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J・R・R・マーティンが送る一大ファンタジー。ファンタジー小説かと思いきや読後感は戦国絵巻のそれに近く、数々の家同士の争いや権謀術数、数奇な運命に巻き込まれる子どもたちが描かれている。物語は様々な視点によって描かれており、複数のストーリーが同時進行するさまは、やや全体像の把握に困難を極めるが、それでも各エピソードの練り込み具合とキャラクターの魅力でぐいぐいと引き込まれてしまう。王の手に任命されて異変を探るエダート。妹からの手紙でラニスター家の不穏な動きを知り、それをエダートに伝えに行こうと旅に出るキャトリン。幼く、事態の変化をまだ知らないブラン。姉に引け目を感じながらも、姫らしくない活発さを誇るアリア。ナイツウォッチに任命された私生児ジョン・スノウ。遠き血で蛮族と政略結婚した、ドラゴンの血を引くデナーリス。物語は主にこの6つの視点で描かれる。自分がこうした戦国絵巻が好きだというのは新たな発見だった。
かつて大陸を支配した狂王エイリスを打倒し、新たな王となったロバート王。王ならではの野心と孤独感に苛まれながらも、ジョン・アリン公暗殺に異変を感じ、唯一の友人であり腹心の部下であるエダート王を王の手に任命する。豪放磊落なロバート王とやや堅物で真面目なエダードの関係は非常に分かりやすいが、両者とも死亡フラグが凄い。上巻では無事だが、下巻でこの二人の顛末が明らかになってからが本当の戦国時代の始まりだろう。エダードの息子ロブは14歳という年齢でウィンターフェル城の城主となるが、こちらもやや危うさを漂わせている血気盛んな若王子といったところで、いずれラニスター家との争う予感がする。弟のブランは密談を覗いてしまったが故に窓から落とされて下半身不随になったが、これはいずれ治るのだろうか。まだ7歳だが、この長い長い歴史絵巻の中でこの年齢や割かれた尺の長さから、数奇な運命に巻き込まれる主人公という感じがする。そういう意味では成長がとても楽しみである。クイーン・サーセイの息子ジョフリーに恋をしているサンサ、そんなサンサと仲が悪く、剣術を習っているアリアなど、次世代への種まきもしっかりと行われている。ただ、スターク家分裂の予感がして結構怖くもあるが。
ロバート王の妻であり、数々の異変の元凶でもあるクイーン・サーセイや分かりやすい残虐な王妃といったところで、そのサーセイと姉弟ながら通じている「王殺し」ことジェイミー・ラニスターも色々ときな臭い。この王殺しというのがそのままロバート王殺害に繋がるのではないかと読んでてヒヤヒヤしてくる。そんな悪徳のラニスター家の中でも稀代のトリックスターとして振る舞っているのはティリオン・ラニスターだろう。短剣の持ち主であるためブラン殺害未遂の容疑をかけられているが、この事件の真相はいまだ明らかになっていない。真犯人はラニスター姉弟だろうが、この家同士の戦争の前触れで、ティリオンの立場がどうなるか気がかりである。ブランの鞍を作ってやったり、ジョン・スノウとの会話など、スターク家の面々と親しい付き合いがあるので、やや引いたポジションの語り部として活躍スのではないだろうか。小鬼(インプ)という名称と皮肉な言い回しなど、実に魅力的なキャラクターである。
そんな戦国歴史絵巻の中でもう一人の主人公と言えるのはジョン・スノウだろう。エダードの私生児でという立場のせいか、その意味を知る娘のサンサや妻のキャトリンからはとにかく嫌われている。そんなコンプレックに苛まれているジョンだが、個人的に一番気に入ったエピソードは、母を娼婦呼ばわりした男を滅多打ちにしたら、武具師ドナル・ロイにエダードの私生児というバックボーンはここでは恵まれた文化資本であることをジョンに突きつけるシーンだろう。
滅多打ちにできたのは才能でも何でもなく、剣を持ったことのある、教わる人間に不自由しなかったが故の環境である。他の人間は母親が娼婦である人間は多く、剣など持ったこともない、喧嘩を習い覚えたのは裏路地や売春宿で、本物の剣を買うことができるほどの金持ちは二十人に一人もいない。そんな人間たちを滅多打ちにしたお前は弱い者イジメのがき大将に過ぎないという喝破は素晴らしかった。
非常に濃密で読み疲れるが、物語の密度は凄まじく、読んだ後にすぐさま下巻に手を伸ばしたくなるほどの中毒性がある。ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」はとりあえず下巻まで読んでから見てみることにしよう。
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ダークファンタジー的な世界観だけど、魔術やらドラゴンやらは実際には出てこない(それは劇中の伝説の世界のもの)。だから、純粋に魑魅魍魎入り乱れる政争絵巻が楽しめる。
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登場人物の多さに(しかも全員カタカナ名で,本名とは別に通り名があったりする),覚えるだけで一苦労だが,それぞれの家,それぞれの地域に相応の特徴があり,圧倒的分量を進めて行くに従い,頭の中に世界観が構築されていく.これは,本文ももちろん面白いが,それ以上に圧巻の世界設定にこそ本質があり,その世界を各登場人物達の場面で細かく切り取りながら時間を進めていく手法に,読者はまんまと絡め取られていく.時間を忘れる.これは麻薬だ.
