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  3. 月乃春水さんのレビュー一覧

月乃春水さんのレビュー一覧

投稿者:月乃春水

234 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本たんじょうびはきのうえで

2012/05/18 03:51

大好きな友達の誕生日を祝おうと出かけたこざるのモンタを襲うハプニング!妄想が本当になって…?誕生日を祝うおはなし絵本

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

講談社「書き下ろし100冊」の一冊。4、5歳から小学校低学年が読んでもらったり、自分で読むのにぴったりな、誕生日を祝うおはなしです。

きょうはモモリンのおたんじょうび。こざるのモンタはごきげんです。
おしゃれをしてモモリンへのプレゼントを持って出かけるモンタ。
春の昼さがりの様子が描かれていますが、読んでいくうちになんだかうきうきしてきます。

モンタはモモリンの顔をうかべ、モンタがあげたプレゼントを開けたときのことを想像してみます。
モモリンの言うことまで想像してうっとり。ふふふ、妄想しちゃってる。

でもモンタは思うのです。
 「たしか、『たんじょうびには イチゴがいっぱいのった おおきなケーキをつくるのよ。』って モモリンはいってたぞ。
 それならきっと モンスケや、キイコ、サルミに サルオもやってくるだろうな。
 みんな ボクよりすごいプレゼントや おしゃれなふくをきてきたら どうしよう。
 ああ モモリンと ふたりだけだったら いいのになあ。」

そんなことを考えていたら、モンタは木の根っこにつまづいて…
そこからはハプニングの連続です。オオカミにまで出くわして、どうなる、モンタ!?
危機一髪で木に登ると、オオカミたちは「あの2ひきのサル」なんて言っています。

じっと話を聞いていた三男(7歳)は「2ひき?」
そう、これまでおはなしに登場しているのはモンタだけなんです。
モンタも不思議に思います。
 「え? いま たしか“あの2ひきのサル”っていってたぞ?」

そこにいたのは、なんとモモリン!
怖くてふるえていたモモリンですが、モンタの提案で…

モンタの妄想は本当になり、最後はみんなで歌ってパーティ。
あれ、オオカミたちまで歌ってる。

『うまれたひ おめでとう』という歌は、作者のきむらゆういちさんによる作詞・作曲で見開きに楽譜もあります。
講談社の「書き下ろし100冊」のサイトではピアノのメロディが聴けますよ。

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紙の本ぼくのトイレ

2012/04/17 05:23

たまにはちがうトイレでしてみたい…と広がる妄想、そしてスリル満点の展開。じっくりみんなで見たい絵本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

第17回日本絵本賞読者賞 受賞作品です。
二部構成のようになっています。まずはいろんなおもしろトイレが登場。
次はぼくのとっておきトイレがうばわれ、それを追いかける…というスリル満点の展開。
さらに、ことばのリズム感もたのしめる、エンタテイメント要素いっぱいの絵本です。

 パンツをぬいでまたいだら
 えいやとふんばり さあトイレ

 でも ちょっとまって
 まいにち まいにち おんなじ トイレ
 たまには ちがうトイレで してみたい

ここからぼくの素敵な妄想!?がはじまります。
こんなトイレはどうだろう、と、出てくる、出てくる、いろんなトイレ。
たとえばふにゃふにゃトイレ、たかいトイレ、ルーレットイレ、あてっこトイレ…

たくさん描かれたトイレは、ひとつひとつ要チェックです。
二男が「いいねぇ~」と言ったのは「トランポリントイレ」、
三男が気になるのは「しんじゅトイレ」(「でもしんじゅが汚れちゃうからなぁ~」と心配していました)。
さあ、お気に入りが見つかるかな?

