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これまで暗黙裡に了解されていた上達の法則を
認知心理学、学習心理学、記憶心理学などをベースに
分析整理され、ひとつの方法論として纏められた本です。
本書で定義される「上達」とは、人並みの適正のある技能に、
そう無理ではない練習量で、まぁまぁ一人前のレベルに達しようとする過程です。
そして、それを達成した者を「上級者」、その過程の者を「中級者」と定義されています。
本書は上達することを理論的に説明した本であり、
上達すること(その過程)が記憶にどのような変化をもたらしているのか、
そして、その変化を効率よく導く方法が「コード化」「スキーマ」「記憶構造」という、
この理論の根幹を基に解説されています。
上達と記憶との関係の理論から、上級者の特徴を明らかにし、その状態に到達するための方法が解説される。
さらに、この理論によりスランプ状態が説明され、スランプの対策方法も説明される。スランプ対策に関しては本書の続編として「スランプ克服の法則」という本が既刊されている。
そして、最後に、この理論に従った上級者になる特訓方法が示されている。
個人的には、”うんうん”と経験的に納得する部分や、新たに知った事実などが多く含まれており、濃い内容に満足しています。
しかし、説明の例として「陶芸」「将棋」「囲碁」「茶道」が多く用いられるため、
身近に感じることができず、”そういうものか…”という傍観もしばしばありました。
(もちろん「テニス」「英語」等、身近に感じる例もあります。)
そういった点を差し引いた評価とさせていただいています。
-----書評はココまで-----
<備忘録>
上級者とは長期記憶に優れたコードをたくさん保持し、優れたスキーマを有する状態の人である。
つまり上級者になるためには、優れたコードを作成するために、優れたコード化能力を発達させ、また、スキーマ能力を研磨することで達成される。
優れたコード化能力を養うためには、ワーキングメモリと長期記憶に負荷をかけたり(ノートをとる等)、
柔軟なコード化を行う(精密なコード化(精密練習や理論的理解)やコードを体系化する(イメージトレーニング))。こうすることで1チャックに様々な長さのコードを格納できるようになる。
優れたスキーマ能力を養うためには、達人の技に接し、達人の持つスキーマを垣間見ることで示唆を得る。
(スキーマ能力の養い方に関しては明確な方法論が示されていなかった。)
スランプ状態とは、学習心理学では「プラトー」と呼ばれ、上達度が平衡状態であること。
スランプ状態は決して上達度が低下しているわけではないが、そう感じられるのは、努力が成果(上達)として陽に現れないため、相対的に低下しているように感じられるためである。
このプラトーでは
(1)知識の整理(2)技能の安定化(3)技能とコードの連合の密接化(4)1チャンク容量の増大(5)コードシステムの高度化
が行われている。つまり���上達する下準備期間である。
コード化とは、知識を言語に準じた形式に思考の中で表すこと。
コードシステムとは、コードがある体系をなしていること。
スキーマとは、コードシステムに調整機能、五感の感覚が付与したもの。
記憶構造とは、生の記憶を数百ミリ秒だけ記憶できるアイコニックメモリ(感覚記憶)から、必要となる記憶はアイコニックメモリで揮発する前に、数秒だけ記憶できるワーキングメモリ(作動記憶)へと移行する。
このワーキングメモリ上の記憶はチャンクという単位でまとめられ、一般に7〜9チャンクが記憶可能である。
そして、ワーキングメモリで記憶を維持するためには、揮発する前に頭の中でワーキングメモリにその記憶を入れなおす必要がある。
これを、リハーサルといい、リハーサルを繰り返されたものが長期記憶と呼ばれる、安定的に長期にわたって貯蔵される記憶となる。
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ほんとに、科学的な?視点からの上達について書いていた感じ。
最初は、「上達とはどういったことか」、「上達した人はどんなことを考えているのか」などを書いている。
後半、上達の法則というか普遍的なことが書かれているので、目から鱗的ではないが、うんうん、となっとくする内容ではあった。
例に将棋が出てくることが多いので、将棋やってる人が読むともっとおもしろいのかな?
