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現実なのか妄想なのか、それとも巧妙なフィクションなのか、ジャズミュージシャンにして文筆家の菊地成孔氏が送る優雅憂鬱グルメエロティックサディスティックマゾッホ云々
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菊地成孔に惹かれる理由の一つは、彼のように真っ向から受容し格闘しつつ生きることができなかった自分自身の"あの時代”への郷愁と悔恨のせいだ。わけのわからない憂鬱と焦燥に覆い尽くされたアドレセンス。わずかな救いは遅れて生まれてきたことを嘆きつつ前時代への憧憬に浸ることで、ジャズ喫茶と映画館がシェルターだった。したがって菊地のダブ・セクステット=マイルスの60年代、DCPRG=70年代という符牒が21世紀の妄迷にジャスト・ミートしてしまったのだろう。欲求不満の地点への退行、固着だ。
80年代のマイルスは不思議な機械装置のようだった。その裏返しがウイントンで、どちらにも興味が持てず古いR&Bばかり聴いていた。新宿公演にも行く気すら起きなかった。
菊地という存在を知ったのは廃刊になった『エスカイヤ』という雑誌のラテン音楽特集号だった。『南米のエリザベス・テーラー』がリリースされた直後で、菊地とアート・リンゼイのミニCDが付録に付いていた。
自分なりには音楽遍歴に筋道はあるつもりでいるのだがなかなか身近な仲間にも理解されにくく音楽の宇宙の拡大に反比例してどんどん自閉が加速されてゆく。まるでペルソナとゼーレの関係のように。菊地は深い無意識の底から現れ出た元型なのかもしれない。
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"Cuisine cosmique espagnole"(スペインの宇宙食) シンプルなデザインの表紙がかっこいい。
菊地成孔さんという人もブクログで知った人。事前情報からかなりぶっ飛んでそうな本と予想した。そして事実そうであった。
破格の文体(文体か?)と繰り出される多彩な固有名詞(食べ物多し)。菊地さんの周りの人もかなりハイテンションで(実在の人物なの? あるいは創作なの?)よくわからないが、何かが巻き起こっている。ミラーボールが激しく回っている感じ(なんだこの例え) でも「変なコト言ってる」という自意識はあるのかなんとなくところどころ寸止めになっている気がする。だからヨミモノとしては成立している。素晴らしいとしかいいようがない(絶賛するのもなんか違うのか?)
よくわからないがやや中毒性のある文章で、たまに読みたくなりそう。Webにていろいろ調べてみたが菊地さんの実体がもう一つ掴めない。カリスマっぽいことはわかる。いやはやこんな人がいるんですね。ちょこちょこどんな人なのか情報を仕入れよう。
今のところの印象として、菊地さんは実際会うとものすごくいい人のような気がする。なんとなくそんな気がする。
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新宿歌舞伎町のコントめいた話やあっけらかんと性的雰囲気に身を任せるラジオを聴いて、
面白い人だなぁと思ったので、読んでみた。
読みながらDCPRGやスパンクハッピーの音楽も聞いたが……
音楽面で好き! といえるのは、「Vendome,la sick KAISEKI」くらい。
あの曲は歌詞も雰囲気も歌っている姿も、すべてが衝撃だった。
(チャイナドレスの瞳ちゃんとスケベな中年親父のセクシュアルなデュエット。)
さてこの本は、上機嫌と饒舌とビザールと悪趣味と趣味とグルメとファッションと人形のような女の子があふれた、優れたエッセイ集だ。
決して文章が練られているわけではない。
ともすれば講談調、ともすれば文意も伝わりづらい。
しかしこの人、貯め込んだ知識と語彙力がすごいので、読ませる。
なんでも楽しんでやろうという貪欲さが、いい塩梅に決まっているためだろう。
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http://blog.livedoor.jp/u_hagino/archives/4237911.html
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装飾の多い言葉遣いが新鮮。回りくどいと受け取るか人もいるだろうけれど、自分には生み出せない言葉の並びはふとした時に浴びたくなる。
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うーん。すごいよ、菊地さんは。。
こんな文体は絶対誰にもできないでしょ。
私にとってカルトです。
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「セッション」「la la land」と、大ヒットしたジャズ映画に超長文の辛辣な文章を寄せる菊地成孔。
どんな本を書いているのかと気になって、手に取ったみた。
「粋な夜電波」での流れるような口上に覚えがあったが、本を開けばまさしくこれは彼の文章であると確信した。
一番最初の壮絶な幼少期の話が一番好き。
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なんとなくクリスタルとノルウェーの森、歌舞伎町と神経症とフェティシュなあれこれをミキサーにかけてさらに少し不健康にしたような。菊地さんが描く景色や日常は自分が知覚している世界とはだいぶ異なるものの、表現や描写が緻密で分析的で文章にリズムやグルーヴがあるからなのか、そんな自分でも著者の視点をインストール&幻視できている気がする。