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唐突なのです、全てが。
なのに有り得ないその状況を、理解を超える状景を、
たんたんと進められるストーリー展開の中で、気付けば受け入れてさせられてしまっている。
「このごろずいぶんよく消える。」
こんな書き出しから始まる「消える」という作品。
「消える」という表現は、もちろん比喩ではなく。
なのにそんな奇怪な状況なのに、ホラーではなく。
作中の人物も、その現実に対して深く追求しない。
なんだか遠野物語とかの時代背景なら、こんなこともあったのかなぁ。
などと気付けば、読んでいる自分さえも深追いせず、この不可解な状況を受け入れている。
最初は「安部公房」や「カフカ」を連想させる、
混沌とした量子力学の捩れのような世界をイメージさせられた。
が、近からず遠からずってところかな。
どちらかというと、宮崎駿の描く「千と千尋の神隠し」みたいな空気が近いような気もする。
作者は自分の作品を「うそばなし」と呼んでいるみたいだけど、
読者としての自分は、その「うそ」の世界に自ら溺れて、
それを楽しんでしまうような不思議な快感があるのです。
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川上弘美さんの本はこれで4冊目(かな?)なんだけど、この本が一番好き。
中でも、この本の3作目に収められている「惜夜記」っていう作品がすごく気に入りました。
お友達に借りている本なんですが、この本は買っちゃおうかな。
だって、何度でも読みたくなるような本なんです。
村上春樹さんの作品にもよくあるような「不思議な世界」が川上弘美さんの作品にも見られるので、村上春樹さんの不思議な世界のイメージが好きな方は、この本も気に入るかもしれません。
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大好き川上さん。
はじめて読んだのがこれ。表題作「蛇を踏む」は芥川賞を受賞しました。蛇を踏んだらその蛇が女に変身して、いつのまにか部屋に上がりこんでいて…。???となるようなお話が多く、「大人のファンタジー」と評されることもしばしば。
でも一度この世界がクセになるといっぺんで病み付きになってしまいます。短編が3つ入ってます。
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芥川賞受賞作「蛇を踏む」を含む3編。
川上弘美さんのわけのわからなさが私は好きですが途方に暮れるほどわけがわからないです。
雨の日に違う世界と溶け合うように読める本
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私にとって川上弘美は2作目。今作は短編が3作収録されています。著者あとがきに「自分の書く小説をひそかに“うそばなし”と呼んでいる」とあったのですが、読んだ文章を頭の中で確実に映像化しないと気が済まない私としては、この“うそばなし”を想像するのが、ぶっちゃけとてもしんどかった。それゆえ、本当に薄い本でありながら読むのにとても時間がかかった1冊となりました。自分の想像力と格闘しつつ四苦八苦しながら読んだ1作目と3作目は、私にとってはホラー(笑)。ホラー嫌いな私は表題作を読んだ後「今作はずっとこのままホラー的なのか?」と若干不安に思ったりもしましたが、2作目『消える』がありえないシチュエーションの中で話が進む割にはすんなり入り込めた為、総合的にはバランスが取れたかな、と。この人、ホント奥が深い。頭の中どうなってるのか、ぜひ割って見せて頂きたいものです。
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これもまた、コトバがすごい。
鳥肌がたちながらも、心地よい。
読みながらイメージの中に入っていくと、それはそれはもう。。。
『背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのであった。』(惜夜記 より)
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へびをふみたくない。
そしてこんなふうに、おかあさんにかまわれたくない。
いやなことばかりなのにどうしてこんなにも冷たく、心地よくかけるのか。
文章ってすごいね。
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芥川賞受賞するか否かで、なぜもめたのかすごくわかる気がした。蛇に重ねて重ねられた意味があるのかもしれないけれど、私にはそこまで何重にもされている蛇の意味がわからなかった。
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カナカナ堂への道すがら、蛇を踏んでしまったわたし。「踏まれてしまってはしかたありませんね」とのたまい、女性に変身した蛇が、わたしの家に?母?として訪れる。芥川賞獲得の、不思議な話。思わず引き込まれずには、いられない。
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『「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった』…川上弘美のこのそっけなさにはまった一冊目。
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ここに収められている「惜夜記」(アタラヨキ)を読んでいると、夏目漱石の「夢十夜」を思い出す。「夢十夜」の方が好きだなー。
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短編集。表題作は20ページ程。
読んでもストーリーがどんなだったか、
全然思い出せない。
けれど、現実なのか、非現実なのか見境のつかない
モノクロームの情景が、浮かびは消えて、
その不思議な感覚がいつまでも心に残ります。
文体が好き。
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不思議です。おとぎ話を読んでいるようです。言葉使いも独特。
川上さんの作品の持つ空気感がいいですね。
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いかにも「芥川賞!!」て感じのさらりとした純文学小説。
「センセイの鞄」もそうだけど、この人の文体は肌に合わない。
なんか文章が流れすぎるんです。
もっとこうメリハリというか、波があったほうが好き。
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川上さんの本はこれが初めてですが、なんだか小川洋子と筒井康隆が大好きな私にはぴったりの、第三の作家さんという感じがしました。どちらかというと現実味がないのに妙にリアルという系統が好きなので。。。ほかの作品も読みたくなりました。