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以前読んだ『秋の大三角』より、ずっと良かった。
あちらは2005年の作品ゆえ、6年もたてば、筆力も上がるか……(笑)
普通の生活の中に、ファンタジーが入り込む、まさにエブリディ・マジックの世界なのだけれど、あまりに普通の小説の顔をしているので、本当にファンタジーなのかどうか、いつも疑いながら、何度も読みかえしてしまう。
その不思議な導入がこの作者のテなのかもしれない。
さて、本書。
イメージとは程遠い魔法使いが、20歳以下の子どもたちのおもいでを買ってくれる海辺の町が舞台。
その家に出入りする遙斗と里香・・・・・それぞれの物語が動いていく。
私はかなりツボにはまる。
不自然な感じは否めないところも多々あるけれど、でも好き。
いまどきの10代の女の子の恋愛模様がきゅんきゅんしてしまう。
いじめへの対処もお見事。あ~、こんな風にできたら、すっきりするだろうな~
二十歳になること、乗り越えていかなくてはいけないこと、
忘れてはいけないこと。
そんなものに、久々に胸うたれ、何度も繰り返し読んでしまった。
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想い出を質にいれる。
その子が20才になるまで、魔法使いが預かってる。
20才になると その記憶すらなくなって。
はるとくんのカバンが切なかったな。
あとは リカちゃんが20才になったとき。
もう会えなくても それでも想い出はきちんとあって。
ある意味、特別だなと思ったり。
海の底のヒトデ。
静かに静かに とても穏やかなイメージ。
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里華の、おもいで質屋に通い詰めながらも、決して思い出を質入れしないという一貫した姿勢が素敵だった。
困難から逃げる弱さを持ちながらも、どうしてここでこういう思考になるかなあと歯痒くなるくらいそういう年頃の女の子らしい面も兼ね備えていた。
そして、彼女と対象的なのがほんの些細なことでもすぐ、質入れしてしまう男の子。
けれど、彼が母親を失い、それまでに質入れした思い出を全て取り返したことから、例えそれがどんなに辛い記憶であったとしても、それらは全てその人にしか体験できなかった大切な記憶なんだと、かけがえのないものであるからこそ、決して軽々しく手放してしまっていいものではないんだと考えさせられた。
里華と雪成の別れのシーンも印象的で、雪成のその理論はあまりにも酷いと思う反面、けれども、それはその通りなんだよなあとも感じた。
そういう意味でも、この作品は里華自身の生活や、魔法使いとの交流の中に、大人になっていくということについて、よく描かれていたように思えた。
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おもいで質屋のお話。
物語の雰囲気がすごく好きだったなぁ。
ちょっとファンタジーなんだけど、内容はすごく考えさせられる。
ツライことがあった時、誰しも逃げ出したい、忘れたいと思った経験があるはず。
でもどんな思い出でも、その人を形成する大事なものなんですよね。
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子供だけが知っている「おもいで質屋」のお話。
思い出は、その人だけの大切な物というのは里華に同感だなぁ。
良い、悪い含めて、経験値が大人になるのに必要なことだと思う。
読んでいて雪成の自信に溢れた存在がとーっても嫌いでした。
それから魔法使いって、本当に魔法使いなんだぁ~という、なんか不思議な感覚で読んでいました。どこかで子供の幻想?って感覚が抜けなかったからかも。
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若い女性には、「受ける」タイトルかもね。少女趣味的な一面もある作品ですが、人生にとって「一番大切なものは何か」を教えてくれるいい作品だと思う。
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少年少女の成長の話だと、理解した。
魔法使いは”冷静な目”。そして何より、話を聞いてくれる”拠り所”としての役割だろう。
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海辺に住む魔法使いは、「おもいで質屋」を営む。
質屋にはコドモたち(正確には20歳未満)がおとずれ、魔法使いに、自分の「おもいで」の話をする。
するとその話をきいた魔法使いがそのおもいでに値する代金をはらうシステムだ。
代金は魔法使いが決める。
質屋には様々なコドモが訪れる。
お金目当てにおもいでを質に入れるコドモもいれば、つらい記憶を質にいれるコドモもいる。
また、おもいでを質にいれることはせずに、たんに魔法使いに会うだけのために質屋に来るコドモもいる。
永いときを生きる魔法使いと、束の間のときを過ごすコドモたちとの交流の物語。
永遠・・・かもしれない時を生きる魔法使い。
想いをかけた相手は、いつも先にいなくなってしまう。
孤独な魔法使いの物語。
