目次
「混血児」の戦後史
- 上田誠二
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序 章 戦後史の裂け目――“血の政治学”と“出会いの教育学”のはざまで
1 なぜ「混血児」の戦後史をいま問うのか
2 混血児をめぐる従来の研究と本書の分析視点・内容との差異
第1章 占領・復興期の混血児誕生――優生保護法の下で生存する[敗戦から一九五〇年代前半まで]
1 敗戦後セクシュアリティ統制の遺産――優生思想にさらされる混血児
2 澤田美喜の実践にみる混血児の別学という人格主義――幼稚園の教育実践
3 幼稚園から小学校へ――ステパノ学園の実践と苦悩
第2章 日本「独立」後の公立小学校の混血児教育――日本人として学ぶ[一九五〇年代中葉]
1 文部省の混血児教育の方針――いじめへの全学的な対応
2 公立小学校での共学という平等主義――実母と教師に支えられて
3 公立小学校の苦悩と教師たちの試み――制度内での改革と日本人への同化
4 同化を超えた連帯を目指して――優生という排除の論理に抗いながら
第3章 高度経済成長期前半の混血児教育――経済主義の下で生きるために学ぶ[一九五〇年代後半から六〇年代前半まで]
1 保守化する教育行政――管理主義下の道徳と能力
2 自治と協働の仲間づくりの徹底化――ステパノ学園の実践
3 技能教育へ――生きて働くために
第4章 高度経済成長期後半・低成長期の混血児と日本人の子との出会い――経済主義の下で教育と労働をつなぐ[一九六〇年代後半から七〇年代後半まで]
1 大衆雑誌にみる混血児イメージの定着と日本社会への包摂――才能と汚辱
2 進学と就職のはざまで揺れる混血児――ブラジル農業移民という最後の選択肢
3 高度経済成長の喧騒を超えて――日本社会へのいくつかの包摂パターン
4 周縁化された子どもたちの出会いの場として――ステパノ学園の実践
第5章 低成長時代の周縁化された子どもたちの連帯――多様性を再生し開く挑戦[一九八〇年代前半から現在までを見据えて]
1 澤田美喜の死(一九八〇年)と新たな挑戦――社会へ広く開かれる学園
2 支え合い互いにケアし合う場として――多様性のなかでの心の回復
終 章 戦後史を超えて――“包摂と排除”か“つながりと連帯”か
1 戦後史のなかの“現在性”――“現在的課題”としての混血児教育の方法
2 教育学と歴史学を架橋する混血児の戦後史
3 〈選別社会〉に抗う〈歴史のなかの教育〉
あとがき
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