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  3. こじましゅういちさんのレビュー一覧

こじましゅういちさんのレビュー一覧

投稿者:こじましゅういち

22 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本最果ての銀河船団 上

2002/06/12 18:15

タイトルから想像できるより、はるかにドラマチックな物語!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 遠い未来、光速に遠く及ばないラムスクープ推進と、加齢を止める冷凍睡眠設備で、人類は遅々と、だが着実に星系から星系へと版図を広げていた。そんな折、謎の多い天体・オンオフ星から、規則的な信号電波が検出される。もしこれが知的生命体の手になる信号ならば、そこに付随する潜在的利益は莫大なものに違いない! たちまち異なる2つの人類文明がオンオフ星に船団を派遣した。星系間で技術を売買する宇宙商人たちの文明、チェンホーの船団と、独裁制よりなる謎めいたエマージェント文明の船団である。
 だが、オンオフ星系に到達した時点で、2つの船団は利権争いから戦闘行動に走り、双方とも帰還不能なほどの損害を被ってしまう。生き残るためには、チェンホーとエマージェントが協力しつつ、オンオフ星の異星人……蜘蛛族の文明が、人類との交易をするに足るだけ発展するまで、冷凍睡眠をはさみながら何十年も待つしかない。人間たちの間で渦巻く権謀術数。発展していく蜘蛛族文明。人間の、そして蜘蛛族の運命は……。

 ヴァーナー・ヴィンジ『最果ての銀河船団』は、今時珍しく「未来・宇宙・異星人」と三拍子揃った、懐かしくも新しいSF大作。7年ほど前に出版されたヴィンジの前作『遠き神々の炎』と世界観を同じくする作品だけれど、話自体には直接的な関係はないから、今回の作品から読み始めてももちろん大丈夫。

 前作『遠き神々の炎』は、銀河中の位置によって物理法則が異なるといった、奔放な宇宙観に代表される壮大な世界設定が大きなウリの一つだったけれど、いっぽう今回の作品は、それほど凝った設定があるわけでなはい。だけどその代わり、もっと大切なものが良くなってる。そう、今回の作品は、物語として面白いのだ。

 物語の要素の一つは、結果的にエマージェントに制圧されてしまったチェンホーの人々の苦難と奮闘。戦闘後の混乱の末、見習いでありながら家系のせいでチェンホーの代表者となってしまい、心ならずもエマージェントに従いつつ反撃の機会を窺う少年エズル・ヴィン、愚か者の仮面の裏に謎めいた一面を見せる老人ファム・トリンリらが、時には耐え、時には駆け引きを駆使しながら、エマージェントを出し抜こうとする過程は一番の見もの。登場人物たちは何十年という歳月を、冷凍睡眠をはさみながら生きていくので、客観時間で何百年も生きている人物が出てきたり、子供だった人物が他の人たちに年齢がおいついてしまったり、といった、いままでありそうでなかった描写もしっかりなされてて面白い。
 要素のもう一つは、人間たちの足元で独自に発展していく蜘蛛族の文明の描写。人類で言うところのエジソンとアインシュタインを足したような天才、シャケナー・アンダーヒルを中心として、蜘蛛族が自分たちの惑星の自然を克服し栄えていくさまは、文句無しに面白い。もしかしたら人間たちのパートよりも面白いかも。ちなみにこの蜘蛛族、異星人なのにまるで人間そのもののような描写がなされていて、ちょっとこりゃなんぼなんでも異星人っぽくなさすぎるんじゃ……と思っていたら、ちゃんと後半でその理由が明かされているのでした。これ、上手いなぁ。この方が親しみやすくもあるし。

 かの『スターウォーズ』を例にとるまでもなく、異星人だらけの驚異に満ちた大宇宙を舞台に、主人公が八面六臂の大活躍を繰り広げるという物語は、夢あふれる空想科学小説のもっともポピュラーな醍醐味のひとつ。そしてこの作品は、そんな醍醐味をしっかりした設定と物語が裏打ちしてる。王道を存分に味わいたい人にぴったりの作品。タイトルから想像できるより、はるかにドラマチックな物語が待ってるぞ! (bk1ブックナビゲーター:こじましゅういち/ライター)