つづいては、友たちそれぞれに似合うトイレを考えます。
扉の前に立つ友だち。ページをめくると、わぁーたしかに似合うし喜びそう…かな?
その次は、ぼくのとっておき「トイレットコースター」
あれ?たいへん!トイレがないぞ!
「とんがりあたまのけむくじゃら」に盗まれたのです。
ここから追跡がスタート。逃げたのはトイレのまち、トイレのみなと、サーキットトイレのトイレース、トイレのもり。「とんがりあたまのけむくじゃら」がまぎれている。みつかるか…?

犯人を探すために、ひとつひとつ見ていくと、どんどんたのしくなってきます。
そこにいる人たちの様子がおもしろい。とてもよく描き込まれているのです。
結末もよし。

しかし、これはみんなぼくの頭の中の出来事なんですね。すごい想像力です。
トイレにいる時間も長くなって、扉の外にはパパやにいちゃんが待っていますよ。

一対一で読むよりも、複数で読むとおもしろさが増す絵本です。
本文にもあるように、「みんなトイレなかま」ですからね。

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紙の本はるがきた

2012/04/04 06:15

なかなか来ない春を待ちわびた人の提案と行動。「自分にできることをする」という素敵な見本。春先に読みたい絵本

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『どろんこハリー』シリーズで有名なジーン・ジオン&マーガレット・ブロイ・グレアム夫妻による絵本です。1956年の作品ですが、日本では未訳で2011年に初お目見えというわけです。

春を待ちわびている街とそこに住む人々のものがたり。
2012年も寒い日が続き、なかなか春らしくならない。そんな気候だったのでなんともぴったりでした。

「はるは まだ こないのかしら」
街は灰色、街路樹は枯れ枝。はるはまだ、どこにもみあたらない。
人々は街の色とおなじように、暗くて沈んだきもち。

通りを歩いていた男の子が、いいことを思いつきます。

「ねえ!どうして はるを まってなきゃ いけないの?
 まってなんか いないでさ、ぼくたちで まちを はるに しようよ!」

近くにいたおとなたちは男の子の説明を聞き、たちまち笑顔に。
そして おばさんがこう言うのです。

「さっそく しちょうに そうだんしましょう! さあ、みんな てつだって!」

次の日から、街の人たちは行動開始です。
さて、なにをするのでしょう…?
じっくりとご覧あれ!絵本のページもみるみるうちに色づいていきます。
けれどもその晩、雨が降り…
その後の変化はさらに見ものです。

このおはなしでわたしが素敵だなぁと思ったところは2つあります。
ひとつは、男の子の提案をおとながまずは聞く、ということ。
子どもだからと、聞く前にシャットアウトしたりしないんです。
ふたつめは、自分たちにできることをしよう、という態度。
寒い寒い、と言って春を待っているいるだけではなく、動き出すんです。

突拍子もないと言えなくもないアイディアですが、すぐに実現させようと動くことはとても大事なこと。それを許可した市長もすごいですね。

「自分にできることをする」という素敵な見本がここにあります。

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紙の本さくらのさくらちゃん

2012/03/27 16:49

さくらのはなびら「さくらちゃん」が見守り祝う入学式。4月のおたんじょう月絵本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「おたんじょう月おめでとう」シリーズの4月は小学校の入学式がテーマです。
語り手はさくらのさくらちゃん。かわいいさくらのはなびらです。
和田さんちの庭に満開で咲いている桜の木に咲いているさくらちゃんの目で
この家の新一年生ひろちゃんと家族、入学式の一日を語ります。

 きょうは ひろちゃん
 いつもと ちがう。
 かっこいい ランドセル
 ぴっかぴかだ。

玄関前で記念撮影をしたあと、おめかししたおかあさんとひろちゃんは入学式に出かけます。
さくらちゃんは木からひらひらとまいおりて、ひろちゃんの頭の上へ。
これで学校までいっしょに行けますね。

朝の街の様子がよくわかる絵がとてもいいんです。
住んでいる人のくらしぶりもうかがい知ることができます。
たくさんの新しい一年生が学校へ向っています。
昇降口で先生からおかあさんが書類をもらって教室へ。
さくらちゃんは、道で会った女の子の様子も気にしています。

入学式が終わり、おうちに帰ったところでおかあさんがさくらちゃんに気づきます。
さて、さくらちゃんはどうなるのかな…?

