紙の本
この番組を広めましょう
2016/11/06 10:47
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投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
息苦しくなったマスメディアの中でも、昨年1年間を通して、こんな番組が作れるんだという希望と勇気を与えてくれた1本。その番組がどんなふうに作られていったのかが、そうして、ラストになぜ日本人は中国に対して、ちょっと、という気持ちを持ってしまうのか、そのあたりまでていねいに描かれています。右も左も、そして、マスメディア関係者、マスメディアを批判的に見ている方も、ぜひ、お読みください。そして、今の日本を考え直してください。ニーメラーのことばが、日本で再現されないためにも。数時間で一気に読みましょう。番組をまだ見ていない方は、番組サイトをのぞいてみてください。
紙の本
本当の事件
2016/10/23 22:47
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投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
正しい数字はともかくとして事件が本当にあったのは認めざるを得ないのではないか。
弁償を新たに追加する必要はないと思うが、事実は事実として認める必要があると思われる。
事実を認めることによりいかに戦争が悲惨で、また二度と起こしてはならないことが伝わると思う。
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歴史認識は慎重に
2020/12/18 07:42
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投稿者:歴史認識は 慎重に - この投稿者のレビュー一覧を見る
番組を観ました。小野賢二氏の 集めた 「陣中日記」が 元ネタとの由。ネット検索もしました。例の番組にでてくる 揚子江沿岸の死体写真 小学生のころ 図書館の本で 見た記憶です。説明では "凍溺死体"と記憶しています。
最初に写真ありきでは? ネットによれば 日記原本は 公に公表されておらず、氏名も仮名との由。つまり 資料が 本物かどうか、検証のしょうがナイですね。現実には 「両角(回顧)手記」が 真実の可能性ですね。山田中将供述が 真実の可能性です。実名であり 当事者でした。なにより 東京裁判で 調査され 不起訴の由。何故? 捕虜虐殺とは 認識されなかったのでは。国際安全区市民20万人虐殺が
否定されてきたので 対抗として 番組が 制作されたのか。小野賢二氏は 不起訴が 面白くなかったのか。証言者は何者か? 逆対抗として 清水、小野両氏の 作品を 調査したくなりました。
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「なかった」という話を聞くことが多かった。被害感情や、プロパガンダ、政治や外交、戦争や虐殺、
今まで距離をおいて、目を背けてきた。
傍観者であること、無関心であること、
それによって無意識に人を傷つけていると思うと改めていくことがたくさんあると気付いた。
すべてを知ることはできないけど、少しでも平和な世の中になるためにも歴史の過ち、いろんな人の内面を知っていきたいと思う。
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【南京事件はあったのか、なかったのか。】79年前の事件を調査報道せよだって!? 戦後70周年のムチャ企画に敏腕事件記者は南京へ。戦争を知らないからこそ書けたルポ。
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清水さんは1958年生まれ。日テレの記者、解説委員をしている。清水さんにとって戦争とはピンとこないものだったようだが、戦後70周年の企画として「南京大虐殺」をとりあげることになった。それは世が日本人が戦争被害者であることを問題にすることに対する反感であったろう(中国がオバマの広島訪問に冷淡だったのはそのためだ)。しかし、この事件については肯定・否定両陣営から多くの本が出ている。ぼくは最初これ以上なにを問題にするのかと思ったほどだ。しかし、清水さんは記者として、原典に当たること、裏を取ることを徹底し、それをテレビで報道するところまでもっていき、多くの人の共感を得た。きっかけは、兵士の日記である。しかし、これは活字なので、もとを探し、さらに事件にかかわった人たちから裏を取り、まわりの事実も一つ一つ固めていった。その結果、大量の捕虜が計画的に殺されたという事実が真実であることがわかった。南京大虐殺では30万人という中国の公式見解が問題になり、この数字がおかしいから、結局そういうことはなかったのだという論理?にもっていく人が多いが、清水さんの言うように、あったことを証明することは容易だが、ないことを証明することは難しい。『南京大虐殺のまぼろし』にしても、事件があったことは認めているのである。もちろん、日本側からすれば、自分たちより多くの捕虜をもてあましたことはある。これを解放することは危険だとも考えたろう。だから、殺したわけだが、それならそれでその事実は認めるしかないのではないか。本書は、さらに清水さんの心の中にわだかまっていた父のことば「中国人はどうしょうもない」から、祖父が日露戦争で勲章までもらったこと、父がシベリア抑留の犠牲者であったこと、自分が接した真面目な中国人留学生たちのことに及ぶ。一人の人間が加害者でもあり被害者でもあることを認識する中で、さきほどのわだかまりが少しずつ解けていく。本書はそういう意味で当事者研究でもある。
