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商品説明
交際3年。求婚済み。年の差なし。ここが、世界の頂点だと思っていた。こんな生活がずっと続くんだと思っていた−。精緻にしてキュート。清冽で伸びやか。野間文芸新人賞作家が放つ恋愛長編。『きらら』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
中村 航
- 略歴
- 〈中村航〉1969年岐阜県生まれ。2002年「リレキショ」で文藝賞受賞。「夏休み」が芥川賞候補に。「ぐるぐるまわるすべり台」で野間文芸新人賞受賞。
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こういう、あざといタイトルを付けてはいても、そして話は予想とおりの展開をしても、なんとなく許せるのは中村に受けを狙う嫌らしさがないことが大きいんでしょうねえ
2005/12/24 23:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルにここまではっきりと「泣く」って書かれると、どうだかなあと思っちゃうんですね。大体、出版社が『世界の中心で愛を叫ぶ』を出したところなわけですよ。そりゃないだろ、っていう題ですよ。でも、許せるんですね、作者が中村航のバヤイは。むしろ、この露骨なタイトルをどう料理するのかな、なんて期待までしちゃうんですからファンというのは恐ろしい。
で、全体は四章です。
目次からは、なーんにも分りません。出だしはさり気無く始ります。主人公である僕のところに、岐阜の実家の母親から「犬が死にそうだ」とい電話があるのです。犬は八歳。実家には就職をしてから帰っていなかったから、最後に犬を見たのが四年前のことになる、とあります。犬は一年前に重度の腎不全であることが分って、以来、なんとか生きてきた、そういう状態です。
犬は生まれたてのときに、赤坂に住んでいた主人公に拾われるわけですが、そのとき浪人生活をはじめたばかり、とありますから僕は現在、26、7歳ということになります。で、実家にいた頃は、ブックを胸に抱いてバイクで揖斐川まで連れて行った、とありますから場所もおぼろげにわかります。そうやって犬はバイクの音に主人公を想うようになるわけです。
今は実家を出て東京で一人暮らしをしている主人公は、母親からの電話に応えて、四年間放置したバイクで犬に会いに行く決心をします。そのために、バイクを掃除します。古くなったガソリンを抜くためにガソリンスタンドに行くのですが、そこで知り合ったのが加藤さんです。彼の教えで僕はキャブレターを分解掃除します。その描き方、メカの描き方は流石、中村です。
そして、キャブレター掃除を手伝うのが彼女で、名前は佳美ですが、なかなか出てきませんが。付き合って三年になります。同い年で二人を結びつけたのが今は分かれたムースとバッハとう似合わないカップルということになっています。後先になりましたが、主人公は僕ですが、藤井さんと呼ばれることもあります。印刷機器の生産の一部と、設計・技術部門が残っている工場勤務でCADを扱っていますから、設計者ということになります。
登場人物は少ないですが、特に印象的なのがGSの加藤さんと、主人公の会社の試作室にいる石山さんです。試作室の王ともいわれ、課長の戦略も、部長の政治力も、もしかしたら社長の威光でさえも届かないと想われています。試作室の真中には御影石でできた水平定盤があり、それをどうやって運び込んだかが謎であることや、弟子がいない、彼の定年とともに独立王国であった試作室も長い歴史を終えるだろうといわれています。
長女も私も100回泣くことはありませんでしたが、涙ぐむことは何回もありました。でも、微笑むような場面も沢山ありました。前半の彼女との会話は、それこそ夜空に煌く星のように無数の宝石でもあります。さり気無い一言が、読者の心を溶かしていきます。同世代に似た作風の作家がひしめきますが、こういうさり気無いユーモアと言う点では中村は他の存在を寄せ付けない、そう思います。
長くない話ですので、ともかく読んでもらいましょう。泣くことを期待するのではなく、心が温まる言葉に出会いたい人には最適の本です。勿論、ハンカチは用意しておいて損はしません。はい。
もくじ、第一章 犬とバイク、第二章 スケッチブック、第三章 開かない箱、第四章 箱と中身、『きらら』に05.6〜05.11に掲載されたものに加筆訂正。出版が05.11.20
装幀 川村哲司、装画 宮尾和孝
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タイトルに惹かれて買いました。
2010/05/05 21:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かず吉。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中村航さんという作家は全く今まで知りませんでした。
本屋で平積みされていた「100回泣くこと」のタイトルと
表紙の絵に惹かれて購入。
とてもうまくいっているカップルに突然訪れる悲劇。
ありきたりなストーリーだけど、中村さんの言葉の選び方
と登場人物のキャラクターがとても魅力的なので、
あっという間に話に入り込んでしまう。
死にかけてしまう犬や壊れかけたバイクは復活するけれど、
一番大事なものは復活せず、会社で号泣するシーンでは
リアリティがありすぎて、本当にグッときました。
壊れかけたバイクを直している途中にさらりとプロポーズ
する主人公、「じゃ、練習しよう」と提案する彼女。
「柔道したい。投げまくっていい?」っていう彼女に、
「もちろん。いい受け身をとるよ」っていう主人公。
さりげない会話の中にもユーモアがあって、とてもよかった。
さらりと読める小説で、だけど、心には何か大きなものが
残りました。
まだ1冊しか読んでないけど、中村航さんの文章は
好きです。やばい。久々にはまりそうな作家さんと
出会えました。
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人を愛するということ
2006/04/13 01:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
リレキショとスケッチブックって似ている気がした。そこには、等身大の自分が描かれている。そのスケッチブックに愛の宣誓が描かれているなんて、何て素敵なのだろう。人を愛するということは、何とシンプルな行為なのだろう。そのひたむきさが、また、素敵だ。