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あり得ないはずの「最後のトリック」。 犯人は間違いなくこの本を読み切った読者に他ならない。
2022/12/15 09:43
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「犯人は読者である」
ミステリーの歴史の中で出し尽くされたアイディアのなかでも、これこそ究極のトリック。
だが、そんなことが可能なのだろうか?
一歩間違えば茶番になりかねない。
それは杞憂だった。
圧倒的な筆力とリアルさで、作家深水黎一郎の世界に引き込まれていくからだ。
散らかったように思える物語の要素が、中盤以降一つ一つ丁寧に回収されていく見事な展開。
「そう、私は取り引きがしたいのです。私のアイディアを貴殿に売りたいのです」
作家に手紙を送り続ける、香坂誠一の人生に気がつけば共感している自分がいる。
その運命を、宿命を何とかしてあげられられなかったのかと、我が友のように思いを馳せてしまう。
「やっぱりさ、確かに読者が犯人だよ、この小説」
そう言われて息子に手渡されたこの本。
たしかにその通りだ。
犯人は間違いなくこの本を読み切った読者に他ならない。
紙の本
あり得ないはずの「最後のトリック」。 犯人は間違いなくこの本を読み切った読者に他ならない。
2021/10/06 06:40
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「お父さん、これ面白いよ。読んでみる?」
次男坊から勧められて手に取った。
「犯人は読者である」
ミステリーの歴史の中で出し尽くされたアイディアのなかでも、これこそ究極のトリック。
だが、そんなことが可能なのだろうか?
一歩間違えば茶番になりかねない。
それは杞憂だった。
圧倒的な筆力とリアルさで、作家深水黎一郎の世界に引き込まれていくからだ。
散らかったように思える物語の要素が、中盤以降一つ一つ丁寧に回収されていく見事な展開。
「そう、私は取り引きがしたいのです。私のアイディアを貴殿に売りたいのです」
作家に手紙を送り続ける、香坂誠一の人生に気がつけば共感している自分がいる。
その運命を、宿命を何とかしてあげられられなかったのかと、我が友のように思いを馳せてしまう。
「やっぱりさ、確かに読者が犯人だよ、この小説」
そう言われて息子に手渡されたこの本。
たしかにその通りだ。
犯人は間違いなくこの本を読み切った読者に他ならない。
紙の本
「私たち読者が犯人!」という不可解で、恐るべきアイデアのミステリー小説です!
2020/05/18 09:05
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『ウルチモ・トルッコ』でメフィスト賞を受賞され、作家デビューされた深水黎一郎氏の傑作です。同書は、ミステリー小説なのですが、私たち読者が犯人という不思議な想定の物語なのです。内容は、主人公である小説家のもとに、ある男から取引をにおわす不思議な手紙が届きます。もちろん、主人公はこの手紙を疑うのですが、その手紙には、「命と引き換えにしても惜しくないほどのものだ」と切実に訴えてきます。果たして、主人公はどう行動するのでしょうか。続きは、ぜひ、同書をお読みください。また、最初に述べた「私たち読者が犯人」とはどういことなのでしょうか?すべては同書を読んでいただければわかります!
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著者のデビュー作。なかなか文庫にならないなぁと思っていたら、講談社ではなく河出書房から文庫化された。
リーダビリティが高く、先が非常に気になるミステリ。盲点を突いたとも言うべきトリックの発想が凄い。但し好き嫌いは別れそう。個人的に大技を使うミステリはぜひ応援したいw どうせ絵空事なら大嘘を強引にでもつき通して欲しいじゃないか。
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うーん??
まぁー落ち的にはそんなもんか!
ありがちっていえばありがちだし
今までなかったって言えばなかった気がする
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本の帯に読者全員が犯人。と書いてあったので興味津々で購入。確かに読者全員が関わる展開になる結末だが、やられた感が無いのは強引すぎる流れのせいか?斬新さも感じず終わった。
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ラストに驚愕!犯人はこの本の≪読者全員≫!アイディア料は2億円。スランプ中の作家に、謎の男が「命と引き換えにしても惜しくない」と切実に訴えた、ミステリー界究極のトリックとは!?
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オビに大書された「読者全員が犯人」というコピー、そして冒頭にて作家・深水黎一郎に送られてきた手紙の中で、差出人の香坂誠一が述べている「読者が犯人」というアイデアから、私たち読者が犯人という結末は推測できました。
ただ、そんな大風呂敷を広げておいて、納得できる形で物語を終えられるのか、そんなことを考えながらページをめくっていきました。
<以下はネタバレと言えなくもない内容を含みますのでご注意を>
先にも述べたように、本作は作家・深水黎一郎に対し、香坂誠一という男から送られてくる複数の手紙を中心に物語は進みます。
「読者が犯人」というアイデアを二億円で買ってほしいと要求する内容と、突然に突拍子もないことをいう自分のことをわかってもらうための自伝的な内容とがしたためられた手紙。
(後者は「覚書」と銘打たれています)
まず、この手紙自体がとても読み応えがあり、その不思議な雰囲気に呑まれるように、物語に引き込まれました。
やがて読み進めるにつれ、その手紙のことも含めてこの小説全体が、深水黎一郎が実際に体験していることをありのままに綴った新聞連載小説であることが判明します。
さらに、端々に挿入される超能力研究の教授とその実験のエピソード。
どこにどう連れて行かれるのか、足元のおぼつかない感じのまま、でも気になってどうしようもない気持ちにぐんぐんと引っ張られながら、一気に終盤まで持っていかれました。
結末にいたって、被害者が誰であるかが明かされ、読者が犯人であることの謎解きがおこなわれます。
個人的には、「なるほど、参りました。」と素直に認めることができる内容でした。
ただ、作者の本意ではないかも知れませんが、この小説の面白さはその力技それ自体よりも、やはり香坂誠一の手紙と覚書が持つ異様な迫力と考えます。
ラストも香坂誠一の手紙で締められるのですが、「ジキル博士とハイド氏」や「そして誰もいなくなった」を思い起こさせられ、余韻もバッチリでした。
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読んだ人すべてがその事件の犯人になるという、ミステリー界最期のトリック。
その成立をいかにさせるかということで、ワクワクしながら読んだ。
本当に可能なのか?
