紙の本
問題作であり衝撃を受け、更に一気に読ませながらも最後は読者を突き放す一冊
2008/08/16 21:57
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
何とも言えぬ救いのない物語であり、読み終えた後ずしりと重い気持ちになりながらも非日常の出来事として忘れ去れる物語がこの本なのだと思います。
きっとここに描かれていることは現実に起きていることであり、今もどこかで少女や少年は売られ、病気になれば生きたまま捨てられ、性の処理だけでなく内臓すらも売買される対象になっているのでしょう。
それが伝われば伝わるほど、目を背けてしまうのが日本という国で生まれ本当の意味での貧困が遠い国の出来事としてみている今の自分だからかもしれません。
物語に登場する少女や少年たちは人として扱われることなくモノとして扱われ、大人たちは都合よく搾取していく。貧困がすべての原因だとしても親すらもわが子を売り、そのことに罪悪感を感じていないのが薄ら寒さとリアルさを感じてしまうのです。
物語はあまりにも残酷で描写も生々しくおぞましい。
生きたまま殺される少女や暴力に怯え大人の望むままのモノとなる子供たち。
そして児童売買をなくそうと奮闘するNGOの音羽恵子と彼女に頼まれて記事を書く新聞記者の南部浩行。
二人の日本人と一人の少女により物語は進むのだが少女の身にふりかかる出来事の壮絶さに比べ日本人はあくまでも「善意」の振りまきにしか思えないし、どちらかと言えば「自己満足」にも思えてしまいます。
さらに最初は同じ正義感から始めた一人の臓器移植により失われる少女の命を救うことがラストで二人の立場は変わっていってしまうのです。
きっと音羽恵子のような生き方をする人に同調し感動を受けるほうが正しいのでしょうがあまりにも青臭く真っ直ぐ過ぎる彼女の言動に違和感を感じてしまいました。
こう感じることが作者が描く物語の本質であり、ラストに南部と音羽のそれぞれの言葉になり、ほとんどの人が南部と同じ行動を取るのだろうと思います。
問題作であり衝撃を受け、更に一気に読ませながらも最後は読者を突き放す、今までに読んだことのないようなタイプの一冊でした。
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これ現実に起こってるんだ・・・と
思うと、かなりハード。
小さいお子さんをお持ちの方は
やめといたほうがいいです。
幼児売春の現実とそれを守ろうとするNPO組織のお話なんだけど
もう売春の様子があまりにも痛々しい。ひどい。さらにどうしようもない現実と光の見えない未来。
梁 石日の勢いのある描写が激しく
綴ってます。
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アジア通貨危機が起こる時期のタイを舞台に,児童売春組織の実態とそれを糾弾するNGOの活動を描いている.決してエンターテインメントとはいえないが,先進国と途上国の関係を考える一つの材料になる.
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小児性愛の被害者、加害者、救済者の話。コテコテで執拗な描写にうんざり。小説としてもルポとしても面白くない。子どもを買春から救うべくNPO女が登場するが、意図がよくわかんない。
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「闇に消えた子供たち」と間違えて読み始めたのですが、
テーマが児童虐待だったのでそのまま読み進めました。
それにしても重い…重かったです。
こんなに何度もため息ついて本を伏せて、
また読んでは伏せ…したのは始めてかも。
確かに分厚いのは分厚いのですが、梁さんの文章は
とても読みやすく、内容が変わればすらすら読めそうな
感じだったのですが、内容が辛すぎました。
虐待は虐待でも性的虐待。
東南アジアの貧困の国の子供たちが、裕福な西洋人の
性のおもちゃ、性の奴隷になっている実態を描いたもの。
ピックアップされている子供たちの生き様はまさに生地獄。
冒頭から終盤まで出てくる山岳地帯の少女の人生の終幕も凄惨でしたが
この少女の姉の話が一番悲惨で、一番読み進まなかった部分でした。
子供を売る親ってどういう心境なんだろう。
しかも子供たちがどういう目に会うかも薄々知っていて、
売ったお金でテレビや冷蔵庫や高級酒を買って優越感に浸り、
命からがら戻ってきた娘に対してあまりに非人道的なむごい仕打ち。
わからないしわかりたくもないです。
けど、日本もわが子を売ったり間引きしたりしてたんですよね。
私のキャパ超えてて想像つかないです。
読むべき一冊だと思う反面、薦めたくない一冊でもあります。
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タイの幼児買売・売春・臓器売買を赤裸々に書いています。はっきりいって直視はつらい内容です。女性であるわたくしは子供..しかも、幼児を性の対象にし商売にしゴミのように捨て、それを暗黙の了解とする政府に対し強い怒りと嫌悪感を感じずにはいられませんでした。
NGOの日本人現地ボランティアの人々がマフィアと戦おうとしても 政府と軍が邪魔をし最後は...。やりきれない結末です。他国がどう動こうと何もかわらないのでしょうか..犠牲者はいつも弱者・子供たちなのでしょうか.
やるせない思いで体が震えます。.
