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紙の本

ドストエフスキー論の、小説論の傑作

2003/12/23 11:58

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る

ロシアの文芸理論家ミハイル・バフチンの代表作にして、ドストエフスキー論の白眉とされる傑作文芸評論。
ここで論じられているのは、ドストエフスキーの「形式」であり「方法」である。ために、ドストエフスキー作品のなかでの登場人物たちの思想、言動の「内容」は、とりあえず等閑に付される。

「ごく最近まで、ドストエフスキーに関する批評は、彼の主人公たちの声に対するあまりにも直接的なイデオロギー上の反応であったために、その新しい小説構造の芸術的な特性を客観的に捉えることができなかった」と従来の解釈を批判し、個々の登場人物との哲学論議にふける、「作品を哲学的モノローグとして扱う」やり方を否定する。そこでは、本来分裂したものとして存在する複数の意識を、無理に体系的な統一された思想として把握しようとするために、それが小説として構成された一個の芸術である、という点がないがしろにされてきたのだ、とバフチンは見る。(小林秀雄の「悪霊」論が途絶したのは、スタヴローギンのみを注視してしまい、「悪霊」という小説の構造が忘れられたからだ、と後藤明生が言っているのも、同じ事態といえる)
複数の意識をモノローグ的に統一せず、分裂したままに作品として構築された小説を、バフチンは「ポリフォニー」小説と呼ぶのである。そして、ドストエフスキーが現在までにおける、ポリフォニー小説を書いた唯一の作者であるとする。もちろん、これまでにも数多ある作品のなかで、ポリフォニー「的」小説はあり、そのジャンル的伝統の上でドストエフスキーの作品が書かれたのは間違いないのだが、そのうえで、ドストエフスキーの作品を、唯一の「ポリフォニー」小説だと規定するのである。

カーニバルやポリフォニーといった興味深い概念もそうだが、もうひとつこの本の軸としては「対話」も決して軽視できないだろうと思う。そもそも「ポリフォニー」なる概念は、対話の積み重ねのなかから生まれてくるものではないだろうか。
ドストエフスキーの登場人物たちが、モノローグであっても非常に対話的な問答、内省をしていることはその小説を一読すれば明らかである。本書でも分析されているように「貧しき人々」の書簡体は、対話的言語の見やすい例だが、「地下室の手記」でも徹底して対話的な文章が綴られている。それは、相手の反応を考慮した思考であり、誰かに語りかけるような文章なのである。ドストエフスキー特有の「読みやすさ」やスピード感はここから来ていると思う。
対話的関係というのはドストエフスキーの小説の根本的構造であり、そこでは作者にとっての登場人物そのものが、作者が生み出した物言わぬ「客体」なのではなく、積極的に作者と対話を行う存在でもあると分析される。

「存在すると言うこと—それは対話的に接触交流すると言うことなのだ」528頁

とあるように、存在の対話的な関係というものが、ドストエフスキー、ひいてはバフチンの世界観であろう(散文における「言語的多様性(ラズノレーチェ)」の根底にあるのはこの考えなのだろう)。

では、何故対話的にならなければならないか? それは自己自身の内で分裂を抱えているからである。後半において「分身」(現行では「二重人格」岩波文庫)の分析でも明らかにしているように、自己自身の内での軋轢が、内省での劇的な内的対話を生み出している。揺れ動く両端のあいだでのダイナミズムが、対話の原動力となっているのである。分裂ということ、対話ということ、それを小説的に描く方法としての「ポリフォニー」。ここでは「カーニバル」には触れなかったが、四章での小説ジャンルを総ざらいする壮大な分析はかなり面白い。そのカーニバル的世界観もまた、対話、ポリフォニーの重要な構成要素である。

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