結末はどうなるんだ?
と、言いようのない気持ちで読むことができた。
結論から言うと、そいういう力を使ってしまっては、ダメなんじゃないの?という残念なものだった。
そういったことをトリックとして使えば、すべての完全犯罪が成立してしまうから。
ただ、この本のお陰で、ミステリーの成り立ちや変遷など知ることができたとともに、ミステリーもどん詰まりに来ているのかもと感じることができた。
このような時代に、また度肝を抜くミステリーが登場してこないかなという期待も持ちつつ。
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キャビアがイクラ…じゃなかった、いくら高級で世界の三大珍味のひとつに数えられるといっても、苦手な人は苦手なわけで、小説の好きな私にも、苦手なジャンルがあるとすれば、それは本格推理。
これはもう善し悪しの問題ではなく、苦手という以外ありません。
どうしてここまで物語が入り組んでいなければいけないのだろう、どうしてこんなに不自然でややこしいのだろう―という疑問が読んでいる間中、頭にあって離れないものですから、事件が解決した時にはカタルシスどころか疲労感に満たされるわけです。
耐性がないともいえます。
本書はそんな本格推理に属する小説。
なら、なんで買うねん!
と、大阪弁で突き込みを入れられそうです。
書店で本書のタイトルを見て強く心を惹かれ、8秒後には本書を携えてレジの前に立っていたのです。
「最後のトリック」とは何か?
それは「読者が犯人」という、ミステリー界最後の不可能トリックといわれるものです。
ね? これを聞いただけでワクワクしませんか?
そりゃもう貪るように読みましたよ。
ぎっくり腰なので自宅にいるときは横になっている以外ないのもあって、ほぼ1日で読了しました。
リーダビリティーも高くてすらすら読めるんですね。
で、ラストの大仕掛けが炸裂して大団円。
なるほど、これは「私が犯人」です。
本筋とはあまり関係ないですが、かなりの紙幅を割いているあの話は、この「読者が犯人」というトリックに奉仕しているのですね。
よくまあ、こんな緻密な構成を考えつくものだと脱帽します。
でも、それでも、やっぱりスッキリしないものがあるんです。
うーん、苦手意識は払拭されませんでした。
すみません、私が悪いんです。
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読書全員か犯人という究極のトリックへの挑戦が題材。そもそも難しいテーマだか、まあ、よくできてはいるかな。何か一つジャンプが必要で、そこかぁって感じが今一つと感じました。2014/11読了。
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読者=犯人。ということでこの作品を「読んでる読者」が犯人になるというお話ですが、不可能とも思えるこのトリックの仕組みを知りたくてつい購入。
最終的に「おお!まさに俺が犯人だ!」と思えば作者の勝ちで、そうでなければ読者が勝ちみたいな感じですね。
結末に関しては賛否両論ですが、途中経過が面白いし意欲的な作品は好きなので純粋に楽しめました。
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読者が真犯人?
騙されないようにと慎重に読んだ。ある意味楽しかった。登場人物にはあまり色がなく平坦だが、人数が少ないから楽に読める。
途中で、DATAをデーターと表記しているのを見て、少し嫌になる。データやろ。気にせず読んでいくとラスト近くからオカルトチックに振れてくる。
そして衝撃のエンディング。しょーもな。
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とても読みやすくて、面白かったです。
辛口評価の方が多いですが、個人的には、もうちょっと評価されて良いと思います。
とはいえ、実際、賛否きれいに分かれる作品だとも思います。
文章表現や漢字の使い分けにも、こだわりを持っているようです。主人公に宛てた(最終的には主人公宛ではありませんでしたが)覚書なる手紙は、内容こそ小学生・中学生時代の幼馴染みとの甘酸っぱい思い出・・と書けば青春・恋愛話にとられそうですが、そこは、どっちかというと、文学的表現で哲学的な印象を受けました。
また、「読者が犯人」なるトリックは・・、なるほど、私も、犯人の一人だと思いました。「屁理屈」だとか「ありえない」とか言ってしまうと、大抵の本が当てはまると思うので、個人的には、これについては許容範囲です。
何より、この本を評価したい一番の理由は、「つまり生まれも育ちも、言語も宗教もイデオロギーも全て異なる読者全員が、読み終わった時にみな一様に、-犯人は俺だ-と思うのでなければならないんだ」(以上本文抜粋)、これは、主人公の友人の有馬の言葉ですが、ここまで読んだ時、「深水さん(作者)・・こんなにハードル上げて大丈夫ですか?」と別の意味でハラハラしながら読み進めましたが、ラストは、この問題を全てクリアしてくれるトリックでした。
賛否分かれる内容ですが、個人的には、おススメしたい一冊です。
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最後のトリックってタイトルで、犯人は読者であるあなた、、、何て言われたら一度は読んでみて、どんな趣向を凝らしているのか気になるところですね。なるほど、考えたという印象はありますが、解説でもあったように読者である私自身が被害者に憎しみを持つことなく殺してしまった(ってことになるのかな)って言うところが大きな一つの課題ですね。私が殺したいと思うほどの気持ちで被害者を思い、その結果、読者である私が殺していたらすごいかもしれません。でも「最期のトリック」でもあったわけですね。よくできましたって感じですが、何がもう一歩足りなかったのだろう(憎しみだけだろうか?)