需要と供給は1つということ。
どちらかひとつが欠ければ 幼児売春も臓器売買も成立しない。先進国日本も加害者だということです。
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最初の20ページぐらいで、気持ちが悪くなった。
でもそこには目を背けちゃいけない現実が存在している。
「人身売買」、「児童売春」、「貧困問題」
描かれている貧しいスラムの街並は、目を覆いたくなるほど厳しく、劣悪な状況だ。
これは物語の中の話であるけど、僕らが生きているこの世界で実際に起きている問題だ。
文字を追うのが辛くて辛くて仕方なかった。
お陰様で読み終えた後はプチ鬱になりますた_| ̄|〇
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犠牲になるのはいつも弱い者
話そのものはフィクションですが題材である児童売春と臓器売買は現実に起きている社会問題
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貧しいアジア地方で実際に今現在行われている幼児人身売買、幼児臓器売買などの話。読んで驚愕。これほどの衝撃は貫井徳朗の「殺人症候群」以来だが、あちらはあくまでフィクションで、この本は小説の形態を取ってはいるが、限りなくフィクションだろう。このアジアの現実に目を向けることの辛さと言ったらない。先進国の日本で安穏と暮らしている自分に何が出来るのかもさっぱりわからない。わたしは写真をやっていて色々な子供を撮ったりもするが、自分が撮ったその子供たちの写真を見て、お願いだからずっと幸せでいてねと切に願った。
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人身売買、幼児虐待、児童買春、臓器売買……
今尚、闇の世界で繰り広げられている、身勝手な大人に夜欲望の渦。その渦中の被害者は、後にも先にも弱者、中でも世の中の穢れを知らない無垢な子供たちだ。
まるで物を売るかのように我が子を売る親達。商売道具として奴隷のように調教し、虐待を以って自分達の身の程を教え込むブローカー。そんな事実を知りながら、多額の賄賂で見ず知らずを押し通す警察や軍。そして、エイズ等に感染すると、まるで虫けらのように捨てられる。もはや金にはならないと判断されたら、いとも簡単にその生命は切り捨てられるのだ。
「人の生命は皆平等」。それすらも戯言のように聞こえてしまうくらい、この作品は残酷なまでに今の闇に潜む魑魅魍魎を描いている。たとえ文字だけの世界でも、読み進めるだけで眉をひそめ、目を逸らしてしまう。
この作品を読んで最も感じたことは、世界を根底から変えるのは、並大抵の覚悟では務まらないということ。弱者を喰い物にする大人の欲望は果てしない。一つその芽を潰してもまた別の芽がどこからか生え出す。いたちごっこのように切の無い世界は、根底を断ち切るしかない。
しかし、生半可な覚悟では解決できるとは思えない。また必ずしも自らも手を汚さずに解決できるわけではない。それに、これらは別個の問題ではなく、全て繋がっている。これは、闇の世界に限らず、表にも出ているあらゆる問題にも関係していると思う。
著者の出自故か、この作品の最後と解説部分は、納得いかない描写がある。まるで、豊かさを享受した者が犠牲になることでこの問題が解決されると言わんばかりだ。また、それまで決死の覚悟だった者を一転して無関係にさせるように誘導するようにも取れる部分もある。フィクションとはいえ、それまでの描写で突きつけられた残酷さがあまりにも強烈だったのに、最後の方で政治的民族的な表現を出すのは残念だった。
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この著者の骨太感は、好きです。常に下から社会を反骨精神でねめ回すような、情熱をかんじます。
それにしてもこのテーマは重い。
調子がよくて、思い上がってるときに自戒するのには最適。
調子悪くて落ち込んでるときは・・・
世の中がいやになります。
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重かったぁ〜・・・です。東南アジアでの幼児買春・臓器売買の話。自分に出来ることはなんなのか・・・いろいろ考えるけど、答えでないなぁ〜・・・。募金箱見つけたらお金絶対いれるようにしてるけど、それで何か変わるのかな?・・・わかんない。
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読み中です。
amazonの書評を見て覚悟して読み始めたのですが、
心を打ち、めげてしまいそうな内容です。
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重たい、怖い。
何が出来るわけでもないし、身近なことではない。
だけど、繋がっているし、知らないといけない。すべてを鵜呑みにするのではなく、もっと闇があることを知る。
フィリピンで見たスモーキーマウンテン、インドで見たストリートチルドレン。
そのときは気づかなかったけれど、もっと想像つかない闇の世界で苦しんでいる子供や大人がいる。
何が出来る?
そう、問いかけることしか出来ない。
自分のことばかりしか考えていない自分、偽善者なのかもしれない…。
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これフィクションだけど、決して現実よりオーバーって事もないんではなかろーか?
興味深い、読みやすい、小説としても面白かった。結末がチト意外性があったのもよかったかな。
解説(作者とは別人)は俺とは意見が合わず首を傾げつつ読んだ。
この人の本は血と骨に次いで2作品目だけど、また他の作品も読みたくなった。