投稿元:
レビューを見る
由緒正しいお屋敷の執事、スティーブンスがかつての同僚ミス・ケントンのもとを訪ねるその道行きを辿りながら過去の回想とともに綴られる執事の問わず語り。品格とは?執事としての正しい生き方とは?著者はカズオ・イシグロ。五歳で渡英したため、日本人でありながら著作は全て英語。もちろん日本語版には訳者がついてるわけで、何か不思議。イギリスで最高の権威を持つ(らしい)ブッカー賞受賞作。「何か怪しいなこの人、自分の記憶操作してんでねーの?」と思いながら読んでたらやっぱりそうだった。でも可愛いね、この主人公。ラストのささやかな決意にキュンです。
投稿元:
レビューを見る
丁寧静かな語り口に気付いたら惹き込まれてました。翻訳本は苦手なんですが、この文章は巧いと思います。執事の人となりに静かに恋しました(笑)
投稿元:
レビューを見る
この著者は私の好きな作家の一人です。
この老人執事の回想シーンでストーリーは彩られます。この執事、「スティーブンス」というのですが、この人がまた実に可愛らしい。ミス ケントンとの会話での勘違いや天然ボケ、そして何よりも主人に尽くすという彼の執事道のようなものへの真摯な気持ち。主人公による主観的な一人称で語られていくという手法の小説、だというのに当時の雰囲気が十分に臨場感を持って感じられるのは、この小説でしか味わえない。
ああ、カズオ・イシグロさん……大好きです。
投稿元:
レビューを見る
イギリスの老執事、スティーブンスが旅の途中で自分の執事人生を思い返していく、というような話。
父とのエピソード、元同僚と再会した時など、主人公はとにかく不器用な人なのだなと思う。でもこのじれったさがまたなんとも言えず。
映画もとても良かった。でもA.ホプキンスがたまーにレクター博士に見えて怖かった…
投稿元:
レビューを見る
映画『日の名残り』もしみじみと感動的な作品でした。ただし映画のほうは主人公である執事の淡い恋愛のほうに重点が置かれていたような印象があります。原作は、むしろ執事が仕える主人の運命(ドイツ指示がヒトラーの敗戦によって責任問題となりやがて没落、屋敷はアメリカ人の手に渡り、執事もそれに伴いアメリカ人に仕えることに)とそのことによって翻弄される執事、そして古き良き伝統や礼節、しきたりといったものが失われていく様子にとまどう執事の内面の動揺の方に重きが置かれています。深く、そしてしみじみと傑作です。
お言葉
▲人生、楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。夕方がいちばんいい。わしはそう思う。みんなにも尋ねてごらんよ。夕方がいちばんいい時間だって言うよ。▲
読了 2007/8/4
投稿元:
レビューを見る
これは学生時代に授業の課題として読んで、また最近読み直しました。
多分、人生の中でベスト3に入る本だと思う。
しっとりとゆったりと、主人公の男性の半生を思い起こすような物語。イギリスの執事文化からアメリカ富豪だったかにお屋敷を買われてしまったり、使用人たちとのやりとりや風景を想像するのが楽しいです。
執事としての仕事、仕事に対するプライドが現れる部分はとても興味深かった。仕事一筋で真面目な主人公の不器用さが愛しいです。
これ映画もあるのですよね。見てみたいなぁ。
あとイシグロさんの他の作品も読んでみたいと思って購入はしてますが、まだ読めてない・・・。今度の出張の移動時間に読むのに持っていこう。
投稿元:
レビューを見る
タイトルのカッコよさに惹かれた。内容はもっと良かった。
振り返ると、そこには時間が静かに重なっていた。そんな話。
投稿元:
レビューを見る
Aセクっぽいとの噂をきいて読んでみたけれど別段そうは思わなかった。
信念に従う人は美しい。けれどこの主人公はそうでもないような……と、微妙な気分で読んでいたけれど、最後の章で一気に主人公が好きになった。
とりあえず真面目にジョークを学ぼうとする姿はひたすら可愛い。
投稿元:
レビューを見る
