紙の本
愛情の物語
2014/11/19 00:39
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投稿者:ねこさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーかと思い読み進めたけどミステリーではないと思う。ミステリーだとすると物足りない。家族の話、人間関係の話として読むとおもしろいのではと思う。
弟の気持ちや行動がよくわからない。期待はそれほど重荷だったんだろうか。
ワイヤーを切れなかった弟。子供のまま大人になった弟。
ワイヤーを切った兄。悩んではいても強い人なんだと思う。
私も高校生の時ワイヤーを切ろうとしたけど、でも私は普通のハサミを使ったのでワイヤーはかたくて切れなかった。
兄はなぜ多くの記憶違いをしていたんだろう?心が壊れていたから?
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2014.10.6 読了
★一つ
2020/04/11
とても良かった。
父息子の関係の微妙な距離が変化していく。
息子の妻、久美子がいることで、話がどんどん上手く進んでいく。
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【信じるよ、僕は。お前が母さんを殺すわけがない】大企業エリートの父と良妻賢母の母、溺愛された弟。完璧に見える家庭でひとり除けものの兄――しかし母親は殺され、弟が逮捕される。
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悲しいけど、イイ話。
主人公が自分の記憶を改善して覚えていたのが
おどろいたというか、自分でも「こうだった」と思う
記憶は自分の思い込みではないのかと、思わされた。。
とりあえず産まれてくる子供に幸あれ・・・。
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母親殺しの容疑で逮捕された弟、両親に愛されていないと殻に閉じこもる兄、ひたすら次男の無実を信じる父親をめぐる、家族再生の物語。家族が家族として成立する事の難しさがよく描かれています。我が「家族」は果たして家族として成立しているのかしらん?
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最後まで読んで思わず確認してしまった。「これで終わり?」と。主人公の弟が本当に殺人を犯したのかどうかをめぐるミステリーだと思って読んでいたので、そこがはっきりしないまま、「続く」という感じで終わっていて驚いたのだ。
しかし、しばらくじっくり反芻してみると、これはミステリーではなく、家族、特に親子の気持ちのすれ違いを描いた小説なのだ、ということがわかってきた。
親と子は同じ時間を過ごしながら、まったく違った記憶を持つ。そして、小さい頃の記憶はなかなか修正されないものなのだ。
主人公の父親にとてもよく似た人を知っている。自分の思い込みだけが正しく、他人はすべて自分の言うとおりに動くものだと何の疑いもなく信じ込んでいるような人。子どもについても、自分の気に入ったところしか愛せない。はやりの言葉で言えば「毒親」というやつだ。
これが母と娘の物語ではなく、父と息子、というのは珍しいかもしれない。息子だと、あんなふうに諦めの人になってしまうんだろうなあ。
主人公の妻がやけに完全体である。こんなよくできた人がいるんだろうか、と思ってしまうくらい、完璧な対応をする。彼女のストレートな言葉で父親の気持ちに変化が起きるあたりは、小説ならではの展開だなあと思う。あんなふうにストレートに、嫌味なく、後腐れなく意見するには、いったいどんなふうに育ってくればいいんだろう。
結局、弟は、親の歪んだ感覚の犠牲になったのだと思う。彼は母を愛していたからこそ、殺して捨ててしまったのだろうし、彼女も「愛していた」と思うからこそ殺してしまったんじゃなかろうか。
愛しているから、いい子だから「殺さない」という理屈は成り立たないよ、と思いながら読んでいた。
最後に、父と息子がほんのすこし歩み寄った感じがしたのがよかったかな。
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母・葉山直子の殺害容疑で警察が逮捕したのは弟・秀弘だった。あれだけ仲が良く、自分とは違って両親に溺愛されて期待を一身に受けて育った弟がそんなことをするはずがない。確かに和弘も思ったが、父・敬一の憤りが尋常なものではなかった。弁護士をつけて無罪をはらすと息巻いていた父だったが、弟にはさらに恋人の清水七の殺害容疑もかけられてしまう。そして和弘は、本当は弟が殺したのかもしれないという疑念が確信に変わっていくのを止められなかった。
家族として、弟を信じたいという気持ちが無いわけではないが、弁護士に言われて弟の無実の証拠を集めていく中で、早々に弟への黒い印象を強めてしまう主人公。しかしそれとは逆に、弟を理屈なしに信じ続けるが故に、出てくる証言にことごとくケチをつけてフタをする父親。今まで疎遠だった父親と接することも多くなり、気持ちの整理をつけたはずの、”愛される弟と愛されない自分”。本当に弟が犯人なのか、裁判はどうなるのかというよりも、弟が逮捕されたことによって残った兄と父のぶつかりや兄の苦悩が丁寧に描かれており、そっちがメイン。
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めんどくさい父親だな、和弘のやることなすこと、いちいち文句ばかりで・・・確かに「大変なお父さんですね」って私も同情したくなる。弟の無実を信じるあまり、少々冷静さに欠けてしまっている父。そんな父を少し距離を取りながら冷ややかな目で見る和弘。その温度差がハッキリしていて興味深かった。でも盲目的に信じようとする父の姿は、やはり親だなと思う。和弘もその部分は子供が生まれたら理解出来るようになると思うけど。
