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優良+長寿企業の特徴を「組織能力」「価値基準」の視点で大企業を例に出しながらまとめられた本。いわゆる企業の組織論がまとめられている。最初の50ページまでが研究の前提条件説明がメインとなるため、読みづらい。花王、本田、トヨタ、三井物産などの企業例が出てからがサクサクと読めたが。逆に言うと、そこより先に進んでも興味を感じない人には向かないかも。私は面白かったですが。
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この本は、僕が考えている価値創造フレームワークとその仮説検証のアプローチに非常に近い内容で、読んでいて好感を覚えました。
この本と同じような優良企業・長寿企業についての本はそれなりにありますが、この本は知的資本に拠り所を求めつつも、ありがちな自説に偏ることなく、フェアな枠組みに纏め上げ、それを共分散構造分析等、因果関係を可視化可能な方法で検証しているのが素晴らしい。最近の日本での知的資本に関する様々な議論を最も上手く定性・定量分析してみせた本だと思います。
特に、下記の「持続的成長企業を貫く三対の価値基準」という纏め方は圧巻。社会の矛盾中でのバランス感覚を見事に言い当てていると思います。
(1)社会的使命の重視、しかし経済的価値も同時に追求
(2)共同体意識、しかし健全な競争も共存
(3)長期志向、しかし現実も直視
このあたりは、今日的な水準のバランスと・スコアカードの考え方にもそのまま当てはまります。
あえて残念な点をあげるなら、総合的な指標として株価をあげながら、財務的に説明がつく部分以外の説明は殆どなされていない点だろうか。知的資本が大切と言うのであれば、それが総合指標である株価にどれだけ影響を与えているのか、その因果連鎖を説明できれば文句なく100点満点だと思います。
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本書に紹介されている成功企業の事例を大学組織に応用しようとすると、例えば、「従業員数:教員数・事務職員数」の比較でうまく合わなかったり、「企業組織文化:教員の同僚的文化・職員組織文化」を関連付けさせたりすることがなかなか難しいように思う。ただこうした単純比較でなく、さらに上の概念として、「個人と組織の主体性」を考えることは必要だと感じた。
序章で述べられた着眼点は参考になった。転換点と維持・強化の局面で、組織・人のマネジメントの質が異なるという視点だ。一見あたりまえなのだが、転換期に役割を果たせる人材を見抜けるかが組織存続の重要な要素となることを示している。
38頁の反対の合一のようなモデルが紹介されている。
・社会的使命の重視、しかし経済的価値も同時に追求
・共同体意識、しかし健全な競争も共存
・長期志向、しかし現実も直視
これを実践するにはなかなか難しそうだが意識してみたい。
個人的には、本書の成功事例よりその逆の事例から学ぶべき点が多かった。成功事例はたまたま当該企業が諸条件に合って得られたものであり、他団体への適用や一般化は難しい。しかし逆の事例はどの組織でも似たケースに陥る可能性を孕んでいる。よって、第4章持続的成長を阻む壁を興味深く読んだ。(ただ、失敗を気にし過ぎて小さくまとまるのもつまらないので、各別に「成功」に向かって注力するしかない、と思うようにしている。)
なお、時間の無い方は序章・終章を読んでから各章に移ってもよいだろう。
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われわれの経験則で感じられる「素晴らしい」企業について、定量的・定性的研究手法で語られている充実した内容の書籍であったと思う。
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トヨタ、花王、小林製薬、キャノンなど、優良かつ長寿企業のビジネスモデルの分析。とても良くまとまっていて、企業経営者、起業家だけでなく組織のリーダーの必読書と感じた。組織の大小、分野、歴史など、一つとして同じ会社や目的はないわけで、なにが最適なやり方か丁寧に考えることが社員の成長や結果に結びついている。
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日本企業がやはり特殊な文化をもち成長していったことが、ここでも認識できた。この美徳(欠点でもあろうが)を死守して、日本企業は2020年代を生きていけないものなのか。