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紙の本

紙の本ダイヤモンド・エイジ

2002/01/10 22:15

SFの新しいマイルストーンになりうる作品

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 一般に普及浸透したナノテクノロジーが、人々の生活様式を根本から変えた21世紀。世界は多種多様な人種・宗教・主義・嗜好の集まりからなる<国家都市>に細分化されていた。そんな<国家都市>の一つ、《新アトランティス》の構成員であり、優秀なナノテクノロジストであるハックワースは、あるとき、株主貴族のフィンクル=マグロウ卿から、卿の孫娘に送る究極の教育用インタラクティヴ・デバイス<若き淑女のための絵入り初等読本(プライマー)>の開発を依頼される。ハックワースは我が娘のために、完成したプライマーを不正に複製するが、複製品はさまざまな事件を経て、貧困と虐待の境遇のもとにある少女ネルの手に渡ってしまう。プライマーに対する様々な思惑が渦巻く中、プライマーはネルの人生に、そして世界そのものに影響を与えていく…。

 『スノウ・クラッシュ』のニール・スティーヴンスンが送る新作長編は、ナノテクを軸に、一人の少女の半生と、その周囲の人々の人間模様を描き出す大作。表紙は『スノウ・クラッシュ』とは一転、上品な感じではあるけれど、中身にはいつものニール・スティーヴンスン風味も生きているから、前作でファンになった人も安心して読んで大丈夫。
 それにしてもまず、この本では、ナノテクと変容した文化から成り立つ近未来描写が圧巻。昔、『ニューロマンサー』がサイバースペースを基盤とした近未来を描いたように、『ダイヤモンド・エイジ』では、ナノテクを基盤とした近未来を、登場人物たちの生活とからめた圧倒的な説得力で構築していく。ナノマシン関係はもちろん、富める者にも貧しい者にも等しくナノテクノロジーが浸透しているさまは、同様の題材を扱った他の作品と一線を画していると思えるくらい。
 しかしこの本では、ストーリーのほうも、テクノロジー描写に喰われることなくちゃんと生きているのが素晴らしい。特に、少女ネルとの相互作用で動的に<プライマー>が紡ぎ出す教訓に満ちた物語と、それによるネルの成長の描写がいい。というか、こんな教材があったら欲しいぞ。さらに、そんな<プライマー>が紡ぎ出す物語と、様々な人物の思惑が交わる現実世界の物語が、終盤に至って一つに収束していくさまもまた圧巻。いやはや。

 SFの新しいマイルストーンにもなりうるくらい、多くの魅力に満ちた作品。元々こういう類いの作品が好きな人はもちろん、普段はテクノロジー描写が前面に出てる作品を敬遠気味な人にも、できれば読んでもらいたいなぁ。とにもかくにも、読んで損なし!。(bk1ブックナビゲーター:こじましゅういち/ライター)

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紙の本

紙の本オンリー・フォワード

2001/08/19 10:03

ジャンル枠に収まらない異色作

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 スタークは、<色彩>近隣区に住むトラブルシューターだ。彼はある日、<行動センター>の知人、ゼンダ・レンから依頼を持ち込まれる。上級メンバーの一人、フェル・アルクランドが誘拐されたらしいので、行方を探ってほしいというのだ。スタークは早速技術とコネを駆使して捜索を開始する。しかし、ことはそれほど単純ではなかったのだ。隠された陰謀、アルクランドを襲う悪夢。スタークは、自らの持つ特殊な能力で事態に立ち向かうことになる。オンリー・フォワード。すべてを終わらせるためには、ただ前進するしかない…。

 『スペアーズ』『ワン・オヴ・アス』などの作品がある、マイケル・マーシャル・スミスの最新作『オンリー・フォワード』は、彼の処女長編にあたる作品。1995年の英国幻想文学賞長編部門オーガスト・ダーレス賞、2001年のフィリップ・K・ディック賞の受賞作品でもある。
 この作品、あらすじだけ見ると、ただの近未来SFモノに見えるかもしれないけれどさにあらず。この作品は「近未来SF」などという紋切り型の言葉で片付けるには惜しすぎる個性を持ってる。道具一つとっても、Dr.スランプよろしく気分で喋りだす家電なんてのは妙に微笑ましいし、舞台仕掛けで言えば、好みの似たもの同士の寄り合い所帯とでも言うべき「近隣区」という設定が秀逸。主人公は様々な近隣区を訪れることになるのだが、その実体は、色にこだわる近隣区や、秒刻みでがんばる人たちばかりいる近隣区、猫しかいない近隣区など、へんてこりんなものばかり。極端に戯画化された近隣区の描写がは実にいい味を出しているし、主人公に一風変わった冒険の舞台を提供してもいる。
 ところがどっこい、物語の半ば頃から話は急展開。一体どこからこんな話に?と思えるくらい人を食った展開を見せるのだった。近未来SF…なんて考えて本を読んでると、意表を突かれること請け合いです。それでも、それまでの話と折り合いをつけつつ結構楽しく読めてしまうのはなかなか。やるなぁ。

