紙の本
ようわからんけど、フィクションとして読めばおもしろかった。
2004/05/01 23:06
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投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
家族の紹介として父親を取材対象とした事件を著者がエッセイに書いているのを読んだことがある。
かなり、世間ずれした楽しい父上のようであるが、それを淡々と娘の視点ではなく第三者、小説家としての目で見ているのがおもしろかった。
『フルハウス』を読み始めて真っ先に、この著者の父上が架空の映像に現れ、さてさて、どんなおもしろいことをやらかしてくれるのだろうかと思った。期待を裏切らない父上の奇行におかしみを感じながらも、親族はさぞ困るだろうなと少々哀れみの感を抱いた。
家族との繋がりを求めて一軒の家を建てるものの、家族からは見放され、あげくの果ては他所の家族に家を乗っ取られてしまっている。庇を貸して母屋を取られるの諺どおりの展開である。家があるから家族なのか、家族があるから家なのか、よく分からなくなる展開であった。ローカルニュースとして見ていくには被害も何もなく気軽に読めるものだったが、これがノンフィクションで我が身に起こったことならば、御免被りたい。
『もやし』も物語りの始まりとしては奇妙だったが、読み進むうちに「もやし」の存在がリアルなのには驚く。
まさか、こんな人間は居ないだろうなという清野という妻。
正気なのか精神を病んでいるのかがわからない。
ちょっと、読後に消化不良に陥る話だった。
初めて柳 美里の作品を読んだが、他のストーリーを読んでみたいと思わせる作品集である。著者は在日であるが故に得意な目で見られがちであるが、いまや在日も何も関係ないと思う。日本で生まれ、日本で育ったのならば、もはや日本の文学作品なのではと思わせる優れものだった。
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柳美里だめな人は多いのはわかるが、私は結構大丈夫。むしろ好き。ポップだよ。
これも、2話目の『もやし』の方が好き。もやしカレー。浮気される奥さんがこれまたポップ。
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非常に生々しい作品です.
作者の家庭に対する思念が浮き彫りになっています...
9歳ころ、初めて手にしたときはまだ複雑過ぎて、内容を上手く理解出来ませんした.
最近になってやっと、この作品の本質を垣間見れた様な気がします.
真に恐ろしきは生ける人間
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【メモ】フルハウス/もやし・「フルハウス」家族の再結成を願い理想の家を建てる父、誰もよって来ない、ホームレスの家族を住まわせる、でも既に家庭は崩壊している、幼女性的虐待・「もやし」不倫・もやしを育てる妻、見合いを勧める実母、知恵おくれのゆきと・痛々しくて怖い
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16年前に母に逃げられた父は家族の象徴としての家を建てた。
が、その家に住むことを娘達は敬遠する。
しばらくして父親からのSOSで家に行くと、ホームレスだった知らない家族が家を牛耳っていた。
何をいいたいのか?家族についてか?
なんだかしんどくて、収録されている「もやし」も途中で投げ出してしまった。
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こわい話だった
登場人物全員おっかないが、とりわけ女の人がぞっとするほど怖い
肉のにおいというか、血のドロドロというか・・
全員ちょっと病んでるかんじ
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「家を建てる」が口癖だった父は、理想の家族を夢みて、本当に家を建ててしまう。しかし、娘たちも、十六年前に家を出た妻もその家には寄りつかなかった。そこで、父はホームレスの一家を家に招き、一緒に暮らし始めるのだが…。第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞受賞の表題作のほか、不倫の顛末を通して家族の不在をコミカルに描いた「もやし」を収録。
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『笑いと恐怖は同じ狂気の裏表でしかない。怖がってる目の、どこかが笑っている。もしくは笑ってる目のどこかで恐怖におびえている。』(p.189)
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家を建てることを望んでいた父が、本当に家を建ててしまった。
娘や妻は寄り付かず、その替わりにその家に住んだのはホームレス・・。そういえば「家族シネマ」でも際どい家族関係が描かれていた。なんとも痛い。
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東野圭吾さんなんかもよく使いますが、
話がややこしくなってきたときに一旦まとめる書き方や、
たとえば、言い終わらないうちに従業員は電話を切った。
といった些細な日常のやりとりなんかが、すごく丁寧に表現されていました。
これもいつか勉強し直さないといけない一冊です。
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少女も妻も狂気に満ちている。
柳美里の自伝的要素も織り交ざり、とてもリアル。
そして、何処までが現実世界にあったことで、何処までが作者の物語なのかわからない。
私は狂気を求めているのかもしれない。
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日本人の「家」という呪いについて十分に語られた小説である。狭い国土の中、密集しながら生きている日本人はどこか「自然」を失い、隣人関係や他人への基本的行動がおかしくなってきている。まわりに物が溢れるに従い、人間と人間の接続は緩くなっているのだ。ガバガバに開いたその接着面はすぐに壊れそうで、「家」の中に引きこもるしかない家族が権力を握る。「家」を固執する者、人生の楽しみの半分を知らず。
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父親は、新たな土地に家を建て、独立した二人の娘を呼び寄せた。一からすべてをやり直すつもりだったのか、新しい家には別れた母親をも含めた家族4人で住むための準備が整っていた。それでも家に寄り付かない娘たちに対し、父親のとった行動は…。
なんだかあやし~い小説だ。まず、父親があやしい。何を考えているのか分からない。語り手である長女の素美は、私からするともっとあやしい。父親に抗おうとしつつも、闇に包まれた家から離れない。表題作の他、「もやし」を収録。こちらは読むのがつらい。気持ち悪くて。
☆泉鏡花文学賞・野間文芸新人賞
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毒の味がする、
正直なところ妹が来た時に全て終わらせて欲しかった
オチが気になる終わり方だった。
オチが気になると思うのが間違いなのかも知れないけれど、姉と父の揺らぎを妹が壊してくれるんじゃないかと最後まで期待してしまった。
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描写はすごく丁寧だし、あらすじを読んだときは面白そうだと思ったけれど生理的な不愉快さを感じた。登場人物の倫理観が全体的に終わってる。嫌いというより無理な小説。