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紙の本
人生は廻る輪のように (角川文庫)
著者 エリザベス・キューブラー・ロス (著),上野 圭一 (訳)
「本書はキューブラー・ロスというたぐいまれな女性が20世紀を生きた稀有な愛の記録であると同時に、著者が持つさまざまな側面が刻んだ稀有なたたかいの記録である。すなわち、財力...
人生は廻る輪のように (角川文庫)
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商品説明
「本書はキューブラー・ロスというたぐいまれな女性が20世紀を生きた稀有な愛の記録であると同時に、著者が持つさまざまな側面が刻んだ稀有なたたかいの記録である。すなわち、財力とテクノロジーさえあれば死を克服できると考え、臓器移植、遺伝子治療、肉体の再生をもくろむ死体や脳の冷凍保存など、ひたすら『神への挑戦』に邁進する『人間の傲慢と愚劣の極み、無知と尊大の極み』とたたかいつづけた闘士の記録であり、侵略戦争、ナチズム、偏見、差別による犠牲者に身を挺して援助の手をさしのべた国際的ボランティアの記録であり、超一流の精神科医(「絶望的」な統合失調症患者の九四パーセントを退院にまでもっていく意思は稀有である)の臨床記録であり、科学技術と物質文明の時代から霊性の時代への移行期に生きた科学者の観察記録であり、神秘家の修行の記録でもある。」(訳者あとがきより)
【目次】
第1章 偶然はない
第1部 二十日鼠の巻
第2部 熊の巻
第3部 野牛の巻
第4部 鷲の巻
【商品解説】
著者紹介
エリザベス・キューブラー・ロス
- 略歴
- 1926年生まれ。医学博士、精神科医。ターミナルケア(終末期医療)、サナトロジー(死の科学)のパイオニアであり、その成果をまとめた『死ぬ瞬間』は世界的なロングセラーになった。人生と生きかたについて綴った『ライフ・レッスン』(角川書店)も大きな話題を呼んでいる。
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人生に偶然はない
2004/12/13 22:16
13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:arte - この投稿者のレビュー一覧を見る
エリザベス・キュブラー・ロス博士はスイス生まれの精神科医。死の臨床、終末期医療の先駆者で、この「人生は廻る輪のように」は最晩年に書かれた博士の唯一の自伝だ。
博士はわずか900グラムの三つ子の一人として生まれ、子供時代から「自分らしさがはっきりしない三つ子の一人として生まれたのはなぜか?」と疑問に思ってきたという。その疑問はやがて「自分は誰か?」「自分らしさを発揮する生き方は何か?」という問いに変わって行き、若くして父親の反対を押し切って医師の道を選ぶ。
結婚を機にアメリカに渡ってから、末期ガンなど終末医療での患者の心のケアの必要性に目覚め、患者だけでなく、医療従事者も対象に「死を迎えるための」ワークショップを始める過程が面白い。一番面白かったのは、重体の患者を元気づける不思議な能力を持つ黒人清掃作業員の秘密が知りたくて、博士が彼女をスパイのように追いかけ回すくだり。作業員は博士に、息子を肺炎で亡くした経験から死が怖くないことを知っており、「心配しないで。死は怖いものではないのよ」と死に行く患者に語っていただけだと言う。博士は作業員を「人生の師」と呼び、自分の第一助手として採用する。
「人生に偶然はない」「起こったことは、起こるべくして起こったのだ」と言う博士は、降りかかる様々な困難を「学ぶための試練」だと受け止め、エイズ感染児の施設建設の反対者に自宅を放火されてもひるまない。自分の選んだ道を最後まで勇気を持ってエネルギッシュに生き続け、死の臨床に打ち込む様子は「医者」というより、ほとんど「聖職者」のようだ。こういう人はやはり、常人と違う「選ばれた人」ではないかという気がする。ただ後半、ニューエイジ思想的な体外離脱やチャネリングの方向へ向いてから少し付いていけないものがあった。
博士は今年8月に78歳で亡くなったばかり。1995年に発作におそわれた後、麻痺が残り、十年近い不自由な療養生活を送っていたという。果たして彼女自身はたっぷりと時間をかけて死の受容を成し遂げたのだろうか。
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尊敬と羨望の行動力
2015/01/31 11:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にゃむー - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会福祉の勉強をしていたときにたびたび目にしていた
そのご尊名……遅ればせながら拝読させていただきました。
タイトルからすると回転木馬のようなイメージかと、思いきや
先生の人生はまるでジェットコースターのごときスピード感と
スリリング感に満ちていて、読みだしたら止まりません。
どのエピソードも印象深く、たとえばマンハッタンの州立病院で
統合失調症の患者を開放した話など、それだけで
象牙の塔において革新的画期的なことであるにもかかわらず
さらっと次のミッションに進んでいくあたり、
凡人には及びもつきません。
研究対象としてだけの「死」ではなく
異界とチャネリングやメッセージなども含めて
スピリチュアルな傾向が多分にあったことも
この自伝を読んで初めて知りました。
また個人的には壮年期になってから実践された
刑務所でのワークショップが非常に興味深く、
今日でも十分にニーズがあるように感じられます。
訳者の上野圭一さんの書くあとがきも素晴らしいです!
