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ジャーナリスト 内田洋子ブックキュレータージャーナリスト 内田洋子

本棚は樹海。迷って、たどり着いて。行先のわからない旅の醍醐味を味わう。

取材のためにきまったテーマの資料読みをする合間に、散歩する気持ちで手に取るままに読む。ランダムに選んだつもりが、本と本の間を繋ぐ糸があり驚くこともしばしばだ。

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  • ある日ヴェネツィアの古本屋で、何世紀にもわたりトスカーナ州の山村からイタリアじゅうへ本を行商して歩いた人たちがいた、と聞いた。それが、モンテレッジォ村との出会いだった。
    なぜ、そんな山深き村の人たちが、しかも本を? 
    何かに衝き動かされるようにモンテレッジォ村に行った。限界集落。わずかに残った住人から話を聞くうちに、古代にまで遡り土地柄や自然、本と共に生きてきた村の人々の暮らしの変遷が浮かび上がった。読むことの重みと希望を知る。本に連れられて、時空を超えた旅となった。

  • 文字に残されなかった思想。感情や観念を文字なしで、どのように伝承するのか。日本の自然と土壌の変遷は、すなわち日本人の精神の歴史だろう。ページを繰りながら古を探り解き明かしていく冒険は、驚きの連続である。
    海の民と山の民の暮らしを追う。定住を好む弥生型の人々により、農耕から資本主義へとモノカルチャーが築かれ、物質的な豊かさに恵まれた日本の今がある。しかしそれに同化できず、反りが合わないものからは離れればよい、と安住を嫌い漂流の旅を選んだ縄文型の人々もいた。
    膿む現代の日本社会を読み解き、視点を変えるヒントが満載だ。

  • イタリアで活版印刷について調べるために、山間の小さな村にある印刷博物館へ行った。ずらりと並ぶ古い活字を眺めていると、だんだん個性が浮き立って字に顔が付いたように見えてきた。バラバラの字が組まれて一つの言葉となり、言葉が並んで文となる。そして、物語が生まれる。正木香子さんは、<文字の食卓>というサイトを立ち上げて、さまざまな書体が連れてくる物語について書いている。装丁論ではない。もはや書体たちの暮らしぶりを読むようだ。書体は本なり。

  • この大判の本を開いたとき、良い匂いがした。
    一ページに一枚の絵が組まれている。一冊の中にモノクロの写真展が広がる。紙とインクと手と目線。キャプションはない。しんとして、雄弁で、堂々と、ひっそり、嬉しく、心に沁み入るシーンが続く。
    骨董稀少本。湿気を吸い込んだ古本。千切れたページ。積み重なる本。
    熟れて枯れ、もはや何でもお見通しの顔をしている。
    無数の本に圧倒されて、写真集を閉じる。するとまた、ふわりと良い匂いが残る。開いては閉じて。鼻腔でも楽しんでいる。

  • 英国の小さな離島が舞台となっている。牧師であり博物学者の家長には公にできない事情があり、逃げるように家族を連れて引越してくるところから物語は始まる。父親の秘密を14歳の娘が追う。根を伝い、蔓を手繰り寄せ、幹を掴み、枝葉を凝視する。閉ざされた空間である島は、人々の気持ちも封じ込む。ページの間から、英国特有の暗く湿った気配が滲み出す。
    『嘘の木』は、人々が閉じ込めた羞恥心や猜疑心、恐怖、野望、嫉妬、狂気といった黒い無意識とそれに対する正義心、忠信、信頼、情熱、希望を次々と浮かび上がらせていく。
    宗教的な内省と博物学的な観察眼が、書体の使い分けや伏線で巧みに表される。訳文の日本語は、心に沁み入る端麗さだ。

ジャーナリスト 内田洋子

ブックキュレーター

ジャーナリスト 内田洋子

1959年神戸市生まれ。東京外国語大学イタリア語学科卒。通信社ウーノ・アソシエイツ代表。2011年『ジーノの家 イタリア10景』(文春文庫)で日本エッセイスト・クラブ賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞。著書に『ミラノの太陽、シチリアの月』(小学館文庫)、『イタリアの引き出し』(CCCメディアハウス)、『カテリーナの旅支度 イタリア 二十の追想』(集英社文庫)、『皿の中に、イタリア』(講談社文庫)、『どうしようもないのに、好き イタリア 15の恋愛物語』(集英社文庫)、『イタリアのしっぽ』(集英社文庫)、『イタリア発イタリア着』(朝日文庫)、『ロベルトからの手紙』(文春文庫)、『ボローニャの吐息』(小学館)、『十二章のイタリア』(東京創元社)、『対岸のヴェネツィア』(集英社)、『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』(方丈社)など。翻訳に『パパの電話を待ちながら』(ジャンニ・ロダーリ著 講談社文庫)など。

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