紙の本
脳と心の繋がりは最新科学で解明されます!
2020/02/03 13:20
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、高度な知識をとっても分かり易く解説してくれると大好評の「ブルーバックス」シリーズの一冊で、同巻は、脳と心の繋がりについて書かれた画期的な科学書です。物事を考え、記憶するだけでなく、日々の出来事に感情を揺さぶられる複雑な脳の仕組みが、最新の科学で明らかになってきました。同書では、その脳の働きを、グリア細胞、ニューロン、進化と可塑性、場所細胞と空間記憶、情動と消去学習、海馬と扁桃体とエングラムセオリーといった最新科学の知見を用いて、分かりやすく解明していきます。ぜひ、多くの方に読んでいただきたい一冊です!
電子書籍
脳研究の最前線
2021/01/27 23:01
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
最新の脳研究について解説されている。マウスの脳に電極を取り付け任意の細胞を発火させることで幻の記憶を植え付けたり、うつ病などの精神疾患の心の問題を脳という観点から考えたりかなり研究が進んでてすごいと感じた
電子書籍
最後のフロンティアにして私たち自身
2017/01/31 02:47
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投稿者:四郎丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いますべての学問分野(というより対象)の中で最もホットなものが、脳。記憶とは、感情とは、うつ病とは・・・最先端の研究者が判りやすく語ってくれます
電子書籍
最新脳科学研究の素人向けショーケース
2020/03/31 09:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:y0a - この投稿者のレビュー一覧を見る
脳科学の新しい研究方法をいろいろ紹介しつつ、分かってきたトピックについてもいろいろ解説する本。「つながる」というキーワードでまとめているが、総じて脳科学の面白さを一般読者に伝える目的と思われる(編者が理化学研究所だし)。
オプトジェネティクス~光に反応するチャネルロドプシンという蛋白を用いて、光ファイバーでマウスの記憶を操ることができたという話。ショウジョウバエの脳の中の、細胞数が数えられるほど小さい脳部位に着目して、神経細胞の実際のつながり方を調べる研究。アストロサイト(神経細胞を支える神経膠細胞の一種)に着目する研究。数理モデルを用いてシナプスの機能を考える研究。カルシウムセンサーとなるタンパク質を開発して…(以下略)などなど、かなり多彩。
具体的な話もいくつか出てきて、自閉症や双極性障害の原因を探ったり、親が子育て行動をするようになるには、オスの脳機能変化が実際に脳の中で起こっていたことをマウスで確かめる話など、それぞれ興味深い。
バラバラ感もあるけれど、最新脳科学研究の素人向けショーケースとして面白い。
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頭の中にある“人類最大の謎”に挑む
ものごとを考え、記憶し、日々の出来事に感情を揺さぶられる……
謎めいていた脳のはたらきが、明らかになりつつある。
グリア細胞とニューロン、進化と可塑性、場所細胞と空間記憶、情動と消去学習、海馬と扁桃体とエングラムセオリー――
頭の中には、さまざまな「つながり」があった!?
9つの最新研究から、心を生み出す脳に迫る!
―――――
第1章 記憶をつなげる脳
理化学研究所脳科学総合研究センター センター長 利根川進
第2章 脳と時空間のつながり
システム神経生理学研究チーム チームリーダー 藤澤茂義
第3章 ニューロンをつなぐ情報伝達
シナプス可塑性・回路制御研究チーム チームリーダー 合田裕紀子
第4章 外界とつながる脳
知覚神経回路機構研究チーム チームリーダー 風間北斗
第5章 数理モデルでつなげる脳の仕組み
神経適応理論研究チーム チームリーダー 豊泉太郎
第6章 脳と感情をつなげる神経回路
記憶神経回路研究チーム チームリーダー Joshua Johansen
第7章 脳研究をつなげる最新技術
細胞機能探索技術開発チーム チームリーダー 宮脇敦史
第8章 脳の病の治療につなげる
精神疾患動態研究チーム チームリーダー 加藤忠史
第9章 親子のつながりをつくる脳
親和性社会行動研究チーム チームリーダー 黒田公美
著者について
理化学研究所 脳科学総合研究センター
1997年、理研和光地区に設置された脳科学研究機関。通称「BSI」(Brain Science Institute)。創立以来、国内外から研究者が結集し、世界をリードする脳研究の拠点となっている。工学、計算理論、心理学まで含めた学際的かつ融合的学問分野を背景に、研究対象は、脳内の分子構造と神経回路の解明、認知・記憶・学習のしくみの理解、脳回路の数学的理解、脳疾患の発症機序の解明等まで幅広くカバー。「心」を生み出す「脳」の解明を目指し、学際的かつ融合的な研究を推し進めている。
