする素晴らしい本となっており、連載を読まれた人にとっても新鮮な魅力を味わえる。
 さて、「少年の心で山へ」をモットーにする著者は、日本300名山も踏破しており、現在も道内650山以上を精力的に登り続けている。そうした記録は、著者のWebサイト「一人歩きの北海道山紀行」(http://sakag.web.fc2.com/)に掲載されており、1998年開設以来、現在までに305万以上ものアクセス数を誇る、日本でも有数の人気サイトとなっている。サイトを覗いてみると、「四国遍路」「熊野古道」「中山道」「大峰奥駈道」などの踏破記録もあり、年齢を感じさせない精力的な活動に中高年者も力を貰えます。「少年の心で山へ」をモットーにする著者のこれからの活躍にも注目です。蛇足乍ら、多くの人が手に取り易いよう、苦労して低価格に抑えた努力にも頭が下がります。

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