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「五つの競争要因」、「バリューチェーン」等、ポーター先生の有名な概念を、経営学の教科書等でなんとなく知ってはいるものの、いきなり原典にあたる根性の無い人(私)には、打ってつけの本。多くの事例(↓)を交え非常に判り易くエッセンスを(多分)解説しているし、翻訳も読み易い。
ポーターの言う「戦略的競争」は、「レッド・オーシャン戦略」とは、実は真逆にあること、ベストセラーとなった『ストーリーとしての競争戦略』楠木 建(著)も、実はポーター先生をベースにヒネっていることが判ります。
また、最後のインタビューで、ポーター先生が、「インターネット」、「破壊的技術」、「ビジネスモデル」等「よくある質問」に答えてくれてます。
事例:
ウォルマート、コインスター(レッドボックス)、パッカー、サウスウェスト航空、フォード、デル、イケア、ニューコア、チャールズ・シュワブ証券、マクドナルド、ノマコルク、プログレッシブ保険、エドワード・ジョーンズ証券、エンタープライズ・レンタカー、ネットジェット、アラビンド眼科医院(インド)、ジップカー、グレース・マニュファクチュアリング、TSMC、ゴー・フライ(BA)、ロウズ、イン・エヌ・アウト・バーガー、ZARA、ネットフリックス、ネスレ、BMW、トヨタ、フォーシーズンズホテル、シアーズ、OMK、GM、AOL、リズ・クレイボーン
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「特別に調整されたバリューチェーンがなくても効果的に実現できる価値提案は、持続可能な競争優位を生み出さない。」
競争戦略とは、競争を回避する戦略ってところからもう目から鱗。
ぱっと見で同じようなサービスを提供していたとしても、企業各々のバリューチェーンは独自に調整されていて、その独自のバリューチェーンこそがその企業の強みであり、そこが肝。
経営理論系の古典と言っていい本で、優れた戦略を採った企業を例に出しながら、競争戦略の考え方や組み立て方を教えてくれる教科書的な本。
ここまで平易に理論化したところがマイケル・ポーターの凄いところかも知れない。ファイブフォースアナリシスとか鳥肌モノ。
なんというか、読んでいると自分が頭が良くなった気がして、何でもできると思わせてくれるような本で、妙なやる気がでてくる。
この本が書かれた頃から市場環境が変わったので、今のポーターは違うことを言っているみたいだけれど、やはりこの本の凄さは色あせない。
何度も読み返して頭が良くなった気分に浸りたくなる名著。
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戦略の本質を理解するのにとても良い本。
差別化要素を磨き上げると価格アップやコスト削減につながり利益の高いビジネスになる。
優れた戦略の五つの条件
独自の価値提案
特別に調整されたバリューチェーン
競合企業とは異なるトレードオフ
バリューチェーン全体に渡る適合性
長期的な継続性
この観点はフレームワーク的に参考になる。
基本は五つの競争要因とバリューチェーン
これも教訓
価値提案には3つの質問に答える
どの顧客?
どのニーズ?
相対的価格は?
