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ペンは剣よりも強し。ペンを持たなかった将門の終わり。それは政治力が無かったから。充実の歴史小説だった。
強い者と、世の中を治められるものは違う力が必要である。それを思い知らされた、そんな歴史物語。
日本人は良いリーダーをいつも求めるけれど、皆が理想とするリーダーはこの平将門のような真っ直ぐのリーダーの事なんだろうな。そういう人が治める世の中は、どうせ副代表が牛耳るとんでもない世の中だ。
将門に対するイメージが移行していくのも非常に面白い要因であると思う。そこが歴史の面白さ。
・始めは、将門は朝廷の反逆者というイメージ。
・次に、朝廷に作られたイメージで悪者にされたけれど本当は正義漢というイメージ。
・最後は、まっすぐだけれど王たる器はない小物。
将門のイメージが下がっていくのおもしろい可哀想。やはり強さには「悪さ」も必要なんだな。マキャベリズム。源頼朝は出来たのに平将門は出来なかったことがすごくよくわかった。
だから大事なのは大江広元だし、北条政元だし北条泰時なのである。次なる面白さがわかる材料である。