人は、大事に大事にしまっておきたい記憶をもっていることもあれば、蓋をしてしまいこみたい記憶をもっていることもある。
たとえば、そんな負の記憶がお金になるなんてことがあったら、世の中どうなるのだろう。
嫌なことが忘れられれば楽になるし、さらにお金まで手に入るのであるから、お金目当てにじゃんじゃん記憶を質にいれる人がでてくるのは間違いない。
記憶を質にいれることでお金が手に入ることに味をしめてしまったコドモはまっすぐには育たないだろうなぁ。
あくまで、想像ですけれども。
ともあれ、
それぞれの理由で記憶を質にいれにきたコドモたちそれぞれの物語が、心に沁みます。
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ラジオドラマが良くて読んでみた。娘に読んでもらいたい。
移ろいやすい気持ちとか、その中でも確かな思いとか。
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『想い出あずかります』ライトノベルの分類の入るのだろうと思うけど
けっこうぐっとくるところがあり楽しめた。
20歳以下の青少年しか相手にしない思い出を質草にとりお金をくれる質屋さんが魔女によって営まれているという荒唐無稽な設定なのだが、結構すーっと話に引き込まれ、違和感を感じないまま読み進めることができた。覚えていて会話で使いたいなあと思わせるような表現が何カ所もあり筆者の力を感じた。これはおすすめです。
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ファンタジーっぽいほんわかな内容かと思いましたが、そんなことはない!いじめ、失恋、嫉妬、猜疑心など人にとって嫌な出来事(感情)を中心に話は進んでいきます。そういった想い出を子どもたちはどう乗り越えていくのか。最後まで飽きずに読めました。終わり方も私はあれが一番良かったと思います。
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海辺に「おもいで質屋」があって、そこに住む魔法使いが、思いでと引き換えに、お金を貸してくれる、そんな噂が、子供たちの間に広まった。大人になると、踏み入ることができなくなる「おもいで質屋」。女子高生のリカと、魔法使いの交流を描く。
私が子供で、「おもいで質屋」が実際にあったとしても、思い出を質に入れたりしないだろう。どんなにいやな思い出でも。なぜなら、忘れることが、私にとっては、最大の恐怖だからだ。だから、魔法使いとリカが、お互いに大切な存在になれて、二人とも記憶を残していて、そういう結末にほっとした。辛いことも、悲しいことも、嬉しいことも、思い出があれば前に進んでいける、私はそう思う。たとえ、思い出す度に涙が溢れ、二度とあえない人のことでも、忘れたくはない。
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鯨崎町の子どもたちにだけ知られていることだが、ゴツゴツとした崖を降りていった所に、そのお店はある。
「おもいで質屋」
丸い文字で書かれた木目調の看板が掲げられたカシスムースのような見た目の可愛い小屋。
そこに住む魔法使いに想い出を預けてお金と交換する。20歳になるまでに取りに来なければ、想い出はヒトデになって海に沈んでしまう。
遥斗はお母さんに怒られたり嫌な想い出を毎日毎日預け、里華は一切想い出を預けずそれでも毎日のように質屋を訪れる。
大人になる前に掴むことができる柔らかな想い出。
シンプルなファンタジー。
魔法使いと男の子と女の子。それぞれがそれぞれの時で感じる思いを繊細に描いたストーリー。
20歳になると「おもいで質屋」のことを忘れてしまうという、子どものためだけの物語が純粋すぎてあまりにも美しい。
10代の頃の想い出って、その時には預けてしまっても良いかなと思うんだけど、大人になるとその頃の想い出はあまりにもキラキラしていて、こういう話を読むと羨ましくなってしまう。
年明けから良い本を読みました。
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思い出を質に入れるという発想が新鮮。でも少し内容がファンタジー要素が強く、なじみづらかった。中高生には向いているかも。
それにしても雪くん、出だしはいい奴だったのに彼女の親友にせまるなんてひどすぎる。あの豹変ぶりはないなあ。
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図書館で借りた本。
本屋さんのアンソロジーで「ロバのサイン会」が
良かったので凄く期待してたけど失敗だったかな。
悪くはないし、想い出と引きかえの質屋っていうのは
凄く面白いけど起きる事件というかエピソードはかなりシビアだ。
とくに雪くん、友達にしろ恋人にしろ付き合い方の
スタンスは確かに人それぞれかも知れんが、
偉そうな事言ってるわりには、
彼女に別れ話すらまともにできなくて相手から言い出すように邪険にしたり、コソコソ彼女の親友にチョッカイ出したり、お前クズだろ、とマジで思った。
作中で誰も「お前カッコ悪いよ」と言わないので
不快感がしばらく後をひいたのかな。
評価が辛口になってしまった。
ラストは良かったと思う。
他のを読む気がなくなってきたな。