考えるべきポイントが分かりやすく整理されていた。
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ファイブフォースとバリューチェーンにより、経営に携わる人間で知らない人はいないマイケル・ポーター。ただ、それを知っていることと理解していることはまったく違うことだという重要なことを思い出させてくれる一冊だった。むしろ十分に理解しない人間こそ、それをさも知った顔をするのが虚構の常である。確かにポーターの理論は難しいし、『競争の戦略』も『競争優位の戦略』も軽く手を出すにはハードな論文であるが、このエッセンシャル版はこれら2冊の主張とその後の動きを十分に盛り込んだ現時点で最高のポーター本だと言えるでしょう。この本を読んで自分なりに理解したポーターの理論をまとめる。
■戦略とは
一言で定義するなら、「好業績を持続的にもたらす優れた競争戦略」のことである。我が社の戦略は優れた人材ですとか、重要なM&Aを行うことですとかいったことは戦略ではない。なお、ポーターが扱う戦略とは事業における競争戦略であり、企業全体の戦略である企業戦略を指すのではない。
■競争優位とは
一言で定義するなら、「企業が実行する活動の違いから生じる『相対的価格または相対的コストの違い』」である。我が社の競争優位は技術力ですとか、ブランド力ですとか、低コストですとかそういったことは競争優位ではない。ちなみに、ポーターは価格優位とコスト優位を明確に区別するため、差別化(differantiation)を価格優位に限定して定義していて、一般的に経営者がいう差別化(different)とは違う扱いをしている。
ゆえに、彼の述べる競争とは、最高を目指す競争ではなく、他社と異なる道筋を選ぶ相対的なポジションの問題である。つまり、競争の目的はシェアを高めることでも売上を拡大することでもなく、利益を上げることに他ならない。優れた戦略は業界平均を上回る業績をもたらす。このあたりの主張はブルーオーシャン戦略とも関係するし、クリステンセンの破壊的イノベーションとも関係する。
✕最高を目指す競争
・一位になる
・市場シェア重視
・「最高」の製品によって「最高の」顧客に対応する
・模倣による競争
・ゼロサム競争:誰も勝てない競争
◯独自性を目指す競争
・収益を高める
・利益重視
・ターゲット顧客の多様なニーズを満たす
・イノベーションによる競争
・プラスサム競争:複数の勝者、多くの土俵
重要なことは業界平均を上回る利益を持続することであり、「利益=価格−コスト」であるという構造から捉えると、競争優位とは「競合他社と比べて相対的に高い価格を要求できるか、相対的に低いコストで運営できるか、もしくはその両方」という結論に行き着く。ここで競争優位を解きほぐす2つのフレームワークが登場する。それがファイブフォースとバリューチェーンであり、前者は業界構造を捉えるものであり、後者は相対的なポジションを探るものである。
■ファイブフォース
・業界の収益性の決定要因を分析の焦点とする
・業界の平均的な価格とコストが分かる
■バリューチェーン
・活動における違いを分析の焦���とする
・相対的な価格とコストが分かる
ファイブフォースについては、よく誤解されているような、ただ業界が魅力的か否かを図る静動的なツールではない。業界構造を明らかにして、変化を能動的に予測するものである。なぜ業界構造がそこまで重要なのかというと、主に3つのポイントが挙げられる。
・どんなに異なる業界においても、競争要因は「既存企業同士の競争」「サプライヤーの交渉力」「買い手の交渉力」「新規参入者の脅威」「代替品・代替サービスの脅威」の5つである
・業界の収益性を決定するのは業界構造であり、規制の強さや製造業かサービス業かといった業態の違いではない
・技術や製品の移り変わりは早いが、業界構造とその収益性は非常に硬直的である
なお、同様に構造把握に使われるSWOT分析については、定性要因が大きく結局主観的になり裏付けが薄いことからポーターは否定している
バリューチェーンについては、よく誤解されているような、研究開発から販売・保守までの流れを左から右に並べるだけのものではない。バリューチェーンとは関連しあう活動の集合だということは知っていても、だから何なのかということは理解されていない。戦略を考える上では、マーケティングや物流といった職能で捉えるのは概念として広すぎるため、サプライチェーンの管理・営業部隊の運営・製品開発・配送などなど「活動」で捉える必要がある。バリューチェーンとは企業を戦略的に意味のある活動に分解するツールであり、競争優位の源泉(つまり、価格引き上げかコスト引き下げ)をもたらす特定の活動に焦点を当てる。これにより、一つ一つの活動が単なるコストではなく、最終製品・サービスに何らかの価値を加えるべき段階として捉えられるようになった。
こうした前提をもとに、競争優位を分析していくが、分析の手順は大きく分けて「まず定量化し、次いで分解する」となる。
<定量化>
収益性は一時的な要因に左右されるため、過去5〜10年程度の長期的なスパンで分析する。(業界によって収益構造は異なるため、分析すべき期間も異なる。サービス業の回収は早く、製造業は遅いなど)
これによって、業界の問題と自社の問題かを切り分けることができる。業界構造に影響を及ぼす要因と相対的ポジションを左右する要因はまったくの別物である。
1. 自社の各事業の収益性は経済全体の平均(例えば全企業の株主資本利益率)に比べ高いか低いか
2. 自社の業績は業界平均と比べて高いか低いか
<分解>
自社の問題だと分かった場合、要因に分解する。優れた戦略を持つ企業は、戦略を損益計算書に結びつけることができる。
3. 自社の業績が業界平均を上回る/下回るのはなぜか?相対的価格と相対的コストに分解する
4. 相対的価格と相対的コストをさらに分解する
・価格:特定の製品ライン?顧客?地理・地域?値引き?