 SF、ファンタジー、ハードボイルド、冒険もの…どの切り口で語ってもそれなりに正しいけれど、それだけには収まらない作品。正直、クセは強いし、こなれてない部分も多々あるけれど、印象に残る作品になることは間違いなし。たまにはこんな作品を読んでみるのも悪くないかも。

(こじましゅういち/ライター http://www.na.rim.or.jp/~majio/)

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紙の本

紙の本エンダーの子どもたち 上

2001/03/12 00:03

<エンダー>シリーズ完結編

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 ジェインの力を借りて、植民惑星ルジタニアに蔓延するデスコラーダ・ウイルスを無力化する対抗ウイルスを手に入れたエンダーたち。しかし危機は未だ存在していた。叛旗をひるがえしたルジタニアを殲滅し、同時にデスコラーダ・ウイルスを惑星ごと抹消するために、スターウェイズ議会から派遣された粛清艦隊が今も接近中だったのだ。ルジタニアに住まう知的種族−−人間、ペケニーノ、バガーを救うために、<外側>のアイウアから生み出されたピーターやヴァル、エンダーの子どもたちが危機に立ち向かい始める…。
 『エンダーのゲーム』から始まり、『死者の代弁者』『ゼノサイド』と続いてきたエンダーの物語も本作でいよいよ完結。今回は前作までの物語と結びつきが特に深く、単品で楽しめるとは言いがたいので、このシリーズは初めてという方は、焦らずに『エンダーのゲーム』から順番に読むのがオススメ。なかなか楽しい寄り道だと思いますよ。
 さて、シリーズ完結編だけあって、登場人物たちも間近に迫った破局に対処すべく、ある者はスターウェイズ議会の決定を覆すための工作を行い、あるものは避難先の世界を探すべく宇宙を駆け巡る。ジェインもアンシブル網が断ち切られるその時まで奮闘する。前作で語り尽くされなかった部分がどうなるかを追っていくのは、もちろんシリーズものならではの楽しみ。
 しかし、それよりも大きな部分を占めているのは、エンダーの存在そのもの。今回、永い時を生きてきたエンダーに、遂に大きな変容の時が訪れるのだ。それは子どもたちを変え、周囲の人々に影響を与えていく。この作品の根底にあるのは、その変容の驚異、そして、それによって浮き彫りになるエンダーと子どもたちとの絆、子どもたちの間の絆。決して大げさなものではないけれど、それゆえに心に染み入る。ラストはまさに一つの世代の終わりと始まりの象徴であり、だからこそ万感の想いが湧き上がってくるのだ。
 この作品をもって、エンダーの物語は終わる。しかし、エンダーは生き続ける。エンダーの子どもたちの中に。そしてもちろん、この物語を追いかけてきた、われわれ読者の心の中にも。

(こじましゅういち/ライター http://www.na.rim.or.jp/~majio/)

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紙の本

未来に希望を持ち続ける人々を描く良質のSF

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 そのロケットはやってきた。大昔に、夜空の中の、青い小さな点の星から、この赤の星へと、魔女を乗せてやってきた…。

 大規模な飛行船団を組み、二酸化炭素の大気の中を、道中の人々と交易を行いながら、北から南、南から北へと渡る太陽族。カズマ・ケイマフリはそんな太陽族の連絡機の少年パイロットだ。ところが、フライト中に敵対するセーガニア帝国の戦闘機群に遭遇したカズマは、渓谷の底に墜落してしまう。負傷し、酸素マスクも奪われ、死を覚悟するカズマ。しかしその時、彼の前に現れたのは、なんと伝説の魔女だった…。
 これは勇ましい戦いの物語でも、分厚い感動の大長編でもない。ここにあるのは、魔女と出会った少年の話と、かつて、赤の星にきれいな花とおいしい実をもたらすために生きた、一人の少女と一人の庭師の話。ささやかな善意と優しさを持った人たちの、静かだが心に残る物語である。
 と同時に、この話は、驚異的な能力を持った植物ヴィシュニアを軸とした、まぎれもないSF的な面白さを持った作品でもある。ちょっとしたハードSF風の味付けもあるし、クライマックスで明らかになるあのイメージの壮大さや、魔女の洞窟の水中でカズマが見る幻想的な光景などは、ストーリーと相まって強く印象に残る。
 そしてなによりこの本では、登場人物たちの、未来に希望を持ち続ける姿勢が胸に染み入る。赤の星の未来のためにわが身を捧げる少女マーシャ。未来の人々に生きろと告げる庭師タジミの碑文。特にタジミの碑文は胸を打つ。
 もしも未来に夢を描くのがSFならば、この本は良質のSF。僕の大のオススメだ!

