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原作を読んでいないので比較はできないけれど、良くも悪くもドラえもんの世界観を忠実になぞらえている、と思う。小説ならではのおもしろさとなると、ちょっと見当たらない。随所にSF設定の解説が差し挟まれていたくらいだろうか。
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SF作家にして科学者の瀬名さんが,ドラえもんをどう料理するか,それが気にかかり買ってきました。
瀬名さんのロボット関連著作を事前に読んでいましたので,そのロボットに対する視点が,ドラえもん世界にどう反映されているかも興味深いところでした。
しかも題材は「のび太と鉄人兵団」というロボット作品。
実際に,読んでみたところ,いや,瀬名さん,本当にドラえもん好きなんだなあと,嬉しくなりました。
「のび太と鉄人兵団」という作品を,題材を損ねず,ドラえもん愛とSFマインドで味付けし,人物描写を掘り下げて見事に仕上げた逸品となっています。
そこかしこに思わずにやりとさせられる小ネタも含んでおり(特に某キャラの登場が嬉しい),ドラえもんを好きな人程はまるのではないでしょうか?
全てのドラえもんファンに「読んでみて下さい」と紹介したくなる作品です。
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リメイク映画「新・のび太と鉄人兵団」の公開に合わせての
企画本なのでしょうが、その企画の結果、こんな素晴らしい
作品が読めた事がまず嬉しいです。瀬名秀明というSF作家が
自分の看板を背負いつつも、その看板以上のドラえもんに対する
愛で書き上げた名作と言えると思います。
ドラえもんを通して教わった事、学んだ事、感じた事を
作者のフィルターを通してしっかりとその意思が伝わってきます。
人生で最初のSF体験作品であるドラえもんという良質な作品を
SF作家が本当に上手く、小説化しつつ、原作では前面に表れにくい
のび太達、少年少女の心の葛藤も本当に素敵な描写で書かれており、
途中、何度も何度も何度も何度も...涙を流しそうになってしまった。
作中最初のクライマックスの決戦前夜ののび太達の描写は秀逸。
彼等に対するドラえもんを今作ではあくまでも、サポート役に
徹したスタンスで書かれたのも凄く上手いのだと思います。
色んな事を彼等とドラえもんから教わったはずの大人が読んでこそ
意味のある作品だと...いう気がします。懐かしいなーだけではない、
あの頃に感じた「正しさ」が身体の中を駆け巡って来る...と信じたい。
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ドラえもんを小説で読むって、すごく不思議な感じがします。http://sgk.me/g3vcD2
具体的には、「ずしん、と地を揺るがす音が耳に届いて、のび太と静香は会話を止めた。」みたいな感じです。マンガの小説版を読むと、少し大人になったような気がするのは、私だけでしょうか。
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読後、心があったかくなる作品でした。前半はオリジナルに割と忠実に、後半は瀬名ワールドも全開し、特に奇跡のコラボレーション(ネタバレになるので詳しく言えないが)がうれしいサプライズでした。創造というテーマから、神、アダムとイブ、堕落、争いという人間の歴史と神の視点という壮大なテーマに、いつものドラえもんの友情や家族愛、信頼、仲間、といった普遍的なテーマもあり、大人が十分楽しめるエンターテイメント小説になっていました。
特に戦闘場面は小説ならではの緊迫感や心理状態の描写が秀逸でした。
岩渕まことさんのGOD BLESS
YOUがあんな風に使われるなんて!
是非、瀬名氏にそのあたりの事情を伺いたいですね。
映画も是非みたくなりました。
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「しずちゃん」
この単語を目にした瞬間、疑念や迷いはすべて吹飛び、希望と期待で胸が膨らみました。
黒歴史だ、とかネタだ、とか何でこの人が、とか色眼鏡かけて読んでしまって本当にすいません。
この人は、瀬名秀明は、ドラえもんの良さを本当に理解している。
ドラえもんの傑作映画「のび太と鉄人兵団」のノベライズ版です。
基本ストーリーは原作&旧映画とほぼ同じです。
いくらかのアレンジや、瀬名秀明さんだから書けた秘密道具への科学的考察、さらにまさかの”あの人”が登場したりと、”加筆”はありますが、”修正”はありません。
しかし、その”加筆”部分が半端ない。
ドラえもんの世界観を全く破綻させないうえに、のび太・ジャイアンたちの魅力を活かしまくっているのです。
しかも瀬名さん、コミックから映画までドラえもんを相当に読み込んでます。
要所要所のちょっとした引用で、原作・映画のシーンを差し込んできて、いい感じに味つけているのです。
ほんとこの人、ドラえもん大好きなんだな。
いうならば「最高の同人誌」。
同人誌ってファンでなければ楽しめないでしょうけど、あいにく日本人の大多数はドラえもんのファンなのです。
文学性とか子ども向けとか細かいことはいいから、リニューアル映画観に行く前に本作読んでみればいいと思うよ!