カズオ・イシグロ2作目。イギリスの権威ある賞を受賞した作品という事だが、正直なところ何回か眠くなってしまった。イギリスには執事という職業がある。二つの大戦の前から執事を務めたスティーブンスが、新しい主の薦めで旅に出かけ以前の主人のこと、一緒に働いていた女中頭との思い出、そして自分の「執事」としての品格について回想する。品格ある執事であることを求めるスティーブンスはイギリスの政界に深く係わるダーリントン卿の元で働いていた。そのお屋敷では各国の重要人物が集い不穏な時代の非公式な会議が開催されることもしばしばあった。卿を尊敬し正義のために働いていると信じる卿と同じように主人に尽くす事に執事としての品格があると信じる彼は、品格ある執事の一人であったと信じる父の死や女中頭のミス・ケントンとのやり取りよりもその職務を全うすることを選ぶ。その彼の態度は半ば滑稽なようにも感じられるほど頑なに「品格ある執事」であることを追及する。主人の言いつけが理不尽なものであると感じながらもそれにどんなに強く反対する抗議があっても自分の感情を表すことなくその命に従うことが「執事」たるものという態度。誤った方向に進もうとしている主人を見ながらもただ主人を信じ主人の意のままにつつがなく客人をもてなし、主人を喜ばせようと務める。何か偏屈といおうか柔軟性がない。スティーブンスによる語りという文章は、訳者が意識したものかバカ丁寧な物言いで、なんとなくNHKのドラマのポアロの声の熊倉カズオを思い出しちゃうんだけど、そのどこまでもくだけた調子のないところがイギリスの執事なのだろうかとも思う。そしてダーリントン卿との思いでと共に語られるのが、ミス・ケントンのこと。この女性、女中頭としてお屋敷に勤めだしたのは計算してみるとまだ二十歳そこそこというところだろうか。それで完璧な女中頭であったというのだから、それはどうもとは思うのだが(惑うでもいいことなのかもしれないが)、時にはお互いに自分の仕事に対する自負心とプライドからぶつかり合うこともありながら、認め合い信頼し合っていた。ミス・ケントンが唯一の身寄りの死に打ちひしがれているときも慰めの言葉よりも勝手にもう立直ったと女中頭としての仕事にミスを指摘してしまう彼の態度は鈍感というか、これもまた独りよがりな思い込み。ミス・ケントンの思いに気づきながらも執事としての態度をくづさず職務を優先しようとする彼。旅の終わり、お互い年を取り再会したミス・ケントンの言葉に、彼は自分が失ったものに気がつく。おそーい。ダーリントン卿もミス・ケントンも去り何も残っていないと彼は泣く。そんな彼にかけられた言葉。人生はこれからだと。夕暮れは一仕事が終わりほっとする時間だと。彼の人生もまた今はその夕暮れの時間であると。そうか。やはり私はこの前に読んだ「私を離さない」でのほうが好きだな。これは映画にもなっているらしい。アンソニー・ホプキンスか、映画のほうが感動するかも。
投稿元:
レビューを見る
「私を離さないで」以来のイシグロ作品。
やっぱすごく丁寧なんだなぁー。
本の世界の情景が目の前に広がるよう。
なんだか綺麗でした。
投稿元:
レビューを見る
「ザ・モラル・リーダー」教材。ハーバード・ビジネススクールにある軍学講座い。リーダーシップにまるわる強烈かつ意義深い教訓をビジネスリーダーに提供している。文学作品を読み互いに評論しあうことで、リーダーシップの育成に役立てている。
「ビジネスリーダーの日常生活には道徳的あるいは倫理的な側面を無視できない判断が絶えずつきあいまとう。つまり、リーダーには道徳的規範が求められるが、一般的な組織では道徳上の問題にまつわる微妙なニュアンスを理解する力を養ったり、その種の問題について議論する機会はほとんどない。ザ・モラル・リーダーのプログラムでは、議論を通じて、本質に迫る対話を身に付けます。」
投稿元:
レビューを見る
秋葉原のメイドはこの本をバイブルにすべき。
というのは冗談だけど。
のど越しのいい文章でするするしてる。
つるんと読んでいるのに、いつのまにか沈殿したものから
イギリスが見えてくる不思議。
投稿元:
レビューを見る
淡々としているものの、品があって、時にユーモラスで、読み始めると引き込まれました。どこかの書評で女性作家さんが「執事としては完璧だけど、人としてはかなり抜けてる」みたいなことを書かれていて興味を持ったのですが……確かに(苦笑) こと恋愛についてはかなりツッコミどころ満載ですが、静かな物語の中で、それは愛おしいものでもあります。(2008.07.06読了)
投稿元:
レビューを見る
長崎生まれ、英国育ちの著者のブッカー賞受賞作。
実直で勤勉な老執事、スティーブンスの短い旅に込められた思いや目的を美しい言葉で綴った小説。
(原書ではなく日本語訳を読んだので、翻訳者の力量もある)
古きよきイギリスの空気を感じられる1冊。
投稿元:
レビューを見る
執事の仕事がどういうものかよくわかり、興味深かった。
一人の執事の人生に胸を打たれた。
仕事についてプロとは何か?品格とは何か?など奥深い内容が詰まっていた。