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二世の人と聞けば、生まれながらに母国語が2つも出来るから羨ましいと単純に英語で苦労している私は思ってしまうのだが、その両国が戦火を交えることになったとき、どれほど苦しむだろうか。
主人公の天羽賢治には弟が二人いて、次弟は日本の大学に学んでいる間召集にあい、日本兵として出征する。一方アメリカに生まれ育ってそこから出たことのない末弟は、合衆国に対する当然の義務として米軍の志願兵となる。アメリカ市民としての義務を果たしたいと願う一方、両親の母国であり自分も10年間育った日本に対し、限りない愛着を持つ賢治は、その狭間で苦しむ。どれほど個人の能力が優れていたとしても、一介の市民に大きな歴史は容赦なく牙をむく。
日本が太平洋戦争でどれほど苦しんだかという話は数多いが、敵国の中で生きていかねばならなかった彼ら日系人を扱った小説はあまりないように思う。人種差別に思想の対立が折り重なった収容所で生きていた人々への鎮魂の書として、読み継がれていくべき作品だと思う。
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個人的には特に後半の裁判部分が楽しめました。で、あのオチは白い巨塔で無理くり続編かく羽目になってその反省が生かされたっていうことでいいんですかね?
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20年以上前、この本を初めて読んだ時の衝撃はこの「東京裁判」のシーンでした。 戦後教育の中でこの東京裁判に関しては学校でほとんど学んだことがなく、端的に言ってしまえば「大戦後、アメリカの占領下の日本で戦犯を裁く『東京裁判』が行われ、A級戦犯とされた28名のうち7名が絞首刑に処せられた」ということぐらいしか知らなかった KiKi にとって、この物語で描かれた東京裁判のシーンは初めてその裁判がどんなものだったのかを考えるきっかけとなったものでした。
そして当時の KiKi は戦勝国が敗戦国を裁くということに潜むある種の「不公平感」を強く感じ、同時に「原発投下を人類がどう評価すべきか?という極めて重要な問題に関してうやむやにしてしまった残念な裁判」という感慨が強く心に残った物語でもありました。 でも、当時の KiKi はそこから更にこの裁判のことやらA級戦犯のこと、ひいては「戦争責任とは何ぞや?」という問いに関して深く追求してみようとまでは思わず、バブル景気に沸くあの時代の東京の浮かれ騒ぎの中にあっという間に埋没していってしまいました。
その後、再びこの裁判に関して KiKi の関心がクローズアップされたのは時の首相・中曽根さんが靖国神社を参拝したことを契機に「靖国問題」がマスコミで大々的に取り上げられた時でした。 でもその頃はペーペーのサラリーマンだったために正直なところ自分のことで手一杯で、歴史を振り返るような余裕はなく、やっぱりあんまり深くは考えることもなく時が過ぎていってしまいました。 ただ、いつかはこのことをしっかりと知り、自分なりの立ち位置を明確にできるぐらいに熟考してみる必要があるだろうというある種の義務感のようなものだけはしっかりと心の中に残ったように思います。
そうであればこそ、その後さらに月日が流れ、このDVD(↓)が発売されるとすぐに購入し、「いつか時間がある時にじっくり見よう」と KiKi の DVD Library に大切に保管することになったのだろうと思います。 購入直後にこれを見なかったのは偏にあまりに長すぎたこと。 と、同時に日中戦争及び太平洋戦争に関する自分自身の知識のなさがあまりにもひどすぎて、「見てもどうせわからない・・・・・」という諦めのようなものが働いていました。
東京裁判
監督:小林正樹 講談社
その後、小泉首相の靖国参拝に端を発したマスコミによる「靖国問題クローズアップ」の時代に入り、ようやく KiKi はこの長編映画を腰を落ち着けて観てみました。 この「2つの祖国」初読の頃からかなりの年月を経ての視聴でした。 その後、数回は観直しているのですが、その最終視聴日から今日で既に5年以上の月日が過ぎ去っています。
今回、この物語を読んでいてあのDVD視聴時に心に残った一場面一場面が明確に記憶に蘇り、山崎さんの筆致以上にあのモノクロ映像から醸し出されていた「東京裁判」の空気・・・・のようなものが感じられたような気がします。 と同時に「東京裁判」そのものは、全体としては「判決の方向性が予め予定されていたショーのようなもの」であったことはやはり否めなかった・・・・・と感じられました。 ただそんな中で、日本に敵意剥き出しの人あり、「法の正義」に準じようと努力する人ありという、極めて人間臭いドラマが確かにそこには存在したこともヒシヒシと伝わってきました。