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本書は、理化学研究所脳科学総合研究センターの利根川進センター長をはじめとする、メンバー9名による共著。
同センターは脳科学に関する学際的な研究の必要性の高まりを受けて1997年に設立され、本書は、センター設立20周年を機に、現在までの脳研究でどこまでのことが分かり、或いはまだ分かっていないことについて、「つながり」をキーワードに明らかにしたものである。
1. 記憶と脳のつながり~記憶はどのように作られ、どのように脳に蓄えられ、どのように思い出されるかのメカニズムが、今や明らかになりつつある。
2. 時間と空間のつながり~脳の中には、時計や地図のような役割を果たす神経細胞(ニューロン)があり、それによって時間と空間を認識している。
3. ニューロンのつながり~脳には1000億のニューロンがあり、かつそれぞれのニューロンには数万のシナプス結合がある。そうした天文学的な数のシナプス結合により、情報がやり取りされている。
4. 外界とのつながり~我々は五感(視角、聴覚、臭覚、味覚、触覚)を使ってどのように外界を認識しているのか。知覚が生み出される脳のメカニズムは、未だによくわかっていない。
5. 理論と脳のつながり~脳の研究は、実験だけではなく、数理モデルなどの理論によっても行われている。脳の学習メカニズムは、AIのディープラーニングとは異なり、生命の進化と似たものなのではないか。
6. 感情と記憶のつながり~不快な出来事がどのように記憶され、その不快な記憶が脳の中でどのように抑えられているのかを解明することにより、感情がどのように記憶されるのかの研究が進められている。
7. 最新技術と脳研究のつながり~脳の構造と機能の解明のために、新しい測定法やイメージング技術の開発が進んでいる。
8. 脳の病と治療のつながり~「心の病」と言われるうつ病や、認知症などの脳疾患は、現在の薬による治療では根治しないが、脳の仕組みを解明することで、その克服に一歩ずつ近づいている。
9. 親子のつながり~子育てや愛着は本能的欲求に基づく行動ではあるが、脳のどのような機能が関わっているのかを解明することによって、親子関係の問題の解決につなげることができる。
脳科学は、現代科学の中でも最も幅広い領域につながる究極のテーマと言えようが、それぞれの分野の専門家が最前線での取り組みを分かり易く語っており、脳科学の面白さを改めて感じることができる一冊である。
(2016年11月了)
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脳について様々なことが明らかになっていて驚く。脳の本は何年も読んでなかったので、革新的な研究手法と緻密な研究成果には驚かされるし、この方面の研究の面白さも強く感じる。
〇〇が分かりました、と同等以上の重さで、どのような方法により何を調べ、なぜその知見に至ったか、が書かれており、科学の本としてとてもまっとうな作り。
それでも脳という未知の領域にちょっと踏み込んだぐらいのことしか明らかにされていないのだが、明らかになったことを応用することで世界がよりよくなりそうな希望も見える。
心は脳の機能であるのは間違いないが、脳を解明することで心がこんなにも明らかになるのか、というのは今更ながら感じ入った。もちろん脳の全ても心の全ても人が理解することは不可能ではあろうけれど。
☆一つ減ったのは、科学の入門書に慣れてないと読みにくいかもしれないということと、電子書籍版が出るということを知らずに紙の本を買ってしまったことのため。
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理化学研究所の脳科学総合研究センターの研究成果をまとめた本です。細胞レベルから社会脳まで、幅広い内容が詰め込まれています。分かりやすいように適度に省きながらも、研究者が1つ1つ物事を詰めていく様子が分かります。今までfMRIやTMSなどで大きな脳組織の脳機能への影響しか見られなかったが、オプトジェネティクスなどの最先端の技術を使用して、細胞レベルで脳機能を明らかにしようとしているのが印象的でした。
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日本にはブルーバックスがある。本書は、日本における脳科学の研究施設である理科学研究所の脳科学総合研究センター(BSI: Brain Science Institute)の研究者が、創立20周年を機にその研究成果をまとめたものだ。こういうものを一般人に届く新書で出せるのはブルーバックスさんしかいない。研究者の人にとって自分の研究を一般の人に届ける手段があることは励みになることではないかと思う。複数の研究者の方々によって書かれたこの本はその限界もあり、とても素晴らしいという程ではないが、偉そうに言うことではなく、熱意も感じられるそれなりな本に仕上がっている。
