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『墨染の鎧』の主役は「多くの作品の劇中に登場しているが、“主役”になっていた例は思い当たらない」という人物である“安国寺恵瓊”(あんこくじえけい)が主人公に据えられている。
この種の、大きな勢力の狭間で色々な交渉事に携わって活躍したというようなタイプの人物…火坂雅志が綴る物語ではよく出て来る。彼が“得意”なタイプの“主役”と大変期待して読んだが、期待は裏切られなかった!!
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上下巻とも 優れた作品でした 面白かった
最後は 武運拙く 志半ばで 石田三成 小西行長 とともに六条河原で斬首される
終始 毛利の為に知略を尽くし 毛利家存続の為に 秀吉の恩顧を受けるが 関ヶ原で 毛利氏が 家康側についてしまい 恵瓊は賊軍と成ってしまう いやはや 戦国の世とは 恐ろしい
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著者の作品は歴史上のいわば脇役的な人物や、組織の№2的人物を主人公とする作品が多いことが私好みで多く読んできた。
本書も安国寺恵瓊という歴史上マイナー人物を主人公としたもので、毛利家における微妙な立場を的確に描きつつ、織田軍中国戦略を、受側の毛利家の視点で描いたものは読んだことがなかったので、新鮮であった。
個人的な嗜好で注文をつけるとすれば、最後のクライマックスである関ヶ原実戦での主人公の軍団内駆け引きや足掻き、また、敗戦後逃亡して捕らわれるまでの葛藤などを著者流の人物描写を持ってもう少し物語濃く入れて欲しかった。(上下巻共通レビュー)
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墨染の鎧をまとった外交僧の破天荒な活躍《赤松正雄の読書録ブログ》
安国寺恵瓊(あんこくじえけい)―この人物は、知ってるようで知らないことが多いと言う人は少なくないはず。かく言う私も関ケ原で活躍した外交僧と言うぐらいの知識しかなかった。それが公明新聞上に作家・火坂雅志氏の手によって連載(08年2月~09年6月)されてから急に身近なものになった。といっても、連載中は殆ど読むことなど全くなし。関心も正直言ってなかった。
それがあることをきっかけに大きな関心の的に。というのは、今から3年あまり前、党員の皆さんとの懇談の会合に出た際に、ある老婦人(80歳代なかば)から「公明新聞ではなんといっても『安国寺恵瓊』が面白い。歴史の細かいところが分かり毎日貪り読んでいる」との感想を聞いた。それから折に触れ取材をしてみると、今までの公明新聞の連載小説の中でも読者の評判が抜きん出て高いことに気がついた。益々興味は募った。
しかし、忙しさもあり、そのままになっていた。以後、火坂氏は大河ドラマ『天地人』を世に問い一段と売れっ子に。このほど、単行本としてタイトルも『墨染の鎧』と変わり、刊行されたが、上下二巻をようやく読み終えた。いかに連載中人気が高かったかがよく分かった。今まで取り上げられることのなかった人が生き生きと描かれ実に面白い。それなりの男女の絡みもあって恐らく多くの人が胸をトキめかされたはず。毛利家中の参謀として、駆け上がる様が克明に記されているが、豊臣秀吉の腹心黒田官兵衛との交渉人同士のつばぜり合いに強い興味を持った。
今まで軍師としてのライバル竹中半兵衛と黒田官兵衛との友情や交流は本やドラマで幾度か目にしたが、安国寺と黒田のケースは初めて。今、私の地元姫路市では地元に深いかかわりのある黒田官兵衛ものの大河ドラマ化が悲願となっているが、その脚本化に際してはこの両者の絡み合いが見たい。
「かの織田信長の滅びを予見し、秀吉の天下取りを言い当てた男である」安国寺恵瓊が、最後は人を見あやまり身を滅ぼす。過剰なまでの自信が災いしたのだろうが、恵瓊に入れ込んだ身としては誠に残念だ。
公明新聞の読者層は高齢者が多く、あまり娯楽が少ないものと思われるが、こうした小説を愛読されることが大きな楽しみになっていると想像することは誠に微笑ましい。
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自身の先見の明と行動力によって大名まで上り詰めたが、その栄達と引き換えに慧眼を失い、滅亡する・・・。
やはり天下を語る器ではなく、有能ではあっても一官僚に過ぎなかったということか。
安国寺恵瓊については読む前の印象を軽く上塗りした感じだったかな。
家康についてどう見ていたのかには語られないのが残念。
吉川広家、小早川秀秋らの人物観も前半と同じ人物とは思えない単純さで、関ヶ原までの導線が平坦過ぎる気もした。
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歴史好き垂涎、安国寺恵瓊が主役の小説。「いや、これはないでしょ」というような内容や不要な濡れ場はあったが、安国寺恵瓊を知るという程度の観点からすれば良作かと。
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★2.5。
面白いんだけど、目新しさが全くと言っていいほど感じられないのが残念。筋に既視感があって無理はないんだけれども冒険もないという意味で極々普通の作品ですかな。