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天職(医師)を全うした「生」の達人が残した自伝
2022/05/27 07:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「頑固に自説を曲げず、独立心が旺盛で、つまずきやすく、多少常軌を逸しているとしても、それがどうしたというのか? それがわたしなのだ。」
自己分析しつつこう言い切った信念の持ち主である著者は、900gの未熟児で生まれた三つ子の末っ子だという。欧米では出生順でなく逆順で姉妹が決まる慣習らしい。幼い三つ子の姉妹がお人形さんのように並ぶ写真(31頁)が微笑ましい。
「人は学ぶべきことをすべて学んだときに人生を終えるのだ。」
誰もが避けたい「死」という無慈悲な現実に、医師となった著者は敢えて真正面から向き合い、死にゆく人たち(末期患者)の気持ちと命の瞬きに寄り添う。
「人生に保証はない。だれもが難問に直面する。直面することによって学ぶようにできている。」「いのちの唯一の目的は成長することにある。偶然というものはないのだ。」
生きたいと願いながらも死を迎える患者から「生きなさい。ふり返っていのちを無駄にしたと後悔しないように」との共通メッセージを得ている著者にとり、いとも簡単に生を断ち切るティーンエイジャーの自殺は、その尻を蹴飛ばしてやりたくなるほどの歯痒さだろう。
「地球に生まれてきて、あたえられた宿題をぜんぶすませたら、もう、からだをぬぎ捨ててもいいのよ。からだはそこから蝶が飛び立つさなぎみたいに、たましいをつつんでいる殻なの。」
著者のこの言葉は、「死」への恐怖を取り除く「安らぎ」そのものだ。それは「愛」と呼び替えられる。著者の言葉を借りれば、愛は「いのちを織りなすありふれた繊維」だが、「たましいを燃やす炎であり、精神にエネルギーをあたえるものであり、人生に情熱を供給するもの」なのだ。
生きることは「わたしたちがそこからなにかを学ぶべき教訓である。わたしたちは選択をつうじてそれを学ぶ」と看破した著者は、「愛すること、分かちあうこと、他のいのちを豊かにすること、手をふれ、ふれられること——それ以上に価値あることが存在するだろうか?」と問い掛ける。
「請けあってもいい。人生最高の報酬は、助けを必要としている人たちにたいしてこころをひらくことから得られるのだ。最大の祝福はつねに助けることから生まれる。」
患者の「死」を見詰め続け天職(医師)を全うした著者は、実に「生」の達人だったと実感した。
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死ぬこと、生きること
2018/08/02 14:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
終戦直後のボランティアの話と、彼女自身がケアを受ける側になったときの社会保障制度への批判が特に印象的でした。彼女の言い分はもっともですが、すべての医療関係者に限りない奉仕を求めるのは、さすがに無理があるように思いました。
よく生き、然るべく死ぬのは、誰にとっても簡単なことではないようです。人類の尽きせぬ課題なのでしょう。
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海外旅行になったかもー
2017/05/14 21:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうこりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ライフレッスン」に共感したので、この本を書いた方の人生を知りたくなりました。
目まぐるしい人生で、とても一人の人の人生とは思えない程でした。
ちょっと納得できない部分もありますが、こんなすごい人生を送ったから「ライフレッスン」という素晴らしい本が書けたのだと更に納得しました。
無宗教ですが、「愛」が大事だと思いました。
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生と死
2017/05/02 14:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にゃんこ鍋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生と死について、精神科の女医のエッセイである。内容からして暗く重たいかと思ったが、むしろパワー溢れる人生論にただ脱帽である。
彼女の素晴らしい考え(言葉)の一部抜粋しておこう。
「人生は洗濯機のなかでもまれる石のようなものだ。粉砕されてでてくるか磨かれてでてくるか、けっきょくは、それぞれの人が選択している。」
「人生は時間とともに展開していくが、教訓はその人が必要とするときにやってくる。」
名言だと思う。
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運命をこの手で切り開いていく
2024/02/21 14:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もそ - この投稿者のレビュー一覧を見る
キューブラー・ロスさんの自伝。
前半は医師として戦争や旧習な世界に立ち向かっていく話。
後半は死後の世界を意識し、大きく飛躍していく話。
そのあまりの変化のすごさにたじろいでしまう。
しかしながら、共通していることは「死」を意識することで初めて、
自分の「生」のかけがえのなさを大切にできるという彼女の思い。
善悪の判断をすることなく、まずは読んで感じることを皆さんにお勧めしたい。