(こじましゅういち/ライター http://www.na.rim.or.jp/~majio/)

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紙の本

紙の本光の帝国

2000/10/10 05:56

少し不思議で、少し暖かい気持ちになれる連作短編集

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 「常野」と呼ばれるところからやってきた人々がいた。彼らは皆、不思議な力を持っていた。ある者は膨大な量の書物を暗記することができた。ある者は未来を見ることができた。ある者は遠距離をひとまたぎに飛び越すことができ、またある者ははるか彼方を見通すことができた。そんな彼らは、今も普通の人たちの中に埋もれてひっそりと暮らしている…。
 なんとも不思議な短編集。普通でない能力を持った人々を扱った作品、といわれて普通想像するような、派手に力が飛び交ったり、むやみに異端者としての苦悩を強調したりする物語ではない。普通でない力を持つ人々が織り成す、普通の優しい物語なのだ。常野の人々の持つ力は、初めからそこにあったもののように、自然に物語に溶け込んでいる。そんな物語の中には、ちょっぴり哀しい話もあるし、ちょっぴり怖い話もあるけれど、どの作品も、底には優しさが流れてる。少し不思議で、少し暖かい気持ちになれる短編集。

(こじましゅういち/ライター http://www.na.rim.or.jp/~majio/)

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紙の本

紙の本太陽の簒奪者

2002/04/25 22:15

いざ、想像もつかない世界へ!

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日ごろ僕たちは、晴れや雨、四季の変化などの気候の恵みを当たり前のように享受している。その変化のエネルギーが、空に浮かぶ太陽からもたらされていることを意識もしなければ、そもそも、太陽の光が失われてしまうことなど考えたこともない。だけど、もし、その太陽の光が、とてつもなく大きな遮蔽物で遮られてしまったら、地球はどうなってしまうのだろうか。さらに、そのような遮蔽物を築き上げることができるほどの、超絶的な技術力を持った知的生命体の存在を知ったとき、地球に住む人類は、どうするのだろうか。

 野尻抱介の新作『太陽の簒奪者』は、そんな地球と人類の姿を描いた作品だ。

 すべては、白石亜紀が高校2年生の時に始まった。水星に突如として出現した巨大構造物。そして、その巨大構造物から宇宙空間に打ち出された物質によって、徐々に形作られていく、太陽をとりまく、直径8千万キロにも及ぶリング。このままでは、地球はリングに日照を遮られ、破滅的な気候変化に見舞われてしまう。人類はリング破壊のために、宇宙船UNSSファランクスを建造しリングに送り込む計画を立案。そのファランクスの乗務員に志願したときから、白石亜紀の人生は、リング、そしてまだ見ぬリングの創造者の探求の人生となった……。

 この作品の面白さは何と言っても、もし人類が想像も及ばぬ危機的状況に陥ったなら、というスケールの大きな「もしも」の世界を存分に味わわせてくれるところ。人類の前に突如として出現したリングとは何なのか。リングを建造した謎の存在の正体とは。人類は降りかかってきた困難を振り払うことができるのか。物語はそれらの要素を軸にごりごりと突き進む。ポイントを絞り込んだ剛直な展開はこの作品の大きな魅力のひとつ。

 さすがは野尻抱介だけあって、さりげない描写のディテールの緻密さは冴え渡ってる。小は宇宙船やリング構成物質などの各種ガジェットの描写から、大はリング出現による社会変化まで、過不足なく、無理なく物語に溶け込んでるし、その描写のさまを読むだけでも結構楽しい。
 しかし、それ以上に強調しておきたいのが、物語の持つその雰囲気。人類の危機といえば、時には悲惨さが、また時には勇壮さが強調されたりすることが多いもの。けれど、この作品は、主人公の白石亜紀の半生を通して物語を語ることで、そのどちらにも偏ることのない、詩的ともいえる静かな雰囲気が醸し出されてる。亜紀の感情の機微も物語に彩りを添えてます。