入学式の時期にさくらが満開になっていると、さくらの花に祝福されているような気持になります。
花びらのさくらちゃんがひろちゃんの様子を見守り、祝っているのがこの絵本のいいところですね。
小学校に入る前のお子さんに読んでみるといいですね。

ひとつ注文をつけるならば、入学式があまりにあっさりとしているのがもったいない。
そのような小学校が実際にあるのかもしれませんが、体育館に入場したり、上級生が歌う校歌を聞く場面もあったなら入学式の晴れがましい姿がさくらちゃんにも読み手にも、もっと伝わったように思います。

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正真正銘のハッピーエンド。ホフマンの絵が持つ魅力で引き立つグリム童話

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2012年は、ドイツでグリム童話が初めて出版されてから200周年だそうです。
フェリクス・ホフマン画によるグリム童話はいくつかあるようですが
わが家にもあり、お気に入りなのが『おおかみと七ひきのこやぎ』。
おはなしは、わたしも幼い頃から親しんでいますが、ホフマンの絵が素晴らしい。
大袈裟に描かれているわけではないのに、それぞれ個性があふれ出ているこやぎや妙に色気のあるおかあさんやぎ。そして景色の美しさ。
巧み、というのとはちょっとちがう気がしますが、なんともいえない魅力があるのです。

しかしこの『うできき四人きょうだい』はストーリーも知りませんでした。
偶然手にして、中表紙の四きょうだいの姿に釘づけです!

四人の息子をよその土地にいって仕事をおぼえてくるようにと送り出した父。
きょうだいは四つの道をそれぞれ行き、別れます。
それぞれが出会った人は…?
弟子になって身につけた仕事は…?

四年後、四人は再会し、それぞれの腕前を父親に披露します。

そこへ王さまのおひめさまがりゅうにさらわれたというニュース。
無事に連れて帰ったものにはおひめさまを嫁にやろうというおふれが出ます。
「いまこそ、うでのみせどころ」と旅立つ四人きょうだい。

おひめさまは海の上の岩てのてっぺんにいました。
ところが、りゅうがおひめさまのひざをまくらに眠っている…
このシーンは見どころがあり!

四人はそれぞれ身につけた得意分野を活かし、おひめさまを救い出します。
おわりはめでたし、めでたし…なのですが、えっ、こういう終わりかたですか!?と、肩すかしをくらった気がしました。
この場合、王様が賢い、というべきでしょうか。
正真正銘のハッピーエンドとなっています。
それを象徴するかのようなラストシーンも印象的です。

グリム童話×ホフマンの作品、これからも読み進めてみたくなります。

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バラク・オバマ&ローレン・ロング、ふたりの父親によるすべての子どもに捧げられた願いは…アメリカの歴史を変えた13人を称え、子どもの持つ可能性を教えてくれるメッセージ絵本

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アメリカ合衆国第44代大統領のバラク・オバマがふたりの娘に向けた手紙です。
この絵本でオバマ大統領はアメリカの功績と、アメリカを形づくる理想を語ります。
アメリカの歴史の中で大きな変化をもたらせた13人の偉大なアメリカ人を称えています。

元気いっぱい歩いて行くふたりの娘たちが絵本の左側に描かれ、
右側には、偉人たちとその功績が描かれています。
それを見上げている子どもは、その人の子ども時代の姿でしょうか。
まるで未来の自分を見上げているようにみえます。
ページをめくるたび、子どもたちが増えていきます。

アメリカの偉人たちの功績を語ったあと、最後に自分たちの娘に話を戻し、
彼女たちの才能と可能性を指摘しています。

  しってるかい?
  きみたちの なかにも おおきな ちからが ひそんでる、ってことを。
  きみたちも かがやく ひとに なれる、ってことを。
  みらいを つくるのは きみたちだ、ってことを。

