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昭和3年の張作霖爆殺事件は関東軍の謀略というのが定説である。第1章はこれまでのおさらい。第2章から、著者が入手したクレムリンの資料などを使って、独自の説を展開する。決定打には至っていないが、著者が指摘するように、爆殺の事件現場写真は不可解だ。列車は外から爆薬が仕掛けられたのではなく、内部からの爆発で損傷しているように見える。松本清張「昭和史発掘 新装版」<2>と併せ読むのがオススメ。
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本書は、昭和3年(1928年)の張作霖爆殺事件の真犯人を追及した本であるが、推測と憶測を想像でつないだとしか思えない内容であり、歴史的考察としてはまったく評価できない「トンデモ本」の類であると思えた。
あえて評価できる点をさがせば、当時の日本の軍部周辺の人物像や考え方の一部を知ることができる点はあるかと思うが、肝心の事件の考察がこうも低レベルだとすべての信頼性が疑われてしまうようにも思えた。
本書は、きわめて残念な本である。
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張作霖を運んだナゾの車
同乗した儀我少佐の談によれば、張作霖は生きていた。しかし、ナゾの車で運ばれ、その後、死に至るまでの経緯が全くの謎である。なぜ病院に行かなかったのか。どのように死んだのか。死因は何か。車が手配されたというが、誰の手配なのか。
事故直後の張作霖
そもそも、尾崎義春氏『陸軍を動かした人々』によれば、”爆破が不成功に終れば列車を転覆させるように仕掛けてあり、警急集合中の部隊を率いて襲撃する”予定だったようである。。儀我少佐の談に張作霖は、即死ではない。呼びかけにもこたえている。
使用された火薬は、日本製か?
渡辺昇一の本「決定版・日本史 (扶桑社BOOKS)」には、火薬が”ソ連製”だったという英国諜報部の電報があるとのことだが、本書では議論されていない。
英国がどのような過程で、”ソ連製”だと断定したかわからないが、その根拠は確かめるのは容易ではないと思う。どうやって確かめたか。日本軍の統制下にある鉄道で、爆薬を仕掛けるのも確かめるのも容易なことではない。
また、関東軍がわざと”ソ連製の火薬”を使ったという可能性もある。
東京裁判のナゾ
河本大佐が東京裁判で、なぜ裁かれなかったのか。
もし、河本大佐が首謀者ならば戦争責任者として、裁かれるべきであった。しかし、東京裁判に出廷していない。この理由は何なのか? 背景にどのような事情があるのか。