 日常と違う世界を垣間見ることができるのが小説の醍醐味のひとつというならば、この作品は、その醍醐味を存分に振る舞ってくれるはず。普段はこういう作品は読まないけど、たまには目を通してみてもいいかなぁ……と思ってる人にはとりわけオススメ。いざ、想像もつかない世界へ! (bk1ブックナビゲーター:こじましゅういち/ライター)

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紙の本

紙の本永久帰還装置

2001/11/27 18:17

高次元の力と意志の力・神林長平の新作長編

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 その男は永久追跡刑事だった。自己を再構成しながら世界から世界へと渡り歩き、世界を思うがままに作り変える犯罪者・ボルターを追跡してきたのだ。しかし、世界の崩壊と再創造を伴う追跡の果てに、ある世界で、男はその世界の住人に拘束されてしまう。男を拘束したのは火星戦略情報局。はたして、男はボルターを追い詰めることができるのか。この世界でのボルターは誰なのか…。

 『戦闘妖精・雪風』のアニメ化も決定した、神林長平の新作長編。一見サスペンス風の物語だけれど、その裏には、高次元の存在や改変される世界などの壮大さを感じさせる設定が横たわっているので、そういった舞台仕立てが好きな人にはいいかも。
 話の前半は、永久追跡刑事を名乗る男フランク・カーと、彼の素性を調査する火星戦略情報局のケイ・ミンによる、互いの駆け引き。ただの素性の探りあいだけではなく、高次元の存在としてのフランク・カーの言動や、彼の世界に対する干渉などが、話の良いアクセントとなってる。後半は、火星戦略情報局なども巻き込んで、登場人物たちがボルターの野望阻止に動き出し、その中ではアクションありラブロマンスありでなかなか読ませます。全編通して、プロフェッショナルに事象に対応する登場人物たちが気持ちいいです。
 一方、中盤以降、フランクとケイ・ミンの関係が唐突に変化したり、大きな舞台設定を持ってきた割には、終盤がちょっと駆け足で不完全燃焼気味だったりと、一部気になるところもあったりなかったり。でも物語全体を損ねるほどではないので大丈夫。

 全能に近い力を持つ存在と、その戦いに巻き込まれて戸惑いつつも、自分たちの住む世界を守るために、その力をも上回る意志の力を見せる登場人物たちの物語。過度に抽象的な世界描写に流れることなく、ちゃんと地に足のついたエンターテイメントしてるので、その点はご安心あれ。(bk1ブックナビゲーター:こじましゅういち/ライター)

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紙の本

紙の本変革への序章 上

2001/10/12 18:16

壮大な展開の予兆を感じさせる作品

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 荒れた生態系を回復すべく、「休閑地」の指定を受け、知性種属の立ち入りが禁止された辺境の惑星ジージョ。しかし、ジージョにはいつしか、様々な理由で故郷を逃れてきた難民たちが流れ着くようになった。現在、ジージョでは、ヒトを含む6種属が、銀河文明の目から隠れるようにひっそりと暮らしている。そんなある時、側頭部に怪我を負い、記憶を失った男が彼らの村に運び込まれてきた。
 ジージョのヒトではないと思われるこの男は何者なのか?さらに時を同じくして、巨大な宇宙船が突如ジージョの空に出現する。5つの銀河を震撼させた嵐が今、ジージョにも襲いかかろうとしていた……。

 『変革への序章』は、『サンダイバー』『スタータイド・ライジング』『知性化戦争』の知性化シリーズの生みの親たるデイヴィッド・ブリンが、満を持して送る新たな3部作の1作目。『知性化戦争』が出てから既に10年。ファンにはまさに待望の1冊でしょう。
 今回の作品は、過去の長編3作と違って、1作で話を完結させるスタイルを取っていません。ではどうなのかというと、今回は起承転結の起。数々の謎が現れ、その解答が見え隠れし始め、今まさに話が大きく動き出す!というところで見事に終了。残された数々の要素は次巻以降に持ち越しということで、なかなかに焦らされます。
 では、決して薄いとはいえない厚さのこの本の中に何が詰まっているのかというと、それは、惑星ジージョという世界の姿。銀河文明の利器を捨て、潜伏者として生きる6種属が、どんな文化を生み出しているのか、ジージョの自然の中でどのように生きているのかがじっくりと書き込まれてます。それだけでも読み応えがあって面白いし、これだけの異星種属の文化を違和感なく書き分けるのはさすが。重厚なディテールが好きな人は楽しめるはず。
 話の展開も、冒険小説調の部分もあれば、潜伏者と空からの来訪者とのかけひきありでなかなかのもの。個人的には、いろんな種属の友人同士で手作り潜水艦作って海にもぐろうとするアルヴィンの物語が、意外とジュブナイルのような味わいで好み。でも、アルヴィンたちも最後はああなるし、その時出てきたアレはまさか懐かしの……うーん、やっぱり先が気になるなぁ。

