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財政について、外観できる入門書。ジュニア新書ではあるが、シニアというかかけだしの公務員にも役立ちそう。もっとも、官僚には耳の痛い点が少なくないかも。
「江戸時代に共同の財布はあったか」。家産官僚制と依法官僚制下の「財布」の意味合いの違いを示す。
公務の中身を、1)秩序維持の施策、2)生活を支えるセーフティ・ネット、3)市場経済が動いていくための条件整備の施策、に位置づけ(38p)。
そのうえで、市場原理にゆだねてよい領域と、市場原理にゆだねる両機ではないものとを≪あいまい≫にすることの是非を問う。
財政が膨張する要因を、家と生業の分離、労働市場の二極化に求める。共通することは、家族・企業が労働力をささえてきた安全装置(セーフティ・ネット)が、二つながらに支持基盤たりえなくなった点に求める。
著者は労働市場に市民みんなが働きにいく時代を、「産業構造を大きく知識社会の方向に転換していくことすらも不可能にしかねない」(180p)と危惧する。
最後に、市場社会の政策には、効率と同時に、公平と公正という価値基準が重要であるということを「忘れてはいけない」(186p)とする。
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財政のしくみがわかる本
そもそも財政とは何かということをわかりやすく解説した書。財政とは、民主主義に基づいて、社会の構成員の共同意思決定のもとに運営される経済のことをいう。市場社会はよく「企業」「家計」「政府」という3つの経済主体の関係で説明されるが、企業や家計をまとめて一つの社会にする活動(統治)をする政府の経済のことを財政という。
市場社会においては、利潤の追求をしてよい領域(ウォンツ)と、利潤を追求してはいけない領域(ニーズ)を分ける必要があるが、近年の日本ではこの区別がつかなくなって社会的な混乱が起きていると指摘されている。
日本において財政と言えば、やはり膨大な財政赤字に関することかもしれない。マスコミ等をみても財政再建は喫緊の課題だと喧伝されている。しかし、日本においては国民から国民に借金をしているという内国債のため、そんなに心配する必要はないという印象を受けた。また、財政学の伝統的な考え方の「量出制入原則」に従うという意味でも、財政再建ばかりに焦点を当てるのはどうかと思った。
財政的に心配ないのであれば、財政再建を目的とするのではなく、国民のニーズに応えることを目的とし、ニーズを満たすことで合意を得ながら増税することによって長期的に財政再建していくことが現実的なのかもしれないと感じた。
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予算、税金、地方自治との関係など、私たちの生活目線で財政について分かりやすく解説されていて、大人が読んでもためになる本であると思った。
納税義務者として知っておかなければいけないことが、まだまだたくさんあるということを実感し、源泉徴収制度で麻痺した税負担感覚をしっかりと持つ必要があると思った。
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『地方財務』の特集で、地方自治体の財政担当者の多くがお勧めの本に挙げていたが、本書を読んだきっかけである。確かに、ジュニア新書ではあるが、中身はかなり濃密だった。公共支出の基準としての「ニーズ」と「ウォンツ」という概念など参考になった。
しかし、財政における借金についての考え方には賛同できなかった。国債を持っているのは金持ちであり、逆進性のある消費税増税で借金を返すのは逆再分配になると主張しているが、国債の多くはゆうちょ銀行などの金融機関が持っている。財政破綻が起これば、そういう金融機関に貯金や預金をしている一般国民にも多大な悪影響を及ぼすことについてはどう考えているのだろうか。また、公共サービスは維持しつつ、租税構造を公平にし金持ちから税金を取ることで借金増に対応するとしているが、所得捕捉の仕組みの構築ができないこと、高所得者への増税にも量的な限界があることなどを考えると、やはり、広く薄く集める消費税の増税しか財政健全化の道はないように思われる。
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財政のしくみについて、簡単な言葉で丁寧に解説されている。日本の財政のしくみや特徴を学ぶことができた。消費税増税の是非等を考える際に非常に参考になった。
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なかなか面白かったです。「しくみ」だけではなく財政に対する「考え方」を身に付けることができる良書。ただし専門用語がポンポン出てくるので中学生が読むのは難しいでしょう。高校生でもなかなか…。また神野先生はやや偏った考えの持ち主のため、そこら辺を理解した上で読む必要があります(神野先生の考えが駄目という意味ではありません。為念)。そういう意味では、読者対象は大学生~社会人ということになりそうですが、分からないながらも早い段階(中高生)でこうした良書を読んでおくと、社会をみる眼が鋭くなると思います。
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(1)財政、予算、税金、お金の使い道、国の借金、国と自治体の関係について分かりやすくかかれている。
