紙の本
結局のところ、役人の自慢話
2019/04/16 22:11
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投稿者:あお - この投稿者のレビュー一覧を見る
警察官僚は、東大を出たキャリアと決まっている。世の中を支配している気持ちの持主というのは、勉強のできたことの無い者の僻みだと思って良い。しかし、警察でも成功して出世して、おまけに、警察官僚出身で最も高名な後藤田正晴に評価されたでピークを向けえる。これでおさまらずに、戦国時代の武将・佐々成政が先祖だというに及んで、出自に係る差別意識も透けて見えてきた。
プロの書き手であったのなら、警察が身の回りの品を清潔にしていることと、極左セクトが不潔であることを対比する。素人の浅はかさで、清潔自慢に留まっている。これを基軸に据えれば、権力を持つ者の、規律と自制心が示せて、格調高くなるだろう。一方で、革命家気取りが我が儘で勝手な生き方をして、周囲の迷惑になることが示される。これでまとめるのは、それほど難しくなかったはずなのに残念んだ。
読後感として、警察が不潔なら、革命小僧と差が無いと思えてくる。権力を有する側なら、革命を起こす必要もないということに過ぎないと理解する。なるほど、権力者の自慢話がつらぬかれている。自慢話エキスを排除して、事実関係を整理すれば良い記録になると思って、部分的に読み返してみたら、流れが悪いところが多い。手帳を見て書き起こしたように書かれているが、後で別の資料で記録を引いたようだ。とすると、どこが自身が見聞きした事実で、どれが外部情報かの区別が付かない。資料としての価値は一段確実に落ちる。見下した態度とかは事実だろう。つまり、真実は、警察の鼻持ちならない役人が見下した態度で指揮を執ったということのみが、確実なものとなる。
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戦後の重大事件史の1ページに間違いなく残る、近頃映画化もされたあさま山荘事件を、実際の現場で指揮を取っていた著者がドキュメント形式で時系列を追って書いている。警官も指揮官も人質の無事救出を目指すという到達点は変わらないのに、立場によって言う事やる事が全く違っていたり、実力もないのに地位や年次が上なだけで偉そうにしてる輩がはびこる、警察内部の悪しき習慣が露呈したりと、普段ニュースで見てるだけでは全然分からない醜い部分が満載でありながら、それとは逆に、寝る間も惜しみ命すら献上しても構わないという覚悟で臨む、警官たちの心意気も充分に感じ取れ、凄く読み応えがある1冊だった。この事件当時私はうまれておらず、リアルタイムでの体験は当然ながらないが、これを読み、プロジェクトXでやってた鉄球の映像を頭に浮かべつつ、知った気になることは可能。そしてこの本で、亀井静香代議士が警官であったことや、後藤田官房長官、ライフル銃で狙撃された国松警視総監もこの事件に携わっていたことを知りました。
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非常に面白かったです。現場の緊迫感や情景が頭にすぐに浮かび上がる文章で、はまり込んで読んでしまいました。
「あさま山荘」はリアルでは知らない世代ではありますが、すさまじい戦いだったんだなと思いました。身震いする思いで読んでいました。いや〜、面白かった。
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死者3人、負傷者27人、動員された警察官のべ12万人、報道陣6百人。テレビ中継の視聴率は史上最高を記録。極寒の軽井沢の山荘で何が起こったのか。10日間にわたって繰り広げられた戦後警察史上最悪の事件の一部始終を克明に再現した衝撃のノンフィクション。
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民間人一人を人質にとり「あさま山荘」に篭城した赤軍派と警察との熾烈な戦いの詳細が示されていた。「あさま山荘事件」の背景として赤軍派の引き起こした数多くの事件の経緯が述べられ、その上で「あさま山荘」事件現場でのさまざまな苦闘・民間人救出・犯人逮捕までの事実が詳述されていた。精神的に追い込まれながらも励ましあい、外乱・激論・計画失敗・犯人の抵抗に遭いながらも目標に向かって突き進んだ警察官の直向な姿に心を打たれた。本事件を始めとし無慈悲な事件を数多く引き起こした連合赤軍なるものがなぜ生まれたのかが強烈な問題意識として残った。
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迫真のノンフィクション。こういう事件だったんだ…。現場の刻々と変化していく様子が生々しい。次はきちんと、危機管理本として再読しようかしら。
