紙の本
人生の果て
2020/12/26 15:22
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投稿者:すぎやん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私自身も一歩間違えれば、同じような状況になったかも知れないと思いながら読んだので、大変身につまされました。
20代の子供がいますが、上手くいってません。
東日本大震災と家族について見直すことが出来ました。
紙の本
空き缶拾いから小銭集めまで
2020/11/22 14:20
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
上野公園でのサバイバル生活が、リアルに描かれています。行政による山狩りや不良少年たちによるテント村への襲撃など、異質な存在を排除してしまう風潮にも考えさせられました。
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自殺した人の悲しみは肉体が滅びても消えることなくさまよっているんだろうか。
上野のホームレスの悲しみ、福島の悲しみ、日本の悲しみに、柳美里はそっと寄り添う。
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歯車が噛み合わなくなった人の人生は、コロコロと転落し、じめじめと雨の似合う場所へ行き着く。ホームレス。容姿は決して人間らしくはないかもしれないが、心は最も人間らしくあるのではないだろうか。その心は魂になってなおも世の中を見続けているのかもしれない。
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東京オリンピックの前年、男は出稼ぎのため、上野駅に降り立った・・・。
生者と死者が共存する土地・上野公園で彷徨う一人の男の魂を通して、炙り出される今の日本のーーある視点からのーーすがた。
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ホームレスが主人公となる本を最近読んだなあと島田雅彦著「ニッチを探して」を思い出しつつ読みました。ニッチが生活のノウハウに焦点をあてているとしたら、上野は人物の生い立ち(ホームレス以前)に焦点があたっているように思いました。いずれにしても、ホームレス暮らしの細部の描写が巧みであったことが2作に共通しており、取材力を感じました。
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研ぎ澄まされた詩的な感覚表現はおもしろい。
皇室に生きる人とホームレスに至る男との差異。
ありふれた情景かもしれないし、わが身はそのどちらに比重している人生を歩んでいるのかを考えさせられる。
不運であれば、きっとわが身にも降りかかるであろうことだ。大震災はもちろん、過去のオリンピック、未来のオリンピックと盛りだくさんすぎはしないか・・・とは思う。
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東北から出稼ぎに来たりして、その後ホームレスになった運の悪い主人公の物語。天皇陛下の御幸との対比が物悲しい。
カバー写真、高崎紗弥香さんの作品がいい。
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柳美里さんの作品を読むのは初めて。この作品は実際に上野界隈を歩き、数多く取材を重ねて執筆されたものなのだろう。その努力はとても伝わってくるし内容も非常に興味深い。しかし、文章に少し癖?があるようで、個人的に若干読み難さも感じた。希望としては、映画化など映像にして観てみたい作品。
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参照:
http://hokugen.hateblo.jp/entry/2014/06/27/170754
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柳美里さんの本は初めて。
詩のような文体で、わりとスラスラ読み進めました。
ホームレスであっても、一人一人に人生がある。
上野公園は時々行く場所。次に訪れる時、私は何を感じながら歩くのだろう。
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読みながら、切なさや、なんとも言えない哀しみや怒りやもどかしさや共感や恐怖や…色々な感情が湧いてきた。
これから、ホームレスの人を見たり上野公園に行ったりする度に、この作品を思い出す気がする。
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上野公園ときけば、パンダのいる上野動物園やお花見を思い起こす。
この作品では、東京における上野の歴史もふんだんに書かれ、ちょっとした歴史書のようだが、平和の象徴のような上野が全てではなかった。
上野公園にはたくさんのホームレスがいる。
公園の片隅に、段ボールと青いレジャーシートで囲った家をつくり、炊き出しやアルミ缶拾いの収入などで、その日その日を生きていた。主人公は、その公園で5年以上も暮らしているホームレスの男性だった。彼は東京オリンピックの前年、福島県から出稼ぎのために上野へ出て来た。東京オリンピックのおかげで建造物はふえ、仕事は次から次へとまわってきた。
福島の故郷では家族が食べていけないほど生活が苦しいため、男性は自分の家族とほとんど一緒にいず、働き通しに働いた。
いつしか月日が流れ、男性の二十一歳の息子が病死した。
後を追うように、働き者の妻も死亡。
せっかく故郷で生活をしていた男性は捨て鉢な気持ちになって、再び上野駅にまいもどり、公園で寝泊まりするホームレスになる。
作者が構想をねって12年。
上野公園の取材に何度もいき、実際にホームレスにも取材をした。何の希望も見出せず、思い出の中で生きている男性の胸の内を代弁するかのような文章は、取材したホームレスの生の声なのだろう。
東京オリンピックから半世紀。
第一回の東京オリンピック景気の影に、
ホームレスとなった男性のせつない出稼ぎ人生があったとは・・・。
近い将来にまたもやオリンピックがやってくる。
今度は日本はどんな経済成長を遂げるのだろうか。
東北地方からの玄関口「上野」は
そのときどんな変貌をしているのだろう。
生きることに意味を見いだせないホームレスが
少しでも少なくなっていることを願ってやまない。
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世の中からこぼれ落ちてしまった人達の声。
ただ同情的だったり、世間に刃を向ける感じだったりするのではなく、そこに生きる人々の姿を誠実に描いていると感じた。
きっと好き嫌いが分かれる作家さんだと思うが、どんな人にもいつかどこかで手に取って欲しい本だ。
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全米図書賞の最終候補作品になったということで、知ることが出来て読んだのですが、この機会に感謝しております。
人生において、どんなに辛いと思っても、運命という言葉は信じたくないと、私は思っているのですが、この物語のあまりのやるせなさには、そう思ってしまいました。運が無かったと言いたくもなるよと。
現実にホームレスの方が存在するのは確かだし、その裏側に潜む過去を想像したことなど、正直、私はありませんでした。でも、こういう人生もあるのだということを、終始、終わることのないような雨の描写も相まって、息が詰まるような思いで、一気読みしました。
やっぱり、戦争も大災害も忘れちゃいけないよ。これだけは、今を生きている私が本当に書きたかったこと。