(2)国が借金していることでの問題が2つある。
1つめは財政の使い道というのは、国民の生活を支えたり、国民の経済支えたりする公共サービスを出していくことなのだ。だが、借金返しに予算の4分の1ものお金が使われているため、国民の生活を支える公共サービスや、企業が生産活動をおこなうための前提条件をつくりだす、という財政が本来やるべき仕事ができなくなる。(p135〜136)
2つめは、財政の大きな任務である所得再配分に反することだ。所得再配分とは、豊かな人に税金を重くかけ、貧しい人には現金を給付して、国民の所得の格差を小さく、できるだけ平等な社会にしていこうという役割をしている。だが、財政の借金が大きくなると、この所得再配分の機能を果たせないだけでなく、一般の国民から税金をとって豊かな人々にお金を配分する逆再配分という現象がおこる。(p136〜137)
対処法としては、租税構造をできるだけ公平にしておくことが大事だ。公債費が多くなれば、豊かな人々に多くのお金が分配されるので、税金もお金もちの負担を増やしておけば、景気が回復してくると、お金持ちが増え税収も自然に増える。これを自然増収といい、それによって財政再建もできることになり、所得再配分もできている。
そして、支出を減らさないこと。公共サービスの量を確保しながら、借金を返していくということ。(p138)
(3)どんなところに私たちの税金が使われているか、税金の仕組みを知れた。
財政のことを勉強するには良い内容だと思い、より日本の財政に興味がでてきた。(半歩崎由紀子 20150105)
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桃太郎さん、桃太郎さん、お腰に付けたものは何ですか。
日本一の黍団子だ。
江戸時代:一つください。お供します。
明治時代:一つください。家来になります。
→土地や労働を取引するようになったのは明治時代。
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Amazonでもわかりやすいとの評価が多いが、同意できない。
文章が平易だからといって、わかりやすい記述とは限らないのではないか。
ジュニア層の読者が読んで、すんなり理解できるとは思えない。
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非常にわかりやすく、財政の役割、日本の財政の仕組みや問題点など理解できた。
とても良いと思ったら東大教授で財政審議会の会長という現場の方が書かれた本でした。
本来こうあるべきという日本の財政のおかしなところにも切り込んでいて、単なる平易な本ではなく考えさせられる内容もあった。
初学者向け。
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言い回しがジュニア新書にしては難しく、例示も中高生には分かりづらいように感じたが、当のティーンエイジャー達はどうなのだろう。
挿入されているグラフはひと目でメッセージが伝わる価値のあるものだったが、アクセスしやすい出典であれば、なお良かった。
政府や自治体のお金の原則が分かりやすかった。
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神野直彦『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書, 2007)
▼ 高校生くらいでも読める財政(学)入門書。
▼ 第2章の税の話が明快。
▼ 第5章の国債の話が面白い。日本政府の国債はほぼ内国債であり、また資産も多くあるので、大した問題ではない。問題は、政府が予算の1/4を借金返しに充てている点、またそのことが所得再分配に反してしまう点にある、と。
「財政の借金が大きくなると、財政がこの所得再分配の機能を果たせないどころか、逆再配分の機能をもってしまうということです。なぜなら、国債をもっているのはお金持ちの階層です。したがって、国民からとりたてた税金を、国債の借金返しに使えば、一般の国民から税金をとって豊かな人々にお金を再配分してしまうという現象になるのです。
現在日本でおこなわれようとしている、財政再建のために消費税を増税しようという政策は、この典型です。なぜなら、消費税は負担が逆進的で、貧しい人に負担が大きく、豊かな人に負担が小さいからです。税金で貧しい人々に負担を求め、国債をもっている豊かな人々にお金を配分するということになるわけです。
つまり、本来の財政は、国民のお金を右のポケット(豊かな人々)から左のポケット(貧しい人々)に移すのが役割なのですが、財政再建のための消費税増税では、左のポケットからお金をとって、右のポケットに押しこむという逆再配分がおこなわれる危険性があるということです。」(137頁)
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大学生の頃に購入して以降、社会人になってからもずっと積まれており、ようやく読んだ本。
すごく簡単に分かるところと、言い回しが難しいところとがある。
インボイスはこの頃から話題にはなってたんだと気付きを得たが、仕組みを聞くといつも頭がこんがらがるので、頭の中をよく整理する必要があるなと改めて思った。
社会人が読んでも難しい部分はあるが、全体的にすごく丁寧に説明をしており、分かりやすい。
ただ、予算がどのように決められているのかや財務省の実情とかそういうところを知りたくて買ったので、少し物足りなかった。