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読んだこの人の本では『東大落城』が一番面白いですが、これもオススメ。頭で想定している内容と実戦はどれだけ難しいかという(ついでに指揮系統も)いい例。警察側の視点なので、警察官を銃弾で薙ぎ倒していくまったく肉声の聞こえてこない赤軍幹部たちは恐ろしい存在ですが、これ読んだあとに見沢知廉『囚人狂時代』(新潮文庫)を読むと「………こんな人?」という拍子抜けが。<このとき山荘に立て籠もってたうち一人と刑務所で一緒だった人の体験記。
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あさま山荘事件を警察の視点で描いた迫力の一冊。緻密なデータと迫力ある文章で小説仕立てになり、すさまじく面白い。著者は当時の警察側の実質的な指揮者。組織横断の型破りさもあったと初めて知る。
緊迫した状態での悲喜こもごもが活き活きと語られ、一気に読みきった。傑作。
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いろいろな浅間山荘本を読んだが、結局一番リアリティのあるのはこの本。当事者ならではの、緊張感、いらだち、達成感、虚脱感などいろいろな感情が伝わってくる。
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著者がいかに優れているかという自慢話が鼻につきますが、事実を詳細に述べた語り口は迫力があります。
あさま山荘事件をリアルタイムで経験していなかったので、偏った視点とはいえ知ることができてよかったです。
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小学生か中学生の頃に祖母に渡されるもおそらく未読
たぶん途中までは頑張って読んだのですが
挫折したものと思われます
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指揮官の視線で描かれているので、賛否両論あるとは思いますが、この事件をなによりも知ることができる、フィクションを超えたノンフィクションです。
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犯人5人対警官1,500人。これが中国で起きてたら、確実に犯人全員殺されてる。犯人5人対特殊部隊5人、というコストパフォーマンスの良い結果になったと思う。多分ペルーなんかでも。でも、日本ではこういった事件には警察があたるし、そのために機動隊がある。あくまで検挙が目的だから、こんな途方無い非効率な結果に見える。けどそれがこの日本って国のくそったれで馬鹿馬鹿しくありながら、甘っちょろいけど素晴らしい部分だよ。 / けど学生達の投石にしたって、警官が発砲してこない事が分ってるから出来る、甘えがあるから出来てたんだと思う。だからこの事件の犯人達も、殺されないって思ってたんじゃないか、とか考えたけど、総括なんつって平気で仲間をリンチして殺すような連中だから、その辺の覚悟だけは出来てたのかも知れないな。 / 犯人の1人の板東が今でも超法規的措置で国外に出されてそのままだってのは劇的。今の日本から見たら隔世の感だ。俺が生まれてからの日本なんて、バブルがあってサリンと地震があっただけに見える。うーん、激動の時代だったんだなぁと感慨を覚える。 / 鉄球、あれ本当に効果的なんだろうか。うーん。良くわからない。
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前半、自分自慢が鼻につく。中盤、過去の警備実施の話しは少々面白い。警察庁批判が強くなってくる。ラスト、やっぱり自分自慢は止まらない。
結論、「小説」ではないんだなぁ。しょうがないか「ノンフィクション」だし。でも、作者の偏った主張が強い分「エッセイ」もしくは「ポジティブな私小説」の方がいいかも。
映画の方がおもしろい!めずらしいなぁ。
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長野県軽井沢で起こった連合赤軍による
山荘篭城事件の警視庁側の全容を書いた
佐々淳行さんの本。
当時の佐々淳行さんの役職は
警察庁所属の
警備局付警務局監察官と言う
異例の階級だった。
これは当時の直属の上司:後藤田さんによって
つけられた階級で前例も後例もない
『その時限りの身分』でした。
警視庁の幕僚団の一人として
安田講堂事件から警備面に関わっていた
危機管理の前線指揮官として
後藤田さんの『ちょっと行って指揮してこいや』
で行く事になった事案。
ホームグラウンドで無い他県の事件、
初めての銃撃戦、警視庁と長野県警の御互いの意地と誇りなど
色んな物が衝突し、対立し合い、
事件は犯人篭城だけに限らず
現地警官の中でも苦戦を強いられます。
この本はあくまでも
佐々さん・警視庁側からの観点であり
マスコミ側・長野県警側からの視点は書かれていません。
故、若干の語弊があったりもする文面がありますが
事件の全容、悲劇、結末を知るには十分かと思います。
殉職警官が2名出ている事件だけあり
あまりユーモアのある出来事等は
軽率には書かれていませんが
一人の人質の命最優先の為に
生きてると信じて奮闘した
1635名の警察官へ
賞賛を送れる気持ちになれる
熱い男達の歴史の一幕です。