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紙の本
江戸っ子の見栄と意地と優しさにあふれた一代記においしいオマケ付き
2001/10/02 17:36
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投稿者:密偵おまさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
柳朝さんといえば、ちょっとタレ目でしゃれっ気があって、小朝さんの師匠。テレビやラジオでしか落語に接したことがない私の認識だった。「江戸前の男」に描かれている春風亭柳朝という噺家像は、そんな私の印象を覆すものではなかった。柳朝の見栄っ張りで意地っ張りで、それでいて優しさにあふれた人柄が、この本でしか柳朝に接することのなかった者にも、じんわりと伝わってくる。
読み進むうちに「寄席とかホール落語を聞きに行っておけばよかった」という後悔がどんどん沸いてきた。その時、その場所で体感しなければわからない“何か”がきっとあるのだと、思えてくる。そのくらい、ここで描かれている昭和から平成にかけての落語は、魅力にあふれている。それは、もちろん柳朝という噺家の魅力であると同時に、彼が生きた時代の落語界にはキラ星の如く、才能と人間的魅力にあふれた噺家が生きていたということなのだと思う。
吉川潮氏がいかに、柳朝という噺家を、さらに落語を愛しているか、その思いが伝わってくる。
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