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購入日不明。5月26日読了。文学的探偵小説とありそうとも感じられるが,私には青春小説に感じられて,とても良かった。
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英ブッカー賞の著者が「やっちゃった」系な作品。問題は計算づくかそうでないかで、この場合この著者はかなりの自信をもってコケてしまってる思う。かなり初期の段階でストーリーは破綻・・・というか携帯の存在と普及を無視するミステリー並みに無理あります。
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上海でパフィンと呼ばれていた少年クリストファー。両親の失踪後イギリスで成長して探偵になった彼は、日中戦争真っ只中の上海へ両親の救出に戻る。両親の失踪の真実は何か?イギリスが中国へもたらしたアヘンの害、上海へ攻め込む日本軍、同胞を食い物にする軍閥。歴史の傷み、普遍的な家族愛、他人との新しい繋がりあい、何をメインに読んだらいいやら。カズオイシグロの他の作品も読みたくなった。
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カズオイシグロの面白さは内容ではなく文体にある。不安定な語り手により紡がれる現在と過去の記憶を行き来する閉鎖的な世界の中で、読み手はどこに視点が置かれているかが度々曖昧になる。語り手に引きずられ、いつの間にか過去に視点が移ったかと思えば、語り手の覚醒と共に記憶が断ち切られ出発点に引き戻される。その手法が一番上手く生かされているのが本作だろう。ちなみに英国を舞台に進む前半よりも、停滞していた主人公の世界の歯車が回りだす後半の上海編の方が面白い。
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普通に楽しいカズオ・イシグロ作品?
アキラが塔矢アキラで脳内変換されて萌えました(ごめんなさい)。ラストは結構好き。じわっと染みる。
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主人公はイギリスの探偵であるが、この小説をミステリーだと期待して読むのは間違ってる。探偵小説でイメージするイギリス、世界史のイギリス、主人公を含めた読者一般へのシニカルで、あたたかいメッセージが、この小説にはつまってる気がする。それがなにかはもちろん人それぞれだけど。現在から過去を振り返るイシグロの小説は、僕にとても重要な、でも気付きにくい、まだ言葉にならないことを示唆してくれるのである。この小説は好き嫌いわかれると思うけど。
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イシグロさんはいつか読みたいと思っていたので、amazonで好評のこれを借りてみた。10%くらいで挫折…。やっぱり翻訳ものは無理だ。推理物も無理だ。日本語で書いてくれー!
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「冒険」「探偵」の物語といっても、犯人やトリックを暴くというものではなく。
崩れて行こうとする世界を救うために立ち上がったクリストファー氏が思い出す過去の記憶はすばらしい世界。
孤児と成りながらもあるヒトの愛、願いに守られて大人になった、
万能感丸出しのクリストファー氏が自分中心で我侭なヒーローごっこを続けた結果に突きつけられた真相。
という風に私は読んだ。上海のクリストファー氏はちょっとヒステリック。
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不思議な物語なのです。探偵になりたいと思っていた孤児の物語。そして舞台は日本で言う昭和という時代の上海とイギリス。関わり合う人びとも日本人、イギリス人、中国人と混とんとしたなかで進んでいきます。それでも、一番心に残るのはイギリス人の主人公と関わる一人の日本人とのエピソードです。何も読み手が日本人だから、というわけではなさそうです。主人公が夢見た「探偵」とは、つまり、「理想の姿」といったものかもしれません。少なくとも、カズオ・イシグロにとってはそうだったのではないでしょうか。
そんなことを思わせるお言葉
▲多くの若者が探偵になることを夢見ています。実は、わたしもかつてそうでした。もっと夢多き時代にはね。あなたの年頃には理想主義に走るものですよ。当代きっての探偵になりたいとね。世界の悪すべてを独力で根絶しようと。いや、立派なことだ。しかし、ほんとうのことを言わせてもらえれば、お若いの、他の手段も二、三考えておかれたほうがいいですぞ。あと一、二年もすれば―――いや、悪気があって言ってるんじゃないんだが―――まもなく、あなたも今とはまったくちがったふうに感じるようになるでしょうからな。▲
理想を追求することが困難な時代の物語でもあります。もっとも、今もいっそうそうですが。
読了 2007/8/9
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わらずあらゆる次元から振り返ってつづるテクは健在。
何よりも驚異的なのはエッセイ並の描写。
ほんとにその時代、その土地に生きてたのか!と思ってしまうくらい。
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(メモ)
「永遠に魔法がかけられた楽しい世界で生きて欲しい」
主人公のクリストファーを守ろうとした母親の願いは叶っていたのだと思う。けれど最後のページの「消えてしまった両親の影を何年も追いかけている孤児のように世界に立ち向かう」ことを、クリストファーとサラはしてしまう。結局、誰も彼も悲惨な目に遭う。
チャーペイの前線近くでアキラと再会するけれど、話し方に違和感があって本人かどうか曖昧。あとで長谷川大佐と話しているときクリストファーは「今になるとよくわからない」と言うので、多分本人だったとしても、昔のアキラとは違う人になっていたんだと思う。
母親と再会するのは随分経ってからになるけれど、このとき母親は会いに来てくれた人がクリストファーであることに気付かない。でも「パフィン」のことはちゃんと覚えていて、それもずっと愛し続けていたことが明らかになる。
カードが丘から飛んでいってしまうなんてことはないっていう母親のセリフが良かった。こういう言葉を、子供時代に沢山聞けたら素敵だと思う。
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最初の方は読んでいてわくわくするが
最後のほうすこしかったるくなる。
不確かな記憶がつながったり、歪んだり、描写がおもしろい。
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激動の時代に翻弄された家族と男の物語。
名声と安寧、記憶と真実、愛と孤独、光と闇。
様々な対立を経て読み終えるころには孤児となって世界に放り出されたような気分になる。
それにしても、子供の虚栄心とか恐怖心の微妙を書ける作家に、イシグロの右に出るものなし。
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もう、読み終えた後の喪失感と希望をどう表現したらいいのだろうと思う程、生きた小説。日本生まれのイギリス人作家カズオ・イシグロさんの本は死ぬまでに全て読みたい。イギリス人が主人公の戦前の上海租界を描いた第5作目にあたる「わたしたちが孤児だったころ」は、作者の幼年期を連想させる。入江さんの翻訳だけれど、十分に彼独特の言い回し、学生時代に流行る少年達の仕草だとかリアルなイギリス人が浮かび上がっている。上海で育ち孤児になった主人公が、イギリスで探偵になり両親の居場所を探し求めるストーリーといえば単純だが、其処に辿り着くまでにすさまじいドラマがある。英国籍を取った著者らしく、イギリス人、中国人、日本人と様々な国籍の人物が出てくるが夫々の立場が苦しい。結局は私達はみな、永遠に小さな子供で、大人になったらと、人が生きていく上で本当は独りぼっちなのだと気付いた瞬間を反芻しながら生きていくと説く。其処に寂しさはなく「孤児」の現実なのだ。解説もまた素晴らしい。涙を流す感動じゃなく、すとんと胸に落ちるようなじわじわした感動を貰った。
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お母さんが可哀相……。
事件を追う私立探偵って、イギリスではメジャーな職業なのか?
日本みたいに浮気調査とかがメインの仕事なんじゃないの?
社交界に入れるような仕事なの?
もしそうなら、やってみたいな……イギリスに行きたいな。