スランプになった時とか、頭を整理するときに再読すればいいかー。
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上級者・達人は、どう違うのか。その説明に、なんと、専門用語の多いことか、思わず尻込みしてしまった。その中でも、得た事のひとつに、停滞期は、知識の整理、技能安定化、記憶容量の増大化など、意味のある時期なので、ここで、諦めないようにしようという事。なる程、自分は、いつも、ここら辺で諦めてしまうので、上達しないのかと、納得させられた。しかし、ん〜、もう少し、わかりやすく説明されていたらよかったのになぁ。
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【読む目的】
自分の能力を効率よく伸ばすための正しい上達の方法を知りたい。
【読んだ感想】
上達する人とそうじゃない人の違い、上達と記憶の仕組み、上達の方法論、上級者になるための特訓、などがとても参考になりました。反復練習の大切さを再認識しました。
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07年年明けに池袋ジュンク堂で購入。
上達の仕組みに関し、理論的に書いてある。
また一度立ち止まって読み返す価値のある本。
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「上達する」という仕組みについて解説し、実践で生かせるような手段を示している本。反復練習、一点集中、スキーマの確立など、わかりやすく上達の仕方を解説している。また、最後に上級者になるための特訓法が書いてあるので、自分が上達したい分野に当てはめて実践できる。スランプに陥ったときに読み返したい。
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物事の上達の法則を、記憶心理学、学習心理学、記憶心理学などをベースに科学的に分析した本。
細かな科学的分析は知っても役に立たないので、小見出しを拾い読みするだけでも充分効果あり。
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特に「初級者から中級者へのステップ」が役に立った。
「中級者から上級者へのステップ」はちょっと難しい。
時を経て見返すと、きっと役に立つだろう。
ああ、今自分はこのステージにいるという見方ができるので。
何かを初めて、上達をしたいという考えを持つ人にはお勧めの一冊である。
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行き詰ってる時の活力剤になればなーと思って購入した本。
この手の本らしく要約だけ読めば知りたかった事は大体書いてあります。
「上達の法則」より「上級者の法則」という題のがふさわしい本です。
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初級者、中級者、上級者の特徴や違いを述べ、主に中級者から上級者へと上達を遂げるための方法について言及している。スキーマやコード、アイコニックメモリ、ワーキングメモリ、長期記憶、チャンクなどの用語を用い、認知心理学的アプローチで「上級者への上達」に迫る。引用に将棋や碁にまつわる話が多かった。結局は認知スキーマ(物事を理解するための枠組み)や認知コード・コードシステムを訓練を通して強化していくことが上達につながるのだということが分かった。つまり、経験や体験を通して何かしらの苦労を重ね、理解や認知のひな型をより良いものに改変・更新していくことが達人への道となる。
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【2008/7/20】
テスト勉強からの逃避のため一読。好きでないことを上達しなければならない時に役立つ本。
・入門者→中級者
頻度を決め、学習の場を決め、入門書を読み、得意分野を知るべし。
・中級者→上級者
得意分野にこだわり精通する。
概論書、理論書を読みノートにまとめる。
小さな課題にとことんこだわる。
良いモノや、達人と触れあう。
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【要旨】
上達には法則がある。初中級者がどのようにすれば上級者になれるか。
まず、記憶の仕組みとして、何らかの刺激に対し、非常に短時間の「アイコニックメモリ(感覚記憶)」から、7〜9チャンクを処理できる「ワーキングメモリ(作業記憶)」を経て、高度なコードシステムやスキーマを持つと仮定される「長期記憶」へと移行される。その際には自我の関与が重要である。