かの大戦時には生を受けていなかった KiKi にしても、日本人だからなんでしょうか? どうしてもブレイクニー及びスミス弁護士やパール判事には感謝・・・・と言うか、気持ちが寄り添い気味になるわけですが、彼らの立ち位置とウェッブ裁判長やキーナン首席検事の立ち位置の違いは個人的な思想の違いというだけではなく、当時の彼らが体現しようとしていたある種の「責務・職責・国益」みたいなものも見え隠れするだけに、良い・悪い、好き・嫌いは別として「所詮、裁く側も完璧ではない人間に過ぎないんだよなぁ・・・・・」と思わずにはいられません。
個人的にはこの巻に関しては主人公のケーン(天羽賢治)の抱える迷いやら何やら(特にプライベート部分)は、些末なことに感じられ(もちろん本人にとっては瑣末どころか、大問題なわけですが・・・・・ ^^;)、それよりは、あの東京裁判という席に彼が果たしたようなモニター(言語調整官)と呼ばれる人がいたことの重要性に気持ちが向いて読み進めた・・・・・そんな気がします。 特に KiKi 自身が外資系の会社でお仕事をしている際によく感じたことに、「英語が Native 並みに話せる人が必ずしもよい通訳者とは限らない(文化・思想といった背景部分を含め正しく伝達できることの条件とはなりえない)」ということがあったがゆえの感慨だったのかもしれません。
実際、KiKi はアメリカ人相手にきちんと理解してほしいことがある場合には、絶対に間に通訳(Native Speaker)を介さず、仮に若干の拙さがあろうとも自分の言葉で語り、相手の理解度をちゃんと確認するという動作が欠かせませんでした。 比較的シンプルなビジネス世界での会話であってさえもそうだったのですから、ましてそれが「世紀の裁判」という席であれば、そして当時の日米の価値観の違いの大きさを考えれば、本当に重要な役回りだっただろうと思います。
かのDVDを見るとさらに事は複雑で、時代が時代なだけに現在では使われていないような古語・漢語的な言い回しが出てくる場面あり、今の時代以上に地方出身者は方言とか独特のアクセントありで、活字で読めばスンナリと理解できることが、耳から入ってくる音だけでは同じ日本人である KiKi であってさえも「え??」と思うようなことがあったりもしたわけで(これは録画音声の問題もなきにしもあらず・・・・ではあるけれど)、そんな中での賢治の孤軍奮闘ぶりが痛々しいくらいです。
さて、まだまだ東京裁判の判決までには至っていない第3巻。 いよいよ最終巻に突入します。
(全文はブログにて)
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物語の舞台は極東軍事裁判へと移る。
モニターの仕事がここまでプレッシャーのかかるものとは・・・
日本側の被告が実名ばかりなのは驚いた。
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年明けから読み始めてようやく第3巻を読了。ついに、極東国際軍事裁判も佳境。思うことがありすぎてうまく言葉に残せないのだけれど、日本人として、この裁判のことさっぱりわかっていない自分が恥ずかしくなってしまった。ちょっと遅かったけれど、山崎豊子さんが、こういう形で残してくれた物語、きちんと手に取ることができてよかった。
さて、いよいよ第4巻。
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祖国とは何か、の前に、国家とは何か、個人とは何か、人間の尊厳とは何か、という問題に直面する。
国家が国家として秩序を保っている場合、即ち国民個人に利を供する場合に祖国のために報いるという考え方はごく自然であるけれども、そうでない場合にも国民が国家の犠牲となる必然性は理解できない。
かつては個人が何らかの拠り所欲しさから国家の形成と統制を望んだのだろうが、国民個人ではなく国家それ自体の利益や保身や意義すら画策し始めた時点で終わりが始まっている。
しからせば太平洋戦争が終わった時点で、否始まった時から、さらに辿れば近代国家が始まった時点から人類の一部での劣化が始まっている。
そんな深淵雄大な考えをもたらしてくれたことから不朽の名著である。
第四巻が待ち遠しくも名残惜しい。