「アルツハイマー病」が少なくともその初期段階では「記憶が失われた」のではなく「脳のどこかにある記憶をうまく思い出せなくなった」と言うのがちょっと怖い今日この頃。その話も含めて第一章の記憶の話は面白かった。記憶の研究は「New Era」に入ったという。記憶だけではなく、脳を調査するツールが大きく進歩したこともあって、新しいことがこれから次々とわかるようになるのではと思った。
とにかく、日本のブルーバックスって出版の中で特異な位置を占めているな、と強く思った次第。
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またまた長い期間かけて読んだので、最初のほうの印象が全くない。それでも、はじめの2章くらいまではわくわくして読んだ記憶がある。そう、利根川先生の記憶の話はおもしろかった、という記憶はある。それから、次のイヌの実験とか、誰かに話したくなるような内容だった。けれど、誰にも話していないから、忘れてしまった。ということで、先ほど読んだ、最終章、子育てに関するところの記憶しか残っていない。最も印象的だったのは、「輸送反応」ということば。ちょっと検索してみないといけない。これで子育てにストレスを感じていた人が救われたという。けれど、それって、誰でも知っていることではなかったの?17,8年前のこと。上の子どもが夜中によく泣いた。抱き上げて、部屋の中を何度ぐるぐる回ったことか。やっと寝てくれたと思って、そっと布団に降ろすと、また泣き叫ぶ。もう、放り出したいと思ったことさえある。放り出さなかったけど。その差が何なのか、どうもそういうことも脳科学の研究でわかりそうだ。うつ病だとかパーキンソン病だとか、直接脳を治療するというのはわかる。犯罪者の再犯をなくすために脳を操作する。これはどうだろう。脳をどうにかすれば、戦争だってなくなる?脳科学と社会の問題は早い段階でいろいろと議論の必要がありそうだ。機会があれば私も参加したい。
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ミトコンドリアDNAの変調が双極性障害に関連している可能性や、メスとの同居によりオスの子育て行動を促す部位が攻撃行動を促す部位を抑制する検証結果など、興味深い知見。社会性や愛情といった人間の営みを聖域化してそれらへの脳の関与を追求しないことは、社会性の上に生じる諸問題の解決を回避することになるのでは、という見解に考えさせられる。得られた知見をどう生かすか、科学者のみの責任に帰する問題ではなく社会が引き受けるべき問いであろうことを再認識。
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所謂「頭が良い、悪い」はニューロン発火とシナプス強度次第という事になる。これが客観性を持って解明できるようになれば入学試験は不要になる。脳検査のデータのみで十分だろう。が、「頭のよくなる薬(または手術)」というのが開発されるのかもしれない。また「心の病」に関しては薬や外的刺激によって改善が見込めるようになっている。問題は犯罪者で脳異常として治療してしまえばいいのか?実際に性犯罪には効果があるようで複数の国で実施しているようだ。ピンポイントで各種欲望を抑制できるようになれば、かなり有効かもしれない。愛情の有無も脳の問題なら、両親の虐待脳の事前検査で出産を認めないという事も可能になる。または出産後に両親に愛情を植えつけるとか。いろんな可能性があってとても興味深い。
その他、性格や感情を脳の操作でコントロールする事が射程距離に入っているのなら、法整備が急務になってくるだろう。操作されたくない人もいるだろし、性格を変えたいなら操作して欲しい人もいるだろう。心の問題がすべて脳科学で解明できてしまったら、世界は大きく変わるだろう。
難点だが、脳のしくみだけの内容なので、脳は遺伝で決まるのか?環境や脳トレによって変化・向上するのか?また、加齢による劣化や維持・向上は可能なのか?という点が疑問として残った。
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ノーベル賞の利根川進さんをはじめ、第一線の脳科学者たちが、わかりやすく、脳の中でなにがおこなわれているか、研究の最前線を説く。とくにおもしろかったのは、どのような実験をしてどのような結果があり、それをどのように解釈して次に進むかという過程が書かれていて、発想の豊かさや、苦労が見られる。日経の書評で見て面白そうだったので購入。
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割と本格的な研究や実験について述べられている本なので、気軽に読めるものではなかったが、それでもわかりやすく、エッセンスを読者に届けようとする構成であり、興味深く読む事ができた。
まだまだ解明されていない部分が多い脳だが、最先端の研究では結構細部まで調べることができているようになってきていることを知れて、今後の展開に期待したい。
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理化学研究所脳科学総合研究センターの研究者による最新の脳科学研究を分かりやすく解説したもの。
難解な内容ではあるが、分かりやすく記載されており、読みやすい。