・コスト:業務コスト(損益計算書)?資本運用(貸借対照表?)
では、競争優位を実現するためにはどうすればよいか。そこで出て来るのが「業務効果」であり、一般的に「実行(execution)」や「ベストプラクティス」と呼ばれるものと同じだ。企業が類似の活動を競合他社���りも優れて行う能力のことである。ただし、業務効果と戦略を混同してはいけない。業務効果を高めるだけでは堅牢な競争優位は得られない。業務効果はすぐに模倣され、持続しない。業務効果にかけては日本企業の右に出るものはいないが、業務効果での競争に囚われたせいで、最も優れた日本企業でさえも慢性的に低い収益性に悩まされていることが、ポーターがほとんんどの日本企業には戦略がないという所以である。
✕ライバルと同じ活動をより優れて行う
・同じニーズをより低いコストで満たす
・コスト優位性、ただし維持するのが困難
・最高を目指す競争、実行で勝負する
◯ライバルと異なる活動を行う
・異なるニーズを満たすか、同じニーズをより低いコストで満たす、またはその両方
・高価格か低コスト、またはその両方を維持
・独自性を目指す競争、戦略で勝負する
まとめると、優れた戦略を支えるのは5つの条件である。
1. 独自の価値提案
自ら選んだ顧客層に特徴ある価値を適切な価格で提供しているか
2. 特別に調整されたバリューチェーン
独自の価値提案を実現するのに最も適した一連の活動は、ライバル企業の行う活動と異なるか。なお、アウトソースの可否選択は慎重になるべきだ。ただの定型非定型といった作業難易度で分解するものではない。アウトソースすべきは、企業のポジションに合わせて意味のある調整ができない活動であり、戦略に合わせて特別に調整できる活動はアウトソースできない。
3. 競合企業とは異なるトレードオフ
自社の価値を最も効率的、効果的に実現するために、やらないことをはっきり定めているか
4. バリューチェーン全体に渡る適合性
自社が行う活動は、互いに価値を高めあっているか。つまり、「一貫性」「補完・補強」「代替」をもってバリューチェーン全体が相互に良好な依存をしているか。なお、優れた戦略がたった1つのコアコンピタンスから成り立つというのは大きな誤解である。業界の全企業がまったく同じコアコンピタンスを求めるのは誤りであるし、戦略がいくつかの独立した選択から生まれることもない。
5. 長期的な継続性
組織が得意なことに磨きをかけ、活動の調整、トレードオフ、適合性を促すことができる十分な安定性が、戦略の核にあるか。ここでは柔軟性との関係も重要だ。どんな素晴らしい戦略も特に詳しいまたは具体的な将来予測をもとにしていることはまずない。不確実な時代において戦略が将来予測の上に成り立つということは誤りである。といえども、柔軟であればよいというものでもない。柔軟性を戦略の代わりにすげ替えた瞬間、戦略を失ったことと同じである。重要なのは、適切な契機をもって戦略変更を行うことだ。戦略変更が必要なタイミングは大きく3つある。
・顧客のニーズが変化するうちに、企業の価値提案が完全に時代遅れになるとき
・様々なイノベーションによって、戦略の基盤である重要なトレードオフが効力を失うとき
・技術や経営面でのブレークスルーが既存の価値提案を完全にだめにするとき
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マイケル・ポーター、久しぶりである。
ポーターは、戦略というか、経営について考えるときに、知っていなければ、話しにならないのだけど、なんか理屈ぽい、というか、市場をいろいろ分析して、知的に自分のポジション、戦略を設定する、という合理主義的・客観主義なフレームの人という印象であった。で、現場力というより、知的なトップによるトップダウン経営というイメージ。
戦略論的には、ポーターより、コアコンピタンスとか、リソース・ベースト・ビューみたいな内部的な「強み」に注目するアプローチのほうが、好きだし、ミンツバーグ的なやっているうちにできてしまう、という創発的な考え方により共感している。
というある種のネガティブイメージをもちつつ、頭の整理のために、コンパクトにまとまっていそうな本書を読んでみた。この本の著者は、ポーターではなくて、近年、一緒に活動することが多いジョアン・マグレッタによるもの。最近のポーターの考え方もアップデートして、ポーターの主要な概念を解説している。
書いてあることは、一応、どこかで読んだ(主に、HBRの論文)ことなんだけど、こうして、ポーターのいっていることを、全体としてまとめると、「そうだったのか!そこがそうつながるのか!」とかなり目から鱗が落ちる感覚があった。
