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健太郎の家の近くの海に、ずっと前から不気味な塔が建っている。地図にもインターネットにも載っていない、謎の建物。夏休みの最初の午後、憂鬱な気持ちで海岸にいた健太郎は、気が付くとその塔に「さらわれ」ていた。そこには感情がなくなった人々の群、閉じ込められた十数人の大人たち、そして昏い目をした少年、貴希がいた。健太郎と貴希は次第に心を通わせ、塔を出るための「出城料」を共に探し始める…。少年たちのある夏、切なすぎる冒険譚(「BOOK」データベースより)
なんだか健太郎と貴希の関係が、『No.6』の紫苑とネズミに見えてしかたなかった~。
出城料が何かっていうのはまぁ早くからわかっちゃうのだけれど、この二人のいちゃいちゃっぷり(あ、実際はそんな事してません)を眺めるだけで楽しかった!!!
気のいい兄ちゃんの関くんもよいキャラでした。
ただのチャラ男だと思ってたら、トランペット吹きだったなんて。
なにそのギャップ萌え。
でもラストで城を出てしまったという事は、例のアレを失ってしまったという事で・・・。
うーん、やっぱりちょっと哀しいな。
救いのないラストにはしないだろうと、勝手に思っていたところがあるので、今回のラストには驚き。
もの悲しさを後に残すラストは嫌いじゃないですが、貴希が哀れで哀れでたまんなかったです。
きれいだ、と息をのむ。
きれいで、きれいで。
でも、もう二度と。
音色のすべてが鋭い痛みを伴って迫る。あれは、さよならと言っている。さよなら、ずっと、絶対、忘れないと。それが健太郎にはわかる。伝わる。
うをを泣ける!
ピエール・ポルトの「フライデー・ナイト・ファンタジー」、ちょっとようつべで聞いてくるー。
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【健太郎の家の近くの海に、ずっと前から不気味な塔が建っている。地図にもインターネットにも載っていない、謎の建物。夏休みの最初の午後、憂鬱な気持ちで海岸にいた健太郎は、気が付くとその塔に「さらわれ」ていた。そこには感情がなくなった人々の群、閉じ込められた十数人の大人たち、そして昏い目をした少年、貴希がいた。健太郎と貴希は次第に心を通わせ、塔を出るための「出城料」を共に探し始める…。少年たちのある夏、切なすぎる冒険譚。 】
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中学生の健太郎は、海の向こうの四龍海城に閉じ込められてしまい、城で出会った貴希と、戻る為の「出城料」の謎を探る事にしたが・・・
相変わらず巧いし、二人の少年の不器用な感じとか、雰囲気は好き。
でも、やっぱり、この結末は個人的にはイヤかなぁ。
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ふとしたことで異界「四龍海城」に迷い込んでしまった少年の物語。奇妙な城内の世界。感情のない城人たち。そこで育まれる友情と、自分が変わっていくことへの恐怖。そして、城を出るために必要な条件とは何か、という謎解きの要素もあります。
奇妙な世界観が圧倒的に美しく。しかし非常な恐ろしさも感じさせられました。特に「出城料」の正体は、終盤になると見当がつきますが。……まさかそんなにも残酷なことだとは。
どきどきはらはらの展開と、ほほえましい友情物語と、そして切なさを残すラスト。とても悲しいのだけれど、後味はどこかしら優しく感じられます。
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あの不気味な城は結局なんだったのだろう。なんのためにそこにあるのか。電力を日本政府に売っているという話は本当なのか。そのへんの謎解きはいっさいないまま話が進行するので、若干もどかしい。
関がやってきたことが、明らかに物語の転換地点だということがよくわかるし、そこからの展開でうすうす出城料の内容がわかってしまった。わかってしまっただけにラストに向かって読み進むのが辛くてたまらなかった。なぜ健太郎は気づかないのだ、とイライラしてしまう。
ラストの一行は胸に刺さる。
「フライデー・ナイト・ファンタジー」は名曲です。
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海の奥にそびえ立つ異界の城に迷い込んでしまった中学生健太郎。
そこを出るためには「出城料」を支払わねばならず、
城で出会った貴希と共に出城料の正体を探す。
乾ルカ今度はこうきたか!!な異型青春小説。
中盤で出城料の謎はわかっちゃったけど、
でも最後まで引っ張られ
切ないラストにやられた。
電力や城人のあたりももっと書き込んでほしかったな。
中高生の夏休み読書感想文にイチオシ。
【図書館・初読・8/3読了】
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今回の乾作品は、北海道のオホーツク沿岸を舞台にしたファンタジック・ミステリ。主人公の一人、健太郎は中学生一年生なので、どちらかというとヤング・アダルト向けか。
健太郎の住む道東の龍ノ岬海岸から隣町の霧笛海岸にかけての沖合およそ4キロメートルの場所に、地元の人で誰ひとりとして知らぬものはいない奇妙な高い塔が建っている。