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「戦争で勝つためには自国民の命すら問題にしない軍が、敵国民の命に配慮をするはずなどないだろう……。」(p.212)
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正直に言えば「南京事件」の存在を否定はしないが、信じたくない側にいた。ネットでの存在否定情報を喜んで読んでいたと言える。
しかし、本書を読み考え方が一新された。否定したくなるような過去を持つことは恥ではなく、過去から学ばないことの方が恥である。
日本の歴史教育が明治維新までで終わってしまった世代としては、今更ではあるが近代史を自分の意志で学びなおす必要がある。どちら側かからの視点の書物が入手可能である事が唯一の救いか。
次の戦争が始まるまでは、戦後であり続ける。とてつもない代償を払った太平洋戦争からは、まだまだ学び続けなければならない。
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『桶川ストーカー殺人事件』『殺人犯はそこにいる』の著作で世に知られた調査報道で有名な清水潔氏。著者は最近日テレに移籍したが、本書は南京事件について日テレ「NNNドキュメント」として放送した調査内容を書籍化したものである。
南京事件自体は、基本的には実際にあった史実だと思っている。殺された人の人数含めた事の仔細が不明なだけだという認識である。南京事件で行われた所業として知られるものの中には、おそらくは捏造されたり、誇張されたりしたものもあっただろう。だからといってそのことが南京事件で民間人の虐殺がなかったという証拠にはならない。本取材においては、当時の日本兵が携行した日記などの一次史料から、そこからわかる範囲において実際にその事件がどのようなものであったのかを明らかにしていく。
清水さんを有名にした先の二件ほどの驚きはないが、誠実でしっかりとした取材の上での報道だと思う。
なお、2015年10月4日に放送された「NNNドキュメント 南京事件 兵士たちの遺言」の実際の放送は、このレビューを書いた時点では以下のリンク先で見ることができる。
http://www.dailymotion.com/video/x38lb8r
文字起こしもされており、同じく以下のリンクで確認することができる。
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/ba7c323938bb4c49f843826f525a69cc
本の内容とは離れることになるが、この本のAmazonのレビューが荒れているのがとても気にかかる。
清水さんも南京事件について扱うと右からも左からも”両方から”矢が飛んでくることになると忠告されたと書いている。そして、それは実際にそうなった。
清水さんは、取材においてこれまでそうと意識はしなかったが、どこかで中国を見下している目線や感情を抱いていたのではないかと告白する。その感情は多くの日本人の中に大なり小なり潜んでいるのではないかと指摘する。そして、少なくとも自分たちの祖父母や親の世代まではおそらくそれが多数の人の肌感覚であったのだと思う。その世代の人の発言を聞いて、そうであったであろうと感じることが少なからずあったのも事実だ。
放送から1年も経った2016年10月、産経新聞が写真に裏付けなしとの報道を行った。
「「虐殺」写真に裏付けなし 同士討ちの可能性は触れず 日テレ系番組「南京事件」検証」
http://www.sankei.com/premium/news/161019/prm1610190008-n1.html
「産経新聞 2016年10月16日付掲載〈「虐殺」写真に裏付けなし〉記事について」
http://www.ntv.co.jp/document/info/archive/20161016.html
その経緯の説明と分析は、次のブログにも詳しい。
http://blogos.com/article/196335/
産経新聞のスタンスは明確に自社のポジショントークであるように思われる。彼らは、証拠がなく、印象操作だと主張をしている。立命館大学名誉教授の北村氏の意見として、客観的根拠は明示せずに「ほのめかし」を駆使していることについて「中国の謀略宣伝のやり方と酷似している」としている。産経新聞の記事では何ら確定的なことは言っていない。しかし産経新聞の熱心な読者であれば、どのように解釈するかは明らかだ。フィルタされた情報の中で、何も変わらないのかもしれないなという感じ���持たざるをえないのはとても悲しいことに違いない。時が解決するには十分な時が経ったのだと思うのだが。
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・桶川ストーカー殺人や、北関東幼女連続殺人などの
他の著作も読んでいたので、期待していた
・Nテレで過去に特別番組を放送していたらしい。
見たかった
・南京大虐殺というのは、教科書の情報しかしらず
政治的な問題になっているのもあって
個人的には避けたい気持ちが強かった
・あった、なかったレベルではなく、当事者の日記など
きちんとした一次資料レベルの情報を知れたことは
とてもありがたかった
・さらにそういった情報が以前から発信されていたことを
自分がまったく知らなかったということが、
きちんと理解しようとしていなかったし、
興味を持たなかった自分の姿勢の反省にもなった
・この本を読んで、全員が同じ感想を
持つわけではないと思いますが、
各個人が考えるきっかけになり、機会があれば
忌憚なく意見を交わせるようになれないものかと
率直に思った