これは、自分の子どもだけに向けたメッセージではなく、アメリカそして
世界中の子どもたちに向けられたものでしょう。

イラストは、子どもの本の作家・画家として活躍しているローレン・ロング。
ふたりの息子の父親だそうです。

バラク・オバマとローレン・ロング、ふたりの父親による、すべての子どもに捧げられた願い。
共通しているのは「子どもたちに自分の可能性を知ってほしい」ということです。

紹介されているのは以下の13人です。

 ジョージア・オキーフ ─ 大きな花や動物の骨の絵で知られる画家
 アルバート・アインシュタイン ─ 相対性理論を唱えた物理学者
 ジャッキー・ロビンソン ─ メジャーリーグ初のアフリカ系選手
 シッティング・ブル ─ 北米先住民スー族の大戦士
 ビリー・ホリデイ ─ 多くの名曲・名唱で知られるジャズ歌手
 ヘレン・ケラー ─ 視覚と聴覚を失いながら活動した社会福祉事業家
 マヤ・リン ─ ベトナム戦争戦没者慰霊碑を設計した中国系の建築家
 ジェーン・アダムズ ─ 貧困をなくすために努力した社会事業家
 マーティン・ルーサー・キング・ジュニア ─ 公民権運動の指導者
 ニール・アームストロング ─ 月面を初めて歩いた宇宙飛行士
 シーザー・チャべス ─ 農場労働者の人権を守ったメキシコ系の運動家
 エイブラハム・リンカーン ─ 奴隷解放宣言に署名した大統領
 ジョージ・ワシントン  ─ アメリカ独立戦争を戦った初代大統領

日本で2011年7月に発行されたものですが、「ローレン・ロングさんから
震災によって今も大きな困難に直面している日本の子どもたちに向けたメッセージ」が寄せられています。
最後はこのように締めくくられています。

  この絵本が国境をこえて、日本の子どもたちにも 
  なぐさめや勇気やはげましや希望をあたえることを私は願っています。
  そして日本の子どもたちにも、困難を乗りこえる力や、
  すばらしい生き方をするための力が、自分の中にもあると
  気づいてくれるよう願っています。

子どもたちのみならず、おとなも勇気づけられます。

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紙の本おつきさまのやくそく

2012/02/26 15:20

おつきさまの約束って…?世代を超えた、父と息子のしんみりあたたかい物語。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

おつきさまとぼくとのやくそく。それはいったいなんでしょう?

おとうさんをひとりで待っている男の子のもとへ、おつきさまがやってきます。
まんまるな顔に蝶ネクタイ。シャツにベスト、チェックのズボンを着用です。
クレーターがあばたのようでかわいい。

 「なにしてあそぶ?」って おつきさま。
 「トランプが いい」って ぼく。

おつきさまが負けて、くやしそうにおでこにしわをよせたら
しわにあわせて うねうねと ひかりがゆれる。
そんなきれいな光、見てみたいものです。

おつきさまの料理、かくれんぼ、お風呂。
ふたりの会話、距離間がなんだかいい雰囲気です。

話しているうちにわかってくることは
おつきまさは、くもった満月の晩だけ
ひとりぼっちのこどものところにいってもいい
それはひとりのこに一回だけってきまり

ということ。
ぼくは言います。

 「ざんねんだけど しかたないね。
  おつきさまは
  せかいじゅうの こどもを
  みてるんだもん。
  だけどさ、ぼくが おとなになって
  おとうさんになって、
  ぼくの こどもが
  ひとりぼっちになる よるが あったら
  ぜったいに あそびに きてね」

ぼくとおつきさまの約束。
そして、おつきさまは、ぼくにちょっぴりかわったかえるの親子のおはなしをしてくれます。
ぼくはいつのまにか眠ってしまい…

遅くなって帰ってきたお父さんとぼくとの会話。
そしておとうさんがベランダに出て空を見上げて言ったことは…

世代を超えた、父と息子の物語。
ストーリーの中に親子のおはなしが挿入されている、二重の構造も素敵です。

2009年講談社創業100周年記念出版 書き下ろし100冊にふさわしいおはなしです。

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紙の本これはなみだ?