不思議なことに、どんな地図を調べても記載されておらず、日本の領海内なのにそこは日本ではないらしい。また、地元では海岸に近づくと「神隠し」や「さらわれ」に遭うので、不用意に近づかぬよう口うるさく言われてもいた。ある日、健太郎は引き潮に誘われて、城へ迷い込む、、、
「城」は特別なルールに仕切られ、囚われた人々はいつしか無気力化し城の中の工場で働かされるらしい。わずかな人だけが、出城料を払いそこを出られるというのだが、、、
これまで友達らしい友だちがいなかった健太郎は、城の中で出会った中学二年生の葛城貴希と知り合い、新しい自分を見出していく。人との出会いとそれが生み出す自分発見の過程が、奇妙な場所「四龍海城」を舞台に描写されていく。
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海岸沖にたたずむ絡み合う龍を模した建物「四龍海城」に迷い込んだ少年が、そこで出会った少年たちとともに脱出への手がかりを探る。心をなくしたような「城人」、定時に鳴り響く社歌、そして城を出るための「出城料」とはなんなのか。底知れない不気味さと謎を織り交ぜつつ、少年たちの心の通うさまを微笑ましく味わえて、一風変わったSFチックな青春小説という趣でした。
ただそもそもの設定、この城そのものがもうひとつ不気味さが足りないというか謎が浅いというか、電気を発生させているという根拠ももう一押し欲しいし、終盤の城を出るときの(重要な)エピソードも悪くないんだけどファンタジックすぎるような…と思えたり、と、いろいろもぞもぞと思うところはありました。
それでもラストシーンの切なさはかなり響いてきました。残酷ではあるけれど、とても綺麗なエンドだったと思います。
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あまりにも切ないラストに愕然。少年たちの心の動きがみずみずしく、希望も見えて、輝いていた。それだけにあのラストはいたたまれない。泣けてくる。
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中学生の夏休みの出来事…にしてはハードな設定だ。
大体、学校もソコへは近づいてはいけないと言っている時点で少し無理があるか?
半分位読んでいて大体コレが出城料かな?というのは判るのでは。
ジャンル的には青春物でしょうか?
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「吃音」があるため、人とうまく接することのできない主人公は、不思議な建物にやって来た。
何よりも自己紹介が苦手な彼は、自分のしゃべりにまったく何の感情を見せることのなかった一人の少年に興味を持つことになる。
打ち解けあった二人は、この建物を出るために奔走するのだが…
何となく話が見えてはいましたが、落ち着いたとても読みやすいお話だったと思います。
大人だけでなく子どもが読むことも、おススメ。
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オホーツク海に地図に載らない日本ではない城がある。
閉じ込められ、城の人になれば戻ることはない。
中学生の二人の男の子が出会い、友情を育む。
大事な何かが次第に明らかになっていく。
ちょっぴり切ない、夏の物語。
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おもしろかったです!
児童書というかヤングアダルトっぽいお話。
『出城料』がなにかは中盤を過ぎたあたりでなんとなく気付いていたけど、
だからこそ結末を迎えるのか不安になって、どんどん読み進めてしまいました。
それにしても、夏の北の海と高い塔ってすごくすてきな組合せですね…
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ラスト一行が胸に突き刺さる。
大切な友達との記憶をもったまま城人になっていくのと、記憶を失って城の外で日常を送るのとでは、どちらもあまりに幸せからはかけ離れている。本当に他の選択はしようがなかったのだろうかと思わずにはいられない。
貴希の影響で段々となくなっていった健太郎の吃音も、彼が居なくなったその後はどうなったのか気に掛かる。
それにしても貴希が健太郎に対して言った「おまえが言いたいこと言うまで待つよ」の言葉には痺れた。中学生にしてこの男気溢れる台詞。なんてまっすぐで、裏表がないんだろう。
余談。
著者は玉に意味を持たせるのが好きなのか?
「―いやだ、やらない。
―このきもちも、きおくも、おれのものだ。
―なかったことになんて、させない・・・。」
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ケータイ小説であること 題名の『四龍海城』に興味を感じ手に取りました。物語は北の海を情景を空想するに面白いケータイ小説でした。
謎の四龍海城からの脱出劇は切ない慕追と共に人にとって大事な真摯な心と思いやりの気持ちと敬愛するものへの思慕が上手く表現されていました。思春期の少年たちの想いが頑なに伝わって来る一冊でした。
読後感=純粋な想いに・・・静かなる北海の叙情を感ず。。。