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粗の目立つ雑な検討や裏付けに欠ける怪しい主張に人がだまされてしまう理由について、著者は、「気分にかなうという理由で納得し→動かしがたい空気となり→思考や言論が支配される」というプロセスの存在を指摘します(51頁)。
このプロセスが存在する限り、思考や言論を支配する「空気」に反する主張は、「空気」に反するという理由だけで取り上げてもらえなくなってしまうのですから恐ろしいことです。
この恐怖のプロセスに立ち向かうために、「正しい議論」「ダメな議論」を見分けるためのチェックリストについても著者は言及しています(80頁)。
これらのツールの有用性自体について否定するつもりはありません。
ただ、困ったことに著者のチェックリストはわたしのようなおバカさんには若干使いにくい。
それ自体が「難解な」ツールになってしまっているのです。
シンプルに、簡単に考えましょう!
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ダメな情報、論説をはじく技術。訓練しないと難しい。信頼できそうな人を見つけるほうが楽そう。/経済についての適当な議論が、如何にあふれているかということは、例題で嫌というほど分かった。それも自分では見抜けなさそうだ。
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定義の誤解・失敗はないか、無内容または反証不可能な言説じゃないか、ということを特に気にしながら文章を読んでいこうと思った。
同時に、自分もこういう当たり障りのない無内容な文章を特段意識することもなく大量生産している気がして、読んでて少し怖くなった。
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世の中に多い「ダメな議論」に付き合わされないための方法を紹介している。機械的にチェックできるポイントが5つ紹介されているので引用。
1. 定義の誤解・失敗はないか
2. 無内容または反証不可能な言説
3. 難解な理論の不安定な結論
4. 単純なデータ観察で否定されないか
5. 比喩と例話に支えられた主張
身の回りだと、「2. 無内容または反証不可能な言説」が多い。話していて不利になると極論持ち出す人や、「結局幸せなんてひとそれぞれじゃん」と言って話を終わらせようとする人はこれ。
それなりに教養と常識があればデタラメとわかるような話でも真に受ける大人が多いのを見ると、こういう本は必要だと思うのだけど、たいていの場合そういう人は自分で気づいていないから、きっと売れないんだろうなあ。
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教養書を選ぶとき、「自分の知らないことを知る」「何かに役立てる」という目的以上に、「自分が読んで心地よい」ものであるという前提が大きく影響してくる…この話はなかなか深層に迫っていると思った。心地良くないものを最後まで読み通すのは結構辛い。
そもそもその心地よさというのはどこから来るのか。どうやって何かを支持するという心理が生じるのか…を分析した上で、その心理のために論理的に誤った内容の議論でも受け入れてしまう事例の原因が何であるかについて、著者の挙げる5つのポイントを軸に検討している。
ある議論について、その論調や言葉遣いから直感で(何となく信用しがたいな)という気がすることは今までもあった。当たり前といえばそうなのだが、データや用語の定義を調べることで、議論のどこがどう誤っているのかをより説得的に説明することができる。著者はダメな議論を見抜く術として色々と書いているが、他人といかにやりあう(議論しあう)かのヒントにもなると思う。妄信的な◯◯信者で、どんなに論理的な間違いを指摘しても梃子でも動かないような人には、結局効かないんだろうけど。
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世の中のもっともらしい主張の論理的な誤りを、丁寧に解きほぐしてくれます。おかしな理屈が普段見過ごされているということですね。
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◼️p22-23 私たちは、「自分の知らないことを知る」本を探しながら「自分の知っている(漠然と感じている)ことが書いてある」本を購入し、読書を「自分の役に立てる」ことを目標としつつ、「自分の思想・行動に何ら影響のない(読んでも読まなくても変わらない)」本を読んでいます。つまりは、自分が日頃から抱いている「信仰」にお墨つきを与えてくれる、「自分が読んで心地よいと感じる」本を選んでいるなすぎないというわけです。
なるほど、その通りだ。これは本に限らず、たとえばtwitterなんかでも、無意識のうちに自分に合った言論を発信する人ばかりをフォローしてはいないだろうか?そのような状況下では、既に自分が常識と思っている考えを、それが正しくないかもしれないにも関わらず、どんどん強化していってしまっているだけになっているかもしれない。
本書は次のようなチェックポイントを示し、これらの項目を確かめながら文章を読み進めることで、少なくとも「ダメな議論」を排除できるとしている。
◼️p53〜 5つのチェックポイント ①定義の誤解・失敗はないか ②無内容または反証不可能な言説 ③難解な理論の不安定な結論 ④単純なデータ観察で否定されないか ⑤比喩と例話に支えられた主張