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やはりさすがという膨大な情報量。戦争を描写する上で偏向的でない表現は難しいのか、賢治の気持ちがあっち行ったりこっち行ったりするのが少し気になると言えば気になる。
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4巻まで読み終えて、アメリカがしたことの酷さ。これをどうして歴史で伝えないのだろうか。人種差別。ナチスよりも酷い行為。無差別殺人が、原子爆弾投下ではなかったのか。日本人の両親から生まれて、アメリカで育ち、アメリカの考え方を受けた2世。両方が祖国。複雑な思い。どちらも大切な国なのに。
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戦争が終わり、戦争犯罪人たちを裁いた東京裁判が始まる。
東京裁判のモニター役を任された賢治は、その重圧と家庭や弟との不和から、次第に追い詰められていく。
今までは賢治たち二世の境遇がメインだったが、この巻からは東京裁判の描写にかなりの比重を置かれている。
漠然と「戦犯が国際法で裁かれたものだ」と記憶していたのだが、そんな簡単なものでは無いことを思い知った。
印象に残ったのは、日本側の被告を弁護するアメリカの弁護士である。
アメリカ人でありながら、日本の弁護に全力を尽くし、ともすれば祖国アメリカの正義にも臆せず疑問を呈す姿に感銘を受けた。
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東京裁判前半。
著者の東京裁判史観は正直、どうでもいいが、評価の誤導はいただけない。
確かに、弁護側・検察側の夫々がそれぞれの立証命題を目指して尋問を重ねていくのだが、その立証命題が、公訴事実との関係でどのような意味合いを持っているのか、ここを正しく認識していないので、著者のおかしな評価になっていくのだ。
現実を見るに、返す返すも、交渉打ち切り通告文書の交付が遅れた点、その文面が戦争開始とすら読めない内容であった点が取り返しのつかない過誤ということが良く判る。
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山崎豊子『二つの祖国』新潮文庫 読了。太平洋戦争に翻弄される日系アメリカ人、二世たちの物語。主人公は両国を祖国とするアイデンティティを模索し、苦悩と葛藤を抱えながらも善く生きようとするが、その信念と良心ゆえか虚しい結末を迎える。克明に刻まれる東京裁判は本作の真髄のひとつだと思う。
2017/10/18
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3巻は東京裁判で通訳の適正をチェックするモニターとしての仕事と、東京裁判の審理が描かれている。まさに’’小説東京裁判’’というべき内容。
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ついに始まった、東京裁判。
南京大虐殺や、真珠湾攻撃の真相が、徐々に明かされていく。
日本は、被害国なのか、加害国なのか。
だが、敗戦国なのは、間違いない。
敗戦国が裁かれる未来とは。
その中で、賢治も、己の未来と日本の未来に揺れ動く。
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ついに始まった東京裁判。
言語モニターとして、裁判に参加する賢治。
父の見舞いでアメリカに一時戻った賢治は、リトルトウキョーの裏庭に埋めた日本刀を掘り返したことで、日本人としての血が騒ぎ出す。
東京裁判をまとめた巻、読む進めるのに苦労しました。
賢治と梛子のシーンが出てくるとホッとします。(笑)
梛子とエミーを比べたら、やっぱり梛子よね、と思いますが、エミーはホントに性格的に損をしてるなと…。
彼女に起こった不幸も本人が招いたことでもあり、結果賢治との仲も上手くいかなくなるなんて。
エミーの出方次第で修復するチャンスはあったはずなのにと思います。
いよいよ最終巻。
ドラマで結末は知ってはいるものの、やはり先が気になります。
このまま次巻に進みます。
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これまでの東京裁判に関する知識は中学歴史教科書レベルだった。こんな裏の事実があったのかと。なぜ日本は戦争に突入せざるを得なかったのか、考える機会になった。