で、ポーターの言っていることと、自分が考えているというか、大事だと考えていることに大きな違いがないことが分かって、驚いた。これまで、食わず嫌いだったことを反省した。
主に共感したところは、
・要するに戦略とはナンバーワンになることでなく、オンリーワンになることである。自社にしかできない価値をお客様に継続的に提供すること
・5フォースとかの環境分析をなんか考えて、うまいポジションを見つければいい、というようなものではなく、一つの正解があるわけではないんだから、経営層がしっかり議論して合意するしかない
・戦略を決めるのに、未来の予測は必要なく、こういう方向に変って行くとか、こういう顧客のニーズが増えて行くという方向感があれば、十分で、それに向かって一種の賭けとして、戦略を決める
・で、議論をつくしたうえで、役員で合意する。そして、その戦略に納得しない役員はやめていただく
・戦略を決めたら、顧客への提供価値を他に模倣されないようなヴァリューチェーンをつくっていく
・戦略は、何をするか、というより何をしないか、ということで、トレードオフが存在する。そうした選択にもとづいて、たくさんの他の会社にできないような選択をヴァリュー・チェインのなかに組み込むこむ。具体的には、様々な活動を一つの戦略に埋め込んで行く
・一旦、戦略を決めたら、ある程度の期間、それを継続して、同じことを何度も何度も言い続けて、従業員に浸透させていく
・といっても、業界全体の効率性の追求というところで、他社に遅れてはいけない。トレードオフの選択に関係のない業務の効率化は徹底すべき
・戦略はむしろオープンにしたほうがいい。外部に対して、こういうポジションで、ここに集中すること、徹底することを��言すれば、他社がそこに入っていこうという意志を削ぐことができる
・長期に継続的に戦略を維持することは、時代の変化、破壊的なイノベーションに遅れを取るという意見もあるが、本当に本質的な環境変化はあまりなく、戦略を明確にしたほうが、顧客価値をどうしたら変化のなかで維持するか、ということに絞って取り組む。このことによって、逆説的ではあるが、変化への対応力が高くなる
という感じ。
そんなことだったんだ。
と納得するとともに、「まあ、そういうことであれば、とくに異論はありません」というか、「RBVのバーニーとの論争って、結局、なんだったんですか?」とか、「本当に最初からそう思っていたんですか?」「年とって丸くなったんじゃないですか?」、みたいな気持ちになりました。
よくまとまった本だと思います。ポーターを読もうと思う人は、これから始めるといいと思います。
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経営学では、スーパーメジャーなマイケル・ポーターの競争戦略のほぼ公認といえるエッセンシャル版。
同質的な競争を好まず、独自性を貫き競合他社との競争回避と何かを捨てるというターゲティングを戦略の本質と捉えている、競争戦略の要諦がコンパクトに理解できると思います。
おそらくですが、経営学の概論本で学んだ方の大半は、ポーターの競争戦略をかなり誤解しているかと思います。
原本がベストかと思いますが、それよりコンパクトで安易な記述の本書がお勧めです。
「競争の戦略」よりも「競争優位の戦略」の方を読んでみたいと思いました。より実践適用の理解を目指して。
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ポーターの言う「競争戦略」とは何かを学べました。
世にある「コアコンピタンス」「自社の自信のある戦略」と「競争戦略」がいかにかけ離れているかを知りました。
戦略は「価値提案」だけの需要サイドだけで成り立つものではない。それはマーケティングだけ考えている。十分条件だ。
そして、戦略の必要条件は、「供給サイド」にある。
いわゆる「バリューチェーン」の各活動がコストをかけて価値を生み出し、ある活動を行うことで別の活動を毀損するような活動を意図的に選択することで「トレードオフ」を行う。
この「バリューチェーン」内の活動の選択の「トレードオフ」効果により、他社は容易には、自社を模倣できない。つまりハイパーコンペティションや価格競争、「最高の経営」競争に陥らない。「トレードオフ」のおかげで、「バリューチェーン」の活動の1つを模倣できる確率が90%になるとすると、活動が4個あるだけで、模倣できる確率は51%にも下がる。10個あるならなおさらだ。
さらに、バリューチェーンを「適合化(フィット)」することにより活動間の効果を増幅することができる。