2012/02/26 13:33

写真×ことば×デザイン どれも寡黙ながら光る、ふしぎな魅力。かがくのとも絵本

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1984年かがくのとも、2010年かがくのとも絵本として刊行になった写真絵本です。
葉っぱの上に落ちたしずく。水たまりのようになっています。
そこへ一匹のあり。
ページをめくるたび、ありの数が増えています。
どんな味?
長新太さんのひとことが重なっていきます。

ありが水にたくさんあつまって、どんどん減っていく。
それもページをめくるたびにわかります。

 いいえ、これは
 おいしい、
 あまい、
 あたたかい、

…なんでしょう?
最後に答えがわかるのですが、
それは水を飲みつくしたありたちが去っていったあとなんです。

読み終えてから表紙を見ると、最初から答えは示されていた
ということもわかります。

ちいさなありが大きく拡大されて、つやつやぴかぴか光っています。
写真だから静止しているはずなのに、動きまでみえるよう。
そして、葉の模様ともいえない筋が、とてもきれいなことにも気づきます。

人間の作り出すどんなデザインも、自然の模倣でしかない。
そんな気もしてきます。

杉浦範茂さんの本文レイアウトも効いています。
何回でもページをめくりたくなる。
ふしぎな魅力を持った絵本です。

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紙の本風にふかれて

2012/02/26 13:00

大判で復刊!ゾウのバオバブとストーリーのダイナミックさがいま、生きる。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1977年にあかね書房から出版された作品をサイズを大きくして復刊したものだそうです。
アフリカのみどりの森で、流れ星が十三も飛んだ夜。
生まれたあかんぼうのゾウはバオバブと名づけられました。
バオバブぼうやは日に日に大きくなっていき…

長新太さんの描く動物で、わたしにとって印象的なのはライオンの次にゾウでしょうか。
造作といい、表情といい、色合いといい、とても好きです。
この物語に描かれたゾウのバオバブは、とにかくダイナミック!

どんどん大きくなる様子が、とうさんゾウとかあさんゾウのとまどいとともに描かれています。
なんとか小さくなる方法はないものか?
でもバオバブは、ついにはビルディングほどの大きさになっていきます。
そうして、バオバブはとうさんゾウとかあさんゾウを自分の耳のところへちょんとのせて、森をでてゆくのでした。

何年も過ぎた頃、森に人間がやってきます。
バオバブの出番です!

今江祥智さんの静かで丁寧な語り口とダイナミックな展開。
そこへ長新太さんの描くゾウ、嵐の表現。
組み合わさると魅力はぐんと増していきます。

見返しのバオバブととうさんゾウ、かあさんゾウのシルエットも素敵です。

この童話が復刊されたいきさつが、カバーのそでに書かれています。

  この童話を描いたのは、1965年のこと。最初は大判の童話集、
  次には小ぶりの絵物語として出版されました。どちらも長さんの絵でした。
  長さんが亡くなられたあと、奥さまから贈られた原画を見て驚きました。
  絵物語の方は色あざやかで、大ぶりに描かれた、ほれぼれするものでした。
  それを見て、長さんの絵が生きるかたちの本に仕立てましょう─と、
  BL出版が本書をつくって下さった。本来の姿を思わせるバオバブを見て、
  長さんもあちらで、さぞかしお喜びだと思います。(今江祥智)

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紙の本ハグくまさん

2012/02/24 16:05

いつだって誰だってだきしめちゃう不思議なくまのハグくまさん。おとなも子どもも読みたい絵本

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ハグくまさんはちょっとふしぎなくまです。
誰かに会うといつだってだきしめてしまうんですって。