 人類とイルカの混成調査船<ストリーカー>によって銀河文明に引き起こされた激震が、いよいよ大きな変化を引き起こす、そんな予兆を感じさせる本作。知性化シリーズのファンならば、後に続くであろう第2部、第3部ともども、じっくり腰を据えて楽しんでいくが吉。

 なお、知性化シリーズは未読だけれどこの作品には興味がある、という方は、まずは慌てず騒がず『スタータイド・ライジング』を読んでおくとよいです。銀河文明がどんな騒動の渦中にあるのか実感できるし、ジージョで時折見られる伏線により一層わくわくできるでしょうから。『スタータイド・ライジング』自体、異星人いっぱいスリルもいっぱいのSFオモチャ箱的な作品なので、実りある寄り道になることは間違いなし!
(bk1ブックナビゲーター:こじましゅういち/ライター 2001.10.13)

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紙の本

紙の本腐海

2001/07/20 04:51

さながらノンフィクションのようなエンターテイメント

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 カナダ西部、バンクーバー。今、その近傍で、静かに、恐るべき異変が発生しつつあった。生物が全く存在しない海域の存在。身体に無残な傷痕を残した、ラッコやアシカの大量の死骸。そして異変は、遂に人間を襲い始めた。漁師が、浜辺で遊んでいた少女が、次々と犠牲となり、成す術もなく命を落としていく。犠牲者は皆、肉体を何かに蝕まれ、破壊されていた。海の中に何かがいるのだ。肉を喰らい、毒を吐き、触れた者をたちまちのうちに死に至らしめる、微小な「何か」が…。

 この『腐海』は、海の中のあらゆる生命を毒で冒し喰らい尽くす微生物群と、その微生物による被害を食い止めようとする人間たちの奮闘を描いたエンターテイメント。作者のジェームズ・ポーリックは現役の生物学・海洋学の学者だそうで、作中でも、その知識と経験に裏打ちされた描写の数々が光ってる。ともすれば荒唐無稽になりかねない題材を、まるで現実のもののように描いていく作者の手腕はなかなか。
 そのせいか、作品全体の印象もまるでノンフィクションのよう。昔、リチャード・プレストンの『ホット・ゾーン』を読んだとき、真に迫ったエボラウイルスの恐怖描写に「まるで小説のようなノンフィクションだなぁ」と思ったことがあるけれど、かたや『腐海』は、さながらノンフィクションのような小説。おかげで、恐怖の微生物フィステリア・ジャンカージも、エボラウイルスのように、不気味かつリアルな存在感を醸し出してます。
 もちろん、エンターテイメントとしての面白さも忘れられてないので大丈夫。証拠を積み重ねて、着実に謎の正体に迫っていく前半から、知恵を振り絞って微生物群と全面対決していく後半まで、手堅く楽しめます。犠牲者のショッキングな末路の数々もポイント高し。

 サイエンスに裏打ちされたフィクション。本当にこんな事件が起きてもおかしくないかも、と思わせるような作品ですね。読み終えた後で、海が怖くなっても知らないよ…。

(こじましゅういち/ライター http://www.na.rim.or.jp/~majio/)

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紙の本

紙の本エンダーズ・シャドウ 下

2001/06/25 19:02

まるで劇の舞台裏を覗くかのような面白さがある

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異星生物バガーが幾度も地球に侵攻をしかけてくる、そんな時代。ロッテルダムの街はストリートキッドたちが徘徊する地獄の底のような場所だった。しかし、そこを持ち前の才覚でたくましく生き抜いていく小さな少年がいた。彼の名はビーン。彼の優秀な知能は、やがて国際艦隊児童訓練プログラムの徴兵係の目にとまり、ビーンはバトル・スクールの一員となる。そこで彼が見たのは、自分より優秀な指揮官としての才能を見せる少年、エンダーだった…。