これらの戦略を構築する上で必要なのが「(価値提案を変えないで)継続性」を保つこと。バリューチェーンとトレードオフとフィットは、いきなりは構築できない。
そうしているうちに市場の状況は変わる。しかし、基礎的な「価値提案」を自社の顧客に提案したまま、バリューチェーン、トレードオフ、フィットを微調整し続ける継続性が必要だ。この「価値提案」は市況によらず維持する。顧客からの自社のイメージ(認識)がズレないようにするため。しかし、供給サイドは変えていく。こちらは、顧客のイメージとは無関係で、かつ、経済的効果が高いから。
ざっくりいうとこんな感じでした。
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デンソー会長 加藤宣明氏 推薦
日本経済新聞 朝刊 読書 (29ページ)
2017/11/18 2:30
有名なのは「ライバルと異なることをする」という部分ですが、最初に読んだときにはっとしたのは「何をやらないか決める」というくだりでした。企業規模が大きくなると、だんだんとやめられないことが増える。そうするといざというときに負担となります。
星野リゾート社長が推薦。
やるべきことはたくさんあるが、何をやらないかを決めることが重要。
うまくいかないことはよくある。直感に頼ると自分の直感を疑いたくなる。
一方で論文は統計の結果とセオリーがある。だから多少うまくいかなくてもセオリーを信じで我慢することができる。
本を手本にしていればうまくいかない時に待つことができる。
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読了日:2017/12/16
・説明は分かり易いが、概念が難しく読み終わるのに2週間かかった
・最高を目指す競争は、自己破壊的な競争になるので好ましくない
・独自性を目指す競争を図らなければならない
・ファイブフォース…①新規参入の障壁、②顧客、③サプライヤー、④代替品、⑤競合他社
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▼競争に関する正しい考え方
最高を目指す競争
独自性を目指す競争
一位になる
収益を高める
市場シェア重視
利益重視
「最高の」製品によって、「最高の」顧客に対応するターゲット顧客の多様なニーズを満たす
模倣による競争
イノベーションによる競争
ゼロサム競争:
誰も勝てない競争
プラスサム競争:
複数の勝者、多くの土俵
▼5つの競争要因
・真の競争優位をもつ企業は、競合他社に比べて低いコストで事業を運営しているか、高い価格を課しているか、その両方だ。
他社をしのぐ業績をあげる方法は、これしかない。
・企業がプレミアム価格を持続できるのは、独自性と価値のあるものを顧客に提供できる場合に限られる。
・買い手により多くの価値を提供できれば、経済学者のいう支払意思額を引き上げることができる。
このしくみのおかげで、企業は競合他社の製品・サービスに比べて相対的に高い価格を設定できるのだ。
・割高な価格を要求できることが、差別化の本質である。
・競争優位とは、企業が実行する活動の違いから生じる、相対的価格または相対的コストの違いをいう。
競争優位を実現した企業は、活動がほかと違っているはずだ。
▼競争優位を生み出すのは、企業のバリューチェーン内の活動である
活動
ライバルと同じ活動をより優れて行う
ライバルと異なる活動を行う
生み出される価値
同じニーズをより低いコストで満たす
異なるニーズを満たすか、同じニーズをより低いコストで満たす、またはその両方
優位性
コスト優位性、ただ維持するのが難しい
高価格か低コスト、またはその両方を維持
競争
最高を目指す競争、実行で勝負する
独自性を目指す競争、戦略で勝負する
・業務効果を高めるだけでは、堅牢な優位は得られない。
ベストプラクティスの優位が持続することは、めったにないからだ。
新しいベストプラクティスを確立したとたん、競合他社に模倣される。
経営者は社内に最新のベストプラクティスを導入し、目に見える改善を実現することで報酬を得る。
だがこれにとらわれるあまり、社外のより大きな流れを見失うことも多いのだ。
ベストプラクティスで競い合うことは、実質的に全参加者のハードルを上げることになる。
業務効果は絶対的に向上するが、誰も相対的向上を実現できない。
このようにベストプラクティスは必然的に広まり、その結果、誰もが現状を維持するだけのために、ますます速く走らなくてはならなくなる。
▼価値提案は3つの質問に答える
▼優れた戦略の5つの条件
1.独自の価値提案
自ら選んだ顧客層に、特徴ある価値を適切な価格で提供しているか?
