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<目次>
プロローグ
第1章 日常活動型からアンドロイドへ
第2章 遠隔操作型アンドロイドを創る
第3章 サロゲートの世界
第4章 アンドロイドになる
第5章 ジェミノイドに適応する
第6章 ジェミノイドに恋をする
第7章 実体化するもう一人の自分
第8章 人を超えるアンドロイド
第9章 人間がアンドロイドに近づく
第10章 持ち運べるジェミノイド
第11章 人間のミニマルデザイン「テレノイド」
第12章 存在感を持つミニマルなメディア「ハグビー」
<内容>
ロボット工学の第一人者。しかし、「アシモ」などの二足歩行型よりも見た目に人間に似せた「アンドロイド」にこだわっている。この本で著者は、「知りたいのは「人間とは何か」「自分とは何か」だ」と言っている。なぜそんなことがロボットからわかるかが、この本の骨子だと思う。
したがって、なかなか意味深な言葉が出てくる。たとえば、「自分のことは自分が一番知らない」「鏡に映る顔は自分の顔ではない(鏡像なので、左右反対の顔を見ている)」「見かけのアイデンティティ(アンドロイドを自分に似せて作るとして、何歳の顔が一番自分なのか)」など。
したがって、この本はロボットについて興味を持つ人よりも、心理学に興味を持つ人が読むべきものであろう。心理学的な統計的解析は一切されていないが、そうしたものよりも真実に近い分析がされているかもしれない…
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すんごいおもしろくて一気に読んでしまった。人体そのままを再現するのではなく、人が人を認識するための最少要素を抽出して「人」を再発明する試みという感じ。
見かけは全然違うけど「弱いロボット」とも似たことを考えておられるのかなと思いました。意外だけど、納得。
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すーーごく、おもしろかったー!!一気読み。
ロボット学(=ロボットを開発することで人間を理解することを目指している、という意味)研究者の石黒先生が、アンドロイド開発を通してご自身や関係者の方の経験を綴られた本。というわけで工学的だったりメカニック的な内容は無し。
『どうすれば「人」を創れるか』という題名だけどテーマは「人間とは何か?」で、でも「一人の人間には難しすぎる」テーマなので「私とは何か」について、研究や実験の中で先生が得た発見や気付きを書いたエッセイという感じで、おもしろくてわくわくして、すごく読みやすい。
日本科学未来館のコドモロイド・オトナロイド・テレノイドの展示も早く見に行きたいし、ロボット演劇も見てみたいし、まず現実的には他の著作も読んでみたい!
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先日亡くなった桂米朝さんのアンドロイドや、4月から始まる新番組「マツコとマツコ」に出てくるマツコデラックスのアンドロイドを作ったロボツト工学者・石黒教授の著書。ちなみにこの先生は2007年に英国のコンサルティング会社が調査した「世界の100人の生きている天才」ランキングで日本人最高位にも選ばれています。
石黒先生のこれまでのアンドロイド研究の歴史が分かりやすくまとめられていて、とても興味深かったです。人とアンドロイドが共に生きるSFの世界はもうすぐそこに!
4月スタートの「マツコとマツコ」がますます楽しみになりました。
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友人からのオススメで購入。その前にテレビで見かけていて「ああ、この人があの」という認知でした。製作の動機、試行錯誤と完成、行ったこと、進化と展望などをまとめて読めました。アンドロイドを製作を通して浮き彫りになっていく著者や関係者の心理・思考。とても興味深く、読み始めたら一気に最後まで。 何の練習もなく、いきなり本番からはじまって、どうにかこうにかやっていくのが人との会話。「アンドロイドで練習してから人間との接触を」 そんな時代が来るかもしれない、と夢想しています。
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選書する際にどうしても自分の分野に近いところを選んでしまうところがある。または新聞の書評などを参考にする。
今回の選書は一人ではできなかったと思う。
が、読んでいて面白かった。工学と全く関係のないところにいる私でも楽しんで読むことができた。
「自分とはなにか」について答えは出てこなかったが、考えることはできた。
いわゆるサロゲーターのような世界になったとしたら「脳」以外の体の臓器がどのように変化し、世の中で役立っていくのだろう。映画も見てみたい。
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先日、マツコ~が出てる深夜番組に、石黒氏が出ているところをたまたま見かけ、以前本買ってたな、と思い出し、読む。
かなり変人?先生のようで。しかし工学的視点で常に対象となるロボットに向き合い、フィードバックを受けながら改良していく様子がおもしろい。女性ロボを作ろうという発想と行動力が素晴らしい。妄想はするが実行はしなかったりするのが多方だろう。心理学も含めた今後の研究にも興味があるが、先生の日常での行動にも興味が出てきた。本書内では見かけの老化に対抗するため、まず痩せると考え、すぐに腹筋と食事量制限を始めたところが秀逸。ロボット研究ではなく人間研究である、と主張するところも何となく把握できる。
続書も予定とのことなので楽しみである。
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そうか。石黒先生はジェミノイドを通して人間のアイデンティティーの在処について研究をしていたのか。
数年前に石黒先生の講演を拝聴したことがある。ジェミノイドの開発秘話は面白く拝聴したが、その効能や開発中と言っていたエルフォイドについては、ちんぷんかんぷんだった(決して石黒先生の講演が悪かったのではなく、私の理解力がたりなかったのだが)。
そしてこの本を読了し、ようやくあの時の講演の内容が120%理解できた。
それにしても(石黒先生には申し訳ないが)、あのしかめっ面でジェミノイド以上にロボットっぽいの石黒先生が、人の愛や生について真剣に考えている姿を想像すればするほどに可笑しく感じた。
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ロボットを作るという過程で、「人間とは何か」をとにかく深く考えていて、それが面白かった。
自分のアンドロイドを作って、歳を取らないアンドロイドに、自分を近づけようとする箇所が面白かった。
「肉体的な若さは、精神的に若くなることを大きく助けるのである。老いた肉体に若い精神を宿らせるのは、かなりの努力が必要となりそうだが、若い肉体に、若い精神を宿らせるのは比較的たやすいのである」
アンドロイドを造ることにより、機械と人間が近づく。人間が、自分の体をまるで機械のように感じると、客観的になり過去へのこだわりとか、自分らしさという勝手な精神的な壁が取り払われていくような気がする。
精神がもっと自由になる、そんな未来を、この技術に感じた。
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アンドロイドを通して、人間とは何かを考えてしまう。今後益々、人間とは区別つかないアンドロイドが生まれて、生活することになるだろう。きっと、アンドロイド(ロボット)と人間のすみわけが議論になるだろう。その点でみても、石黒さんの考察は参考になる。石黒さんの最新刊も読んでみたい。
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読了日:2016/1/16
"人間の脳は人間と関わるためにあり、人間と関わるものはいずれも人間らしさを持つ"
この本はロボット(アンドロイド)についての本だったが、
ロボットそのものというより
ロボットと人間間のインタラクション、その過程からヒトとはなにかといった
社会的考察が多く、とても興味深かった。
"人形みたい"ときれいな人を誉めることがある(一部は感情がわからないという意味を込めるときもあるが)が、
ロボットはその"きれい"を追及することができる。
じゃあ、その"きれい"に勝てない人が
追及できる"きれい"は
表情や雰囲気といった人間味あふれる部分なのかもと感じてた。