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紙の本
小さな命を思いやる
2015/12/14 07:26
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
東日本大震災のような大きな災害のあとでは、どうしても人の暮らしの復興が優先されるのは仕方のないことです。
でも、あの日、大きな津波で被害にあったのは人間だけではありません。木々も虫たちも鳥も動物たちも棲むところを失くしたり、これからの成長を断念しなければならないこともあったのです。
彼らは震災のあと、どのように生きていったのでしょうか。
自然写真家永幡嘉之さんは震災のあと被災の海岸にはいって、動植物の姿を写真に収めていきます。この本は、彼らの姿を通じて、復興のあるべき姿を考える、写真集です。
震災直後の林、水田、畑、まるで「何もかもいなくなった」かのような世界。永幡さんは心配しながら歩き始めます。
でも、そこには以前よりも豊かな自然の世界が広がっていました。
砂浜のハマヒルガオやハマナスは2年めには次々と花を咲かせます。砂浜の虫たちも津波以前よりも増えています。
ヤマユリやスイカズラの花も咲きました。
圧巻は水路や水たまりに「さざ波が立つほどたくさんのミナミメダカ」でしょうか。
写真は、そのままを伝えてくれます。
水田だったところにはミズアオイの青い花が咲きほこっています。
「以前は水田や水路にふつうにさいていたけれども、近年では、農薬や水路の工事などによって姿を消し、まぼろしの花になっていた」。
永幡さんの言葉です。
ミズアオイの写真を見ていると、もしかしたら、震災で私たちは大事なものを思い出しかけていたのかもしれないということに気づかせてくれます。
しかし、残念ですが、「復興」という名のもとに、そういう自然を再び切り捨てることになります。
津波で被害にあった人たちがいて、その人たちの生活を元の生活に戻していくことはとても大事なことです。
あの日を境に生活の姿が変わった人がいて、あの日があっても何一つ生活が変わらない人がわかったようなことをいうのはためらいがあります。
けれど、永幡さんはこう言います。
「あの、大きな津波をくぐりぬけた、たくさんの生きものたちが暮らす砂浜を、森を、そして水辺を、未来へと残す知恵は本当になかったのだろうか」と。
自然との共存。津波という自然の驚異を目の当たりにした私たちだからこそ、考えるべきことかもしれません。
紙の本
被災後4年。変化に感じる複雑な思い。
2015/08/09 17:06
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2011年の東日本大震災直後から、津波が襲った海岸での生き物たちの変化を調べつづけている著者の、2014年までの変化をまとめた写真集。文章もやさしく、漢字にふりがなもふってある「子供向け」のような装丁であるが、内容は考え込まされることが多いものだった。
被災直後の写真は、まだ見るのもつらい人がいるかもしれないものである。そこに植物が生え、畑ができ、道路ができた所もある。数年をかけ、すこしずつ「元の農地」や「漁港」が戻ってきているのは勇気づけられる風景である。しかし、気になることもある。昔の生き物が帰ってきたのではなく、より成長が速い外来の生き物が優勢になった場所もあったりするのだ。
著者が調べた地域は、例えば海岸線をたどれば「原発事故区域」にもつながっている。そこには「人が手を入れずに被災後の変化が起きている」場所もあるのだろう。そこはどうなっているのか。
偶然、東京の明治神宮の森がつくられて100年になる総合調査が2011年から1年間だった事を知った。大事に守られてきた森と大きな変化に見舞われた海岸と。どちらも、これからもどうなっていくのかを見続けて行って欲しい場所である。きっとどちらも「人間の力の及ぶこと、及ばないこと」を私たちに教えてくれるに違いない。
ところどころ、撮影期日がわかりづらい写真があり、変化が理解しにくいと思ったところもあったが、それはきちんとした調査報告があることに期待したい。
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