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真実を追求することを目的にこの書を読むならば、手に取らないほうが良いだろう。「南京事件が真実であって欲しい」という著者の思いが、ジャーナリズムを捻じ曲げている。30万人の虐殺は、結局証明されない。しかし、そんなことはどうでもいいのだ。日本人は残虐で、野蛮だから、中国様に頭を下げろと言いたいだけ。日本を虐めることに快楽を感じる人には、強烈におススメ。
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氏の著書は毎度購入し、すぐに読んでいる。今回もそうだ。とにかく何が真実だろうか、それだけを追い続ける姿勢に頭が下がる。右から見ようが、左から見ようが、上から見ようが、そうかどこから見ても、現実は現実なんだろうな、などと考えながら読んでいた。
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『殺人犯はそこにいる』、『桶川ストーカー殺人事件』
が良かったので期待して読み、NNNドキュメント『南京事件 兵士たちの遺言』も観てみた。
南京事件はさすがに、さんざんやってる歴史なんで既存資料の『南京大虐殺を記録した皇軍兵士たち』をメインにかぶせた感じ、編者に本多勝一って中国共産党が絡んでそうで引っかかるなぁ
中立とは言ってるんだけど
なんか立ち位置が寄っちゃてる感はあるかな
『殺人犯はそこにいる』、『桶川ストーカー殺人事件』みたいな迫力は感じませんでした。
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「南京事件」或は「南京大虐殺」。これに関する本を数冊読んできたが、1937年、南京攻略の際、日本軍が、法にも人の道にも外れた残虐行為を行ったことに、疑いの余地はない。正確な被害者の数は最早永久にわからないだろうが、行為自体がなかったと主張する人間は、何を目指しているのか知らないが、無知か不誠実か、その両方だろうから、相手にしても仕方がないと思っている。
この本に興味を持ったのは、著者が「桶川ストーカー殺人事件」の清水潔だったからである。1999年、桶川駅前で女性が刺殺される事件が発生した当時、清水潔は写真雑誌FOCUSの記者だった。彼は独自の取材を重ね、警察よりも大手の記者よりも先に真犯人にたどりつき、警察の対応の杜撰さ、怠慢、不正を暴き出し、一躍有名になった。その清水潔が、メディアがタブー扱いしているこの事件を調査報道の手法で調べるとどうなるか、大変興味があり、楽しみにしていたのだが、予想通り、大変有益な本であった。
著者は、戦時中の一次資料を重視する。後から出てきた証言は、いろいろな思惑が絡んでいる可能性があるからだ。著者は、防衛相防衛研究所に保管されている当時の命令書、兵士が書いた現存する実物の陣中日記を読む。読む際は、紙の質や劣化具合までを確かめる。日記の中に船の名前が出てくれば、図書館や地元新聞社で出船や入船の記録を調べて期日を照合する。虐殺の証拠写真と言われるものについては、その撮影場所を周囲の景色から特定する。とにかく、あらゆる手段で一次資料の信憑性を確認していく。もちろん、中国・日本両国で、当時を知る人々に会い、話も聞く。
こうした調査の結果、著者は、正確な犠牲者数はわからないにしろ、日本軍による虐殺行為があったという常識的結論を再確認する。これは予想された当然の帰結である。また著者は、南京事件を強く否定しながら、少し突っ込まれると「無かったとはいわないが……」とすぐに発言を翻す自民党原田義昭の無節操さ、それでいて最後はでも捏造だと主張する非論理性、繰り返される「国益」という言葉などから、南京事件についての対立の構図は「肯定派」対「否定派」ではなく、「利害」対「真実」だと思うようになる。慧眼である。
調査の中で、日露戦争で勲章をもらった祖父、ソ連の捕虜となって強制労働に従事させられた父についてあらためて考える個人的な記述も、私は大変興味深く読んだ。とにかく多くの人に手に取ってほしい良書である。
最後に、この本は著者が手がけたテレビ番組「NNNドキュメント 南京事件 兵士たちの遺言」(2015 日本テレビ)を発展させたものであるが、産経新聞がこの番組に対して、著者がこの本で予想した通りの反応を示したことが、滑稽だった。
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著者の清水潔は、桶川ストーカー殺人事件を、警察の犯罪も含めて事実上”解決”し、足利事件で菅家さんの冤罪を証明する原動力となった「伝説の記者」だ。現役ばりばりだから伝説は変かもしれないが。
その彼が南京事件を扱うとなれば読むしかない。
著者の手法は徹底した現場主義。こつこつと現場に足を運び、関係者に話を聞く。納得いくまで何回でも。
とはいえ南京事件は70年以上昔の話だ。現場は大きく変わっており、関係者もすでに亡い。どうするのだろうと思っていたら、一次資料に当たりまくる。現場の兵士の日記、軍の記録、帰還後の兵士の証言。証言についてはテープやビデオで確認。
これで南京虐殺なんかないというのなら、歴史なんか勉強したって意味ねえよな。
なんで第2次大戦はなかったくらいのことを言い出さないのだろう?
この人の本を読むたびに思うのだけれど、警察より早く犯人にたどり着いたりするのに、やっていることはごくまっとうで当たり前だ。それでどうして、と思うくらい。たぶん、他の人より少しだけ丹念で、少しだけ諦めが悪く、少しだけ生真面目なのだ。
南京事件は著者の追った他の事件と違い、すでに終わった事件だ。本書はそういう意味での緊迫感はなかった。その代わり、著者のもう一つの旅、中国人に対する偏見や、自分の祖父が日露戦争の軍人だった事実を、消化していく過程が興味深い。そこにも目をみはるような飛躍があるわけではない。ひとより少しだけ誠実に、少しだけ生真面目に考えていく。中国に行ったり、中国人と話をするという現場主義がここでも顔を出す。そして著者の出した結論が、これまた平凡で、当たり前ではあるのだけれど、ああ、その通りだよな、と腑に落ちる。