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紙の本
タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源
著者 ピーター・ゴドフリー=スミス (著),夏目 大 (訳)
進化は「まったく違う経路で心を少なくとも2度、つくった」。1つはヒトを含む脊索動物、もう1つはタコやイカといった頭足類。知能の高さゆえの行動など、人間とはまったく異なる心...
タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源
タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源
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商品説明
進化は「まったく違う経路で心を少なくとも2度、つくった」。1つはヒトを含む脊索動物、もう1つはタコやイカといった頭足類。知能の高さゆえの行動など、人間とはまったく異なる心と知性をもつ頭足類の生態を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
心は何から、いかにして生じるのだろう。進化は「まったく違う経路で心を少なくとも二度、つくった」。一つはヒトや鳥類を含む脊索動物、もう一つがタコやイカを含む頭足類だ。哲学者であり練達のダイバーでもある著者によれば、「頭足類と出会うことはおそらく私たちにとって、地球外の知的生命体に出会うのに最も近い体験だろう」。人間とはまったく異なる心/内面/知性と呼ぶべきものを、彼らはもっている。本書は頭足類の心と私たちの心の本性を合わせ鏡で覗き込む本である。
海で生まれた単細胞生物から、現生の頭足類への進化を一歩ずつたどれば、そこには神経系の発達や、感覚と行動のループの起源、「主観的経験」の起源があり、それは主体的に感じる能力や意識の出現につながっている。「タコになったらどんな気分か」という問題の中には、心とは何か、それは物理的な身体とどう関係するのかを解き明かす手がかりが詰まっている。
知能の高さゆえの茶目っ気たっぷりの行動や、急速な老化と死の謎など、知れば知るほど頭足類の生態はファンタスティック。おまけに著者の見つけた「オクトポリス」(タコが集住する場所)では、タコたちが社会性の片鱗を示しはじめているという。味わい深く、驚きに満ちた一冊。【商品解説】
目次
- 1 違う道筋で進化した「心」との出会い
- 二度の出会い、そして別れ
- 本書の概要
- 2 動物の歴史
- 始まり
- ともに生きる
- ニューロンと神経系
- エディアカラの園
- 感覚器
著者紹介
ピーター・ゴドフリー=スミス
- 略歴
- 〈ピーター・ゴドフリー=スミス〉1965年シドニー生まれ。シドニー大学科学史・科学哲学スクール教授。ニューヨーク市立大学大学院センター兼任教授。専門は生物哲学、心の哲学、プラグマティズム、科学哲学。
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紙の本
オルタナティヴって言葉の意味を考える。
2022/10/07 17:56
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
原題は”OTHER MINDS”
そのほかの精神(たち)とか、そのほかの心(たち)と訳される。
この本では、タコと、コウイカとツツイカの「知性」のようなものを考えながら、人類あるいは脊椎動物の精神についても考えていく。
ダイバーでもある作者のエッセイ風の文章から始まるけれど、本書は軽い読み物ではないし、作者の体験が全体から浮き上がるようなこともない、きちんと主要な論点に触れる事柄である。
とにかく面白い。
共通の祖先は遥か昔、おそらく、全く別個に知性を育んできた、頭足類と脊椎動物。
ひとまとめに頭足類としているが、コウイカとタコも、まあまあ昔に分岐しており、見た目以上にかけ離れた存在である。
最も古いオウム貝を別にして、何のために彼らは高度な情報処理能力を蓄えたのか、見た目に反して、機械的なまでに短命な種が多いのはなぜか?
