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紙の本
大東流合気柔術の中興の祖、武田惣角の若き日の姿
2006/11/26 23:09
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
武田惣角という人物を知っていますか?幕末の会津に生まれ、若い頃より武術を志し、明治維新後、武士の世が終わったあとも武術一筋に鍛錬し、大東流合気柔術という流派の中興の祖と呼ばれている武術家です。小柄な体格ながら滅法強く、「会津の小天狗」の異名を持っていましたが、生涯道場を持たずに流浪を重ね、土地土地の有力者の元に滞在し、また、頼まれればどこへでも出向き、教えを請う者には身分を問わず誰にでも大東流合気柔術を教えたそうです。この武田惣角の、若き日の流浪と武者修行に励む姿を描いた時代小説です。
武田惣角だけでなく、保科近悳、糸洲安恒、加納治五郎、榊原健吉などなど、有名無名の武術家たちがおおぜい登場し、また、琉球空手の起源や歴史なども書いてあり、少しでも武道に興味を持つ人ならば、きっとおもしろく読めることでしょう。
が、肝心の惣角の人物像がどうしてもいただけない。明治の世になった後も武士としての誇りを持ち、というよりは依怙地になって武士として生きようとし、庶民を見下すあたりは、融通が利かず頭が固いとは感じますが、まあ、会津人の頑固さとして大目に見ることとしても、命懸けの真剣勝負の際、血にまみれながら歓喜を覚え、雄叫びを上げながら突進していくなんて・・・。まるで野獣、おもしろい小説なのに、興を削がれてしまいます。実際、勘気の強い人物ではあったようですがこれではあんまり、もう少しなんとかならなかったものでしょうか?
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