だれでも ハグ。
どこでも ハグ。

だきしめられたウサギやヘラジカ、鳥やスカンク、ヘビの表情といったら!
笑えます。
でも当然ですよね。ほかのクマならたべちゃうものですから。

なかでもハグくまさんが好きなのは森の木。
だきしめるしぐさがとっても愛情深い。特に手足に注目です。

そこへオノを持った人間の男がやって来て…
ハグくまさんは、うまれてはじめて
だきしめたくないものに出会ってしまうのです。
どうしたら いいんだろう。
ハグくまさんは考えて…

だきしめるって、本能的な行動ですよね。
二男が1歳の頃、店頭で出会ったぬいぐるみにだきついたことを思い出しました。
そういえば、わたしは犬にだきつかれたことがあります。
おとなりのゴールデン・レトリバー犬が、チェーンがはずれてしまったのか
いつもの散歩コースのうちの前まで歩いてきたのです。
飼い主の元に届けると、安心したのでしょうか、わたしの太ももにぎゅーっ!
あの感触、なんとも忘れることができません。
きっとそのときのわたしの顔は、ハグくまさんにだきつかれた動物たちに
そっくりだったことでしょう。
そのあと、とってもあたたかい気持になったのでした。
動物たちも同じだったのではないでしょうか。

「人生を希望に変えるニコラスの絵本」シリーズの1冊。
このようなシリーズ名があると、おとなの元にも絵本が届きやすくなりますね。

おとなも子どもも読んで、躊躇することなくハグできるようになったら素敵です。

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紙の本なつのゆきだるま

2012/02/24 06:55

夏にゆきだるまを見る…?弟ヘンリーの行動を見守る家族が素敵なおはなし。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『どろんこハリー』シリーズのジーン・ジオン&マーガレット・ブロイ・グレアム夫妻によるおはなしです。
日本で「岩波の子どもの本」シリーズとして発刊されたのは2003年ですが
原著は1955年になっています。

冬のおわりの日。ヘンリーとピートの兄弟は、ゆきだるまをつくります。
ちいさなちいさなゆきだるまです。
その晩、なかなか眠れず、月の光をあびたちいさなゆきだるまをながめるふたり。
弟のヘンリーは泣き出します。

 「おつきさまが、ゆきだるまを とかしちゃうよ。
  あさになったら なくなっちゃうよ!」

兄のピートは
 「ばかいうなよ。つきで ゆきだるまが とけるわけないだろ」

ところがヘンリーは起きだして…
翌朝、ピートはびっくり。
ゆきだるまは、かげもかたちもありません。

 「だから、おつきさまが とかしちゃうって いったでしょ」

ヘンリーはおかあさんの耳元でなにかささやきます。

そして夏。ピートはまだゆきだるまのことを忘れずにいたんですって。
独立記念日の夜、公園で花火大会があるのを知り
ヘンリーはおかあさんと大きなはり紙をつくります。

 どなたもかんげい
 せかいではじめて
 なつにゆきだるまをみるかい
 7がつ4か

たくさんの人が集まります。
そしてヘンリーは…

会は大成功!
みんなが帰ったあと、なつのゆきだるまはどうなったでしょう?

いつも「ばかいうなよ」と言われてしまう弟がちょっぴり兄を見返そうとするところ、
そして成功のあとの失敗(というより、どうにもならないことなんですが…)
それを家族がそっとしておいてあげるところが素敵です。

家族のだれかを見守るって、簡単そうで、じつはむずかしいことだったりします。

ラストは独立記念日の花火。
華やかにおわるところも素敵です。

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紙の本ないしょのゆきだるま

2012/02/22 04:37

どんなゆきだるまになってほしいかおねがいしながら作ると…?父と息子のおはなし。

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角野栄子さんと大島妙子さんの絵による父と息子とゆきだるまのおはなしです。

