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商品説明
マコト、恋に落ちる。ちぎれたネックレスの美女が池袋に現れた。かつてレイプ被害にあいながら力強く再生しようとする彼女の強靭な魂に魅かれていくマコトとタカシ。【「BOOK」データベースの商品解説】
4人組の暴行魔を探してほしいという美女の依頼で調査を始めたマコトは、池袋で注目を集めるホームレス自立支援組織に疑いを抱き…。I/W/G/Pシリーズ第10弾。『オール讀物』連載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
データBOXの蜘蛛 | 7−51 | |
---|---|---|
鬼子母神ランダウン | 53−95 | |
北口アイドル・アンダーグラウンド | 97−143 |
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紙の本
いつの日にか自分のステージが来る、その日まで。
2010/12/22 15:56
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロングラン&ヒットシリーズ池袋ウエストゲートパーク(以下IWGP)もとうとう10年。10冊目(本編)。
石田氏にとってライフワークとも相棒ともいえるであろうこの作品、著者自身インタビューで語っているように「一区切り」ついたらしい。
思えばこの作品が世に出た頃はまだ池袋は(都民にとって)マイナーな田舎臭い街だったろう。
今や大手家電量販店が参入したことで急成長しつつあるこの街。ここに参入して来た企業も、行き交う人間も、犯罪の種類もだいぶその様相が変わって来た。
当然、池袋に生きる人々の抱えるトラブル、悩み、挫折の種類もより複雑に、より高度に、より小難しいものへと変貌し、トラブルシューター真島誠(マコト)に助けを求める人々も十人十色。
思えば巻を重ねるごとに知っているようで知らない、遠いようで実は身近な物語を見てきた気がする。
ただ、今回はそういったハイスペックなトラブルは殆どない。
むしろ池袋にはまだこんな身近な、昔からある、誰にでも起こりうるちっぽけで重いトラブルが普通に転がっているんだと、あたため直すような物語で構成されている。
あんまり小さくてくだらなくて、気にも留めてもらえないマイナーなトラブル。それは世間に取ってはちっぽけでも当人にとっては一大事で、そんな彼らはマコトを最後の頼みにしているのだ。
そんなトラブルの中、あいかわらず池袋の悪ガキ集団Gボーイズのキング(タカシ)はかっこよくいい所をクールにさらっていくし、マコトは様々なトラブルに首を突っ込んでは持ち前の推察力をフル稼働させて解決して行く。
そしてそうした誰にもわかる物語から、石田氏は全身全霊で「諦めるな!」と呼びかけている。
石田氏の作品にはよく「優しい」物語が多いといわれる。「癒し」ではない、「優しい」だ。
今までいくつもの物語をIWGPシリーズに見て来たが、最終的にマコトの周りは強く元気になって行く。
そう、IWGPは慰めでも癒しでもない、次へすすめの応援歌なのだ。
どんな苦境に立っても負けずに諦めずに生き続ければ、いつか必ず「自分のステージ」がやってくる。
そんなメッセージを誠の言葉に乗せて、著者は読者に呼びかけ続ける。精一杯のエールだ。
応援を受けたわたしとしては、それに応えずにはいられない。
今はまだ何も出来ないかもしれないし、立ち止まることしか出来ないかもしれない。
けれどいつか自分のステージがやって来た時、いつでもスタート出来るようにしっかり前を見据えて待ち構えていよう。マコトとIWGPの住人のように。