方針として、得意な分野を深めるのが良い。それを中核とした全体観・スキーマが得られるからである。具体的に、手始めに入門書から入り、記録(ノート)を取ること(復習できる)。忘却は24h後、72h後、6-7日後に起こるため、そうしたタイミングに繰り返し復習をすると良い。
ついで概論書(コード機能の強化、鳥瞰的知識の習得)、理論書(技能に関する思考能力を上げ、経験不足を補う)と深堀りする。その後、イメトレ(記憶のシステムが鍛えられる)や、上級者・達人の技を学び幅を広げる。
上達するのに避けて通れないのが、スランプである。スランプは、1.飽きや疲れなどの「心理的・生理的飽和」によるもの、2.「プラトー」(成長の停滞期)、3.「スキーマと技能のギャップ」つまりイメージできるが、技術的に上手くできない状態、4.鑑賞眼が越えた事による「評価スキーマと技能のギャップ」である。1.については、アクティブレスト(能動的休養)を取る。2.については、「後退していなければ前進である」と認識する。3.は進歩を諦め、まず安定させるか、それともあくまで成長を目指すかの判断が重要となる。4.は評価スキーマやコードシステムを二重に区別して、鑑賞・評価のためのスキーマと自分の技能のためのスキーマに分離してやるとよい。
【感想】
概ね理解できたと思うし、参考になると思う。ただし、著者は茶道・将棋など文化的なものを対象としており、スポーツなどについてはあまり触れていないように感じた。しかし、「スランプ」についての考察は非常に参考になると思う。「スランプ」をテーマにした本も出しているようなので、そちらを読んでみようと思った。
【目次】
第1章 能力主義と上達の法則
第2章 上達と記憶のしくみ
第3章 上達した人はどこが違うのか
第4章 上達の方法論
第5章 スランプの構造と結果
第6章 上達者になる特訓法
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【目的】
早く身に付けるコツを学ぶ
【引用】
【感じたこと】
【学んだこと】
ポジティブな感情が押し寄せてくるものを選ぶ。
入門書を読む。
週に2回の頻度で学ぶ。
上級者は安定している。敬意を払っている。
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2009年1月
【初心者から中級者へのステップ】できることから始める
まず始めてみる、入門書を読む、上達しようとしている対象に慣れ親しむ(浸ってみる)→ワクワクする瞬間
頻度を決める、週1.5回〜2回実施
忘却は学習から24時間後、72時間後、1週間後に大きく生じるので復習もこのタイミングで行う
学習の場を決める、自分の得意を見つける
7チャンク
【中級者から上級者へのステップ】
1.鳥瞰的認知を高める→得意なものにこだわるとそれを中心として全体が見えてくる→ノートをとる、概論書を読む
2.理論的思考を身につける→理論書を読む(細かい差の重要性や意味を理解)
3.精密に学ぶ→ひとつものを深める(クラシックの斎藤メソッドなど)、対象を変えて精密練習を繰り返す→要求水準が高まる
深い模倣や暗唱をする(きちんと模倣し、暗唱するという圧力をかけることでコードのシステムが重層構造になる)
4.イメージ能力を高める→イメトレ、他者を見て感情移入する、よい作品を見る、
5.達人の技に学ぶ→達人のスキーマに触れる(楽器なら単品のワンレッスンなど)、達人と直接会う・話す、達人のエラーに学ぶ、
6.広域コードと知識を拡大する→他者の個性を記述してみる、広域的知識を獲得、類似の他のスクールや技能について関心を持つ、歴史的経緯を知る、辞書を買う
スランプへの対応
【特訓法】
1.反復練習、2.評論を読む、3.感情移入をする、4.大量の暗記暗唱をする、5.マラソン的な鍛錬をする
6.少し高い買い物をする、7.独自の関連方法を考える、8.特殊な訓練法を着想するプロセス、9.独自の訓練から基本訓練に立ち返る、
10.何もしない時期を活かす(スキーマやコードの整理、新鮮な感性に戻す)
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「上達には、近道は無いが、法則はある。」
それが本書で著者が伝えたいことです。
タイトルから本書を、よくある内容の薄っぺらいハウツー本(「あっという間~をマスターする本」のような)と勘違いするとそれは大間違い。
「上達」というテーマを本質的に捉え、噛み砕き、分かりやすく伝えている本書は、まれに見る良書だと僕は断言します。
もしあなたが、「どうも自分は不器用で、他の人に比べて色々なことの上達が遅い。」と感じているとしたら、本書を読めばそれこそ「目から鱗」の連発だと僕は思います。
一読あれ。