どんどん どんどん雪が降ってきて
おとうさん、こんなふうに言います。

  「おっ、ゆきだるまのもとが ふってきた。やっほー」

…なかなかユニークですね。

オオくんとおとうさんのゆきだるまづくり。
これまた独特です。

 「オオくん、いいかい。この ちいさなたまは、
  ゆきだるまのもとなんだ。どんな ゆきだるまに
  なってほしいか、おねがいしながら つくるんだよ。
  まず ゆきを すくったら、ふーって いきを
 ふきかけて、おねがいしながら にぎるんだ」

おねがいを言おうとしたオオくんに
  「しーっ。おねがいはね、だれにも いっちゃいけないんだ。
   オオくんとゆきだるま、ふたりだけの ないしょだよ」

ふたりが作ったゆきだるまの顔につけたのは
チョコレート・クッキー、ドーナツ、にんじん、さつまいも…ですって!
できあがったゆきだるまの表情がいいですね。
ふたりは、ゆきをあつめて太くて丈夫な足を、ゆきだるまの前につけます。
足を投げ出して座っているようなゆきだるま。
まるでおとうさんとオオくんの分身のようです。

その日の夜中、オオくんが見たゆきだるまは…?

動き出すゆきだるま。そしてよそのお家のゆきだるまに足をつけていき、行列になって歩きます。
たどりついたのは、公園の運動場。
サッカーがはじります。オオくんはレフリーとして参加です。

ゆきだるまたちの動きがかわいくって笑ってしまいます。
それにオオくんのうれしそうな顔といったら!

次の朝のオオくんとおとうさんの会話も素敵です。

父と息子、そしてゆきだるまだけしか出てこないストーリー。

おとうさんが子どもに読む絵本を探しているとしたら、これなんかはぴったりです。
雪の日にぜひとも読みたい。そうしたら外に行かずにはいられませんね。

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紙の本ゆでたまごひめ

2012/02/21 10:07

完全無欠!見事な登場人物、展開、そしてオチ。おべんとうが待ち遠しくなる!?たのしいストーリー。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

食べ物が登場する、見事な展開、オチのついたおはなしです。
主人公はゆでたまごひめ。
住んでいるのはおべんとうばこのおしろ。
御付きは、しろいおひげのソーセーじい。
ここでもう笑いのツボが刺激されちゃいます。
他のキャストは女中のプチトマト、門番のブロッコリー、お城でいちばんの力持ち、おにぎりたろうとうめぼしまるたち。

退屈なゆでたまごひめは、ソーセーじいが止めるのも聞かずに外に遊びに行ってしまいます。
そこへ怪しげな三角あたまがふたつ。
サンドイッチきょうだいです。

どこに連れ去らわれたのか、ゆでたまごひめ。
そのわけは?どうなる、ゆでたまごひめ!!

おにぎりたろうとうめぼしまるたちの登場と戦いのシーン、そして最後のオチ。
まったく文句のつけどころのない、完璧なめでたし、めでたし。
こんな作品、なかなかないかも!
時代劇風味なのも魅力的です。

明日はおべんとう、なんていう日に読んだらますますたのしそうですね。
もちろん、この絵本のオールキャストの準備は忘れずに。

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紙の本ゆきだるまのきもち

2012/02/21 09:44

ゆきだるまのきもちって…?保育園や幼稚園で読んだらたのしさ増しそうな12月のとっておきの物語。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「おたんじょう月おめでとう」シリーズの12月版。
12月のとっておきの物語は
先生と子どもたちが雪で遊ぶ姿が描かれています。

村上康成さんの描く子どもたちはデフォルメされていますが
表情も動きも活発で真剣な姿を見事にとらえています。

ゆきだるまの家族ができたところで、ごはんの時間。
食事がすんで庭を見た子どもたちはびっくり。
「すごーい!」

ゆきだるまの「ほんの かんしゃの きもち」って…?
保育園や幼稚園で読んだら、雪の日、ほんとうにこんなことが起きるかも…!?

