紙の本
行列をつくっている間に読み終えました!
2004/02/22 23:59
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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代小説というと、(勝手なイメージだが)どうしても主人公は武士で、テーマは天下取りへの戦いやらお家騒動、というイメージがある。だが、どの時代にも一般市民というものはいるはずで、しかも彼らが大半を占める。
この本の主人公は、こうした一般市民が主人公だ。時代劇では、ほんの少ししか登場することがない、長屋に住む人々である。
彼らは一生懸命毎日を生きていて、ささいなことに怒ったり、泣いたりする。時代は違っても、そこはやはり同じ人間だから、秘め事だって持っている。『お墓の下まで』はそんな話だ。少し生意気な子供・小一郎との話が漫才のようで面白い『かどわかし』。途中までは笑えたが、物語の終盤では、本当にかどわかしに遭い、ハラハラさせられる。また、個人的に好きなのは、タイトルにもなっている『堪忍箱』。決して中を見てはいけないという箱。ダメと言われると見たくなってしまう不思議な人間の心理や、箱に振り回されてしまう周囲の人々の心理を巧みに描いている。
著者宮部みゆきは、『理由』や『火車』などの社会派小説を手がけている一方で、江戸の市井の人々の日常を綴る時代小説を手がける。
東京は深川で四代続く下町っ子として生まれ育ったことはあまりにも有名。深川は、地域の結びつきが強く、心豊かな町である。この町で培った庶民的感覚がとても生かされている作品だと思う。
紙の本
テーマは「秘密」
2001/11/25 10:42
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投稿者:Lady - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部みゆきさんの時代物は、市井の人々の暮らしをいきいきと描く、魅力的な作品ばかりですが、特に切れ味がいいのは短編だと思います。この短編集では、さまざまな庶民の暮らしを、うまく切り取ってみせてくれていますが、一貫するテーマは、人それぞれが心にしまっている秘密、です。テーマが地味なだけに、いつものような派手な事件がおきるわけではありませんが、それだけに作者の力量が問われる、渋い物語といえます。何度でも読み返したい、そんな1冊です。
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実は宮部みゆきなんかも読んでるわけです。この人も江戸ものを結構書いてますよね。『魔術はささやく』かな?を読んだ事があるのですが、あまり好きになれなかったんですよね。ジャンルが違えば…と思ってこの本を読んでみたのだけれどやっぱり好きになれなかった。
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■説明
これは時代物の短編集である。霊験お七シリーズとは違ってこれには あきらかな物の怪は出てこない。
■感想
ただ、ゆっくりとした時間と、長屋などで暮らしている人たちそれぞれの心の動きが見事にかかれている。こういう本を読んでほろっとしたりじんわりとした気持ちになったりするのは、きっと私たちが似たような感覚を味わったことがあるからだろうか。
この人は本当に守備範囲が広い。さらっと平易に読めながらも いつのまにか すっと物語に引き込まれ「ああ、そうだったのか」と「これ」と言葉や形にできないものが残る。
先日行った江戸東京博物館では 長屋の様子などの模型があった。読みながら一層はっきりと長屋の様子が頭に思い浮かんだ。
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この箱を開いたら、不幸になる、という堪忍箱を巡る物語ほか、江戸に生きる庶民の悲しさ、切なさなどを描いた短編集です。
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時代劇的な短編ホラー集です。話としては「ギャー!」みたいな怖さじゃなくて、後から「ゾクゾクゾクッ」とくる怖さですね。うん。これぞジャパニーズ・ホラー。
宮部みゆきは「模倣犯」等のミステリー系の印象が強いかもしれませんが、こういう時代劇ホラーものもよく書いてますね。「本所深川ふしぎ草紙」とか。読んだことないけど。
短編でちょっとした合間にパパッと読めちゃうので、宮部みゆきは長すぎて読みにくい…、って人はまずここから挑戦してみると良いかもしれません。
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江戸時代の短編集。
怖いけど、おもしろくて悲しい。
時代ものは苦手やけど、これはすごい読みやすい。これを読んで宮部みゆきの江戸時代ものにはまった。
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時代小説短篇集。8作品あります。どれも面白かったです。堪能できました。『てんびんばかり』『砂村新田』が面白かったです。
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切なさと思わず「くすり」と笑ってしまうお話が、交互に詰まった短編集。どの話も、江戸の庶民の生活が垣間見えて楽しい。
「貧しいけれど、楽しい」という庶民の生活。ただ、お金があれば幸せになれるんじゃない、という現代へのメッセージでもあるのかもしれない。
特に最後の「砂村新田」のお春が、奉公に出て、「おあしがもらえる」喜びを語るシーンがいい。
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江戸の庶民の何気ない日常が描かれた短編集。ほろりと切なくて、くすりと微笑んだり、いろんな話が散りばめられていて楽しめました。私には、この時代の人々のように慎ましく生活する事は無理(^^ゞだけど、貧しく苦しい生活の中で幸せを見つける人々の姿にぐっときました。
愛する人々に(愛する人々だから)本当の事を言えない「お墓の下まで」が一番のお気に入り。
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宮部みゆきの時代物短編集。
でも言葉遣いは昔言葉じゃないから読みやすかった。
ただ、ちょっと終わり方に納得しない物語もあったかな〜。
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この本のどの話も好きなんですが、イチオシは本の題名にもなっている「堪忍袋」という話。
人間誰しも人に言えない辛いこと、隠したいことがあるモノだと思うんです。それを事態解決のために無理やり引き出してしまうのって、おそろしく無知の傲慢というか…。知らないだけに、どれだけ相手を傷つけてしまうか、そういう恐ろしさって常にあるわけで。それよりは、自分の好奇心を抑えて、そっとふたを閉じたままにしてあげる優しさってあると思う。そんなことを感じた作品です。
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普通に好きですね。好きという言葉を
普通で形容するって、正確にはおかしいですけど、
そうとしか言いようがないです。
傑作、ってわけじゃないけど読み易くて
面白い・・・って感じでしょうか。
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短編集。宮部作品にしては何となく肩透かし。どれも「いい話やねえ」と江戸流に思うこともなく過ぎた。強いてあげるとすれば、幼馴染で姉妹のように育った二人が、一人は大店に嫁に行って、一人は相変わらずの貧乏暮らししている中での心の葛藤を描く「てんびんばかり」か。
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時代物です。
人は皆心に闇を抱えながら、
毎日を暮らしてるのでしょうか。
ほろ苦い読後感の短編集。