2.特別に調整されたバリューチェーン
独自の価値提案を実現するのに最も適した一連の活動は、ライバル企業の行う活動と異なるだろうか?
3.競合企業とは異���るトレードオフ
自社の価値を最も効率的、効果的に実現するために、やらないことをはっきりと定めているか4.バリューチェーン全体にわたる適合性
自社が行う活動は、互いに価値を高めあっているだろうか?
5.長期的な継続性
組織が得意なことに磨きをかけ、活動の調整、トレードオフ、適合性を促すことができる十分な安定性が、戦略の核にあるだろうか?
・あらゆる間違いのうちの最たるものは、最高を目指して競争すること。
みんなと同じ道を行き、なぜか自分だけがよい結果を出せると思い込むのです。
▼10の実践的な意味
1.最高を目指す競争は、一見正しいように見えるが、実は自己破壊的な競争方法である。
2.利益を生まない規模拡大や成長には、何の意味もない。競争の目的は市場シェアではなく、利益にある。
3.競争優位の目的は、ライバル企業を打ち負かすことではなく、顧客のために独自の価値を生み出すことにある。競争優位は必ず損益計算書に反映される。
4.戦略には特徴ある価値提案が絶対に欠かせない。だが戦略はマーケティングだけの問題ではない。特別に調整されたバリューチェーンがなくても実現できる価値提案は、戦略的に意味が無い。
5.あらゆる顧客を満足させようと思わないこと。一部の顧客を意図的に不満にさせるのが、優れた戦略の特徴である。
6.戦略は組織がやらないことをはっきりと打ち出して、初めて意味を持つ。トレードオフは、競争優位を実現し持続させる、戦略のかすがいだ。
7.優れた実行の重要性を過信してもいけないし、甘く見てもいけに。実行それ自体は持続的な優位の源泉にはならないが、これに後れをとると、どんなにすばらしい戦略があっても卓越した業績はあげられない。
8.優れた戦略は、ひとつではなく多数の選択に立脚しており、さまざまな選択間のうえに成り立っている。ひとつのコアコンピタンスが持続可能な競争優位を生み出すことはまずない。
9.不確実な状況下で柔軟性を保つのは得策のように思えても、何の主義主張も持たず、何のとりえもない組織になるのがオチだ。変わりすぎることは、変わらなすぎることと同様、致命傷になりかねない。
10.ひとつの戦略に徹するうえで、大胆な将来予測は必要ない。戦略に徹することで、イノベーション能力と混乱への対応力がかえって高まるのだ。
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・最高を求める活動は競争ではない。
・最高を目指して競争する企業は、模倣を通じて成長する。独自性を目指して競争する企業は、イノベーションを糧にして繁栄する。
・「市場シェアは収益性とは何の関係もない」
・優れた戦略をもつ企業は、戦略を損益計算書に直接結びつけている。
・戦略とは競争においてもトレードオフを行うこと。戦略の本質は何をやらないかを選択することだ
・最悪の、そして最もよくある間違いは、戦略を持たないこと。戦略を持たない企業幹部はたいてい自分には戦略があると思い込んでいる。
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マイケルポーターの競争戦略のエッセンス部分をまとめた本
ファイブフォースやポジショニング、価値創造のためのコア・コンピタンス、一貫性など
ポーターで重要となる理論に関して経営的視点でまとめてあり、理解しやすい一冊
読んだだけでは自分の身についているとは言えず
手を動かす、数値を意識する、財務諸表を分析する事の重要性も再認識できる本
ポーターの過去の本を読んでから読むと、おさらいになるので良い
読んでない人は、戦略を生業としないのであれば、これ一冊で十分かもしれない
