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紙の本
腐れ教授を撲滅したいと、心の底から思えるお話でした。
2007/07/08 17:41
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公たちの、頑なではあっても誠実な生き方や、大切なものを守るために決して流されない強さが、読後、長く心に残る作品だと思いました。
放埒だった父親のせいで家庭を築く自信を持てず、ずっと独身でいる和真と、誠実に人を愛し愛されたいと願っている律は、ベストパートナーになり得ることは、かなり初期からうかがえます。けれども、つぶれそうな喫茶店を閉店させたいオーナーと、存続させたい従業員という立場上の対立のせいで、なかなか素直に気持ちを通じ合わせることができないままお話が進んでいきます。
律がかたくなに営業継続を主張する理由は、和真にも読者にも、なかなか見えてこず、もどかしい思いをさせられるのですが、某有名私立Y大学教授の安岡という人物が、恋人らしき青年を連れて店を訪れるに及んで、律の抱えている傷の深さと痛みの強さが明らかになります。
かつて律と付き合っていたという、この教授は、自分のところの学生と恋愛ゲームを楽しむことを趣味としていて、律もその相手として選ばれた一人でした。律は、自分の立場を納得して受け入れた上で、それでも安岡に対して誠実に思いを寄せていたのですが、二年も続いたつきあいに終止符を打とうとした安岡は、どうせ打算がらみで付き合っていたのだろうと決めつけて、口封じのために便宜を図ろうとしたり、金で解決しようとしたりして、律の真心を踏みにじり、深く傷つけてしまったのでした。
数年ぶりで律と再会した安岡は、全く成長していない腐れオヤジぶりを遺憾なく発揮します。自らの社会的立場保全のために、喫茶店に愛人を同伴していたことを口外しないようにと、またしても金で律の口を封じようとしてきます。律に少しでも悪意があれば、金を貰ったぐらいで黙っていいなりになるはずもないと、どうして分からないのかと、和真ならずともイラついてたまらないのですが、このオヤジにはそういうことは全く理解できないようで、律の恋人らしく見える和真に向かって、律の人間性をクソミソにこき下ろすことまでしてしまいます。律もまたよりによって、こんなダメおやじのどこが良くて真心を捧げていたのだろうと、読者としてはなんともやるせない気持になるのですが、まだ若かった律には、教授としての知性や大人の男としてのスマートさなどに、惹かれるものがあったのでしょうか。
いずれにせよ、こんなおっさんは、歌舞伎町の路上でタコ殴りにでも会うか、軽々しく捨てた男に恨まれて地位も家庭も奪い去られるぐらいの目に会わないと、人生の真実に気づくことはないのかもしれません。延々と大学に居座って未来ある青年を食い物にされるのは社会の迷惑なので、出来れば早めにそうなってほしいと思います。
蛇足ですが、有名私立Y大学、もしくはそのドッペルゲンガーのごとき大学が、お話に絡んでくるBL作品を、他にもいくつか読んだような記憶があります。学生数が多く、都会にあるので、舞台にしやすいのでしょうか。国立大だと、某T大が一番多いように思いますが、札幌にあるH大学などを、よく見かけるような気がします。そのうち統計を取ってみたい気もしますが、そんな統計が何の役に立つのかは不明です。
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