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はじめは子供向けの本かなと思ったが、どうしてなかなか読み応えがあった。まあ、よく考えてみると、どうしてわざわざ地球までやってきて、人間などを奴隷にしたいのかというところが何とも理解できないのだが、それを除けば筋が通っている。
あと、スミレさんという女優が出てくるのだが、この役割がどうもしっくりこない。なんかもっと鉄人兵団を相手に大活躍するのではないかと期待させて、関係者の家に行って親に説明したのと、あとは歌を唄っていただけなんだよね。
しかし、登場人物それぞれがかなり深く描かれていて、マンガとはやっぱり違うんだなと思った。こういう小説もなかなかですね。
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漫画も映画も観た上でも、良かったといえる作品です。
たしかにつっこむべき点はありますが、それにしてもなんでしょうか、読後のすっきり感。ラピュタを思い出しました。
ドラえもんて深いですね。
漫画では何度泣かされたことか…
弱いのび太だけど、それが人間らしいという藤子先生のメッセージは素晴らしいなと思います。
この鉄人兵団小説版ではスネ夫やジャイアンの想いが描かれていて、それも良かったです。
児童文学のところにありましたが、大人の方にもオススメです。
活字が苦手な方にもオススメな点を加えて、星5つの10点満点!
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瀬名氏のロボットものは、以前『ハル』を読んでとても良かったので、ドラえもんをどう料理するのか期待してました。
期待度が高かった分、評価は普通な感じかな。オリジナル要素の部分がイマイチだったかなあ…。
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ちょっと期待が大きすぎました。マンガ以上の感動はなかったです。映画を見てないせいでしょうか?星野スミレの歌のくだりが良くわかりませんでした。
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マンガやアニメでは分からない、各キャラクターの心情が描かれているのがよかった。もちろんF先生がそう設定していたかは分からないけど、22世紀の科学すべてが万能ではないことを教えてくれる。
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スネ夫にラジコンロボットを見せつけられたのび太。ドラえもんにすがりついて巨大ロボットをせがんだけれど、さすがのドラえもんにもそんなロボットは出せず、挙げ句の果てにはケンカする始末。しかし、どこでもドアで部屋を出ていったドラえもんを追いかけて行った先で、のび太は奇妙な女の子を見かけ、思わぬことでロボットを手にする…
実はこの元となった映画は未見なんですが、この小説版はドラえもんたちのキャラをしっかり掘り下げていて、読んでいて思わず惹かれてしまいます。ドラえもんに出てくる人たちって、みんないいヤツなんだなぁ。そして、ピンチになってもあきらめない、助け合う、王道の物語も良いのだなぁ。ルビ付きなので高学年の子でもOK。
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SF作家瀬名秀明がドラえもんを書く。それだけで心躍りました。期待が大き過ぎた部分と、期待通りの部分と、期待以上の部分がありました。まんがでは「喜」のコマのすぐ後に「哀」のコマがあっても、それをテンポよく読ますことができますが(特にF氏のまんがはテンポがいいのでコマ間の切り替えが早く巧いから)、小説で同じようにやると話の骨格がバラバラになってしまうんですね。だから一コマをじっくり書く。心情を描き込む。そのことにより、まんがが小説になりました。これぞノベライズでしょう。のび太たちの心情が書かれているから、より一層鉄人兵団の恐ろしさが迫ってきますし、リルルとの友情の築き方も胸に迫ります。
そして何より全編ドラえもん愛に満ち溢れてます。いや藤子・F・不二雄愛に満ちているというべきかな。話のあちらこちらにドラえもんの他のエピソードからの引用を散りばめ、そして嬉しいサプライズゲストの登場。そうドラえもんが、F作品が好きなんだという気持ちで、作者と通じてしまう感覚も面白かったですね。
単なる話題作りに終わらない名作、これはファンアイテムであり読み継がれて欲しいジュブナイルですね。
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瀬名秀明さんがドラえもんを小説化するという事で、結構期待して読みました。
面白く読ませてもらいましたが、
漫画版の暖かい雰囲気が
小説版では心理描写として生々しく描かれていて、特にスネ夫がパニックになるシーンなどはドン引きしてしまいました。
あと、星野スミレが登場した時には⁇?。調べてみてやっと訳が分かりましたが必要だったのかな、あれは。
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ある夏の日、偶然南極で巨大ロボットを拾ったのび太。ドラえもんの道具で造り出した鏡面世界で、ザンダクロスと名付けたロボットを思う存分動かして遊ぶのび太たち。
しかしその裏では地球侵略を企てる異星のロボット軍団「鉄人兵団」の陰謀が密かに進行していた。計画の遂行のために謎めいた美少女スパイ・リルルが暗躍する。やがて鉄人兵団の熾烈な攻撃が開始された!