本書は魅力的な謎を繰り出してくる。
魅力的な謎とは、解明されざる謎だ。
注を読んでいくと、現在進行形で研究が進んでいることも伝わってくる。
人の体は、ネットワークの一部だ。
タコもまたそのネットワークに繋がってる。
オルタナティヴって言葉の意味を考える。
文章は平明で鮮やか。
これは未来の古典になるような本だと思う。
紙の本
もしもタコになれたら
2022/08/31 21:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:モリンガ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タコはSFに登場するなど、変わった見かけからか、昔からその存在は注目されてきた。しかし、研究によって明らかにされていくタコの実態は想像を遙かに超える。一本一本の独立した脚、特異な能力、複雑さ、繊細さ…。なんという素晴らしい生き物であろう。
紙の本
タコもイカも。
2019/01/27 11:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学が専門、と最初の章で述べる著者は本書を「知性や心の進化」を考察する本だと紹介している。ダイビングが趣味でもある著者は自ら観察したタコの行動を中心に「心とは」を考えていく。タコに名前をつけて観察していく手法は動物行動学を広めたコンラッド・ローレンツやサルの社会学を研究した日本の研究者を思い起こさせる。行動を記録した写真も豊富で楽しめた。
ヒトなどの哺乳類とはかなり異なる機構をもつタコも「心」があるように人間には思える行動を示す。そのような「心」を考察することは「地球外生命」を考えることにも役立つだろう、という著者の言葉はなるほど、と思える。
タコとヒトを比較しての部分が多いが、途中にはかなりコウイカの類の話も入っている。頭足類としては同じ扱いにしても良いのだろうが、それならば「ヒト」と「他の類人猿」も並べて比較した方がよいのでは?などと思ったりもした。そのあたりの「考察種類の選び方」に混乱させられることろがある。
それでも「全く異なる機構の知性」から考えていく面白さはあった。
電子書籍
タコに魅せられて
2020/12/18 08:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Adele - この投稿者のレビュー一覧を見る
タコは動物として人間とは遠い存在でありながら、大きな脳を発達させ、好奇心を持つなど高い知力をもつ生物だ。
この本を読んだからと言ってスッキリ明瞭な事実が分かるわけではない。タイトルにある「意識の起源」の答えは出ていないし、謎めいたタコの生態の多くは推測に過ぎない。
だからこそ未知の領域に想いを馳せるワクワクがあるし、タコにはヒトを魅了してやまない何かがある気がしてならない。
それはタコとヒトが進化の過程で遠い遠い昔に分岐した「カタワレ」だからかも知れない。パラレルワールドのように、人間としての感覚世界と一方で人間が想像すらできないタコの感覚世界が存在している。
タコを通して進化史と哲学の旅へ。
紙の本
頭足類と心について
2024/01/15 21:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
「タコになったらどんな気分か?」という問いを真剣に考えたことがある人はどれだけいるんだろう。
スーパーでお目にかかる機会は多いが、頭足類は奥深い。
タコをはじめとする頭足類について哲学者が研究し考察した知見をまとめたものが本書です。
以前頭足類の研究をしている博士の著書で、イカは群れを作るがタコは単体行動をするベントスという記述があった。
それだけにタコが集まる「オクトポリス」は興味深いスペースだ。
オーストラリアの東海岸にあるこのオクトポリスでは、タコの巣穴があちこちにあり数十匹ものタコがそれぞれの巣穴から顔をのぞかせている。
そしてタコ同士の間でも交流があるようで、ハイタッチのように触手を合わせることもあれば新参者のタコが追い払われることもあり、独自のルールが存在するようだ。
そんな不思議な空間であるオクトポリスを中心に話は展開します。
頭足類の高い知能の不思議についてまず進化の過程から見ていきます。
三十六億年前に始まったとされる進化の歴史の中から単細胞生物から多細胞生物への発展、目の発生、エディアカラの園とカンブリア爆発について順にみていきます。
頭足類の仲間である軟体動物は身を守るために殻を持ち、それが浮力を得て泳ぐことのできる姿へと進化していった。
浮力をもって高速移動できるようになった頭足類は再び殻を捨てて自由に泳ぐようになり、タコを含む足が八本のグループとイカを含む足が十本のグループになって現在に至る。
タコは約五億のニューロンを持っているが、脳だけでなく八本の足にも多くのニューロンが存在する。
触るだけでその味までも感じ取ることができ、腕だけで思考が完結できると言われれば人間の想像力を超えた世界が海の中に存在していると言うしかない。
真ん中にカラーページがあって、オクトポリスに住むタコの姿やジャイアントカトルフィッシュの体色の変化が載せられていた。
水族館でコウイカが体の模様や色を一瞬で変化させる姿を十分以上眺めていたことがあるのですが、一瞬で身体の濃淡を変化させたり突起を変化させていてとても面白かった。
頭足類の体色変化についても感情とリンクしていて、脳の活動の副産物として表現されているのではないかと考察しています。
寿命が短いにもかかわらず高い知能を持ち記憶を保持することができる頭足類の不思議は、人間の知能と記憶にも通じるものがあるに違いない。
哲学者らしい着眼点のもとに頭足類について書かれた本でした。