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紙の本
殺人をよぶ不気味な童謡
2006/02/03 21:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
時は昭和十二年、入院した北原白秋のもとに白露と名乗る者から脅迫状が届く。時を同じくして、出版社青楓社の編集者、矢代夕子の本家にも同じ人物から脅迫状が届く。その本家には、遺産相続をめぐって不穏な空気が流れていた・・・。親族会へ出ることになった夕子は、白秋の生地でもある、本家のある九州柳川へと向かうが、そこで待っていたものは北原白秋の童謡そのままに起こる連続殺人だった。名探偵、呪師霊太郎(しゅし・れいたろう)のシリーズ二作目。
北原白秋の詩や童謡は好きなので、詩集や歌集は何度か読んだことがあるのですが、その妖しさ残酷さでハッとさせられることもしばしば、本作で使われている『金魚』もそういった童謡の一つ、子供が金魚を一匹ずつ殺していくといった内容なのですが、その不気味さが効果的に後を引き、一家惨殺の悲劇を異様なまでに盛り上げています。
探偵役の呪師霊太郎は飄々として、どこか金田一耕助を思い起こさせますが、解説によるとやっぱり意識して書いたのだそう。ですが、本家の金田一耕助よりキャラが立っていないのが残念です。
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