巻末見開きには
「12月はあなたにとって とくべつな月」として
12月はどんな月なのか、旬なたべもの、星座、誕生花と花言葉、誕生石と石言葉、くさばな、旧暦の呼び名、冬至、クリスマスの説明もあります。

「おたんじょうび おめでとう」は外国語でなんというのか?
いくつか書かれていますよ。

誕生月に関わらず、全部読みたくなってくるシリーズです。

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紙の本ぼくがあかちゃんだったとき

2012/02/21 08:03

誕生日に父が息子に話す、はじめて会った日からきょうまで。繰り返し語りたい、成長のエピソード。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

6歳の誕生日を迎える日。パーティーのためたくさん料理をつくるおとうさんが、ぼくに生まれてからこれまでのことを話します。

浜田桂子さんのこれまでの絵本『あやちゃんのうまれたひ』では、母が娘に、生まれたときのことを話していましたが、
こちらは「ぼく」が語り部。父と子の会話がとても素敵なんです。

おかあさんは、やってくるおじいちゃんとおばあちゃんを迎えに行っているところ。
おとうさんとぼくはふたりきりです。
おとうさんが、ぼくをひざにのせて、にこにこして 言います。

 「おおきくなったなあ。 
  あの ひから 6ねん たったんだなあ」

 「あの ひって?」

 「きみに はじめて あった ひさ」

おとうさんは、ぼくがあかちゃんだったときの話をはじめます。

このおはなしのおもしろいところは、
ぼくが観客として、あかちゃんだったころの自分をながめているところ。
いまの自分と比べているんです。

 おかあさんも ひるま ねむるんだ。
 なにしろ よなか、きみに
 しょっちゅう おっぱいを あげるからね。
 そこで おとうさんの でばんさ。
 りょうり せんたく、どんと まかせとけってね。

描かれているのはとっちらかった台所。
おとうさん、料理本と首っ引きです。
あ、なべがふいてる!手に持ったおたまからも、シチューがたれてるよ。

ぼくは

 ねえ、おとうさん。
 だから おとうさん、
 りょうりめいじんに
 なったんじゃない?
 ぼくの おかげだね。

…たしかに。子どもの成長とともに、おとうさんも進歩したんですね。
簡単なようですが、おとうさん自身が意識して行動しないとできることじゃありません。
おかあさんも、全部自分でやってしまうのではなく、おとうさんにやらせてあげないとね。
夫婦お互いの協力あってこその、変化ですね。

はじめてわらった日、おしめをかえるとき、はじめての熱。

おとうさんとぼくの様子はコマ送りのように描かれているものもあり、
まるで映像を見ているようです。

うごきだし、たち、あるく。

ぼくも当時の自分ににエールを送り、いまのぼくとおなじになったと喜びます。

元気いっぱい、好奇心にあふれてうちの中のあらゆる物を出すぼくの姿。
いまのぼくはびっくり!

最後のおとうさんのことば、そしてぼくの返答がとても素敵です。


待ち焦がれたあかちゃんが、いま年月を経てここにいる。
成長してくれて、ほんとうにうれしい、ということ。
いま、ここにいる、子どもという存在に対する肯定です。

それを祝い、振り返る日。
その日が誕生日、ということですね。

表紙はぼくが1歳の誕生日。
ケーキにたてたろうそくをさわろうとしているぼく、
あわててとめるシーンが切り取られています。
おとうさん、おかあさん、おじいちゃん、おばあちゃんも勢揃い。
きょうと同じお祝いの日です。

子どもが生まれてからこれまで大きくなってきてからのエピソードは
子どもが小さいうちは誕生日ごとに、または子どもがせがんだらいつだって話して聞かせたいな、と思います。
母親ではなく父親から聞くと、ひと味もふた味もちがうのでしょうね。

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