 エンダーの部下として戦ったビーンの目を通して語られる、『エンダーのゲーム』の外伝。物語の舞台こそ同じだけれど、ビーンの視界を通して世界を見るのは、まるで劇の舞台裏を覗くかのような面白さがある。言うまでもないことだけれど、『エンダーのゲーム』を読んだ人ならば必読でしょう。
 しかし、ただの舞台裏モノには留まっていない。この話では、ビーンそのものがエンダーに負けず劣らずの魅力的なキャラクターなのだ。常人を凌ぐ優秀な頭脳と、小さな身体でスラムで生き抜いてきた逞しさ。そんなビーンが、様々な難局を才覚で切り抜けていくのを見るのはそれだけでも楽しい。しかも彼は鋭い。エンダーはゲームの中を駆け抜けてきたが、ビーンはゲームの裏の真実を見極める。そんな彼が主人公だからこそ、この物語はただの裏話以上に面白いのだ。

 エンダーシリーズの中でも、娯楽性は一番。他のシリーズと直接のつながりはないので、『エンダーのゲーム』さえ読んでいれば、順番を気にすることなく読めるのもポイント高いですね。

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紙の本

紙の本ゼノサイド 上

2001/06/25 18:56

各種要素が織り合わさって一つの物語を成す……

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 エンダーが惑星ルジタニアに居を定めてから30年が過ぎた。エンダーももはや老人の域に達し、彼の義理の子どもたちもそれぞれの道を歩んでいる。しかし、スターウェイズ議会がルジタニアを破壊しようと送り出した粛清艦隊が接近しつつあった。アンシブルの間に住まう存在であるジェインは、議会と粛清艦隊とを結ぶアンシブル網を遮断する。しかし、その企みを調査していた植民星パスの有力者ハン親子がジェインの存在をかぎつけ、ジェインは自らの存在の危機に立たされる。ルジタニアでも種族間で問題が発生する。二重三重にもなった困難にエンダー達はいかにして立ち向かうのか…。

 各種要素が織り合わさって一つの物語を成す、エンダーシリーズの3作目。要素の一つ目は、ルジタニア粛清艦隊の接近とともに表面化する、ピギー、バガー、人間の種族間の確執。それぞれの思惑が絡み合い緊張が高まる。『死者の代弁者』において人間とピギーの間に交わされた盟約も、その真価を試されることになる。さらに、意表をつく第3の知性体の存在も…。
 二つ目の要素は、中国系の植民星パスにおける、フェイツーとチンジャオのハン親子、そして召使シー・ワンムの物語。ルジタニアとは遠く離れた場所で繰り広げられる物語は、まったく別個の物語のようでありながら、ジェインを介してルジタニアと深くかかわっている。
 そして三つ目の要素は…家族の絆。エンダーとその義理の子供たちの間の絆、ハン・フェイツーとハン・チンジャオとの間の絆。家族の絆をめぐる描写は、この物語全体の欠かせないベースとなっている。
 されど、これだけの要素をもちながら、全体としては豪快にも前後編の前編と行った趣き(後編はもちろん『エンダーの子どもたち』だ)。ここまで読んだら後はもう一気読みでしょう。

 物語の終盤で、エンダー達はルジタニアの生命体を粛清艦隊の手から逃がすことのできる手段を手に入れる。それがエンダー自身に途方もない結末をもたらすとも知らずに…。

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紙の本死者の代弁者 上

2001/06/25 18:52

エンダーシリーズの中でも1、2を争う良質の作品

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 人類がコミュニケーションの不足から不幸にもバガーを滅ぼしてしまってから3000年。銀河各地に領土を広げた人類は、ついに植民惑星のひとつ、ルジタニアで第2の知的生命体、ピギーと遭遇した。異類学者の下、慎重にピギーとコンタクトを図る人類。しかし、異類学者のひとりピポが、ピギーに残忍極まりない形で殺されてしまった!遺族の求めに応じ、一人の<死者の代弁者>が、ピポの真実の生涯を代弁すべくルジタニアに向かう。アンドルー・ヴィッギン。<異類皆殺し>の罪を償うかのように放浪の旅を続けてきた、あのエンダーだった…。

 前作とは一転、落ち着いた雰囲気が漂う本作。『死者の代弁者』というタイトルから、ともすれば高尚かつ宗教的な、近づきがたい印象を抱いてしまうかもしれないけれど、そんなことはないから大丈夫。このおはなしは、辺境の星をふらりと訪れた流れ者が、ある疲れきった一家の心を癒し、真実を見極め、偽りを壊し、全てを明らかにし、全ての種族を結びつける端緒を開く…そんなおはなし。エンダーの深い洞察力が、死者の代弁という枠にとどまらず、異類種族ピギーの謎や異類学者の真相をも解き明かしていくさまには、カタルシスを覚えずにはいられないはず。ラストも心動かされるものがある。エンダーの放浪の旅の終着点は…。