このようなチェックを行うことで、なんとなく納得してしまうことを防ぎ、文章をより批判的に読む姿勢が身につくというわけ。ただ、本書の後半では実際の言論をこれらのチェックポイントによって検証していくわけだが、文章がいかんせん経済政策の内容に偏りすぎていて(著者の専門の関係だろうが)そこは少しつまらないというか、もう少し多様なテーマの文章を扱ってほしかった。
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私たちは、普段から見慣れていて、たやすく理解できるものを「自然だ」と感じる傾向がある。ダメな議論の中には、多少の知識があればその誤りに簡単に気づくことができ、感情的な賛同に対し「水を差す」ことができるようなものも少なくない。経済知識(あるいは統計や社会学の知識)がなくとも、ダメな議論のあやしさに気づける方法が必要なのだ。チェックポイント①定義の誤解・失敗はないか?②無内容または反証不可能な言説。のふたつは、最も利用度が高いものです。世の中に流布する言説には「定義がない」「反証不可能」なものが多いのです。
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「はじめに」ではこの本が、あくまでも「技術書」であり、「ダメな議論」のフィルターである旨が明らかにされる。でもやっぱり面白いのは「具体例」の部分。ココがおもしろいからこの本は、類書に比べてもホントに「使える」本になっている。
まず、よく使われるマジックワード、内容がないことをごまかすための常套テクニックが、実例付きででてくるところがイイ。そうそう、「本当の○○」とか「真の○○」とか「自然な状態」とか「夢」とか出てきたら、眉唾だってことっすよ。
つぎに、じっさいに「ダメ議論」が蓄積されてる分野から例文をつくっているのがイイ。たとえばニート論とか、「よいデフレ」論とか、食糧安保論とか、「財政ハルマゲドン」論とか……ぜったいにどっかで「ああ、こーいうの読んだ」というデジャヴュがでそうな例文を、てってーてきにタタいてるところが、この本の痛快なところ。とくに第5章(あやしい「大停滞」論争)のところは、「バブルの原因」「不況の原因」「格差拡大の原因」を絶賛おっかぶせられ中の若者世代必読。
読んでたのしく、役に立つ。ロジカルシンキングとか論理学とかしゃらくせぇというか、めんどくせぇというかな人にも、「ダメ議論フィルター」の使い方がイメージしやすい。お買い得な1冊です。
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かなり昔に読んだ本だけど、仕事上の必要があって再読。
いやー、「一回読んだことある」&「読む目的がはっきりしている」と、読むスピードとか理解の速さとかが全然違ってくるね。
初見の際は完全に見逃していた内容を何個か見つけたし、実はかなり緻密な論理構成であることも実感できた。著者は若いのにすごいなあ。
けっこうな名著であると思う。
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1.コールドリーディングという説得方法
詭弁の見抜き方
・定義の誤解、失敗はないか
・無内容、反証不可能
・難解な理論の不安定な結論
・データを伴っていない
・比喩と例話に支えられた主張
ーー
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ダメな議論とは、誤った議論、無用な議論、有害な議論なのだそうだ。
そのチェックポイントを四つに分けて提示していた。
一、定義の誤解、失敗はないか
二、無内容または反証不可能な言説
三、難解な議論の不安定な結論
四、単純なデータ観察で否定されないか
そのうち、非専門家には、一と二をまずせよ、とのこと。
たしかに、定義の確認からやってみよう、とは思う。
もっとも、やってみるときっとそれすら難しいだろう。
定義されるべき言葉と、必要ない言葉をどう線引きするか。
「正しい定義」(本来、定義は「正しい」ものであるはずなのだけれど)を、何に依拠して見分けるか。
やはり、調べるなどの手間を嫌がっていてはだめなのだろう。
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う~ん、言っていることは正論なんだが、やはりこれも役に立たない議論の一つに思える。単純なデータも見方によっては様々に解釈できることもあるし、定義の確認にしても定義自体の是非を論じる場合には役に立たないし、反証不能なイシューは無内容ではあるが害にもならないからどうでもいいし、比喩も的確なものそうでないものを見分けるのは深い見識とセンスが必要だし、難解な理論の帰結が不安定かどうかはオリジナルの議論を深く理解していないと判断できないし、とにかくチェックポイントが全然簡単じゃない。もとより頭の良い人の机上の空論である。
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もっともらしい論評や議論がTVの報道・解説番組などで当たり前のように飛び交っている。「常識的」な考えや認識が実は何の根拠も理論的な裏づけのない「自分にとって都合の良い感覚」であることが多く、それに何の疑問も持たずに流されていることに気づかされる。
仕事や会議の中にも、実は曖昧な”ダメな議論”がたくさんある。ダメな議論を避け、分析的な思考に基づく議論を行うことにが、より建設的な結論へ向かう手法であると考えさせられた1冊です。
もっと自分の頭で考えないとダメですね。
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苦手な議論の追い方、やり方について技を得るべく読む。5つの視点は有効そうだ。定義づけ、今何を話しているのか?への注意、等基本ながらつい外す点を、丁寧に記していた。