空前の危機を前に、果たしてのび太たちは地球を守る事が出来るのか。
1985年に「月刊コロコロコミック」で連載され、翌年に劇場版アニメが公開された藤子・F・不二雄の<大長編ドラえもん>第7作、『ドラえもん のび太と鉄人兵団』。ドラえもん史上屈指の感動作と名高い名作を、今年日本SF作家クラブ会長に就任したSF作家・瀬名秀明が小説化。意外にもドラえもんの小説化はこれが初めてなのだそうだ。
筋金入りのドラえもんファンを公言する瀬名秀明だけあって、ノベライズの枠を超えた最高の小説作品として完成した。
今原作を読みなおしてみると、子供の頃には気にならなかった些細な事柄が気になってしまう。例えば「のび太たちが何日も家を留守にしていて家族は心配しないのか」。現実的すぎて冒険マンガの中では忘れられがちなそんな事にまで、瀬名秀明はちゃんと答えを用意する。ここに作者の誠実さが表れている。
そうやって小さな小さなささくれを一つずつ取り除きながら、瀬名秀明は本格SF小説としてドラえもんを描き直した。それは同時に最高の冒険小説でもある。一生忘れられないひと夏の冒険。一瞬の出会いが永遠の宝物になる。世界中の誰もが知らないところで地球を守る孤独な闘い。力を貸してくれるのは親友だけだ。
そして心躍る冒険の後に必ず訪れるのは胸を締め付けるような別れ。やがて日常への回帰。この本を読み終えた時、僕は周囲に人目がなければ堪えきれずに声をあげて泣いてしまっていたかも知れない。
あえて感傷的に書いてしまうけど、子供の頃はドラえもんが大切な事をたくさん教えてくれた気がする。今改めて読み返してみて、胸躍る冒険物語に感情移入するような経験なんてもうずいぶんしていなかった事に気づく。80年代から90年代にかけての「日本SF冬の時代」において、SF魂を脈々と子供たちに伝え続けたのは藤子・F・不二雄だったのだ。
この小説の最大の特徴は作者の原作に対する真摯さだ。最大限のリスペクトを原作にはらいながら、瀬名流のSF小説として作品を築きあげていく。だから実は、最近どんどん作風が観念的で理屈っぽくなっている瀬名作品の恰好の入門編でもある。日本中のだれもが知っている「ドラえもん」という素材を扱っているからこそ、瀬名作品の筆致の凄さがダイレクトに伝わってくる。
ロボットに襲われた静香ちゃんを救いに来たのび太のカッコよさ!無数の敵を相手に泣きながら奮闘するスネ夫。心が折れそうになっても仲間のために涙を封印するジャイアン。
ロボット軍団の襲来に立ち向かう我らがドラえもんも、中身はロボットなのだという事実さえ直視し、作者は登場人物一人一人の正面から人類の存亡をかけた戦いを描き出していく。そこには仲間への不信感や意見の対立もあるのだけど、それに至るまでの過程を丁寧に描写しているので、それぞれのキャラがとても強く立ちあがってくる。
また藤子Fファンなら誰もがあっと驚くある人物がゲスト出演している事も嬉しい。単なるファンサービスかと思いきや、作者のインタビューでそこに深い思いを込めていることを知り驚いた。さすが一切手を抜いていない。
「この数日で誰も彼も少し大人になってしまったようだった」(本書p277)
様々な経験を経て大人になっていくのは彼らも僕らも同じ。忘れてしまった想い出を心の底にしまいながら、日々を生きていく。
もし願いが叶うのなら、この小説版『鉄人兵団』を再度、藤子・F・不二雄にマンガ化して欲しいな。瀬名は藤子Fが描き落とした所を補充している訳ではなくて、藤子Fが泣く泣くカットした部分を再現しているようにすら見えるからだ。
ひみつ道具へのたくさんのウンチクや考察も満載。空気砲を発射する時は「どっかん!」と叫ぶなんてルール、すっかり忘れていた。
この小説は今年3月に公開されたリメイク版アニメ『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団~はばたけ 天使たち~』の公開に合わせて企画されたもの。こちらも同時に楽しみたい。
作者はこの小説についてホームページで、<ドラえもんを愛する多くの方に読んでいただきたい自信作です。「マジだぜ!」>と宣言している。作者にとっても会心の自信作なのだ。