 ひとたび読んで気に入ってしまえば、『エンダーのゲーム』がこの作品のための壮大なプロローグだったのでは、とすら思えてしまう。エンダーシリーズの中でも1、2を争う良質の作品。読むべし。

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紙の本

紙の本エンダーのゲーム

2001/06/25 18:50

シリーズ端緒を飾る壮大なプロローグ

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 地球は恐るべき昆虫型異星人バガーの2度の侵攻をかろうじて撃退していた。そのバガーの来たるべき第3次侵攻にそなえ設立されたのがバトルスクールだ。産児制限にもかかわらず特例として生まれた第三子、エンダーは、適性を見込まれバトルスクールへと編入させられる。しかしエンダーは、コンピュータ・ゲームから無重力戦闘室での模擬戦闘まで、あらゆる訓練で素晴らしい成績を上げ始めたのだ。しかし、成果をあげるごとに、彼の孤立は深まっていく。彼の行く手には何が待つのか…。

 記念すべきエンダーシリーズ1作目。あらすじを軽くなぞった限りではエンタテイメント然とした話かと思えるかもしれないけれど、実際には、少年の成長の物語というにはあまりに過酷な物語。彼は適性があるというだけで召集され、大人たちに、人類の未来を担う司令官に「作り上げられる」のである。そのための手段はプレッシャー。窮地においても助けはなく、頭角をあらわすほどに高まる周囲の人間の嫉妬。何度も潰れそうになるエンダー。
 しかしそれでも読ませるのは、どんな困難に出会おうとも、エンダーが最終的にはそれを乗り越えるから。厳しい日常のなかで、わずかだけれど、彼に理解を示す人間、友となってくれる人間がいるから。そして、物語の最後には、驚愕の事実が待っている。たとえささくれ立った雰囲気にめげそうになっても、読み進める価値はあるぞ。

 ゲームは終わり、なすべきことを知ったエンダーは<死者の代弁者>となる。エンダーシリーズの端緒を飾る壮大なプロローグ。まずはこれを読まないと始まらないけど、強く印象に残る作品になるのは保証します。

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紙の本

紙の本ΑΩ

2001/06/18 19:55

グロテスクな世界で某円谷特撮モノへのオマージュが展開

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 宇宙に存在する、真空と磁場と電離体からなる世界…そんな世界に存在する知的存在「一族」に重大な危機が訪れた。かつて「一族」を滅亡寸前に追い込んだ、「影」の世界からの侵略が再び開始されたらしいのだ。「一族」から「影」の破壊を託された「ガ」は「影」の追跡を開始するが、その過程で、「影」と「ガ」は地球に接触してしまった!生物を変容させて操る「影」、地球人・諸星隼人と融合し「影」を追う「ガ」。固体と液体と気体からなる世界で、人類をも巻き込んだ追跡劇が開始される…。

 オビに「超・ハード・SF・ホラー革命」と銘打たれた、小林泰三の最新作。確かにSFでホラーだ。冒頭の飛行機事故の遺体検分のシーンからグロテスクな描写が満載で、ああこれはホラー色が強い作品なのかなぁ、と思っていたら、続く章で繰り広げられる、人類以外の知性体「一族」の骨太な描写はまさにSF。それぞれの要素が、『玩具修理者』などにも見られる作者独特の持ち味ともあいまって、掴みは抜群。

 しかしこの作品はそれだけにはとどまらない。まず、主役の諸星隼人&「ガ」のコンビの設定がなんとも人を喰ってる。2人の遭遇から始まってその活躍シーンに至るまで、まるっきり某円谷特撮モノへのオマージュなのだ。グロテスクな世界の中で、それを大真面目にやってしまっているというだけでも楽しくなってくる。一方、敵たる「影」は宗教集団アルファ・オメガと結びついて、人間たちを怪物に変えていく。変容した信者のグロテスクな容姿もまたけれん味たっぷり。そして、そんな奴等が血と肉片と腐汁をまき散らしながら戦うのだからもうたまらない。行き過ぎたグロテスクさは笑いに通じるかもだ。後半はどんどん描写のスケールも増していくぞ。

 組み合わされたSFとホラーの要素が紡ぎ出す、ぬるぬるぐちゃぐちゃの黙示録。ノリと勢いで押し切られた感すらあるけど、作品に渦巻くパワーは本物。面白いぞ!

(こじましゅういち/ライター http://www.na.rim.or.jp/~majio/)

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