紙の本
ゲームだと思います。
2010/12/03 13:10
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:rindajones - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は私が好きな数少ない投資アナリスト(と称して良いか分からないが...)の一人。彼のことを知って間もない頃に読んだ本で(書名は失念)、未だに印象深く残っているのがある。
息子(娘)がバイクに乗りたいと言ったとき親として取るべき行動は?
というもので、これを投資にみたてて、リターンを最大にする有効な回答は
ヘルメットを買い与えること
あれ?ちょっとニュアンスは違うかもしれないが、概ねこんな感じだったと思う...。ちなみに、私がバイク好きということを差し引いたとしても、この主張を支持します。
その本はあらゆるものを投資として考えた時に如何に行動すべきか、を様々な事例で検証したもの。このバイクの例だけでは面白さが伝わらないが(それは全て私の解説下手にあるのだが)、この本を読んだだけで、著者の投資や経済に対する思想だけではなく、もっと普遍的な面に大いに共感したのを覚えている。
本書の今回のテーマは「株式投資論」に絞ったもので、やはり彼の考えや意見には大いに同感する面が多い。「新しい」かどうかは分からないが、大多数が支持する理論ではないような気がする。何故だろうか?
株式投資をゲームと断定した上で
株は情報の勝負ではない
頭脳の勝負ではない
金持ちが勝つゲームではない
努力しても上達しない
必要なのはセンスだけ(あと「運」も)
と主張されたら引く人が多いからかもしれない。少なくとも私には、著者が感覚的にこれらを主張しいるとは思えない。著者なりの経験と分析に基づいたものであると思う。要は、これらを受け入れるか否かだと思う。
恐らく本書を読んで失望する人は、これを読んでも直ぐに利益が得られるノウハウが無い ことを挙げるかもしれない。そもそも株式投資でそんな方法論など本になること無く、すなわち誰もが儲かる方法は存在しない(あったとしても既にその方法は使われて有効では無くなっている)というのも彼の主張です。
本書では色々と同感する点は多いのだが、一つ変わった点で興味深いかったのは「行動ファイナンス」の一種かもしれない「ニューロ・ファイナンス」の話。
複数のカードの山からどれが得か損かのカードの山を判断する実験で、平均的な被験者は80枚ぐらいのカードから「この山はヤバイ」と意識し始めるが、皮膚に電極を付けて調べた反応からは20、30枚で既に「ヤバさ」を感じている
というもの。この事例から色々想像できる。
1. 投資判断の誤りは脳が納得した時点で採用した「遅くて悪い」判断に原因がある
2. 各種のチャート分析は大して役に立たないと思うが、が「この」感覚に従う判断材料として今以上に有効に使えるかもしれない
3. この感覚を鍛える「怪しげな」トレーニンググッズが販売される
3は著者も書いておられるが、1,2は私の勝手な想像。「1」なんて「結局は勝ち負けは能力差じゃんかよ~」とするのか、「誰でも平等にもっている磨けるセンス」なのか分かれるところかも知れない。本書で述べられているセンスとは違うかもしれないが、私は後者の「センスを磨く」という方を断然支持したい。
「ニューロ・ファイナンス」まだまだ発展段階のテーマで、当時からどれほどの進歩があったのか分からないが、「行動ファイナンス」と併せて「古典的ファイナス理論」のある面を打ち砕く理論で有り得ると思う。
このニューロ・ファイナスの項を読みながら、先日読んだ橘玲の「亜玖夢博士のマインドサイエンス入門」の脊髄反射のことを、(多分私の脊髄が反応して)瞬時に思い出した。そして「金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか」には薦める著者にこの山崎元と橘玲が挙げられている。
結局は自分の思想や哲学をもって事に当たらないと(株式投資もしかり)ダメなんじゃないかと思う。「必勝チャート分析法」なんてのに活路を探す姿勢では、その時は既に誰もがその方法を採用して、自分が買ったときには「既に高値」... これがこの株式投資というゲームの一面のようです。そんな時はケインズの「不美人投票」を思い出して行動するのが「合理的へそ曲がり」なのです。
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08/2/1 JMMで著書に馴染みがあるので購入。行動ファイナンス+新しい理論のへそ曲がり的な視点は、バランスをとるためには参考になる考え方かも。
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「私にとっての株式投資はゲームだ」と言っている。これは最近自分でもようやく気がついてきた。そう、株式投資はギャンブルと考えて望んだ方がいい。
このゲームに勝つためには、第1に運が必要で、第2がセンスとある。そのセンスとは、「合理的なへそ曲がりの精神」である。投資対象の企業を知るより、市場参加者を観察する方がいい。他の市場参加者が間違えてくれるかもしれない場所にチップをおくことである。
株式投資に時間を使うのは無駄。自分に望ましいリスク水準のポートフォリオを作って放っておくのがいい。
株式投資は不美人投票である
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年齢や経験、プロアマ、天才凡人、情報の有無等々、株式投資の勝ち負けに一切関係なし。努力よりセンス、裏をかくのが大事という本。
「従順な性格は不向き、でも自分の考えに対して素直を貫ける人は有利」という一説は、腑に落ちる。 いざリスクをとりに出る時、「さあ、どっち」となった時、同程度の評価のアイデアなら、権威のある方を選んでしまって、大したリターンもなく後悔するのはよくあること。
などなど、多くの投資理論を紹介しながら、株式投資の「センス」とは何かを解明しようとしています。 よくある投資ハウツー本とは、全く異なる本です。 経済学の教科書みたいな本です。
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[ 内容 ]
最近の実証研究によれば、プロのファンドマネジャーによる運用実績の平均は、株式市場の平均より劣るという。
知識も情報も豊富なプロが、素人に勝てない株式投資とは何なのか?