弟はどう思っていたのだろう、家族のことを。
家族なんて一緒に暮らしていたって知らないことだらけ。家族には見せない一面の方が多いんじゃない?。それに家族だと言っても、お互いの相性もあるから、うまくいくとは限らない。でもそこを越えて、やっぱり家族だし、何とかバランスをとって、うまくやっていけたらと思う。
盆栽の話題がいいあんばい。結構奥深い世界だと知った。
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前半では、読んでいてキリキリと胸が痛んで、涙が出て、一体どういう終わり方をするんだろうと不安でした。
後半、主人公が父親に向けて自分の意見をぶつけたところで 物語全体を覆っていた表皮がはじけて、物語の本質、登場人物たちの本質が現れたのを感じました。そのあと流れるのは、前半部分とは違った涙でした。
自分自身の経験や、他者の話を聞いた経験上、どの家庭にも その家庭なりの素敵なところや、どうしようもない 目も当てられないようなところがあるとわたしは思っています。そしてそのどちらも、当人達にさえ真に理解し共有することは難しいのです。だからこそ、その家庭の中で 理解されたくて理解したくて、そして愛したいし愛されたいと思ってしまうのだと思います。
配偶者は選べても、生まれてくる家や親や兄弟、子供を選ぶことはできません。その やり切れなさとか どうしようもなさこそが、家庭(家族)であると思います。そしてそれは、例えばわたしが生まれ育った家庭で素直に育ったからと言って、わたしが新たに作るであろう家庭で100%その経験が生かせるとは限らないのです。正解すらないのですから。この世に二つとして同じ家庭はないのです。
ただ、少し面白いのは、家庭というものは作り出そうと思えばそう出来るということ。どんなに生まれ育った家庭に辟易していても、色々な条件さえ揃えば 自分で新しい家庭を築くことができる。それを 素晴らしいことだと思うか、恐ろしいことだと思うか…。
わたしは、ちょっと怖いと思うところもあるけど…せっかくなら 今の恋人と ああでもないこうでもないって言いながら 泣いたり笑ったりしながら、いびつでもいいから新しい家庭を作っていきたいなって思います。
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家族といっても本当のところなんてわからないものなんだ。幸いわが家は、特に問題のある家庭ではなかったから、そのような苦労はしてきていないけれど。
人には色々な面があって当然。自分の知っている面だけがすべてというわけではないし。
この立場で弟を信じられるだろうか?
本当のことを話してくれ、それを受け入れるから……かな。
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現実はもっと重いのではないか?
母親を殺害した弟。
冤罪を訴え、息子を信じる父と冷静に見守る兄。
無罪を信じるのも、罪を受け止めるのも家族の役目。
現実の方が、この物語よりも、もっと苦しく、もっと辛く、もっと重い話だと思う。
量刑も、しっくりこない。
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2時間ドラマや映画、ミステリなどで「犯人と目された人の無罪を勝ち取る」というジャンルが有るように思う。
たいていの場合、内容ともかくとして物語の構成的に「ああきっとこの人無罪なんだろうなぁ」と気づいてしまい、なんとなく謎解き箇所が「はいはい無実無実」と流して読んでしまっているときがある。
この物語はそんな風に流して読めない。
だれもが生まれてきて感じたことのある不公平さ感を、嫌みなくらいたっぷりと味合わせてくれる(褒め言葉です)。
読みやすく平易な言葉でするりと頭に入ってくる物語。ページをめくる手が止められない。いやな予感を持ちつつ、じりじりと気は焦り続きが気になってしかたがない。
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ズッシリと良かった。
家族が被害者で加害者という裁判で、父と息子の心のやり取りがとてもいい。
信じることも大切だが、何があったとしても受けとめる、そんな親としての在り方、家族としての在り方をしみじみと味わった。
どんなに望んでも、人の心を無理やり自分に向けられはしない 、の一節が心に残る。
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桂望実作品初読み。
小学低学年で親から面と向かって「要らない子供」だと言われて育った私には兄さんの気持ちがものすごく良く分かる。
信頼関係築くのも苦手だし、自己主張も苦手だし。自分が何も言わなくて我慢すればなんとかなることなら我慢する癖がついたなあ。
久美子さんの存在がお兄さんには大きいだろう。
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母が殺された。
その悲しみの葬儀の席で逮捕連行されたのは、弟だった。
大企業勤務のエリートサラリーマンの父。
良妻賢母を絵にかいたような料理上手の母。
幼いころから両親の期待を一身に背負い、溺愛されてきた弟。
そして彼らのなかで、ひとり除けものであるかのように成長した主人公、葉山和弘。
遺棄死体となって発見された母親の被疑者が弟であったことで、父親は半狂乱になって弟の無実を証明しようとするのだが――。