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「とにかくおもしろい芥川龍之介、こんな文章を書けたらすごい志賀直哉、目を見張る設定の中島敦。子どものとき落語全集と銭形平捕物控で短篇のとりこになった著者は、好きな小説を読み漁っていく。自らの体験を通じ、また短篇の作り手の視点から、ぜひ触れてほしい作品をすすめる。脳にしみこむ若い時の読書は大切だ。」
落語『千早振る(ちはやぶる)』
・・落語全集は、行ってみればユーモア短篇小説集のようなものですね。横丁の長屋に住むは八っつぁんが長屋の百科事典のようなご隠居さんに質問する。でもその長屋さんの知識には少しあやしいところも含まれています・・。インチキな解釈がみごとに成立した、そのおもしろさを感じた。大自然の美しさを称えた和歌が、五殷峡さんの解釈で実際にありそうな人生談に変わっているところも、おもしろい対比である。
「でもこれがおもしろくないという人がいてもけっこう、けっこう毛だらけ猫灰だらけ、次を当たってみてください。すぐにつぎに当たれるのが短い作品の長所です」
という感じで紹介が続きます。読みやすぅーい!
「私自身の体験から若いみなさんにぜひとも伝えたいのは、-知らないことだから、めんどうだな-
と嫌わないことです。」小倉百人一首も、江戸の捕物帳もギリシャ神話も、その直前まで阿刀田さんは何もしらない世界だった。短いつきあいで読んでみて、おもしろいと感じてた。「若いうちなんか知らないことだらけです。知らないことに怯んでいてはつまらない。ー知らないから、のぞいてみようかーこのほうが豊かな人生に通鶴でしょう。ちょっとのぞくには短篇小説がよいのです。」p26