「株は情報の勝負ではない」「頭脳の勝負ではない」「金持ちが勝つゲームではない」「努力しても上達しない」-必要なのはセンスだけなのだ。
先駆的なファイナンス研究によって完全に書き替えられた新しい株式市場像を紹介。
“株式市場で勝つ”という視点から、株式投資という“ゲーム”の仕組みと戦略を徹底的に考える。
[ 目次 ]
第1章 ゲームとしての株式投資入門(ゲームとしての株式投資 株式投資はギャンブルである ほか)
第2章 株式投資の本当の常識(目標株価の設定は必要ない 「分散投資は効率が悪い」のか ほか)
第3章 ツールとしての投資理論の研究(「成長株理論」 「配当割引モデル」(DDM) ほか)
第4章 ゲームとしての株式投資再論(プロの知識と情報が活きない理由 平均の得 ほか)
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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相変わらずの辛口で新しい価値観を与えてくれます。
その辛口を受け入れられる人は著者のファンになれるでしょうし
相容れない人には読む価値のない駄作と感じてしまうかも知れません。
そして感じ取り方が前者の自分なので満足の一冊です。
内容はどこのページから読み始めても興味深い結論に至って面白いです。
暇な時間があったときに手元にこれがあったら案外、有意義な暇つぶしになるでしょう。
内容には触れませんが「株式投資に向いた性格」「平均の得」「努力しても上達しない」はかなりツボに来た部分です。
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いつ、何を思って買ったのかよく覚えていないが、なぜか持っていたので読んだ。副題が 「合理的へそ曲がり」のすすめ というだけあって、さまざまなものに難癖をつけている。なかでも私が強烈に受け入れられなかったのは、テクニカル分析を完全に無駄なこととこき下ろしていること。私はテクニカル原理主義者なので、このような論の展開はなかなか受け入れづらい。しかし、そういう「逆からの視点」は受け入れがたいからこそ、有益なものであるともいえる。本書は、そういった「逆の視点」から考えてみよう、という意味でよい気づきのある本だと思う。「合理的へそ曲がり」ってそういうことをいっているのかなあ。
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同類の投資手法が先に行っている投資家に後から追いかける投資家が利益をもたらす。運用成績を改善できる根拠の乏しい売買は不利。スポットライトが当たっている部分を避けて、裏側のどこかに「合理的だけれども、精神的には抵抗感のある何か」を探して賭けてみよう。そして仲間が増えたら静かにその場を去るのだ。株式投資は不美人投票である。十分に人気が出ている美人株がそのままの評価の美人である状況で投資しているよりも、人気のない、下がった不美人株がやや不美人株になったときの方がもうけが大きい。
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中盤が結構難しい。でも説明はわかりやすかった。大して多くのいい方法はことは学べなかった感じだけど、悪い方法がたくさんあるのはよくわかった。
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プロのファンドマネージャーの運用実績が、株式市場の平均的なリターンより劣るという衝撃的な内容。努力しても上達しない、必要なのはセンスと 微妙な内容。
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自分にはかなり難しかった…。
投資における間違いを多々指摘してくれている。
結論的には、バリュー株を買え、ということか?
他、大事そうなのは分散投資?
とりあえずPERについては勉強しようと思った。
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2024年に著者は亡くなられております。この年にNISAの永久化が施行されましたが、株式投資を行うにあたっての基本的な知識が入っており、十分に利用できる内容になっております。