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- 「刷ったもんだ!」3巻配信記念! 担当編集さんに聞いてみた! 10問10答!:電子書籍
『刷ったもんだ!』3巻の配信を記念して、染谷先生の編集担当のお二人に特別インタビューをいたしました。編集のお仕事の話から「刷ったもんだ!」の裏話などなど、興味深いインタビューとなりました。新刊とあわせてお楽しみください。
――自己紹介をお願いします。
モーニング編集部の岩間秀和です。四半世紀ほど在籍した女性コミック誌「BE・LOVE」から2018年に「モーニング」に異動、今に至ります。
モーニング編集部の福島千尋です。入社2年目です。『刷ったもんだ!』には、連載2話目くらいからご一緒させていただいております!
――編集のお仕事で一番楽しいと感じるのはどんな時ですか?
岩間:漫画の評判がじわじわと広がっていくのを体感できた時。具体的には、読者の皆さんの感想、SNSでの感想、書店さんから伺う感想などなど。そこに至るまでの漫画家さんの努力、関係各所のサポートが結実した証なので。
福島:「これはめっちゃ面白いぞ!」と思うネームや企画の打ち合わせをしているときです。これが世に出たとき読者の方々はどんなリアクションしてくれるかなと考えるとワクワクします。
――編集のお仕事で「ここだけは譲れない!」といった、こだわりを教えてください。
岩間:いつも新しいことをやりたい、という思いはあります。年齢的に新しい発想が枯渇しつつあるので、自分をアップデートすることばかりを考えています(現実的にはポンコツなのですが…)。
福島:想像力の足りない発言は控えたい…と思っています…。
――編集ならではの、ついついやってしまう習慣や癖などがあったら教えてください。
岩間:書店店頭で目を引くデザインの本を見つけると、すぐにデザインを誰が手掛けたのかを見てしまうのは、たぶん編集者ならではでしょうか。
福島:編集ならではとかでは全くないですが、「深夜にラーメン」しちゃいがちで太ってきたので、最近は「深夜ににゅうめん」しています!
――『刷ったもんだ!』のご紹介をお願いいたします。
岩間:印刷会社勤務の経験がある染谷みのる先生が描く、印刷会社お仕事コメディ漫画です。元ヤンの主人公・真白が、東京近郊の印刷会社に入社し、個性派の先輩に揉まれながら、自分の仕事や人との関わりを好きになっていくお話です。
――「舞台は印刷会社」という設定を初めて聞いた時の第一印象をお聞かせください。
岩間:染谷先生の前職が印刷会社と伺った時から、いつか描いてほしいと思っていました。モーニングはリアリティを求める雑誌でもありますので、染谷先生の経験をある程度活かせる話にもなりそうで、すぐに期待が膨らみ、前のめりになりました。
――3巻でいちばんお気に入りのシーンとその理由を教えてください。
岩間:3巻収録の第31話、ラーメン屋さんのショップカードを印刷するお話に登場する、製本課のスタッフが放つ男前なセリフが好きです。仕事を続けていく原動力を感じるエピソードですね。
福島:3巻に収録されている32話「デジタルとアナログ」です。印刷は歴史が長いので、新たに生まれる印刷技術もあれば逆に消えていく伝統技術もあります。今は印刷業に限らず、デジタル化して「コンピューターのボタン一つで解決できる」ような仕事が増えていますが、いざそれで立ち行かなくなったときに、自分自身が習得している知識や技術の引き出しを持っておくことは、とてもかっこいいことだなと思います。そんな藤永さんの思いがけない一面を見たときに、普段とのギャップもあり、一気に藤永さんファンになってしまいました!
――登場するキャラクターの中で、共感度が高いキャラクターとその理由を教えてください。
岩間:真白の上司である赤沢課長です。共感というか、見習いたい、という感じでしょうか。みんなが疲労困憊の時に差し入れをするなど、そのさりげない気遣いでどれだけ職場が和むか。人間力!
福島:やっぱり主人公の真白ですね。新入社員で女性、という点で自分と近いからだと思います。元ヤンが故に不器用でうまくやれないことは多々ありつつも、いつも素直に、実直に、人に頼って、問題を気持ちよく解決していく姿に励まされます。
――『刷ったもんだ!』のこっそり教えられる裏話を1つ!
岩間:最初、元ヤンは黒瀬、という設定でした。当時から真白が主人公ではあったのですが、主人公としてパンチが足りないのではと感想を染谷先生に伝えたところ、真白を元ヤン設定にしてくださいました。
福島:実は2、3巻で出てくる新キャラの内の何人かは、1巻で既にモブとして登場しております。染谷さんの頭の中の虹原印刷では、1巻の時からすでに動いていたんだなぁと感じます。探してみてくださいね!
――これまでの連載の中で、特に思い出深い染谷先生とのエピソードはありますか?
岩間:『刷ったもんだ!』が始まってからは、コロナもあってリモートでのやりとりが中心になりましたので、あまりお会いする機会がないのが寂しいです…ということで、この連載の前の読み切り『あなたに耳ったけ!』に関連して、になってしまいますが、「耳かき」についてアツく語る染谷先生が、あまりにインパクトが強くて忘れられないですね…。耳かきが好きだから耳かき漫画を、元印刷会社勤務のキャリアを活かして印刷会社漫画を──すべて染谷先生に寄りかかってます、すみません。
福島:1巻に初めて重版がかかったときは忘れられないです。重版を知った瞬間というよりは、染谷さんに重版をお伝えした時に、電話越しに今までで1番明るい声色で喜んでいらっしゃり、その後ピザとコーラでお祝いしたと伺ったときに、心から嬉しい気持ちになりました。コロナが収まりましたら、一緒にお祝いに寿司とシャンパンとかしたいです!笑
以上となります。
10問に対してお二人合わせて18答と読み応えのある内容となりました。
岩間さん、福島さん、ご協力ありがとうございました!
本編は下記よりお楽しみください。