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マイケルポーターの論文の中から最重要ポイントを抽出してまとめたという本。そうは言ってもかなりボリューミーだし、サクサク読み進められる内容ではありませんでした。
しかし、高度に一般化された理論だけあって、企業戦略に対しまた新たな視点を身に着けることができたと感じます。イノベーションのジレンマが流行らせた「破壊的イノベーション」にも言及しており(否定しているわけではない)、その概念に心酔していた自分にとってまさに目を覚まさせてくれる本でした。
就活が楽しみになるような一冊。
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【星:5.0】
競争戦略について、その本質をとても分かりやすく説明しているという感想。評判どおりのいい本であった。
まず、競争戦略を「競争」と「戦略」に明確に分けているのだが、この2つを分けるという発想がなかったので新鮮だった。
そして、2つに分けて「競争」については「5つの要因」、「戦略」については「5つの条件」というフレームワークで説明しており、「競争戦略」というものが何なのかということがストンと腹落ちする感じである。
名著に出会った感を久々に味わった。
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基本的なフレームワークである5Fを学ぶために。
オリジナルは、高価である上に、読みにくそうだったので。
こちらを手に取った。まとまっていて読みやすく、全体感を把握するためには良かった。
とはいえ、これの使い方をマスターするにはこれでは不十分。もっとケースを知り、考えていく必要はある。
これを読みながら、「ブルーオーシャン戦略」や「ストーリーとしての競争戦略」をほうふつとする部分が出てきて、
やはり、古典を読むことの重要性を感じた
最高を目指して競争してはいけない。
平均的な人の最高の商品は、万人にとってのベストではない。無駄な機能が搭載されているということになる。
競争の収斂、皆が同じところを目指して争えば、最終的に商品が差別化できずに、価格競争になり、利益が出ない。
他者に勝つとことではなくて、利益を上げることが目的。独自性をp目指す。
5つの競争要因
・市場の強豪との競争
・買い手の交渉力
・サプライヤーの交渉力
・代替品の脅威
・新規参入障壁
境界によって、利益構造は決まっていて、
それは硬直的である。
状況を分析するだけでなく、それが、今後どのように変化していくのか?を予想して、競争戦略に反映させることが大事
(とても大変そうだ)
競争優位
・高い価格を出してもよいと思わせる価値を提供できる
・想定的に低い価格で売り出せるコスト構造を作れるか?
そのどちらかしかない。
戦略とは、他社と異なる道筋をとること
・特徴ある価値提案
・特別に調整されたバリューチェーン
・トレードオフ
・適合性
・継続性
やらないことを決める。ことで、特定のお客様にとって必要な価値提案の質を高めることができる。
トレードオフによって得られたコスト減ををもとに、価値強化に割り振る。
バリューチェーン全体を通じて、その価値提案の向上につなげる。一貫して。全体の適合性が上がることで、
さらにそれぞれの要素の価値が引き上げられる。
一つの要素だけで差別化した場合にはそれを模倣することは容易であるかもしれないが、複数の要素のつながりで差別化できる場合にはそれを模倣することは難しい。
継続することで、自社内にノウハウがたまること、ブランド力の向上などでの優位性ができるほかに、関連会社もその方向性を理解することで、競争優位に貢献できるようになる。
この辺りは、「ブルーオーシャン戦略」「ストーリーとしての競争戦略」をほうふつとさせる。
5Fは、あくまで、ポーターの理論の一部でしかなく、
さらにバリューチェーンの考え方も今となっては、
当たり前だが、それを提唱したのもポーターである
。