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指輪物語に通じる壮大さ。いろんな世界の物語が紡がれていてワクワクする。登場人物の名前を覚えるのが大変なのが難点だが…
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海外の人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作。ドラマは一切観ておらず、全くの事前情報もなしに読み進めた本書。
上下巻で合計1400頁を超える紙面を読み尽くして得られた感想は、これ、ようやく物語が始まったんだ…という驚きです笑
続巻が出ているのは知っていたのですが、まさか結末らしい結末もなく終わるとは予想だにしていなかったですし、これだけ読んで漸く物語の背景が出揃ったような作品は初めてだったので、今までにない衝撃を味わいました。知っていればそうはならなかったのでしょうが。。笑
しかし、さすが人気作品なだけあって、この長い頁をグイグイと読ませるストーリーテラーは流石の一言。群像劇として、テンポよく視点を変えて話を進めるのが読みやすい点のひとつかも。
さてさて、続きを読みたいのですが、続巻も相変わらずなボリュームなのでちょっと手に取りづらいのですが、登場人物(これがまた果てしなく多い!!)を忘れないうちに読もうと思います。
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ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」にはまり、読んでみた。ドラマも登場人物が多くて、最初は誰が誰だか…という感じで見ていたので、本を読んで答え合わせしている感じだった。本は地図と登場人物紹介がついているので、時々確認しながら読むことができた。
ファンタジーの要素もありながら、重厚な歴史の本を読んでいるようでもあり、本当に面白い。ただ、ドラマを見て分かっていたものの、ボリュームがすごい。厚い1冊を読み終えても、まだまだ物語は序盤。
英語の原書もう読んでみたいし、ドラマも見直して、ゆっくり楽しみたい。
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「ゲーム・オブ・スローンズ」はAmazon Prime Videoの無料期間切れギリギリに駆け込みで見た。
原作は読まなくてもいいかな、と思っていたが、
https://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2022/11/post-cf32f5.html
を読んだら買わずにはいられなかった。
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ゲーム・オブ・スローンズの原作。スゴ本で紹介されていて、年末年始休みに初巻を読んでみた。序盤から登場人物が多く、各章が違う人物の視点で語られるので、ストーリー展開を把握するまでに苦労した。巻末の付録に、登場人物が家ごとに整理されていて重宝した。
この巻のメインは、北部のウィンターフェルを治めているスターク家の当主、エダード・スターク。その妻、ケイトリンはタリー家出身、その妹・リサから、夫のジョン・アリンの死に不審な点がある、という知らせが届き、物語が動き出す。
夏と冬が交互に何年も続く架空の地、ウェスタロス大陸。北の果てには「壁」があり、その先には恐るべき〈異形人〉が住むという。
昔読んだケン・フォレットの「大聖堂」シリーズに雰囲気が似ているが、こちらの方が人物も多い。また、こちらはドラゴンなど、ファンタジーな設定もあり。
TVドラマはシーズン8まであるようで、今回はシーズン1の途中までのよう。
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独特な文体なので読みづらさはありますが、めちゃくちゃ面白いです。人の悪意が悪意を呼び、最悪な状況がさらに最悪な状況へと陥っていきます。
視点が切り替わると、物語が全く別の見え方をするのも面白いです。一応、正義と悪の陣営があるわけですが当然一枚岩ではなく、場面によって味方がコロコロと入れ替わります。
この大河小説の終わりを見届けたいので、いつかシリーズが完結してくれたら嬉しいです。
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まだ最後まで読んでないのに感想書くとは。HBOのドラマが好き過ぎて、ハウスオブドラゴン観たし一念発起して読み始めた。キングの新作でも登場人物にゲースロ原作めちゃくちゃ面白いって言わせてたから、キングも好きに違いない。ドラマもいいけど原作がこれまためちゃくちゃ面白い!面白すぎて読んでないときも仕事中も家族と会話してるときも気がつくとゲースロ界に入り込んじゃってる。ドラマより登場人物たちの心理描写とか関係性がより深く表現されてて、ああ、あのときこんな気持ちだったのか…とか考えながら読めるから楽しい。アリアとジョンが仲良しだったり、ティリオンとジョンが友達だったり、ドラマではサラッと流されてたとこ深掘りしてくれるから読むのが楽しい!次の巻も楽しみ…てかスピンオフ書いてないで早よ完結させて…!